○減塩食品
わが国で食塩の過剰摂取による弊害が叫ばれるようになったのは、食塩摂取量が他の地域に比べて多いとされる東北地方で脳卒中による死亡率が高いという疫学的調査結果が発表されてからである。これが契機となり1979年には厚生省(当時)の栄養審議会が、72年に決めた1日の塩分所要量15gを10gに下げるべきであるという答申を行い、これを目標値として全国的に減塩意識が高まった。
現在使われている「日本人の食事摂取基準・2005年度版」で男性成人の目標値は10g未満で従来通りだが、女性は8g未満に改訂されている。平成15(2003)年の国民栄養調査によると、1日あたりの食塩摂取量は20歳以上の男性が11.7~13.5g、女性は9.8~12.0g、全体平均で11.2gである。
日本人は世界的に見て食塩摂取量が多い民族とされている(欧米諸国の目安量は6g程度)。それは日本料理に欠かせない醤油や味噌などの調味料に塩が多く使われているからである。そのため、減塩食品の多くは醤油と味噌が中心である。
減塩醤油は厚生労働省の特別用途食品制度で「低ナトリウム食品」に位置づけられており、100gあたり食塩含有量は9g以下とされている。これは一般的な醤油の約半分の量である。これとは別に、塩分濃度を通常醤油の8割程度にした「うす塩醤油」「あさ塩醤油」と呼ばれるものもある。また醤油には濃口と薄口があるが、薄口醤油は色や香りが薄いだけで塩分は濃口よりも多いので注意したい。
味噌も、ナトリウムの含有量が通常味噌の50%以下のものが減塩味噌として特別用途食品になっている。このほか、塩化ナトリウム含有量を少なくした減塩塩もある。フィンランド製のパンソルトは塩化ナトリウムが57.6%、アメリカ製の岩塩ライトソルトは塩分49.5%の塩である。これらは塩化カリウムや塩化マグネシウムなど他のミネラル成分の配合を増やすことによって、相対的に塩化ナトリウムの割合を減らした製品である。
減塩食品は確かに塩分は少ないが、塩味が薄いからといって多く使えば絶対量は減らず、元の本阿弥になってしまう。減塩食品による減塩効果を上げるためには調理法を工夫したり、個人の嗜好を変える努力が必要である。
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月曜日, 10月 31, 2011
土曜日, 10月 29, 2011
自然塩
○自然塩
塩が生命の維持に欠かせない最重要物質の一つであることは言を俟たないものの、海に囲まれた日本では”たかが塩”と考えられがちであったが、生成された塩が主流を占めて近年、自然塩に含まれていたミネラル類を含む各種微量成分の働きの重要性が改めて見直されてきている。
塩は、古くは天日干しの塩田方式や弱い火力によってゆっくり煮詰める方法で生産され、その頃は海水中の成分を全て含んだ塩が供給されていたのであるが、日本では1971年(昭和46年)に塩業近代化がスタートして以来、従来の塩田は全廃されて工業的生産に切り替えられ、やがてイオン交換式が主流を占めるようになった。この方式によって得られる塩を自然塩に対して化学塩とも呼ぶが、これによってほぼ純粋に近い精製塩となった反面、ミネラル類などの微量成分は失われることとなった。栄養素やカロリー偏重の近代栄養学の弱点が見直される中で、食塩の微量成分にも照明が与えられたのは比較的最近のことである。
純粋なものが最善でないことは玄米と白米の比較でよく知られるようになってきている。白砂糖が虫歯をつくりやすくしたり、骨をもろくしたり、血液の抗菌性を弱めたりすることもわかってきている。こうしたことへの反省から、近年はタワー式天然性塩法などが開発されて自然塩に近いものを供給する努力が払われたり、食塩に天然にがりを加えた”ミネラル強化”型の加工塩も作られてきた。
自然塩の世界が一気に広がったのは、明治以来90年以上にわたって続いてきた塩の専売制度が廃止された1997年以降である。同年4月に施行された塩事業法により、それまで日本たばこ産業(JT)が独占的に行っていた塩の製造・輸入・卸売が一般企業にも解放され(登録・届出制)、自由に塩を製造・販売することが可能になったのである。塩事業法では、自由性の専売塩(精製塩など)を生活用塩と呼び、自然塩などそれ以外のものは特殊製法塩として「平釜式、蒸気利用式、温泉熱利用式、その他真空式以外の特殊な製造方法で作られたものや、ニガリやゴマなど食品が混ぜられたもの」と定義されている。
現在、自然塩の多くは天日塩と呼ばれるもので、海水の濃縮をある程度まで天日(太陽と風)で行った後、火を使って釜焚きして結晶させたものである。また、火を使わずに最終仕上げまでを天日のみで行う「完全天日塩」もある。濃縮した海水の約90%は塩化ナトリウムだが、それ以外にもニガリと呼ばれる塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、カルシウム、カリウム、鉄、亜鉛などが含まれている。自然塩は天日による濃縮を行うことによって、これらの微量ミネラル群が損なわれないように工夫した塩であるといえよう。
塩が生命の維持に欠かせない最重要物質の一つであることは言を俟たないものの、海に囲まれた日本では”たかが塩”と考えられがちであったが、生成された塩が主流を占めて近年、自然塩に含まれていたミネラル類を含む各種微量成分の働きの重要性が改めて見直されてきている。
塩は、古くは天日干しの塩田方式や弱い火力によってゆっくり煮詰める方法で生産され、その頃は海水中の成分を全て含んだ塩が供給されていたのであるが、日本では1971年(昭和46年)に塩業近代化がスタートして以来、従来の塩田は全廃されて工業的生産に切り替えられ、やがてイオン交換式が主流を占めるようになった。この方式によって得られる塩を自然塩に対して化学塩とも呼ぶが、これによってほぼ純粋に近い精製塩となった反面、ミネラル類などの微量成分は失われることとなった。栄養素やカロリー偏重の近代栄養学の弱点が見直される中で、食塩の微量成分にも照明が与えられたのは比較的最近のことである。
純粋なものが最善でないことは玄米と白米の比較でよく知られるようになってきている。白砂糖が虫歯をつくりやすくしたり、骨をもろくしたり、血液の抗菌性を弱めたりすることもわかってきている。こうしたことへの反省から、近年はタワー式天然性塩法などが開発されて自然塩に近いものを供給する努力が払われたり、食塩に天然にがりを加えた”ミネラル強化”型の加工塩も作られてきた。
自然塩の世界が一気に広がったのは、明治以来90年以上にわたって続いてきた塩の専売制度が廃止された1997年以降である。同年4月に施行された塩事業法により、それまで日本たばこ産業(JT)が独占的に行っていた塩の製造・輸入・卸売が一般企業にも解放され(登録・届出制)、自由に塩を製造・販売することが可能になったのである。塩事業法では、自由性の専売塩(精製塩など)を生活用塩と呼び、自然塩などそれ以外のものは特殊製法塩として「平釜式、蒸気利用式、温泉熱利用式、その他真空式以外の特殊な製造方法で作られたものや、ニガリやゴマなど食品が混ぜられたもの」と定義されている。
現在、自然塩の多くは天日塩と呼ばれるもので、海水の濃縮をある程度まで天日(太陽と風)で行った後、火を使って釜焚きして結晶させたものである。また、火を使わずに最終仕上げまでを天日のみで行う「完全天日塩」もある。濃縮した海水の約90%は塩化ナトリウムだが、それ以外にもニガリと呼ばれる塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、カルシウム、カリウム、鉄、亜鉛などが含まれている。自然塩は天日による濃縮を行うことによって、これらの微量ミネラル群が損なわれないように工夫した塩であるといえよう。
金曜日, 10月 28, 2011
塩
○塩
塩は調味料の中で最も基本的なものであり、ヒトの体内では浸透圧調節などの生理作用を担う重要な物質である。世界の塩生産の2/3は岩塩であるが、日本ではもっぱら海水から製塩されている。
現在、わが国で一般的に使われている塩は食塩、精製塩、並塩である。食塩は海水中の塩化ナトリウム(NaCl)をイオン交換樹脂膜電気透析法という工業的な方法で集めて濃い塩水を作り、これを真空釜で煮詰めて結晶にしたものである。精製塩は食塩よりさらに精製度を高めた塩で、さらさらして固まりにくい。並塩は業務用に使われる塩の標準品で、粗塩とも呼ばれている。塩の主成分は塩化ナトリウムで、食塩、精製塩共に99.1%を占める(並塩は96.5%)。食塩には微量であるがカリウム100mg(精製塩では2mg)、カルシウム22mg(同0mg)が含まれている(いずれも100g中)。
わが国では明治以降、塩専売法に基づき塩の製造は国の管理下に置かれ、近年では日本専売公社(現・日本たばこ産業)が独占的に行ってきたが、1997年(平成9年)4月に同法が廃止され、新たに塩事業法が施行されて塩の製造や輸入の規制緩和が行われた。これにより、民間企業が昔ながらの塩田方式による製塩事業なども行えるようになり、工業的につくられる専売塩とは別に、自然塩と呼ばれる塩も数多く登場するようになっている。
塩は調味料の中で最も基本的なものであり、ヒトの体内では浸透圧調節などの生理作用を担う重要な物質である。世界の塩生産の2/3は岩塩であるが、日本ではもっぱら海水から製塩されている。
現在、わが国で一般的に使われている塩は食塩、精製塩、並塩である。食塩は海水中の塩化ナトリウム(NaCl)をイオン交換樹脂膜電気透析法という工業的な方法で集めて濃い塩水を作り、これを真空釜で煮詰めて結晶にしたものである。精製塩は食塩よりさらに精製度を高めた塩で、さらさらして固まりにくい。並塩は業務用に使われる塩の標準品で、粗塩とも呼ばれている。塩の主成分は塩化ナトリウムで、食塩、精製塩共に99.1%を占める(並塩は96.5%)。食塩には微量であるがカリウム100mg(精製塩では2mg)、カルシウム22mg(同0mg)が含まれている(いずれも100g中)。
わが国では明治以降、塩専売法に基づき塩の製造は国の管理下に置かれ、近年では日本専売公社(現・日本たばこ産業)が独占的に行ってきたが、1997年(平成9年)4月に同法が廃止され、新たに塩事業法が施行されて塩の製造や輸入の規制緩和が行われた。これにより、民間企業が昔ながらの塩田方式による製塩事業なども行えるようになり、工業的につくられる専売塩とは別に、自然塩と呼ばれる塩も数多く登場するようになっている。
木曜日, 10月 27, 2011
色々な食用油(2)
○サフラワー油
キク科の一年草サフラワー(紅花)の種子から採取した食用油。紅花油ともいう。味にクセがなく、さっぱりしており、主にサラダ油として使われている。脂肪酸組成はリノール酸が75%以上を占め、植物油の中で最も多い含有量を示す。
リノール酸は体内コレステロールを排出し、動脈硬化や高血圧の予防・改善に有効であることから、サフラワー油は一時”健康油”として大きなブームとなった。しかし最近では、リノール酸は酸化されやすく体内で過酸化脂質をつくりガンの原因となったり、リノール酸から合成されるアラキドン酸によってアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患や免疫力の低下を引き起こすことが指摘されるようにもなっている。つまり、過剰摂取による弊害である。そのため、リノール酸の含有量を少なくし、オレイン酸を多く含むように品種改良したオレイックサフラワー油もつくられている。
※ひまわり油
日本ではなじみが薄いが世界的にはかなり多く使われており、ロシアで植物油といえばひまわり油が第1位である。ロシアではもっぱら種子から食用油を採るためにひまわりを栽培している。ひまわり油はリノール酸の豊富さ(含有率約60%)ではサフラワー油と並び、加えてビタミンEも豊富なために、動脈硬化や高血圧の予防に役立てる食品開発も試みられ、ひまわり油マーガリンやひまわり油サラダオイルも商品化されたが、リノール酸の過剰摂取は逆に動脈硬化やアレルギーの発症を促進するとの報告が多くあるため、摂取量の見直しもなされている。なお、ヒマワリの種子を処理して得られるミルク状の栄養食品はヒマワリ乳と呼ばれ、牛乳、豆乳に次ぐ、”第3の健康乳”として期待されている。
キク科の一年草サフラワー(紅花)の種子から採取した食用油。紅花油ともいう。味にクセがなく、さっぱりしており、主にサラダ油として使われている。脂肪酸組成はリノール酸が75%以上を占め、植物油の中で最も多い含有量を示す。
リノール酸は体内コレステロールを排出し、動脈硬化や高血圧の予防・改善に有効であることから、サフラワー油は一時”健康油”として大きなブームとなった。しかし最近では、リノール酸は酸化されやすく体内で過酸化脂質をつくりガンの原因となったり、リノール酸から合成されるアラキドン酸によってアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患や免疫力の低下を引き起こすことが指摘されるようにもなっている。つまり、過剰摂取による弊害である。そのため、リノール酸の含有量を少なくし、オレイン酸を多く含むように品種改良したオレイックサフラワー油もつくられている。
※ひまわり油
日本ではなじみが薄いが世界的にはかなり多く使われており、ロシアで植物油といえばひまわり油が第1位である。ロシアではもっぱら種子から食用油を採るためにひまわりを栽培している。ひまわり油はリノール酸の豊富さ(含有率約60%)ではサフラワー油と並び、加えてビタミンEも豊富なために、動脈硬化や高血圧の予防に役立てる食品開発も試みられ、ひまわり油マーガリンやひまわり油サラダオイルも商品化されたが、リノール酸の過剰摂取は逆に動脈硬化やアレルギーの発症を促進するとの報告が多くあるため、摂取量の見直しもなされている。なお、ヒマワリの種子を処理して得られるミルク状の栄養食品はヒマワリ乳と呼ばれ、牛乳、豆乳に次ぐ、”第3の健康乳”として期待されている。
水曜日, 10月 26, 2011
色々な食用油(1)
※大豆油
わが国ではナタネ油と並んで最も多く使われている食用油で、サラダ油やてんぷら油のほかマーガリンの原料にもなる。脂肪酸組成はリノール酸の含有比率が53.3%と高く、オレイン酸(23.5%)やリノレン酸(6.6%)の含有率も高い。
フィンランドでは食事と動脈硬化の関係について興味深い実験を行っている。対象は30~69歳の男性で、この内、一つのグループには①牛乳の代わりにスキムミルクを大豆油で溶いたものを与える、②牛肉は脂肪分を除いて用いる、③植物性油は自由に用いる、という条件の食事を与えた。もう一つのグループには普通の食事を与え、コレステロールを1日500mgずつ摂取させた。この実験を7週間行った結果、大豆油を中心に食事制限をしたグループは普通食のグループに比べて動脈硬化の危険性が半分以下に抑えられた。つまり、大豆油のような植物性油を多く摂り、動物性油を減らすことが動脈硬化から派生する心臓病の予防にも役立つことが示されたわけである。こうした効果は、大豆油に含まれているリノール酸に血管に沈着するコレステロールを排除する働きがあるためとされている。
※米油
米糠には約20%の脂質が含まれているが、これを溶媒抽出して作られるのが米油で、米糠油ともいう。あっさりとした味で、ドレッシングや揚げ物に向く。食用油の中では唯一、国産原料で作られている油である。脂肪酸組成はオレイン酸42.6%、リノール酸35%、リノレン酸1.3%など。米油にはシトステロール(植物ステロール)が多く含まれるため、コレステロールの吸収を防ぎ、動脈硬化の予防効果がある。
※コーンオイル
コーンスターチ(トウモロコシでんぷん)の製造時に副産物として出る胚芽(脂質含有率約35%)からつくられる食用油。淡黄色から黄金色をしており、独特のコクと旨味がある。熱安定性が高く、揚げ物や炒め物などの加熱料理に向いている。サラダ油やマーガリンの原料にもなる。
脂肪酸組成は必須脂肪酸である多価不飽和脂肪酸が全体の半分を占め、その中でもリノール酸の割合が54.9%と高い。また、一価不飽和脂肪酸のオレイン酸も29.8%と多い。そのほかビタミンEの含有量も多く、100g中17.1mgと植物性油脂の中では高いほうである。胚芽油であるコーンオイルには、米油と同じくシトステロールが含まれており、コレステロールの体内吸収を抑える作用がある。
わが国ではナタネ油と並んで最も多く使われている食用油で、サラダ油やてんぷら油のほかマーガリンの原料にもなる。脂肪酸組成はリノール酸の含有比率が53.3%と高く、オレイン酸(23.5%)やリノレン酸(6.6%)の含有率も高い。
フィンランドでは食事と動脈硬化の関係について興味深い実験を行っている。対象は30~69歳の男性で、この内、一つのグループには①牛乳の代わりにスキムミルクを大豆油で溶いたものを与える、②牛肉は脂肪分を除いて用いる、③植物性油は自由に用いる、という条件の食事を与えた。もう一つのグループには普通の食事を与え、コレステロールを1日500mgずつ摂取させた。この実験を7週間行った結果、大豆油を中心に食事制限をしたグループは普通食のグループに比べて動脈硬化の危険性が半分以下に抑えられた。つまり、大豆油のような植物性油を多く摂り、動物性油を減らすことが動脈硬化から派生する心臓病の予防にも役立つことが示されたわけである。こうした効果は、大豆油に含まれているリノール酸に血管に沈着するコレステロールを排除する働きがあるためとされている。
※米油
米糠には約20%の脂質が含まれているが、これを溶媒抽出して作られるのが米油で、米糠油ともいう。あっさりとした味で、ドレッシングや揚げ物に向く。食用油の中では唯一、国産原料で作られている油である。脂肪酸組成はオレイン酸42.6%、リノール酸35%、リノレン酸1.3%など。米油にはシトステロール(植物ステロール)が多く含まれるため、コレステロールの吸収を防ぎ、動脈硬化の予防効果がある。
※コーンオイル
コーンスターチ(トウモロコシでんぷん)の製造時に副産物として出る胚芽(脂質含有率約35%)からつくられる食用油。淡黄色から黄金色をしており、独特のコクと旨味がある。熱安定性が高く、揚げ物や炒め物などの加熱料理に向いている。サラダ油やマーガリンの原料にもなる。
脂肪酸組成は必須脂肪酸である多価不飽和脂肪酸が全体の半分を占め、その中でもリノール酸の割合が54.9%と高い。また、一価不飽和脂肪酸のオレイン酸も29.8%と多い。そのほかビタミンEの含有量も多く、100g中17.1mgと植物性油脂の中では高いほうである。胚芽油であるコーンオイルには、米油と同じくシトステロールが含まれており、コレステロールの体内吸収を抑える作用がある。
火曜日, 10月 25, 2011
機能性食用油
○機能性食用油
農林水産省が主婦を対象に行った食用油の消費実態調査では、約半数の消費者が健康や栄養面を考えて油を選択しており、植物油独特の風味も重視して料理によって使い分けているという結果が出ている。食用油に対するこのような消費者の健康志向を反映して、数年前から機能性食用油市場が拡大している。製油大手が投入している製品をみると、単に健康によい植物油というイメージ的な訴求ではなく、”体に脂肪が付かない油”、”コレステロールを抑制する油”といった具体的な健康機能性を付加している点が特徴である。
先陣を切ったのは花王の健康「エコナクッキングオイル」で、1999年2月に脂肪がつきにくい食用油として発売され、半年で400万本を売り上げた。食用油ではじめてトクホ表示が許可されたことでも話題を呼んだ。エコナの主原料はジアシルグリセロールで、同じ脂肪酸組成のトリアシルグリセロール(従来の食用油の主成分)と比較して食後の血中中性脂肪の上昇を抑制する作用がある。また、長期間摂取した場合には内臓脂肪の増加を抑制することが確認されている。
日清製油が開発した「日清バランスオイル・ダイエット」は中鎖脂肪酸を約10%含む食用油で、酵素を用いて油の構造に特徴を持たせている。中鎖脂肪酸はエネルギーとして分解されやすく、手術後の流動食や未熟児のエネルギー補給などに利用されているが、同社と香川大学との共同研究によって長期栄養試験をヒト対象で行った結果、体脂肪として蓄積されにくい油であることが認められた。
2001年になると、機能性食用油のターゲットは脂肪からコレステロールへ移り、コレステロールの吸収を抑える食用油が次々と発売された。大豆や米など植物胚芽に含まれる植物性ステロールを配合した製品が多い。これは食事で摂取したコレステロールは胆汁酸と結合して体内で吸収されるが、植物性ステロールは胆汁酸と結合しやすいため、結合できなかったコレステロールが対外に排出されやすくなるからで、花王は健康エコナに植物性ステロール(β-シトステロール)を加えた製品をトクホとして発売した。日清製油は米胚芽油ベースの食用油「バランスオイル・コレステ」を投入した。通常の大豆油に比べて植物ステロールが4.5倍含まれる油だ。
ホーネンコーポレーションの食用油「健康上々」もコレステロール値の抑制にターゲットを絞っているが、植物性ステロールを使わず、麹菌の一種である紅麹のエキスを配合した。ヒトの体内では肝臓から出る酵素の働きでコレステロールが生成されるが、紅麹に含まれるモナコリンやγ-アミノ駱酸といった成分がこの酵素の働きを抑制することに着目した。同社によると、体内の総コレステロールの2割は体外からの食物の摂取によるが、残りの8割は体内酵素の働きで形成されるという。紅麹エキスはこの8割のコレステロールを抑制するとしている。
昭和産業の「オレインリッチ」は悪玉コレステロールだけを低下させるといわれるオレイン酸を80%使用したヒマワリ油。酸化に強いため鮮度と風味が長持ちするほか、調理時に油酔いしにくいというのが特長である。このほか最近では、中鎖脂肪酸を関与成分としたナタネ油ベースの「ヘルシーリセッタ」(日清オイリオグループ)が体に脂肪がつきにくい食用油としてトクホを取得、ヒット商品にしている。
農林水産省が主婦を対象に行った食用油の消費実態調査では、約半数の消費者が健康や栄養面を考えて油を選択しており、植物油独特の風味も重視して料理によって使い分けているという結果が出ている。食用油に対するこのような消費者の健康志向を反映して、数年前から機能性食用油市場が拡大している。製油大手が投入している製品をみると、単に健康によい植物油というイメージ的な訴求ではなく、”体に脂肪が付かない油”、”コレステロールを抑制する油”といった具体的な健康機能性を付加している点が特徴である。
先陣を切ったのは花王の健康「エコナクッキングオイル」で、1999年2月に脂肪がつきにくい食用油として発売され、半年で400万本を売り上げた。食用油ではじめてトクホ表示が許可されたことでも話題を呼んだ。エコナの主原料はジアシルグリセロールで、同じ脂肪酸組成のトリアシルグリセロール(従来の食用油の主成分)と比較して食後の血中中性脂肪の上昇を抑制する作用がある。また、長期間摂取した場合には内臓脂肪の増加を抑制することが確認されている。
日清製油が開発した「日清バランスオイル・ダイエット」は中鎖脂肪酸を約10%含む食用油で、酵素を用いて油の構造に特徴を持たせている。中鎖脂肪酸はエネルギーとして分解されやすく、手術後の流動食や未熟児のエネルギー補給などに利用されているが、同社と香川大学との共同研究によって長期栄養試験をヒト対象で行った結果、体脂肪として蓄積されにくい油であることが認められた。
2001年になると、機能性食用油のターゲットは脂肪からコレステロールへ移り、コレステロールの吸収を抑える食用油が次々と発売された。大豆や米など植物胚芽に含まれる植物性ステロールを配合した製品が多い。これは食事で摂取したコレステロールは胆汁酸と結合して体内で吸収されるが、植物性ステロールは胆汁酸と結合しやすいため、結合できなかったコレステロールが対外に排出されやすくなるからで、花王は健康エコナに植物性ステロール(β-シトステロール)を加えた製品をトクホとして発売した。日清製油は米胚芽油ベースの食用油「バランスオイル・コレステ」を投入した。通常の大豆油に比べて植物ステロールが4.5倍含まれる油だ。
ホーネンコーポレーションの食用油「健康上々」もコレステロール値の抑制にターゲットを絞っているが、植物性ステロールを使わず、麹菌の一種である紅麹のエキスを配合した。ヒトの体内では肝臓から出る酵素の働きでコレステロールが生成されるが、紅麹に含まれるモナコリンやγ-アミノ駱酸といった成分がこの酵素の働きを抑制することに着目した。同社によると、体内の総コレステロールの2割は体外からの食物の摂取によるが、残りの8割は体内酵素の働きで形成されるという。紅麹エキスはこの8割のコレステロールを抑制するとしている。
昭和産業の「オレインリッチ」は悪玉コレステロールだけを低下させるといわれるオレイン酸を80%使用したヒマワリ油。酸化に強いため鮮度と風味が長持ちするほか、調理時に油酔いしにくいというのが特長である。このほか最近では、中鎖脂肪酸を関与成分としたナタネ油ベースの「ヘルシーリセッタ」(日清オイリオグループ)が体に脂肪がつきにくい食用油としてトクホを取得、ヒット商品にしている。
月曜日, 10月 24, 2011
黒糖オリゴ
○黒糖オリゴ
黒糖オリゴとは黒砂糖中に約0.1~0.3%含まれ、白砂糖の害を防ぐ毒消しの役割を持つ非糖黒色成分をいう。
白砂糖の主成分のショ糖(スクロース)はブドウ糖と果糖の二糖類で、容易に分解されて即席のエネルギー源となり、疲労回復剤となる。また、保水剤として、皮膚や粘膜の乾燥を防ぎ、化粧料、シロップ剤に利用され、その制菌作用で細菌の繁殖を抑制し、砂糖漬け等として広く用いられている。
しかし、砂糖の大量摂取は胃粘膜の潰瘍を促進し、歯や骨を弱化する。また、血中の中性脂肪、血糖値、過酸化脂質を上昇させ、高脂血症、糖尿病、動脈硬化、肥満の引き金となり、アトピー性皮膚炎を促進するといった障害をもたらす。
長寿県として知られる沖縄県には、古くから「白い砂糖は命を縮め、黒い砂糖は命長らえる」ということわざがある。これに注目し、1980年より近畿大学東洋医学研究所と愛媛大学医学部医科学教室との共同で、吸着合成樹脂を用いて黒色成分のみを吸着・分離精製する技術を開発。これにより得られた非糖成分を黒糖オリゴ糖と名づけ、あわせて動物実験も行っている。
それによると、1群5匹のラットを、①白砂糖75%を含む高ショ糖食を与えたコントロール群、②同じ飼料で1日量に黒糖オリゴ1g/kg、及び0.5g/kgを添加したものを投与した群、③普通食で飼育した群の3群に分け、2ヶ月間、自由摂取させて、それぞれの群の血清中の脂質、インスリン量を比較した。その結果は、①のコントロール群は中性脂肪が③の普通食群に比べて2.40倍に増加したのに対し、②の黒糖オリゴ1g/kg、0.5g/kg添加群はそれぞれ62.3%、87.6%にとどまり、黒糖オリゴが中性脂肪の上昇を抑制することがわかった。ここでは過酸化脂質、インスリン量についても同様の抑制結果がみられ、黒糖オリゴがこれらの値を有意に低下させることが明らかになった。
また、ラットに0.5gのグルコースを与える負荷試験では、血漿中のグルコース、インスリン濃度は投与20分後に最大に達するが、このとき、グルコースと共に黒糖オリゴを与えた群は、コントロール群に比べて20分以後のグルコース、インスリン値がともに有意な差を持って減少した。マウスを用いた実験でも同様の結果を得た(薬学雑誌102、1982、医学と薬学57、2007)。
黒糖オリゴは腸管腔灌流法により、グルコースの腸管からの吸収を抑制すると考えられるが、これらの効果はこのことを証明しているといえる。また、これらの効用の有効成分の一つとして、3-4ジメトオキシフェニールβグルコシドが発見されている。
このように、黒糖オリゴは、臨床面でも高脂血症、糖尿病・動脈硬化、肥満等を予防・改善する働きがある。
黒糖オリゴとは黒砂糖中に約0.1~0.3%含まれ、白砂糖の害を防ぐ毒消しの役割を持つ非糖黒色成分をいう。
白砂糖の主成分のショ糖(スクロース)はブドウ糖と果糖の二糖類で、容易に分解されて即席のエネルギー源となり、疲労回復剤となる。また、保水剤として、皮膚や粘膜の乾燥を防ぎ、化粧料、シロップ剤に利用され、その制菌作用で細菌の繁殖を抑制し、砂糖漬け等として広く用いられている。
しかし、砂糖の大量摂取は胃粘膜の潰瘍を促進し、歯や骨を弱化する。また、血中の中性脂肪、血糖値、過酸化脂質を上昇させ、高脂血症、糖尿病、動脈硬化、肥満の引き金となり、アトピー性皮膚炎を促進するといった障害をもたらす。
長寿県として知られる沖縄県には、古くから「白い砂糖は命を縮め、黒い砂糖は命長らえる」ということわざがある。これに注目し、1980年より近畿大学東洋医学研究所と愛媛大学医学部医科学教室との共同で、吸着合成樹脂を用いて黒色成分のみを吸着・分離精製する技術を開発。これにより得られた非糖成分を黒糖オリゴ糖と名づけ、あわせて動物実験も行っている。
それによると、1群5匹のラットを、①白砂糖75%を含む高ショ糖食を与えたコントロール群、②同じ飼料で1日量に黒糖オリゴ1g/kg、及び0.5g/kgを添加したものを投与した群、③普通食で飼育した群の3群に分け、2ヶ月間、自由摂取させて、それぞれの群の血清中の脂質、インスリン量を比較した。その結果は、①のコントロール群は中性脂肪が③の普通食群に比べて2.40倍に増加したのに対し、②の黒糖オリゴ1g/kg、0.5g/kg添加群はそれぞれ62.3%、87.6%にとどまり、黒糖オリゴが中性脂肪の上昇を抑制することがわかった。ここでは過酸化脂質、インスリン量についても同様の抑制結果がみられ、黒糖オリゴがこれらの値を有意に低下させることが明らかになった。
また、ラットに0.5gのグルコースを与える負荷試験では、血漿中のグルコース、インスリン濃度は投与20分後に最大に達するが、このとき、グルコースと共に黒糖オリゴを与えた群は、コントロール群に比べて20分以後のグルコース、インスリン値がともに有意な差を持って減少した。マウスを用いた実験でも同様の結果を得た(薬学雑誌102、1982、医学と薬学57、2007)。
黒糖オリゴは腸管腔灌流法により、グルコースの腸管からの吸収を抑制すると考えられるが、これらの効果はこのことを証明しているといえる。また、これらの効用の有効成分の一つとして、3-4ジメトオキシフェニールβグルコシドが発見されている。
このように、黒糖オリゴは、臨床面でも高脂血症、糖尿病・動脈硬化、肥満等を予防・改善する働きがある。
金曜日, 10月 21, 2011
機能性ヨーグルト
○機能性ヨーグルト
最近注目を集めているヨーグルトに機能性ヨーグルトと呼ばれる製品がある。含まれている乳酸菌が持つ生理機能が学術研究のデータによって裏付けられており、それを付加価値として開発されたヨーグルトである。商品のものに効能が表示されているわけではないが、マスコミ等を通じてその機能性が広く知られるようになっている。
機能性ヨーグルトの草分けは、ピロリ菌を排除する乳酸菌が入っていることで人気を呼んだプロビオヨーグルトLG21(明治乳業)である。2000年3月に発売され、瞬く間にヒット商品となった。ピロリ菌は日本人の半数が保菌者であることや、日本人に多い胃潰瘍や十二指腸潰瘍、慢性胃炎、胃ガンなどを引き起こすことから新聞や健康雑誌などで盛んに取り上げられ、一般消費者の認知度も高い。同ヨーグルトに使われている乳酸菌はラクトバチルス・ガッセリOKK2716(通称LG21菌)で、経口摂取すると胃粘膜に接着し、乳酸を分泌してピロリ菌を排除する性質がある。東海大学の古賀泰裕らの研究によると、ピロリ菌保菌者の30人にLG21入りヨーグルトを8週間摂取してもらったところ有意な減少が確認できただけでなく、この内の3人はピロリ菌が検出限界以下になったという。また、胃粘膜の荒れも改善されたことが報告されている。
LC1ヨーグルト(ネスレスノー)も胃のピロリ菌抑制に有効であるとされている。同製品には、スイスのネスレ中央研究所で単離された乳酸菌ラクトバチルス・ジョンソニーLC1(通称LC1菌)が使われており、経口摂取によって腸壁に接着し、病原菌の物理的排除、抗菌物質の分泌、免疫細胞の活性化などに働くことが認められている。
植物性乳酸菌ヨーグルト(亀田製菓)は、同社が米から分離した日本発の植物性乳酸菌ラクトバチルス・カゼイ・カメダ1株(通称K-1菌)を使った製品で、植物性食品を多く摂っている日本人の胃腸によくフィットする点を売りにしている。東京農業大学菌株保存室との共同研究で、同菌には整腸作用のほか細胞の突然変異を抑える抗変異原性のあることが明らかにされている。
ラクトフェリンヨーグルト(森永乳業)は牛乳に含まれる微量タンパク質のラクトフェリンを配合した製品。ラクトフェリンは抗微生物活性やビフィズス菌増殖、免疫調節、抗酸化活性、細胞増殖調節といった生理作用がある。
小岩井KW乳酸菌ヨーグルト(小岩井乳業)は花粉症を改善する乳酸菌が用いられている。この菌はグループ会社のキリンビールフロンティア技術研究所が昭和女子大学大学院生活機構研究所と共同で開発したラクトバチルス・パラカゼイKW3110(通称KW乳酸菌)で、花粉症アレルギーの原因となるヘルパーT細胞の”Th1/Th2バランス”を改善する作用があるという。同社では花粉症に対するヒト試験も実施している。花粉症のボランティア28名を、KW乳酸菌ヨーグルトを接し揺するグループと従来のヨーグルト摂取する対照グループの2つに分け、花粉症飛散期(03年1~4月)に1日200mlのヨーグルトを摂取してもらい4週おきに採血と自覚症状のアンケートを行った。その結果、KW乳酸菌のグループで従来ヨーグルトのグループと比べて2倍以上のTh1/Th2バランスの改善がみられた。また、のどの痛みや目の痒み、鼻水などの症状にも改善傾向が認められたという。
LGGヨーグルト(タカナシ乳業)はアトピー性皮膚炎の改善が広く認められている乳酸菌ラクトバチルス・ラムノーサスGG(通称LGG菌)を使用している。同菌はフィンランドのバリオ社が保有する乳酸菌で、1997年に同社が乳幼児のアトピー性皮膚炎の症状が抑えられたという研究結果を発表して世界的に注目された。
ロイテリ菌ヨーグルト(チチヤス乳業)はスウェーデンのバイオガイア社が保有する乳酸菌ラクトバチルス・ロイテリを使った製品で、腸内有害菌や虫歯菌の繁殖を抑える作用がある。
最近注目を集めているヨーグルトに機能性ヨーグルトと呼ばれる製品がある。含まれている乳酸菌が持つ生理機能が学術研究のデータによって裏付けられており、それを付加価値として開発されたヨーグルトである。商品のものに効能が表示されているわけではないが、マスコミ等を通じてその機能性が広く知られるようになっている。
機能性ヨーグルトの草分けは、ピロリ菌を排除する乳酸菌が入っていることで人気を呼んだプロビオヨーグルトLG21(明治乳業)である。2000年3月に発売され、瞬く間にヒット商品となった。ピロリ菌は日本人の半数が保菌者であることや、日本人に多い胃潰瘍や十二指腸潰瘍、慢性胃炎、胃ガンなどを引き起こすことから新聞や健康雑誌などで盛んに取り上げられ、一般消費者の認知度も高い。同ヨーグルトに使われている乳酸菌はラクトバチルス・ガッセリOKK2716(通称LG21菌)で、経口摂取すると胃粘膜に接着し、乳酸を分泌してピロリ菌を排除する性質がある。東海大学の古賀泰裕らの研究によると、ピロリ菌保菌者の30人にLG21入りヨーグルトを8週間摂取してもらったところ有意な減少が確認できただけでなく、この内の3人はピロリ菌が検出限界以下になったという。また、胃粘膜の荒れも改善されたことが報告されている。
LC1ヨーグルト(ネスレスノー)も胃のピロリ菌抑制に有効であるとされている。同製品には、スイスのネスレ中央研究所で単離された乳酸菌ラクトバチルス・ジョンソニーLC1(通称LC1菌)が使われており、経口摂取によって腸壁に接着し、病原菌の物理的排除、抗菌物質の分泌、免疫細胞の活性化などに働くことが認められている。
植物性乳酸菌ヨーグルト(亀田製菓)は、同社が米から分離した日本発の植物性乳酸菌ラクトバチルス・カゼイ・カメダ1株(通称K-1菌)を使った製品で、植物性食品を多く摂っている日本人の胃腸によくフィットする点を売りにしている。東京農業大学菌株保存室との共同研究で、同菌には整腸作用のほか細胞の突然変異を抑える抗変異原性のあることが明らかにされている。
ラクトフェリンヨーグルト(森永乳業)は牛乳に含まれる微量タンパク質のラクトフェリンを配合した製品。ラクトフェリンは抗微生物活性やビフィズス菌増殖、免疫調節、抗酸化活性、細胞増殖調節といった生理作用がある。
小岩井KW乳酸菌ヨーグルト(小岩井乳業)は花粉症を改善する乳酸菌が用いられている。この菌はグループ会社のキリンビールフロンティア技術研究所が昭和女子大学大学院生活機構研究所と共同で開発したラクトバチルス・パラカゼイKW3110(通称KW乳酸菌)で、花粉症アレルギーの原因となるヘルパーT細胞の”Th1/Th2バランス”を改善する作用があるという。同社では花粉症に対するヒト試験も実施している。花粉症のボランティア28名を、KW乳酸菌ヨーグルトを接し揺するグループと従来のヨーグルト摂取する対照グループの2つに分け、花粉症飛散期(03年1~4月)に1日200mlのヨーグルトを摂取してもらい4週おきに採血と自覚症状のアンケートを行った。その結果、KW乳酸菌のグループで従来ヨーグルトのグループと比べて2倍以上のTh1/Th2バランスの改善がみられた。また、のどの痛みや目の痒み、鼻水などの症状にも改善傾向が認められたという。
LGGヨーグルト(タカナシ乳業)はアトピー性皮膚炎の改善が広く認められている乳酸菌ラクトバチルス・ラムノーサスGG(通称LGG菌)を使用している。同菌はフィンランドのバリオ社が保有する乳酸菌で、1997年に同社が乳幼児のアトピー性皮膚炎の症状が抑えられたという研究結果を発表して世界的に注目された。
ロイテリ菌ヨーグルト(チチヤス乳業)はスウェーデンのバイオガイア社が保有する乳酸菌ラクトバチルス・ロイテリを使った製品で、腸内有害菌や虫歯菌の繁殖を抑える作用がある。
木曜日, 10月 20, 2011
ステロール
○ステロール
ステロールは油脂に含まれる不鹸化物のひとつで、ステロイド核(4つの環状構造)と炭素数8個の炭化水素基を持つアルコールの総称である。ステリン(ドイツ語)ともいう。動物油脂に含まれるコレステロール、植物油脂中のシトステロール、シイタケや酵母に含まれるエルゴステロールなどがある。
※コレステロール
コレステリンともいう。動物の組織中に広く存在するステロールで、細胞膜の構成成分として、また胆汁酸や性ホルモン、副腎皮質ホルモンの材料として重要な物質である。血液中にはリン脂質とタンパク質に包まれたリポタンパク質の形で存在する。
コレステロールの約8割は体内で合成され、それ以外は食品から摂取される。コレステロールを多く含む食品の過剰摂取は、血管壁にコレステロールが付着して動脈硬化や高脂血症の原因となる。「日本人の食事摂取基準・20005年度版」では、1日あたりのコレステロール摂取の目標量(上限)を成人男性で750mg未満、女性では600mg未満としている。卵黄や魚卵、レバー、エビ、イカなどはコレステロールを多く含む食品として知られている。
ステロールは油脂に含まれる不鹸化物のひとつで、ステロイド核(4つの環状構造)と炭素数8個の炭化水素基を持つアルコールの総称である。ステリン(ドイツ語)ともいう。動物油脂に含まれるコレステロール、植物油脂中のシトステロール、シイタケや酵母に含まれるエルゴステロールなどがある。
※コレステロール
コレステリンともいう。動物の組織中に広く存在するステロールで、細胞膜の構成成分として、また胆汁酸や性ホルモン、副腎皮質ホルモンの材料として重要な物質である。血液中にはリン脂質とタンパク質に包まれたリポタンパク質の形で存在する。
コレステロールの約8割は体内で合成され、それ以外は食品から摂取される。コレステロールを多く含む食品の過剰摂取は、血管壁にコレステロールが付着して動脈硬化や高脂血症の原因となる。「日本人の食事摂取基準・20005年度版」では、1日あたりのコレステロール摂取の目標量(上限)を成人男性で750mg未満、女性では600mg未満としている。卵黄や魚卵、レバー、エビ、イカなどはコレステロールを多く含む食品として知られている。
水曜日, 10月 19, 2011
脂肪
○脂肪
食品に含まれる脂質の90%以上は脂肪である。脂肪は脂肪酸とグリセロール(グリセリン)がエステル結合したもので、アシルグリセロールという。1分子の脂肪酸が結合したモノアシルグリセロール、2分子のジアシルグリセロール、3分子のトリアシルグリセロールであるが、一般に脂肪(中性脂肪)と呼ばれているのはトリアシルグリセロールである。ジアシルグリセロールはトクホの機能性食品油の関与成分として使われている。
※中性脂肪
単に脂肪、油脂などとも呼ばれる。グリセロールに3分子の脂肪酸がエステル結合した単純脂質で、トリアシルグリセロールという。結合している脂肪酸の種類によって物性が異なり、室温で液状のものを油(オイル)、固体のものを脂(ファト)と区別している。一般に動物性脂肪は飽和脂肪酸を、植物性脂肪は不飽和脂肪酸を多く含んでいる。脂肪は食品中の脂質成分として最も含有量が多く、ヒトの生体内では貯蔵脂質として皮下や腹腔などに貯えられ、必要に応じてエネルギー源(1gあたり9kcal)として利用される。
食品に含まれる脂質の90%以上は脂肪である。脂肪は脂肪酸とグリセロール(グリセリン)がエステル結合したもので、アシルグリセロールという。1分子の脂肪酸が結合したモノアシルグリセロール、2分子のジアシルグリセロール、3分子のトリアシルグリセロールであるが、一般に脂肪(中性脂肪)と呼ばれているのはトリアシルグリセロールである。ジアシルグリセロールはトクホの機能性食品油の関与成分として使われている。
※中性脂肪
単に脂肪、油脂などとも呼ばれる。グリセロールに3分子の脂肪酸がエステル結合した単純脂質で、トリアシルグリセロールという。結合している脂肪酸の種類によって物性が異なり、室温で液状のものを油(オイル)、固体のものを脂(ファト)と区別している。一般に動物性脂肪は飽和脂肪酸を、植物性脂肪は不飽和脂肪酸を多く含んでいる。脂肪は食品中の脂質成分として最も含有量が多く、ヒトの生体内では貯蔵脂質として皮下や腹腔などに貯えられ、必要に応じてエネルギー源(1gあたり9kcal)として利用される。
火曜日, 10月 18, 2011
注目アミノ酸
※グルタミン
人の腎臓組織でグルタミン酸とアンモニアから合成される。人体中に最も豊富に存在するアミノ酸だが、疾病・疲労・ストレスなど特殊な条件の下では必須アミノ酸となる。グルタミンは細胞核酸の原料として免疫細胞の増殖や機能発現に必須とされており、激しい運動などによって血中グルタミン濃度が減少すると免疫機能が低下し、風邪をひきやすくなるなどの障害が出る。グルタミンは小麦グルテンに多く含まれている。
※タウリン
含硫アミノ酸の一種で、物質名はアミノエチルスルホン酸。胆汁酸の成分であるタウロコール酸の材料として脂質の消化吸収に関与している。タウリンには血圧を正常値に保つ働きのほか、心臓強化、貧血の予防、血中コレステロールの減少、肝臓解毒作用の強化、不整脈・アルコール障害の改善作用などがある。食品ではサザエ、トコブシ、ホタテ貝、アサリ、マグロやサバの血合い、タコ、ズワイガニ、ヤリイカなどの魚介類に多量に含まれている。タウリンそのものは医薬品成分指定されている。
※アルギニン
成長ホルモンの合成に関与し、免疫力増強や脂質代謝の促進、筋力増強、男性の精子数の増加などに作用する。魚の白子などの核タンパクに質に多く含まれる。ヒトの体内で合成されるため必須アミノ酸ではないが、成長期の子供には必須とされている。
※アスパラギン
ヒトの体内ではアスパラギン酸とアンモニウムイオンが結合して合成される。名前の由来はアスパラガスから発見されたため。甜菜類、発芽した豆類、ジャガイモにも含まれる。
※グルタミン酸
ヒトの体内ではクエン酸回路の中でケトグルタル酸から合成され、オルニチンオルニチンやアルギニン、プロリンなどのアミノ酸に変わることができる。グルタミン酸は脳組織に多量に存在し、脳活性のエネルギー源となっている。欠乏すると脳障害を起こしたり鬱状態になったりするが、過剰摂取も脳細胞を傷つけて精神障害が現われる。グルタミン酸は海藻や小麦粉、サトウキビなどに多く含まれる。グルタミン酸ナトリウムは昆布の旨味成分として分離され、化学調味料として使われている。
※チロシン
体内ではフェニルアラニンから合成される。甲状腺ホルモンのチロキシン、副腎から分泌されるアドレナリン、神経伝達のドーパミン、毛髪や皮膚の黒色色素メラニンなどの前駆物質となる。チロシンが欠乏すると子供では知能障害、成人では無気力症などが引き起こされる。
※シスチン
含硫アミノ酸で、毛髪や爪を形成するケラチン(硬タンパク質)に多く含まれている。体内ではメチオニンから合成される。食品では豚肉や牛肉、筋子などに多く含まれる。
人の腎臓組織でグルタミン酸とアンモニアから合成される。人体中に最も豊富に存在するアミノ酸だが、疾病・疲労・ストレスなど特殊な条件の下では必須アミノ酸となる。グルタミンは細胞核酸の原料として免疫細胞の増殖や機能発現に必須とされており、激しい運動などによって血中グルタミン濃度が減少すると免疫機能が低下し、風邪をひきやすくなるなどの障害が出る。グルタミンは小麦グルテンに多く含まれている。
※タウリン
含硫アミノ酸の一種で、物質名はアミノエチルスルホン酸。胆汁酸の成分であるタウロコール酸の材料として脂質の消化吸収に関与している。タウリンには血圧を正常値に保つ働きのほか、心臓強化、貧血の予防、血中コレステロールの減少、肝臓解毒作用の強化、不整脈・アルコール障害の改善作用などがある。食品ではサザエ、トコブシ、ホタテ貝、アサリ、マグロやサバの血合い、タコ、ズワイガニ、ヤリイカなどの魚介類に多量に含まれている。タウリンそのものは医薬品成分指定されている。
※アルギニン
成長ホルモンの合成に関与し、免疫力増強や脂質代謝の促進、筋力増強、男性の精子数の増加などに作用する。魚の白子などの核タンパクに質に多く含まれる。ヒトの体内で合成されるため必須アミノ酸ではないが、成長期の子供には必須とされている。
※アスパラギン
ヒトの体内ではアスパラギン酸とアンモニウムイオンが結合して合成される。名前の由来はアスパラガスから発見されたため。甜菜類、発芽した豆類、ジャガイモにも含まれる。
※グルタミン酸
ヒトの体内ではクエン酸回路の中でケトグルタル酸から合成され、オルニチンオルニチンやアルギニン、プロリンなどのアミノ酸に変わることができる。グルタミン酸は脳組織に多量に存在し、脳活性のエネルギー源となっている。欠乏すると脳障害を起こしたり鬱状態になったりするが、過剰摂取も脳細胞を傷つけて精神障害が現われる。グルタミン酸は海藻や小麦粉、サトウキビなどに多く含まれる。グルタミン酸ナトリウムは昆布の旨味成分として分離され、化学調味料として使われている。
※チロシン
体内ではフェニルアラニンから合成される。甲状腺ホルモンのチロキシン、副腎から分泌されるアドレナリン、神経伝達のドーパミン、毛髪や皮膚の黒色色素メラニンなどの前駆物質となる。チロシンが欠乏すると子供では知能障害、成人では無気力症などが引き起こされる。
※シスチン
含硫アミノ酸で、毛髪や爪を形成するケラチン(硬タンパク質)に多く含まれている。体内ではメチオニンから合成される。食品では豚肉や牛肉、筋子などに多く含まれる。
月曜日, 10月 17, 2011
必須アミノ酸
○必須アミノ酸
不可欠アミノ酸ともいう。タンパク質を構成するアミノ酸は20種類あるが、その内のロイシン、イソロイシン、リジン、フェニルアラニン、メチオニン、スレオニン、バリン、トリプトファン、ヒスチジンの9種類が必須アミノ酸である。
※ロイシン
アミノ酸評点パタンでは440mg/gNと必須アミノ酸の中で最大量だが、多くの食品に含まれているので普通の食生活をしている限り不足することはない。ロイシンには肝機能を高める作用があるが、過剰に摂取すると他のアミノ酸とのバランスを崩し、免疫力を低下させる。牛肉、レバー、ハム、牛乳などに多く含まれる。
※イソロイシン
成長促進、血管の拡張、肝機能亢進、筋力増強、神経機能を高める作用がある。鶏肉や豚肉、チーズなどに多く含まれる。
※リジン
糖質の代謝、カルシウムの吸収に関与し、食欲増進、成長促進、肝機能亢進、疲労回復作用がある。鶏・豚・牛肉やイワシなどに多い。植物性タンパク質は含有量が少ない。
※フェニルアラニン
摂取されると体内で分解されてチロシンになり、神経伝達ホルモンのドーパミンなどが生成される。鎮痛・抗鬱作用がある。大豆やカツオ節、脱脂粉乳などに多く含まれる。
※メチオニン
硫黄を含んでおり、体内で含硫アミノ酸のシスチンやシステインを生成する。血中のヒスタミン濃度を下げる作用があるほか、鬱症状の改善作用も知られている。牛乳、羊肉、カツオ節、枝豆、干し湯葉などに多く含まれる。
※スレオニン
成長促進、脂肪肝の抑制、貧血予防、食品亢進作用がある。卵や大豆、干し湯葉などに多く含まれる。
※バリン
成長促進、血液の窒素成分の調整、筋肉や肝機能の強化作用がある。多くの食品に含まれているので、普通の食生活をしている限り不足することはない。
※トリプトファン
ヒトの体内ではニコチン酸(ナイアシン)の合成に使われる。そのため欠乏するとペラグラ(皮膚炎や神経障害など)を発症する。また脳内で鎮痛・精神安定に作用するセロトニン、若返りホルモンといわれるメラトニン、鬱病などへの効果が期待されるノルアドレナリンなどの神経伝達物質を作る。トリプトファンは植物性タンパク質には少なく、カツオ節や脱脂粉乳などに多く含まれる。
※ヒスチジン
成長促進に深く関わっており、子供の成長に不可欠のアミノ酸。神経機能を高める働きもある。カジキマグロ、カツオ、ホンマグロなどに多く含まれる。なお、タンパク質の腐敗によりヒスチジンからヒスタミンが生じるため、それを食べると多量のヒスタミンが存在することになり、各種アレルギーを引き起こす。
不可欠アミノ酸ともいう。タンパク質を構成するアミノ酸は20種類あるが、その内のロイシン、イソロイシン、リジン、フェニルアラニン、メチオニン、スレオニン、バリン、トリプトファン、ヒスチジンの9種類が必須アミノ酸である。
※ロイシン
アミノ酸評点パタンでは440mg/gNと必須アミノ酸の中で最大量だが、多くの食品に含まれているので普通の食生活をしている限り不足することはない。ロイシンには肝機能を高める作用があるが、過剰に摂取すると他のアミノ酸とのバランスを崩し、免疫力を低下させる。牛肉、レバー、ハム、牛乳などに多く含まれる。
※イソロイシン
成長促進、血管の拡張、肝機能亢進、筋力増強、神経機能を高める作用がある。鶏肉や豚肉、チーズなどに多く含まれる。
※リジン
糖質の代謝、カルシウムの吸収に関与し、食欲増進、成長促進、肝機能亢進、疲労回復作用がある。鶏・豚・牛肉やイワシなどに多い。植物性タンパク質は含有量が少ない。
※フェニルアラニン
摂取されると体内で分解されてチロシンになり、神経伝達ホルモンのドーパミンなどが生成される。鎮痛・抗鬱作用がある。大豆やカツオ節、脱脂粉乳などに多く含まれる。
※メチオニン
硫黄を含んでおり、体内で含硫アミノ酸のシスチンやシステインを生成する。血中のヒスタミン濃度を下げる作用があるほか、鬱症状の改善作用も知られている。牛乳、羊肉、カツオ節、枝豆、干し湯葉などに多く含まれる。
※スレオニン
成長促進、脂肪肝の抑制、貧血予防、食品亢進作用がある。卵や大豆、干し湯葉などに多く含まれる。
※バリン
成長促進、血液の窒素成分の調整、筋肉や肝機能の強化作用がある。多くの食品に含まれているので、普通の食生活をしている限り不足することはない。
※トリプトファン
ヒトの体内ではニコチン酸(ナイアシン)の合成に使われる。そのため欠乏するとペラグラ(皮膚炎や神経障害など)を発症する。また脳内で鎮痛・精神安定に作用するセロトニン、若返りホルモンといわれるメラトニン、鬱病などへの効果が期待されるノルアドレナリンなどの神経伝達物質を作る。トリプトファンは植物性タンパク質には少なく、カツオ節や脱脂粉乳などに多く含まれる。
※ヒスチジン
成長促進に深く関わっており、子供の成長に不可欠のアミノ酸。神経機能を高める働きもある。カジキマグロ、カツオ、ホンマグロなどに多く含まれる。なお、タンパク質の腐敗によりヒスチジンからヒスタミンが生じるため、それを食べると多量のヒスタミンが存在することになり、各種アレルギーを引き起こす。
土曜日, 10月 15, 2011
卵類
※ヨード卵
ヨード卵は海藻やヨードなどの餌を食べて育った鶏が産んだ卵で、100g中に1.3mgのヨウ素を含んでいる。ヨード卵の作用・効用はラットを使った実験によっていくつか確認されている。
一つは肝臓のグリコーゲン貯蔵量を高める作用である。これによってスタミナがつき、疲れにくくなる。これは中性脂肪やコレステロールを分解する働きのあるリポタンパクリパーゼという酵素を活性化するためで、エネルギー源であるグリコーゲンを肝臓や筋肉に貯える代わりに、脂肪代謝を促進してエネルギー化するためである。リポタンパクリパーゼは体の毛細血管壁に分布している酵素で、血管を流れる中性脂肪(リポタンパク)を脂肪酸とグリセリンに分解し、エネルギーに変える働きを持っている。このため、リポタンパクリパーゼの活性が高まれば、余分な中性脂肪の分解を促進して血液中の脂質を自然に減少させることができる。
ヨード卵には動脈硬化や高血圧の予防に役立つというデータもある。動物実験によると、餌がヨード卵粉、普通卵粉の2グループに分け、1日2回の食事前と休息期の計3回の測定で、血中の脂質(中性脂肪)、コレステロール、リン脂質はどれもヨード卵を食べているネズミのほうが低い数値が出た。これはヨード卵を食べることによって脂肪の代謝がより活発に行われ、肝臓から放出する脂質の量が低下するためとされている。血液中の中性脂肪やコレステロールの濃度を調整する最も重要な機構は肝臓での脂質の合成と、それに引き続いて起こる血液への脂質の放出度にある。固の放出度はヨード卵を食べたほうが低いことがわかった。このように、ヨード卵は中性脂肪の代謝を促進し、その血中濃度を低く抑制する生理作用が実証されている。
※ビタミン強化卵
1日に必要なビタミンEやDを含む卵で、厚生労働省の栄養機能表示(保健機能食品制度)をパッケージに施している。大手の鶏卵生産会社が開発したもので、一つはビタミンEを100gあたり10mg含み、卵2個で1日あたりの必要量を摂取できることから「ビタミンEは細胞の健康維持を助ける栄養素です」と機能表示している。もう一つは1日に必要なビタミンDを1個で90%摂取可能な卵で「ビタミンDは骨の形成を助ける栄養素です」と表示している。
※β-カロテン強化卵
千葉県畜産センター養鶏試験場が開発した卵で、β-カロテンが通常の卵より15倍多く含まれている。鶏に与える餌に牧草を混ぜ合わせることで、草に含まれるβ-カロテンが卵に豊富に含まれるようにした。通常飼料にイタリアンライグラスという牧草を1日1羽あたり約40g与えると、この鶏が産む卵黄100g中のβ-カロテン量は約200ugになる。β-カロテンは体内の活性酸素や脂質酸化を抑制して細胞の老化を防ぐ作用がある機能物質で、ビタミンAの前駆体として知られている。
※うずら卵
蕎麦やとろろに落としたり、茹でて中華料理の具材などに使われるウズラ(鶉)の卵は、大きさは鶏卵の4分の1程度だか、栄養成分には鶏卵を上回るものがある。タンパク質の含有量やアミノ酸組成はほぼ同じだが、鉄は3.1mg(生全卵100g中)で鶏卵の1.8mgの2倍近く含んでいる。また、ビタミンA(レチノールが350ug、ビタミンB2が0.72mgと鶏卵の140ug、0.43mgをそれぞれ上回っている。コレステロール量は同等(全卵で470mg)である。
ヨード卵は海藻やヨードなどの餌を食べて育った鶏が産んだ卵で、100g中に1.3mgのヨウ素を含んでいる。ヨード卵の作用・効用はラットを使った実験によっていくつか確認されている。
一つは肝臓のグリコーゲン貯蔵量を高める作用である。これによってスタミナがつき、疲れにくくなる。これは中性脂肪やコレステロールを分解する働きのあるリポタンパクリパーゼという酵素を活性化するためで、エネルギー源であるグリコーゲンを肝臓や筋肉に貯える代わりに、脂肪代謝を促進してエネルギー化するためである。リポタンパクリパーゼは体の毛細血管壁に分布している酵素で、血管を流れる中性脂肪(リポタンパク)を脂肪酸とグリセリンに分解し、エネルギーに変える働きを持っている。このため、リポタンパクリパーゼの活性が高まれば、余分な中性脂肪の分解を促進して血液中の脂質を自然に減少させることができる。
ヨード卵には動脈硬化や高血圧の予防に役立つというデータもある。動物実験によると、餌がヨード卵粉、普通卵粉の2グループに分け、1日2回の食事前と休息期の計3回の測定で、血中の脂質(中性脂肪)、コレステロール、リン脂質はどれもヨード卵を食べているネズミのほうが低い数値が出た。これはヨード卵を食べることによって脂肪の代謝がより活発に行われ、肝臓から放出する脂質の量が低下するためとされている。血液中の中性脂肪やコレステロールの濃度を調整する最も重要な機構は肝臓での脂質の合成と、それに引き続いて起こる血液への脂質の放出度にある。固の放出度はヨード卵を食べたほうが低いことがわかった。このように、ヨード卵は中性脂肪の代謝を促進し、その血中濃度を低く抑制する生理作用が実証されている。
※ビタミン強化卵
1日に必要なビタミンEやDを含む卵で、厚生労働省の栄養機能表示(保健機能食品制度)をパッケージに施している。大手の鶏卵生産会社が開発したもので、一つはビタミンEを100gあたり10mg含み、卵2個で1日あたりの必要量を摂取できることから「ビタミンEは細胞の健康維持を助ける栄養素です」と機能表示している。もう一つは1日に必要なビタミンDを1個で90%摂取可能な卵で「ビタミンDは骨の形成を助ける栄養素です」と表示している。
※β-カロテン強化卵
千葉県畜産センター養鶏試験場が開発した卵で、β-カロテンが通常の卵より15倍多く含まれている。鶏に与える餌に牧草を混ぜ合わせることで、草に含まれるβ-カロテンが卵に豊富に含まれるようにした。通常飼料にイタリアンライグラスという牧草を1日1羽あたり約40g与えると、この鶏が産む卵黄100g中のβ-カロテン量は約200ugになる。β-カロテンは体内の活性酸素や脂質酸化を抑制して細胞の老化を防ぐ作用がある機能物質で、ビタミンAの前駆体として知られている。
※うずら卵
蕎麦やとろろに落としたり、茹でて中華料理の具材などに使われるウズラ(鶉)の卵は、大きさは鶏卵の4分の1程度だか、栄養成分には鶏卵を上回るものがある。タンパク質の含有量やアミノ酸組成はほぼ同じだが、鉄は3.1mg(生全卵100g中)で鶏卵の1.8mgの2倍近く含んでいる。また、ビタミンA(レチノールが350ug、ビタミンB2が0.72mgと鶏卵の140ug、0.43mgをそれぞれ上回っている。コレステロール量は同等(全卵で470mg)である。
金曜日, 10月 14, 2011
鶏卵
○鶏卵
鶏卵は卵類の中で最も流通量が多く、廉価で栄養価的にも優れていることから、身近な滋養食品として幅広く利用されている。特徴的な栄養成分はタンパク質で、生卵100g中に12.3g含まれれている。アミノ酸スコアは100.消化率97%と高いことも特徴。微量成分では鉄が1.8mg(生100g中)、ビタミンB2が0.43mg(同)含まれている。鶏卵(特に黄身部分)はコレステロールの含有量も多い(全卵100g中に420mg)。そのため卵の摂り過ぎは動脈硬化などの血管障害に結びつくと指摘されてもきたが、最近の研究では卵に含まれるレシチン(リン脂質)にコレステロールを除去する働きもあり、コレステロールの含有量はさほど大きな問題にはならず、むしろ良質なタンパク源としての機能を評価すべきであるとする見解も多い。
市販されている鶏卵には、雄と交配した雌鳥が産んだ有精卵、放し飼いの鶏が産んだ地卵、ヨードを混ぜた飼料で育てた鶏のヨード卵、ビタミンDやEを強化したビタミン強化卵、β-カロテン強化卵などがある。
鶏卵は卵類の中で最も流通量が多く、廉価で栄養価的にも優れていることから、身近な滋養食品として幅広く利用されている。特徴的な栄養成分はタンパク質で、生卵100g中に12.3g含まれれている。アミノ酸スコアは100.消化率97%と高いことも特徴。微量成分では鉄が1.8mg(生100g中)、ビタミンB2が0.43mg(同)含まれている。鶏卵(特に黄身部分)はコレステロールの含有量も多い(全卵100g中に420mg)。そのため卵の摂り過ぎは動脈硬化などの血管障害に結びつくと指摘されてもきたが、最近の研究では卵に含まれるレシチン(リン脂質)にコレステロールを除去する働きもあり、コレステロールの含有量はさほど大きな問題にはならず、むしろ良質なタンパク源としての機能を評価すべきであるとする見解も多い。
市販されている鶏卵には、雄と交配した雌鳥が産んだ有精卵、放し飼いの鶏が産んだ地卵、ヨードを混ぜた飼料で育てた鶏のヨード卵、ビタミンDやEを強化したビタミン強化卵、β-カロテン強化卵などがある。
木曜日, 10月 13, 2011
キノコ類
○キノコ類
キノコは昔から世界各地で食され、その種類も膨大であるが、第1に特有の風味や香りを持つ嗜好食材として、第2にタンパク質や脂質、ビタミン、ミネラルなどの栄養素供給源として、第3に免疫力の向上、抗菌、体調リズムの調節、病気回復、老化抑制などの生理活性機能によって、改めて菌食の必要性を教えてくれる注目の健康食品素材であるといえよう。なからは食べるというよりも専ら漢方薬、民間薬として用いられるものも多く、その成分が抽出されて抗癌剤に用いられているものもある。キノコの成分を概観しておこう。
【一般成分】
キノコは全般に脂質が少なく、食用キノコの可食部の乾燥重量比で2~5%程度であるが、タンパク質が多いもの(20~50%含有)、糖質が多いもの(50~80%含有)、両者が相半ばしているものなど、それぞれに特色がある。薬用キノコとされる一群には、例えばマイタケやヒメマツタケのように賞味されるものもあるが、特有の苦さや固さなどのために専ら薬用に供されるものも多く、それらの一般成分は食用に順ずる。
【無機成分】
キノコは全体としてみるとミネラルの種類が多く、霊芝のゲルマニウム、シイタケの亜鉛やマンガンのように、それぞれ特定の元素を凝縮する性質が認められており、キノコの種類によって含有量の差は数千倍に達するが、カルシウム、カリウム、リン、鉄、銅、マンガン、亜鉛、ゲルマニウムなどいずれかのミネラルがとりわけ多いという特徴がある。食用キノコのビタミン類はシイタケのビタミンD(エルゴステロール)が著名であるが、ほかにビタミンB1はエノキダケ、ハツタケ、マッシュルーム、マイタケに多い。またB2はハツタケ、ホンシメジ、マッシュルーム、マツタケなどに多く含まれる。ナイアシンの含有はどの種類にも比較的多く、ヒラタケ、ホンシメジ、マイタケ、ナメコなどに特に顕著である。
【生理活性と薬効成分】
日常生活において一般的な栄養摂取量として満ち足りていながら、生活習慣病の多発と若年化、ガンの増大、アレルギー性疾患の多様化など多くの問題を抱える中でキノコの薬効成分が研究され、例えばシイタケやアガリクスを筆頭としてその主要成分である多糖類(β-グルカン)を持つ抗腫瘍活性(抗がん性)以外にも、イルーディン(テルペノイド化合物)、エリタデニン(核酸誘導体)、ウデノン(酵素阻害物質)など各種の薬効成分かせ発見されて、①抗菌・抗ウイルス作用、②強心作用、③血糖降下作用、④コレステロール低下作用、⑤抗血栓作用、⑥血圧降下作用を示すことなどが立証されている。これらの効能はキノコを直接食べることでも得られるが、漢方や民間療法では煎じる汁を服用することがよく行われる。
【抗腫瘍活性】
既にキノコからの3種類の抗癌剤が開発され、医薬品として供給されている。発売の順に記すと、まずクレスチン(PS-K)であるが、これはサルノコシカケ科のカワラタケの一系統の培養菌糸体から製造され、1977年に肺ガン、消化器ガン、乳ガンの治療薬として市販されれた。ついで85年には、シイタケの子実体から製剤されたレンチナンが胃ガンの注射薬として開発され、翌86年にはスエヒロタケから得られたシゾフィランが子宮頸がんなどを適応とする注射薬として登場している。
これらの中心成分はいずれも構造的特徴を持つβ-グルカンであり、これが制ガンを目的に漢方的、民間薬的に用いられている多くのキノコ、例えばヒメマツタケ、霊芝、マイタケ、チョレイ、フクロタケ、チャーガなどに共通する成分であることは興味深いことである。キノコの成分で制ガン製を期待されるものとしては、ほかにエルゴステロール、ピログルタミン酸、糖タンパク質、核酸、ステロイド剤、テルペノイド類、ゲルマニウムなども数えられる。これらのみせる効果はガン細胞を直接攻撃するのではなく、生体に本来備わっている免疫力を高める結果であると考えられている。
キノコは昔から世界各地で食され、その種類も膨大であるが、第1に特有の風味や香りを持つ嗜好食材として、第2にタンパク質や脂質、ビタミン、ミネラルなどの栄養素供給源として、第3に免疫力の向上、抗菌、体調リズムの調節、病気回復、老化抑制などの生理活性機能によって、改めて菌食の必要性を教えてくれる注目の健康食品素材であるといえよう。なからは食べるというよりも専ら漢方薬、民間薬として用いられるものも多く、その成分が抽出されて抗癌剤に用いられているものもある。キノコの成分を概観しておこう。
【一般成分】
キノコは全般に脂質が少なく、食用キノコの可食部の乾燥重量比で2~5%程度であるが、タンパク質が多いもの(20~50%含有)、糖質が多いもの(50~80%含有)、両者が相半ばしているものなど、それぞれに特色がある。薬用キノコとされる一群には、例えばマイタケやヒメマツタケのように賞味されるものもあるが、特有の苦さや固さなどのために専ら薬用に供されるものも多く、それらの一般成分は食用に順ずる。
【無機成分】
キノコは全体としてみるとミネラルの種類が多く、霊芝のゲルマニウム、シイタケの亜鉛やマンガンのように、それぞれ特定の元素を凝縮する性質が認められており、キノコの種類によって含有量の差は数千倍に達するが、カルシウム、カリウム、リン、鉄、銅、マンガン、亜鉛、ゲルマニウムなどいずれかのミネラルがとりわけ多いという特徴がある。食用キノコのビタミン類はシイタケのビタミンD(エルゴステロール)が著名であるが、ほかにビタミンB1はエノキダケ、ハツタケ、マッシュルーム、マイタケに多い。またB2はハツタケ、ホンシメジ、マッシュルーム、マツタケなどに多く含まれる。ナイアシンの含有はどの種類にも比較的多く、ヒラタケ、ホンシメジ、マイタケ、ナメコなどに特に顕著である。
【生理活性と薬効成分】
日常生活において一般的な栄養摂取量として満ち足りていながら、生活習慣病の多発と若年化、ガンの増大、アレルギー性疾患の多様化など多くの問題を抱える中でキノコの薬効成分が研究され、例えばシイタケやアガリクスを筆頭としてその主要成分である多糖類(β-グルカン)を持つ抗腫瘍活性(抗がん性)以外にも、イルーディン(テルペノイド化合物)、エリタデニン(核酸誘導体)、ウデノン(酵素阻害物質)など各種の薬効成分かせ発見されて、①抗菌・抗ウイルス作用、②強心作用、③血糖降下作用、④コレステロール低下作用、⑤抗血栓作用、⑥血圧降下作用を示すことなどが立証されている。これらの効能はキノコを直接食べることでも得られるが、漢方や民間療法では煎じる汁を服用することがよく行われる。
【抗腫瘍活性】
既にキノコからの3種類の抗癌剤が開発され、医薬品として供給されている。発売の順に記すと、まずクレスチン(PS-K)であるが、これはサルノコシカケ科のカワラタケの一系統の培養菌糸体から製造され、1977年に肺ガン、消化器ガン、乳ガンの治療薬として市販されれた。ついで85年には、シイタケの子実体から製剤されたレンチナンが胃ガンの注射薬として開発され、翌86年にはスエヒロタケから得られたシゾフィランが子宮頸がんなどを適応とする注射薬として登場している。
これらの中心成分はいずれも構造的特徴を持つβ-グルカンであり、これが制ガンを目的に漢方的、民間薬的に用いられている多くのキノコ、例えばヒメマツタケ、霊芝、マイタケ、チョレイ、フクロタケ、チャーガなどに共通する成分であることは興味深いことである。キノコの成分で制ガン製を期待されるものとしては、ほかにエルゴステロール、ピログルタミン酸、糖タンパク質、核酸、ステロイド剤、テルペノイド類、ゲルマニウムなども数えられる。これらのみせる効果はガン細胞を直接攻撃するのではなく、生体に本来備わっている免疫力を高める結果であると考えられている。
水曜日, 10月 12, 2011
はちみつ
○はちみつ
ハチミツ(蜂蜜)は、ミツバチが採集した花蜜がミツバチの体内で酵素(α-グルコシダーゼ)によって変化したものである。花蜜それ自体にはショ糖(スクロース)が5~40%含まれ、これが花蜜の甘さを形成しているが、ミツバチの酵素はショ糖を分解してブドウ糖(グルコース)と果糖(フルクトース)の混合液に変える。この混合液を熟成させたものがハチミツである。
ハチミツの成分は水分20%、ブドウ糖40%、果糖40%である。甘さは花蜜に比べて格段に強い。その理由のひとつは、果糖はショ糖に比べて約1.5倍の甘味を持っていること、もう一つは水分が少なく、糖分が濃くなっていることによる。花蜜は水よりも比重が少し重い程度で、ミツバチが巣に持ってきた時点では約1.1倍に濃縮された状態にある。働き蜂は蜜房に自らの羽で風を送ることによって、これを1.33~1.5倍という高い濃度に濃縮する。同時に、グルコースオキシダーゼ(酵素)の作用でブドウ糖が低pHのグルコンさんに変わり、その時発生する過酸化水素などと共に殺菌作用のある理想的な保存状態が長期間にわたって保たれる。
ショ糖はヒトの体内で単糖にまで分解されなければ吸収されないが、単糖である果糖はそのまま吸収されてエネルギー源となる。このように消化・分解の過程を経ずにエネルギー源となるハチミツは疲労回復に有効で、貴重な即効的栄養源であるといえよう。糖分以外にはタンパク質、ミネラル、ビタミン類がバランスよく含まれ、酵素やアセチルコリン、抗生物質なども含有している。ハチミツの効用をまとめると以下のようになる。
①疲労回復に即効。ブドウ糖や果糖には栄養増進、強心・利心・利尿・解毒などの作用があり、糖類の中で最も早く吸収されるため、尿酸の分解作用とともに疲労回復に役立つ。②生活習慣病に有効。ハチミツ中のミネラルはコレステロールを除き、内臓の働きを活発にして高血圧・心臓病などに有効性を発揮する。さらに肥満防止、脳卒中・貧血・前立腺肥大の予防があり、不眠症・頭痛・神経痛などによい。また、ガンや潰瘍の進行を防ぐ効果も期待されている。③豊富なビタミンB群、パントテン酸の作用で老化防止、美容効果が高い。
ハチミツ(蜂蜜)は、ミツバチが採集した花蜜がミツバチの体内で酵素(α-グルコシダーゼ)によって変化したものである。花蜜それ自体にはショ糖(スクロース)が5~40%含まれ、これが花蜜の甘さを形成しているが、ミツバチの酵素はショ糖を分解してブドウ糖(グルコース)と果糖(フルクトース)の混合液に変える。この混合液を熟成させたものがハチミツである。
ハチミツの成分は水分20%、ブドウ糖40%、果糖40%である。甘さは花蜜に比べて格段に強い。その理由のひとつは、果糖はショ糖に比べて約1.5倍の甘味を持っていること、もう一つは水分が少なく、糖分が濃くなっていることによる。花蜜は水よりも比重が少し重い程度で、ミツバチが巣に持ってきた時点では約1.1倍に濃縮された状態にある。働き蜂は蜜房に自らの羽で風を送ることによって、これを1.33~1.5倍という高い濃度に濃縮する。同時に、グルコースオキシダーゼ(酵素)の作用でブドウ糖が低pHのグルコンさんに変わり、その時発生する過酸化水素などと共に殺菌作用のある理想的な保存状態が長期間にわたって保たれる。
ショ糖はヒトの体内で単糖にまで分解されなければ吸収されないが、単糖である果糖はそのまま吸収されてエネルギー源となる。このように消化・分解の過程を経ずにエネルギー源となるハチミツは疲労回復に有効で、貴重な即効的栄養源であるといえよう。糖分以外にはタンパク質、ミネラル、ビタミン類がバランスよく含まれ、酵素やアセチルコリン、抗生物質なども含有している。ハチミツの効用をまとめると以下のようになる。
①疲労回復に即効。ブドウ糖や果糖には栄養増進、強心・利心・利尿・解毒などの作用があり、糖類の中で最も早く吸収されるため、尿酸の分解作用とともに疲労回復に役立つ。②生活習慣病に有効。ハチミツ中のミネラルはコレステロールを除き、内臓の働きを活発にして高血圧・心臓病などに有効性を発揮する。さらに肥満防止、脳卒中・貧血・前立腺肥大の予防があり、不眠症・頭痛・神経痛などによい。また、ガンや潰瘍の進行を防ぐ効果も期待されている。③豊富なビタミンB群、パントテン酸の作用で老化防止、美容効果が高い。
火曜日, 10月 11, 2011
サポニン
○サポニン
サポニン(saponin)は大豆や人参、ジャガイモの皮などに含まれるえぐみや苦味の成分で、配糖体の一種である。水溶液が石鹸のように泡立つ性質があることから、石鹸を意味するサポに由来してこう呼ばれる。サポニンは水と油の両方に溶ける性質を持っており、血管について脂肪を除去する働きや、血中コレステロールの低下、過酸化脂質の除去などに有効であることが認められている。
※大豆サポニン
大豆の肺軸に含まれるサポニンで、大豆の苦味や渋味、えぐみの成分。生の大豆に約0.3%含まれている。大豆サポニンは脂質の過酸化抑制と代謝促進に関係しており、高脂血症、動脈硬化症などの改善に効果があるとされる。大豆サポニンを利用した健康食品については、(財)日本健康栄養食品協会による「大豆サポニン加工食品規格基準」(1991年8月公示、93年一部改正)がある。
※ジンセノサイド
人参に含まれるサポニンの総称で、人参サポニンともいう。1854年に米国のガリッケスが人参の薬効成分としてパナキロンと名づけたサポニンを分析したことに始まり、これまでに30種類以上のジンセノサイドが発見されている。
高麗人参には鎮静作用と興奮作用を併せ持つジンセノサイドが含まれており、大脳を沈静させる作用がある反面、体の細胞や臓器の働きを活発にして体調を整える作用がある。また、アメリカ人参には中枢神経の興奮を抑制し、緊張性のストレスを緩和するジンセノサイドRb群が多く含まれるため、高覧人参に比べて頭をスッキリさせ、集中力をつける作用が強いといわれる。
サポニン(saponin)は大豆や人参、ジャガイモの皮などに含まれるえぐみや苦味の成分で、配糖体の一種である。水溶液が石鹸のように泡立つ性質があることから、石鹸を意味するサポに由来してこう呼ばれる。サポニンは水と油の両方に溶ける性質を持っており、血管について脂肪を除去する働きや、血中コレステロールの低下、過酸化脂質の除去などに有効であることが認められている。
※大豆サポニン
大豆の肺軸に含まれるサポニンで、大豆の苦味や渋味、えぐみの成分。生の大豆に約0.3%含まれている。大豆サポニンは脂質の過酸化抑制と代謝促進に関係しており、高脂血症、動脈硬化症などの改善に効果があるとされる。大豆サポニンを利用した健康食品については、(財)日本健康栄養食品協会による「大豆サポニン加工食品規格基準」(1991年8月公示、93年一部改正)がある。
※ジンセノサイド
人参に含まれるサポニンの総称で、人参サポニンともいう。1854年に米国のガリッケスが人参の薬効成分としてパナキロンと名づけたサポニンを分析したことに始まり、これまでに30種類以上のジンセノサイドが発見されている。
高麗人参には鎮静作用と興奮作用を併せ持つジンセノサイドが含まれており、大脳を沈静させる作用がある反面、体の細胞や臓器の働きを活発にして体調を整える作用がある。また、アメリカ人参には中枢神経の興奮を抑制し、緊張性のストレスを緩和するジンセノサイドRb群が多く含まれるため、高覧人参に比べて頭をスッキリさせ、集中力をつける作用が強いといわれる。
土曜日, 10月 08, 2011
注目ファイトケミカル
○フェルラ酸
フェニルプロペン化物の一種で、植物の細胞壁を形成するリグニンの前駆体として特に米ぬかに多く含まれる。ラジカル消去と活性酸素消去という2つの作用が知られ、食品や化粧品分野での活用、また医薬品原料としても注目されている。1995年に「化学的合成以外の食品添加物」として、20001年には紫外線カットの化粧品原料として認可され、さらに04年6月には食薬区分の改正で非医薬品成分に移行した。
○γ-オリザノール
米胚芽油や米糠から分離された機能成分で、トリテルペンアルコールのフェルラ酸エステル。米油には1.5~2.9%含有。生長促進・間脳機能調節・抗酸化作用が認められている。物質としてのγ-オリザノールは食薬区分で医薬品成分に指定されている。
○オクタコサノール
長い炭素鎖を持ったアルコールの一種(オクタコシルアルコール)で、小麦胚芽やアルファルファ、リンゴの皮などに含まれている微量成分。オクタコサノールは運動時におけるスタミナや持久力の向上、酸素利用効率を高めることに有効であることが、米イリノイ大学のトーマス・クレトンによって明らかにされている。筋肉神経性の障害にも有効で、筋萎縮症などの治療にも使われている。
○カプサイシン
唐辛子の果皮に含まれる辛味成分。体内のエネルギー消費を促進させる働きがあり、結果的に肥満を防止するという効果がある。体内に入ったカプサイシンは中枢神経を介して交感神経を刺激し、副腎皮質からアドレナリンやノルアドレナリンなどの分泌を促すため、エネルギー代謝が盛んになって肝臓や筋肉内のグリコーゲンの分解が促進される。
○イソシオシアナート
キャベツやカリフラワーなどアブラナ科の野菜に含まれるイソシオシアン酸の一種で、ガンの原因となるDNA損傷を抑える作用がある。また、ブロッコリーに含まれる同類のサルフォラフェインには発ガン物質の影響を抑える作用のあることが知られている。
○ミントポリフェノール
ペパーミントの葉からミントオイルを除去した抽出物に含まれる成分。花粉症の症状を緩和することが、2003年に岡山大学薬学部のヒト試験で確認されている。
○レスベラトロール
ブドウ樹が真菌や紫外線から身を守るために産生する抗酸化物質のひとつで、灰色カビ病が発生したときに感染の拡大を防ぐ物質として単離されたポリフェノール。ヒトの体内で悪玉コレステロール(LDL)を減らし、血管の炎症や血栓の形成を抑える働きがあるとされている。また、ガン細胞の成長に必要な新生血管の増殖に際して、腫瘍からの血管成長因子の放出を抑えるという報告もある。
○ゲニポシド酸
杜仲葉に配糖体として含まれる物質で、血圧を下げる作用がある。ゲニポシド酸が吸収されると副交感神経が刺激され、それにつながる抹消動脈の平滑筋を刺激して血管が拡張する。そのため血流の抵抗が減少し、血圧の上昇が抑制される。
○エラグ酸
ポリフェノールの一種で、植物に広く分布する黄色の色素成分。ゲンノショウコの茎や葉に多く存在する。エラグ酸には強力な抗酸化作用のあることが明らかにされており、老化防止やガン細胞の増殖抑制に関する研究が行われている。
○グリチルリチン
マメ科の甘草の根茎に含まれる甘味成分で、トリテルペン配糖体。胃液分泌を抑制する働き、消化器の潰瘍を治癒する働きのあることが早くから認められていたが、最近の研究では免疫抑制活性、肝機能増強作用、解毒作用、鎮静作用なども報告されている。グリチルリチン製剤は肝臓病の治療薬として用いられている。このほか、ショ糖の150倍という強い甘味があるため、味噌や醤油の甘味添加物としても使用されている。
フェニルプロペン化物の一種で、植物の細胞壁を形成するリグニンの前駆体として特に米ぬかに多く含まれる。ラジカル消去と活性酸素消去という2つの作用が知られ、食品や化粧品分野での活用、また医薬品原料としても注目されている。1995年に「化学的合成以外の食品添加物」として、20001年には紫外線カットの化粧品原料として認可され、さらに04年6月には食薬区分の改正で非医薬品成分に移行した。
○γ-オリザノール
米胚芽油や米糠から分離された機能成分で、トリテルペンアルコールのフェルラ酸エステル。米油には1.5~2.9%含有。生長促進・間脳機能調節・抗酸化作用が認められている。物質としてのγ-オリザノールは食薬区分で医薬品成分に指定されている。
○オクタコサノール
長い炭素鎖を持ったアルコールの一種(オクタコシルアルコール)で、小麦胚芽やアルファルファ、リンゴの皮などに含まれている微量成分。オクタコサノールは運動時におけるスタミナや持久力の向上、酸素利用効率を高めることに有効であることが、米イリノイ大学のトーマス・クレトンによって明らかにされている。筋肉神経性の障害にも有効で、筋萎縮症などの治療にも使われている。
○カプサイシン
唐辛子の果皮に含まれる辛味成分。体内のエネルギー消費を促進させる働きがあり、結果的に肥満を防止するという効果がある。体内に入ったカプサイシンは中枢神経を介して交感神経を刺激し、副腎皮質からアドレナリンやノルアドレナリンなどの分泌を促すため、エネルギー代謝が盛んになって肝臓や筋肉内のグリコーゲンの分解が促進される。
○イソシオシアナート
キャベツやカリフラワーなどアブラナ科の野菜に含まれるイソシオシアン酸の一種で、ガンの原因となるDNA損傷を抑える作用がある。また、ブロッコリーに含まれる同類のサルフォラフェインには発ガン物質の影響を抑える作用のあることが知られている。
○ミントポリフェノール
ペパーミントの葉からミントオイルを除去した抽出物に含まれる成分。花粉症の症状を緩和することが、2003年に岡山大学薬学部のヒト試験で確認されている。
○レスベラトロール
ブドウ樹が真菌や紫外線から身を守るために産生する抗酸化物質のひとつで、灰色カビ病が発生したときに感染の拡大を防ぐ物質として単離されたポリフェノール。ヒトの体内で悪玉コレステロール(LDL)を減らし、血管の炎症や血栓の形成を抑える働きがあるとされている。また、ガン細胞の成長に必要な新生血管の増殖に際して、腫瘍からの血管成長因子の放出を抑えるという報告もある。
○ゲニポシド酸
杜仲葉に配糖体として含まれる物質で、血圧を下げる作用がある。ゲニポシド酸が吸収されると副交感神経が刺激され、それにつながる抹消動脈の平滑筋を刺激して血管が拡張する。そのため血流の抵抗が減少し、血圧の上昇が抑制される。
○エラグ酸
ポリフェノールの一種で、植物に広く分布する黄色の色素成分。ゲンノショウコの茎や葉に多く存在する。エラグ酸には強力な抗酸化作用のあることが明らかにされており、老化防止やガン細胞の増殖抑制に関する研究が行われている。
○グリチルリチン
マメ科の甘草の根茎に含まれる甘味成分で、トリテルペン配糖体。胃液分泌を抑制する働き、消化器の潰瘍を治癒する働きのあることが早くから認められていたが、最近の研究では免疫抑制活性、肝機能増強作用、解毒作用、鎮静作用なども報告されている。グリチルリチン製剤は肝臓病の治療薬として用いられている。このほか、ショ糖の150倍という強い甘味があるため、味噌や醤油の甘味添加物としても使用されている。
金曜日, 10月 07, 2011
硫化硫黄物
○硫化硫黄物
ニンニクやタマネギなどユリ科の植物が持つ独特の臭気は硫黄化合物によるものである。硫黄化合物には抗酸化作用があり、老化やガンの予防に有効であることが知られている。また血液の粘度を低める作用もある。
※アリシン
ニンニクの臭気成分で、前駆物質のアリインが酵素のアリイナーゼで加水分解されて生じる。アリインとアリイナーゼは細胞中では別の場所に存在して反応することはないが、ニンニクを切ると細胞が破壊され、両者が接触して反応が始まりアリシンが生成される。アリシンはヒトの消化管の中でビタミンB1と反応してアリチアミンという物質に変わる。アリチアミンの血中濃度は長時間維持されるため、ビタミンB1の働きが通常より長く持続するという効果がある。
※ジアリルジスルフィド
硫化アリルの一種で、ニンニクの臭気成分アリシンが変化したもの。血液の凝固を抑制して、血栓ができるのを防ぐ作用がある。
※硫化プロピル
生タマネギに含まれている辛味成分で、血糖値を下げる作用がある。また、タマネギを刻むと細胞が破壊されて酵素が働き、トリスルフィドという物質に変化する。トリスルフィドは中性脂肪や総コレステロール値を下げ、血栓を予防する働きがある。
ニンニクやタマネギなどユリ科の植物が持つ独特の臭気は硫黄化合物によるものである。硫黄化合物には抗酸化作用があり、老化やガンの予防に有効であることが知られている。また血液の粘度を低める作用もある。
※アリシン
ニンニクの臭気成分で、前駆物質のアリインが酵素のアリイナーゼで加水分解されて生じる。アリインとアリイナーゼは細胞中では別の場所に存在して反応することはないが、ニンニクを切ると細胞が破壊され、両者が接触して反応が始まりアリシンが生成される。アリシンはヒトの消化管の中でビタミンB1と反応してアリチアミンという物質に変わる。アリチアミンの血中濃度は長時間維持されるため、ビタミンB1の働きが通常より長く持続するという効果がある。
※ジアリルジスルフィド
硫化アリルの一種で、ニンニクの臭気成分アリシンが変化したもの。血液の凝固を抑制して、血栓ができるのを防ぐ作用がある。
※硫化プロピル
生タマネギに含まれている辛味成分で、血糖値を下げる作用がある。また、タマネギを刻むと細胞が破壊されて酵素が働き、トリスルフィドという物質に変化する。トリスルフィドは中性脂肪や総コレステロール値を下げ、血栓を予防する働きがある。
木曜日, 10月 06, 2011
テルペノイド
○テルペノイド
テルペノイドは柑橘類や香辛野菜などの香りや苦味、辛味成分の成分で、テルペン、イソプレノイドともいう。体内で発ガン物質を無毒化する機能を強化したり、発ガン遺伝子の働きを弱める作用があるとされている。
※リモノイド
柑橘類の香りや苦味成分の総称で、ミカンの皮に含まれる香り成分のリモネン、グレープフルーツの苦味成分であるリモニンなどがある。いずれも発ガン物質を解毒する作用があるといわれている。
※ショウガオール
日本産生姜の根に含まれる辛味成分で、抗菌・殺菌・解熱・鎮痛作用がある。また、ヒスタミンを抑制する抗アレルギー効果も認められている。
※ジンゲロン
生姜の根に含まれる辛味成分で、強力な殺菌作用(チフス菌やコレラ菌)のほか、抗酸化作用も認められている。
※ギンコライド
イチョウ葉から分離・同定された成分で、テルペノイド一種。これまでの研究で、①血小板凝集作用や血栓の生成阻害作用、②大脳虚血の拮抗阻害作用、③心臓アナフィラキシーに対する拮抗作用、④炎症やアレルギーの阻害作用、⑤角膜再生の活性化作用、⑥中枢神経の覚醒作用、などが明らかにされている。
テルペノイドは柑橘類や香辛野菜などの香りや苦味、辛味成分の成分で、テルペン、イソプレノイドともいう。体内で発ガン物質を無毒化する機能を強化したり、発ガン遺伝子の働きを弱める作用があるとされている。
※リモノイド
柑橘類の香りや苦味成分の総称で、ミカンの皮に含まれる香り成分のリモネン、グレープフルーツの苦味成分であるリモニンなどがある。いずれも発ガン物質を解毒する作用があるといわれている。
※ショウガオール
日本産生姜の根に含まれる辛味成分で、抗菌・殺菌・解熱・鎮痛作用がある。また、ヒスタミンを抑制する抗アレルギー効果も認められている。
※ジンゲロン
生姜の根に含まれる辛味成分で、強力な殺菌作用(チフス菌やコレラ菌)のほか、抗酸化作用も認められている。
※ギンコライド
イチョウ葉から分離・同定された成分で、テルペノイド一種。これまでの研究で、①血小板凝集作用や血栓の生成阻害作用、②大脳虚血の拮抗阻害作用、③心臓アナフィラキシーに対する拮抗作用、④炎症やアレルギーの阻害作用、⑤角膜再生の活性化作用、⑥中枢神経の覚醒作用、などが明らかにされている。
水曜日, 10月 05, 2011
タンニン
○タンニン
タンニンは植物の組織内に存在する渋味成分で、、ポリフェノール化合物である。茶葉の種類によって含有量は多少異なるが、分解するとフェノール類が得られる。タンパク質を凝固させる性質があることから皮革のなめしに使われる。タンニンは未熟な柿の果実などに多く含まれている。また緑茶のカテキン、紅茶のテアフラビンもタンニンの一種である。
※カテキン
水溶性のポリフェノール化合物で、茶葉に含まれている茶カテキンがよく知られている。茶葉の種類によって含有量は多少異なるが、へ平均すると乾燥葉重量の8~15%である。茶カテキンは抗酸化力が非常に強く、発ガン抑制、動脈硬化予防、脂肪代謝異常の改善、血圧上昇の抑制、血栓予防、抗糖尿病、抗アレルギー、抗ウイルス、抗菌、虫歯予防、口臭防止、腸内細菌叢正常化など多岐にわたる分野で研究経過が発表されている。食品分野では、花王が茶カテキンを関与成分にして体脂肪予防でトクホを取得したヘルシア緑茶がヒットし商品になった。
※エピガロカテキンガレート
茶カテキンの約半量を占めている。1999年にスウェーデンのカロリンスカ研究所がエピガロカテキンガレートがガン細胞の血管新生を阻害させることをインビトロ実験で明らかにし、英国の科学雑誌ネイチャーに掲載された。
※エピカテキンガレート
茶カテキンの一種で、化学製品から出る内分泌かく乱物質(環境ホルモン)の働きを阻害する作用がある。環境ホルモンは体内で性ホルモンの受容体と結びついて人体に有害な働きをすると考えられているが、エピカテキンガレートは女性ホルモン受容体と結合する性質があるため、内分泌かく乱の結合を邪魔し、結果的に環境ホルンの働きを防ぐことになる(宝酒造バイオ研究所、環境ホルモン学会で発表)。
※テアフラビン
タンニンの一種で、紅茶に含まれる赤色色素。葉中のカテキン類が発酵の過程で酸化されて生じる。テアフラビンの健康機能性についてはあまり研究が進んでいないが、抗酸化作用が期待される成分であることから、生活習慣病の改善に寄与すると考えられている。
タンニンは植物の組織内に存在する渋味成分で、、ポリフェノール化合物である。茶葉の種類によって含有量は多少異なるが、分解するとフェノール類が得られる。タンパク質を凝固させる性質があることから皮革のなめしに使われる。タンニンは未熟な柿の果実などに多く含まれている。また緑茶のカテキン、紅茶のテアフラビンもタンニンの一種である。
※カテキン
水溶性のポリフェノール化合物で、茶葉に含まれている茶カテキンがよく知られている。茶葉の種類によって含有量は多少異なるが、へ平均すると乾燥葉重量の8~15%である。茶カテキンは抗酸化力が非常に強く、発ガン抑制、動脈硬化予防、脂肪代謝異常の改善、血圧上昇の抑制、血栓予防、抗糖尿病、抗アレルギー、抗ウイルス、抗菌、虫歯予防、口臭防止、腸内細菌叢正常化など多岐にわたる分野で研究経過が発表されている。食品分野では、花王が茶カテキンを関与成分にして体脂肪予防でトクホを取得したヘルシア緑茶がヒットし商品になった。
※エピガロカテキンガレート
茶カテキンの約半量を占めている。1999年にスウェーデンのカロリンスカ研究所がエピガロカテキンガレートがガン細胞の血管新生を阻害させることをインビトロ実験で明らかにし、英国の科学雑誌ネイチャーに掲載された。
※エピカテキンガレート
茶カテキンの一種で、化学製品から出る内分泌かく乱物質(環境ホルモン)の働きを阻害する作用がある。環境ホルモンは体内で性ホルモンの受容体と結びついて人体に有害な働きをすると考えられているが、エピカテキンガレートは女性ホルモン受容体と結合する性質があるため、内分泌かく乱の結合を邪魔し、結果的に環境ホルンの働きを防ぐことになる(宝酒造バイオ研究所、環境ホルモン学会で発表)。
※テアフラビン
タンニンの一種で、紅茶に含まれる赤色色素。葉中のカテキン類が発酵の過程で酸化されて生じる。テアフラビンの健康機能性についてはあまり研究が進んでいないが、抗酸化作用が期待される成分であることから、生活習慣病の改善に寄与すると考えられている。
火曜日, 10月 04, 2011
フラボノイド
○フラボノイド
狭義のフラボノイド類には、構造の違いからフラボノール類(淡黄色)、フラボン類(淡黄色)、フラバノン類(無色)、フラバノノール類(無色)、イソフラボン類(無色)があり、その多くは糖と結合して配糖体として存在している。
※ケルセチン
フラボノイドの内、フラボノールに分類されるポリフェノール化合物。同類にケンフェロール、ミリセチンなどがある。タマネギやホウレンソウ、ケール、パセリなどに多く含まれ、LDLコレステロールの酸化を抑制することで、動脈硬化を防ぐ作用のあることが知られている。ケルセチンは通常、配糖体のルチンとして存在することが多い。
※ルチン
ケルセチンに糖のルチノース(グルコース+ラムノース)が結合したフラボノイド配糖体で、ビタミンCの研究過程で発見された抗酸化物質。ビタミンPとも呼ばれる。ソバ(蕎麦)やトマト、アスパラガスに多く含まれている。ルチンは毛細血管の透過性を保ち、血管がもろくなるのを防ぐ。また、血圧を下げる作用があるため、血管補強剤や毛細血管の止血剤として高血圧、脳出血、血圧以上など出血性の疾患に使われている。
※アピイン
フラボン形色素のアピゲニンに糖のアピオースとグルコースが結合したフラボノイド配糖体で、セロリやパセリの葉に含まれている。神経の鎮静作用がある。
※ヘスペリジン
フラバン系色素のヘスペレチンに糖のルチノースが結合したフラボノイド配糖体で、温州みかんなどの柑橘類に含まれている。ルチンと同じく、毛細血管の透過性を保ち、血管壁を丈夫にするほか、毛細血管の収縮作用や血圧効果作用がある。
※ナリンギン
フラバノン系色素のナリンゲニンに糖のラムノースが結合したフラボノイド配糖体で、グレープフルーツや夏みかんなどの柑橘類に含まれている。血中の中性脂肪を分解して肥満予防に有効であるとされるがナリンギンはカルシウム拮抗薬(高血圧の薬)や睡眠薬の一部に作用すると、薬効を強くして副作用を引き起こすことが知られており、グレープフルーツジュースなどとこれらの薬剤との併用は避けるべきである。
※ゲニスチン
イソフラボン系色素のゲニステインが糖と結合した配糖体で、大豆の胚軸に多く含まれている。大豆イソフラボンの一種。
狭義のフラボノイド類には、構造の違いからフラボノール類(淡黄色)、フラボン類(淡黄色)、フラバノン類(無色)、フラバノノール類(無色)、イソフラボン類(無色)があり、その多くは糖と結合して配糖体として存在している。
※ケルセチン
フラボノイドの内、フラボノールに分類されるポリフェノール化合物。同類にケンフェロール、ミリセチンなどがある。タマネギやホウレンソウ、ケール、パセリなどに多く含まれ、LDLコレステロールの酸化を抑制することで、動脈硬化を防ぐ作用のあることが知られている。ケルセチンは通常、配糖体のルチンとして存在することが多い。
※ルチン
ケルセチンに糖のルチノース(グルコース+ラムノース)が結合したフラボノイド配糖体で、ビタミンCの研究過程で発見された抗酸化物質。ビタミンPとも呼ばれる。ソバ(蕎麦)やトマト、アスパラガスに多く含まれている。ルチンは毛細血管の透過性を保ち、血管がもろくなるのを防ぐ。また、血圧を下げる作用があるため、血管補強剤や毛細血管の止血剤として高血圧、脳出血、血圧以上など出血性の疾患に使われている。
※アピイン
フラボン形色素のアピゲニンに糖のアピオースとグルコースが結合したフラボノイド配糖体で、セロリやパセリの葉に含まれている。神経の鎮静作用がある。
※ヘスペリジン
フラバン系色素のヘスペレチンに糖のルチノースが結合したフラボノイド配糖体で、温州みかんなどの柑橘類に含まれている。ルチンと同じく、毛細血管の透過性を保ち、血管壁を丈夫にするほか、毛細血管の収縮作用や血圧効果作用がある。
※ナリンギン
フラバノン系色素のナリンゲニンに糖のラムノースが結合したフラボノイド配糖体で、グレープフルーツや夏みかんなどの柑橘類に含まれている。血中の中性脂肪を分解して肥満予防に有効であるとされるがナリンギンはカルシウム拮抗薬(高血圧の薬)や睡眠薬の一部に作用すると、薬効を強くして副作用を引き起こすことが知られており、グレープフルーツジュースなどとこれらの薬剤との併用は避けるべきである。
※ゲニスチン
イソフラボン系色素のゲニステインが糖と結合した配糖体で、大豆の胚軸に多く含まれている。大豆イソフラボンの一種。
土曜日, 10月 01, 2011
アントシアン
○アントシアン
アントシアン(anthocyan)は、赤、紫、青色を呈するフラボノイド色素で、多くの植物にアントシアニジン配糖体として存在している。
※アントシアニジン
フラボノイド色素のアントシアニジンに糖が結合した配糖体。ブルーベリーやサツマイモの皮、黒豆などに青紫の色素成分として存在している。活性酸素の発生を抑制する抗酸化物質として知られているが、ロドプシン(網膜の色素体で、光の刺激を脳に伝える働きをする)の合成を促進して、目の疲労回復や近視予防の効果が認められていることからサプリメント素材として人気を呼んでいる。アントシアニンはまた、肝機能の改善にも有効に働くことが知られている。軽度の肝機能障害に対して、紫芋のジュースが有効に作用したという研究報告がある。
※プロアントシアニジン
フラボノイドの一種で、ポリフェノール化合物。強い抗酸化作用のあることが知られており、ワイン醸造時に種子も一緒に発酵させる赤ワインに多く含まれていることに着眼し、ブドウの種子から有効成分として分離された。プロアントシアニジンの抗酸化力を調べた研究(キッコーマン)では、緑茶に含まれるカテキンやトコフェロール(ビタミンE)に比して約5倍の相対抗酸化力を持つことを確認したという。この高いフリーラジカル消去作用は、老化・発ガン・生活習慣病・白内障などの誘引とされる活性酸素の発生と、それに伴う過酸化物質の蓄積や栄養成分の過酸化的分解を防ぐことから、栄養補助食品の素材のほか、加工食品(蓄肉・飲料・発酵食品・菓子類・乳製品・調味料など)の酸化防止剤、化粧品素材などに活用されている。
アントシアン(anthocyan)は、赤、紫、青色を呈するフラボノイド色素で、多くの植物にアントシアニジン配糖体として存在している。
※アントシアニジン
フラボノイド色素のアントシアニジンに糖が結合した配糖体。ブルーベリーやサツマイモの皮、黒豆などに青紫の色素成分として存在している。活性酸素の発生を抑制する抗酸化物質として知られているが、ロドプシン(網膜の色素体で、光の刺激を脳に伝える働きをする)の合成を促進して、目の疲労回復や近視予防の効果が認められていることからサプリメント素材として人気を呼んでいる。アントシアニンはまた、肝機能の改善にも有効に働くことが知られている。軽度の肝機能障害に対して、紫芋のジュースが有効に作用したという研究報告がある。
※プロアントシアニジン
フラボノイドの一種で、ポリフェノール化合物。強い抗酸化作用のあることが知られており、ワイン醸造時に種子も一緒に発酵させる赤ワインに多く含まれていることに着眼し、ブドウの種子から有効成分として分離された。プロアントシアニジンの抗酸化力を調べた研究(キッコーマン)では、緑茶に含まれるカテキンやトコフェロール(ビタミンE)に比して約5倍の相対抗酸化力を持つことを確認したという。この高いフリーラジカル消去作用は、老化・発ガン・生活習慣病・白内障などの誘引とされる活性酸素の発生と、それに伴う過酸化物質の蓄積や栄養成分の過酸化的分解を防ぐことから、栄養補助食品の素材のほか、加工食品(蓄肉・飲料・発酵食品・菓子類・乳製品・調味料など)の酸化防止剤、化粧品素材などに活用されている。
金曜日, 9月 30, 2011
フノラン
○フノラン
フノラン(funoran)は海藻の布海苔に多く含まれている粘質多糖類で、α-ガラクトースとβ-ガラクトースが交互に鎖状に結びついた構造をしている。
野田宏行(三重大学)は、高血圧や高脂血症、移植ガンへの効果をマウスを用いて実験し、フノランが血圧効果や動脈硬化指数の大幅な改善、血中ナトリウムの低減、エールリッヒ腹水ガンやザルコーマ180固形ガンなどに対し顕著な発育抑制と延命効果があったことを報告している。また、糖尿病に関しては長村洋一(藤田保健衛生大学)の高血糖マウスに対して布海苔顆粒を投与した実験があり、硫酸基を持つフラノンの分子構造が糖の取り込みを抑制すると推定している。
フノランは歯の再石灰化を増強するキシリトールの働きを促進させる作用もあり、トクホの「歯を丈夫にするガム」の関与成分としても使われている。
フノラン(funoran)は海藻の布海苔に多く含まれている粘質多糖類で、α-ガラクトースとβ-ガラクトースが交互に鎖状に結びついた構造をしている。
野田宏行(三重大学)は、高血圧や高脂血症、移植ガンへの効果をマウスを用いて実験し、フノランが血圧効果や動脈硬化指数の大幅な改善、血中ナトリウムの低減、エールリッヒ腹水ガンやザルコーマ180固形ガンなどに対し顕著な発育抑制と延命効果があったことを報告している。また、糖尿病に関しては長村洋一(藤田保健衛生大学)の高血糖マウスに対して布海苔顆粒を投与した実験があり、硫酸基を持つフラノンの分子構造が糖の取り込みを抑制すると推定している。
フノランは歯の再石灰化を増強するキシリトールの働きを促進させる作用もあり、トクホの「歯を丈夫にするガム」の関与成分としても使われている。
木曜日, 9月 29, 2011
光明石
○光明石
光明石は岡山県高梁市の阿部鉱山から産出する薄緑色の鉱石で、1956年に偶然発見された。同地はウラン産出地として名高い鳥取・岡山県境の人形峠に近いことから、ここでもウラン鉱脈があるのではないかとの予測のもと、発掘調査が実施された。その結果、ウランの埋蔵は確認されなかったが、調査の副産物のような形で発見されたのが、この石である。
発掘作業をした人々から腰痛が消えた、手がすべすべになった等の報告がなされたため、調査の案内をした現地の佐藤峰次が、岩石1トンあたり50kg程度含まれる薄緑の石が原因なのではないかと考えて成分分析を依頼したところ、次のような十余種にのぼるミネラル分が検出された。<含有・ミネラル分>塩化カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、ケイ酸など
これらのミネラル分については、マグネシウムとカルシウムに鎮静効果、炭酸に血管拡張・血液循環促進効果、塩化イオンに温熱効果、そして硫化イオンに皮ふを軟化させる効果が認められており、これらの成分があいまって、皮膚スベスベ効果、腰痛解消効果等をもたらしていたわけである。
佐藤はこの石を、多くの病人の治療を助けたとされる光明皇后(奈良時代)にちなんで光明石と命名し、1968年、当時の厚生省に医薬部外品としての承認申請を出して認められた。現在のところ、医薬部外品としての承認は鉱石では唯一である。
当初、佐藤が保持していた採掘・販売権は、その後設立された株式会社光明石製造所(本社=東京都足立区)に引き継がれた。また、光明の発音は、命名当時は皇后の名前のとおり、「こうみょう」とされたが、のちに耳になじみやすい「こうめい」と変わり、現在では「こうめいせき」と呼ばれている。
医薬部外品承認により表記が認められている効果は、①疲労回復、②冷え性、③神経痛、④リウマチ、⑤肩のこり、⑥腰痛、⑦産前産後の冷え、⑧痔の8つの症状に対する効能効果である。この効果を最大限引き出すため、同製造所では採掘された光明石を破砕し、風呂に浸して使用する形にして供給・販売しており、現在、ここからの原料供給を受けた数社の販社が、独自商品の開発を含めて市場展開を行っている。
光明石を浸した湯は、前記のように豊富なミネラル分を含むことから、入浴すると天然温泉と同等の、またはそれに近い効能を得られる。そのため、家庭用のほか各地のスパやホテル、旅館、学校などの浴場にも導入され、光明石人口温泉の表示のもと、広く利用されるようになっている。
光明石は岡山県高梁市の阿部鉱山から産出する薄緑色の鉱石で、1956年に偶然発見された。同地はウラン産出地として名高い鳥取・岡山県境の人形峠に近いことから、ここでもウラン鉱脈があるのではないかとの予測のもと、発掘調査が実施された。その結果、ウランの埋蔵は確認されなかったが、調査の副産物のような形で発見されたのが、この石である。
発掘作業をした人々から腰痛が消えた、手がすべすべになった等の報告がなされたため、調査の案内をした現地の佐藤峰次が、岩石1トンあたり50kg程度含まれる薄緑の石が原因なのではないかと考えて成分分析を依頼したところ、次のような十余種にのぼるミネラル分が検出された。<含有・ミネラル分>塩化カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、ケイ酸など
これらのミネラル分については、マグネシウムとカルシウムに鎮静効果、炭酸に血管拡張・血液循環促進効果、塩化イオンに温熱効果、そして硫化イオンに皮ふを軟化させる効果が認められており、これらの成分があいまって、皮膚スベスベ効果、腰痛解消効果等をもたらしていたわけである。
佐藤はこの石を、多くの病人の治療を助けたとされる光明皇后(奈良時代)にちなんで光明石と命名し、1968年、当時の厚生省に医薬部外品としての承認申請を出して認められた。現在のところ、医薬部外品としての承認は鉱石では唯一である。
当初、佐藤が保持していた採掘・販売権は、その後設立された株式会社光明石製造所(本社=東京都足立区)に引き継がれた。また、光明の発音は、命名当時は皇后の名前のとおり、「こうみょう」とされたが、のちに耳になじみやすい「こうめい」と変わり、現在では「こうめいせき」と呼ばれている。
医薬部外品承認により表記が認められている効果は、①疲労回復、②冷え性、③神経痛、④リウマチ、⑤肩のこり、⑥腰痛、⑦産前産後の冷え、⑧痔の8つの症状に対する効能効果である。この効果を最大限引き出すため、同製造所では採掘された光明石を破砕し、風呂に浸して使用する形にして供給・販売しており、現在、ここからの原料供給を受けた数社の販社が、独自商品の開発を含めて市場展開を行っている。
光明石を浸した湯は、前記のように豊富なミネラル分を含むことから、入浴すると天然温泉と同等の、またはそれに近い効能を得られる。そのため、家庭用のほか各地のスパやホテル、旅館、学校などの浴場にも導入され、光明石人口温泉の表示のもと、広く利用されるようになっている。
水曜日, 9月 28, 2011
CMO
○CMO
CMOはcetyl myristoleate(セチルミリストレイン酸エステル)の略。不飽和脂肪酸のミリストレイン酸のエステル化合物で、関節炎に対してグルコサミンやコンドロイチン硫酸を凌ぐ効果があると米国で注目された物質である。ミリストレイン酸はn-5系の脂肪酸だが、従来のn-3、n-6、n-9系の主要に扱ってきた栄養学ではまだ代謝の機構について十分に研究されていない。
CMOが哺乳類の生体に存在することは、1971年に米国国立衛生研究所(NIH)の研究員だったH・ディールによってスイスアルビノマウスの体内から発見されたが、その後、牛や鯨のほか、他のげっ歯類の動物でも確認されている。ヒトは進化の系統樹からみるとげっ歯類から遠くないため、ヒトの身体でも重要な役割をしている可能性があるという。
ディールは当時、各種動物に作用する消炎剤の研究をしていたが、その研究の一環として人工的に関節炎を起こさせるためフロイントアジュバント(熱処理したバクテリア)を動物に注射していた。その際、スイスアルビノマウスだけが炎症を起こさなかったことに気づき、炎症から身体を保護している物質としてCMOを特定した。予想通り炎症の保護をしていると推測できる結果が得られたのである。この消炎作用についてディールは、、哺乳類全体に適応できる手法として米国特許を取得している。
CMOはcetyl myristoleate(セチルミリストレイン酸エステル)の略。不飽和脂肪酸のミリストレイン酸のエステル化合物で、関節炎に対してグルコサミンやコンドロイチン硫酸を凌ぐ効果があると米国で注目された物質である。ミリストレイン酸はn-5系の脂肪酸だが、従来のn-3、n-6、n-9系の主要に扱ってきた栄養学ではまだ代謝の機構について十分に研究されていない。
CMOが哺乳類の生体に存在することは、1971年に米国国立衛生研究所(NIH)の研究員だったH・ディールによってスイスアルビノマウスの体内から発見されたが、その後、牛や鯨のほか、他のげっ歯類の動物でも確認されている。ヒトは進化の系統樹からみるとげっ歯類から遠くないため、ヒトの身体でも重要な役割をしている可能性があるという。
ディールは当時、各種動物に作用する消炎剤の研究をしていたが、その研究の一環として人工的に関節炎を起こさせるためフロイントアジュバント(熱処理したバクテリア)を動物に注射していた。その際、スイスアルビノマウスだけが炎症を起こさなかったことに気づき、炎症から身体を保護している物質としてCMOを特定した。予想通り炎症の保護をしていると推測できる結果が得られたのである。この消炎作用についてディールは、、哺乳類全体に適応できる手法として米国特許を取得している。
火曜日, 9月 27, 2011
米糠アラビノキシラン
○米糠アラビノキシラン
アラビノキシラン(arabinoxylane)は多糖のアラビナン(構成糖はアラビノース)とキシラン(構成糖はキシロース)からなるヘミセルロース(半繊維素)で、小麦フスマの成分として知られているが、米糠やトウモロコシなどにも多く含まれている。小麦フスマはそのまま食物繊維素材として利用されることが多いが、米糠から分離されたアラビノキシランは酵素反応によって得られる誘導体がつくられており、免疫賦活物質として研究が活発に行われている。
米糠アラビノキシランは誘導体は、大和薬品がアメリカの免疫学者マンドゥ・ゴーナムらの協力を得て開発したもので、米糠のヘミセルロースを素材に、シイタケ菌(DAIWA-A95菌)の培地濾液中に含まれる炭水化物培養分解複合酵素を反応させるという修飾方法がとられ、これによってヘミセルロース本来の複雑な基本構造を損なうことなく反応性を高め、免疫賦活活性を与えることに成功したものだ。
この生理活性物質の抽出技術の確立は1995年のことで、以後本格的な基礎・臨床試験が開始され、多くの動物実験やガン患者への経口投与などを通じて、顕著なNK細胞活性の向上や、リンパ球のT細胞、B細胞の活性が高まることが報告されている。ゴーナムらはさらに、HIV感染症(エイズ)に対して米糠アラビノキシラン誘導体が有効性を示すとする基礎実験結果を報告して注目された(96年7月、第11回国際エイズ会議)。また国内でも大学や医療機関で糖尿病・慢性肝炎に対する効果試験が行われている。
アラビノキシラン(arabinoxylane)は多糖のアラビナン(構成糖はアラビノース)とキシラン(構成糖はキシロース)からなるヘミセルロース(半繊維素)で、小麦フスマの成分として知られているが、米糠やトウモロコシなどにも多く含まれている。小麦フスマはそのまま食物繊維素材として利用されることが多いが、米糠から分離されたアラビノキシランは酵素反応によって得られる誘導体がつくられており、免疫賦活物質として研究が活発に行われている。
米糠アラビノキシランは誘導体は、大和薬品がアメリカの免疫学者マンドゥ・ゴーナムらの協力を得て開発したもので、米糠のヘミセルロースを素材に、シイタケ菌(DAIWA-A95菌)の培地濾液中に含まれる炭水化物培養分解複合酵素を反応させるという修飾方法がとられ、これによってヘミセルロース本来の複雑な基本構造を損なうことなく反応性を高め、免疫賦活活性を与えることに成功したものだ。
この生理活性物質の抽出技術の確立は1995年のことで、以後本格的な基礎・臨床試験が開始され、多くの動物実験やガン患者への経口投与などを通じて、顕著なNK細胞活性の向上や、リンパ球のT細胞、B細胞の活性が高まることが報告されている。ゴーナムらはさらに、HIV感染症(エイズ)に対して米糠アラビノキシラン誘導体が有効性を示すとする基礎実験結果を報告して注目された(96年7月、第11回国際エイズ会議)。また国内でも大学や医療機関で糖尿病・慢性肝炎に対する効果試験が行われている。
月曜日, 9月 26, 2011
β-グルカン
○β-グルカン
グルコース(ブドウ糖)を構成糖とする単一多糖類を総称してグルカンという。植物や動物、キノコ類、酵母に多く存在している。グルカンの代表はデンプン、グリコーゲン、セルロースである。
グルカンは多数のグルコースが結合(脱水縮合)したものだが、結合する炭素の位置や結合の仕方の違いよって性質の異なるものとなる。例えばデンプンは食べると消化吸収されてエネルギー源になるが、セルロースは食べても消化吸収されない。これはグルコース同士の結合の違いからくるものである。グルコースの結合には、ヒドロキシ基(水酸基)が下にくるα型と、上にくるβ型とがある。また、結合している炭素の位置によって「1.4結合」や「1.6結合」などと示される。デンプンはα-1.4結合のα-グルカン、セルロースはβ-1.4結合のβ-グルカンである。
β-グルカンはキノコ類に多く含まれ、抗腫瘍活性が認められていることから抗がんキノコの主要成分として重要である。これまでに、シイタケ子実体から得られたレンチナン、カワラタケ培養菌糸体からのクレスチン、スエヒロタケ培養の培地生産物であるシゾフィランが抗ガン剤として医薬品になっている。レンチナンとシゾフィランは、β-1.3結合した主鎖とβ-1.6結合の側鎖からなるβ-グルカンである。クレスチンは、β-グルカンにタンパク質が結合した複合糖質である。
抗腫瘍効果が高いといわれているアガリクス・ブラゼイ・ムリル(姫マツタケ)には中性多糖、酸性複合多糖、タンパク多糖、核酸成分などが存在している。中性多糖はβ-1.6グルカンやキシログルカン、酸性複合多糖はガラクトグルカンのウルナイド、タンパク多糖はペプチドグルカン、核酸成分はリボヌクレオチドタンパクである。
このように、一つのキノコの中にもこれだけ多くの多糖が含まれており、それらの作用もまた違ってくる。伊藤均(三重大学医学部)の研究によると、マウスを使って抗腫瘍効果を検討した実験では、β-1.6グルカンが最も高い抑制率を示したという。また宿前利郎(東京薬科大学)の報告では、サルノコシカケ科やシメジ科、ハラタケ科のキノコに多く含まれるβ-1.3グルカンには、経口投与によっても顕著な抗腫瘍活性が認められたとしている。
グルコース(ブドウ糖)を構成糖とする単一多糖類を総称してグルカンという。植物や動物、キノコ類、酵母に多く存在している。グルカンの代表はデンプン、グリコーゲン、セルロースである。
グルカンは多数のグルコースが結合(脱水縮合)したものだが、結合する炭素の位置や結合の仕方の違いよって性質の異なるものとなる。例えばデンプンは食べると消化吸収されてエネルギー源になるが、セルロースは食べても消化吸収されない。これはグルコース同士の結合の違いからくるものである。グルコースの結合には、ヒドロキシ基(水酸基)が下にくるα型と、上にくるβ型とがある。また、結合している炭素の位置によって「1.4結合」や「1.6結合」などと示される。デンプンはα-1.4結合のα-グルカン、セルロースはβ-1.4結合のβ-グルカンである。
β-グルカンはキノコ類に多く含まれ、抗腫瘍活性が認められていることから抗がんキノコの主要成分として重要である。これまでに、シイタケ子実体から得られたレンチナン、カワラタケ培養菌糸体からのクレスチン、スエヒロタケ培養の培地生産物であるシゾフィランが抗ガン剤として医薬品になっている。レンチナンとシゾフィランは、β-1.3結合した主鎖とβ-1.6結合の側鎖からなるβ-グルカンである。クレスチンは、β-グルカンにタンパク質が結合した複合糖質である。
抗腫瘍効果が高いといわれているアガリクス・ブラゼイ・ムリル(姫マツタケ)には中性多糖、酸性複合多糖、タンパク多糖、核酸成分などが存在している。中性多糖はβ-1.6グルカンやキシログルカン、酸性複合多糖はガラクトグルカンのウルナイド、タンパク多糖はペプチドグルカン、核酸成分はリボヌクレオチドタンパクである。
このように、一つのキノコの中にもこれだけ多くの多糖が含まれており、それらの作用もまた違ってくる。伊藤均(三重大学医学部)の研究によると、マウスを使って抗腫瘍効果を検討した実験では、β-1.6グルカンが最も高い抑制率を示したという。また宿前利郎(東京薬科大学)の報告では、サルノコシカケ科やシメジ科、ハラタケ科のキノコに多く含まれるβ-1.3グルカンには、経口投与によっても顕著な抗腫瘍活性が認められたとしている。
日曜日, 9月 25, 2011
植物ガム
植物ガムは、植物の種子や樹皮に含まれる細胞膜の粘脂物で種子ガムと樹液ガムがある。種子ガムはグァーガム、マメ科イナゴマメの種子から得られるローカストビーンガム、マタタビ科タラの種子から得られるタラガムなどがある。樹液ガムにはアラビアガム、アオギリ科カラヤの幹から得られるカラヤガム、マメ科トラガントの幹から得られるトランガントガムなどがある。
○グアガム
インドやパキスタンに生育するマメ科植物グァーの種子から採られる植物ガムで、ガラクトースとマンノースからなる高分子多糖類である。グアガムは水溶性の食物繊維として、便通や便性の改善などの整腸作用のほか、血糖値上昇抑制作用、コレステロールの低減作用などが古くから知られている。ただ粘度が高く、一般の食品に配合すると味や物性の面で問題があるため、微生物の酵素で加水分解して低分子化し、粘度を下げて利用されている。トクホの「おなかの調子を整える食品」の関与成分の一つである。
○アラビアガム
アフリカのスーダンやナイジェリアに生育するマメ科の潅木アカシア・セネガルの樹液から得られる植物ガムで、ガラクトース、アラビノース、ラムノース、グルクロン酸などを主成分とする粘質多糖類である。グアガムに比べると粘度が非常に低いため、アイスクリームの安定剤など食品加工業界で幅広く使われている。アラビアガムは難消化性なので食物繊維としての機能性もあるが、生理作用の研究は少なく、便量の増加による整腸作用や腸内環境の改善などが報告されている程度である。
○サイリウム
インド産のオオバコ科の植物ブロンドサイリウムの種皮から得られる植物ガムで、正式にはサイリウムガムという。キシロース、アラビノース、ラムノース、ガラクツロン酸からなる粘性多糖を主成分に、ペクチンやヘミセルロースなどが含まれている。食物繊維としての機能は整腸作用や血糖値の安定、コレステロール低下作用、ダイエット効果などが報告されている。
○微生物ガム
糖を基質として微生物が発酵生産するガム類を総称して微生物ガムという。多くは食品添加物として使われているが食物繊維としての機能もある。デキストランはショ糖に乳酸菌を作用させて作られる増粘性の多糖で、医薬品に利用されている。カードランはエチレングリコールにグラム陰性細菌を作用して生産されるゲル化性の多糖で、食物繊維を約90%含む。キサンタンガムはグルコース基質としてグラム陰性細菌によって生産される増粘性の多糖で、食物繊維としてコレステロール低下作用が報告されている。プルランはデンプンを基質にして黒酵母によって生産される低粘度の多糖で、食物繊維を約80%含んでいる。
○グアガム
インドやパキスタンに生育するマメ科植物グァーの種子から採られる植物ガムで、ガラクトースとマンノースからなる高分子多糖類である。グアガムは水溶性の食物繊維として、便通や便性の改善などの整腸作用のほか、血糖値上昇抑制作用、コレステロールの低減作用などが古くから知られている。ただ粘度が高く、一般の食品に配合すると味や物性の面で問題があるため、微生物の酵素で加水分解して低分子化し、粘度を下げて利用されている。トクホの「おなかの調子を整える食品」の関与成分の一つである。
○アラビアガム
アフリカのスーダンやナイジェリアに生育するマメ科の潅木アカシア・セネガルの樹液から得られる植物ガムで、ガラクトース、アラビノース、ラムノース、グルクロン酸などを主成分とする粘質多糖類である。グアガムに比べると粘度が非常に低いため、アイスクリームの安定剤など食品加工業界で幅広く使われている。アラビアガムは難消化性なので食物繊維としての機能性もあるが、生理作用の研究は少なく、便量の増加による整腸作用や腸内環境の改善などが報告されている程度である。
○サイリウム
インド産のオオバコ科の植物ブロンドサイリウムの種皮から得られる植物ガムで、正式にはサイリウムガムという。キシロース、アラビノース、ラムノース、ガラクツロン酸からなる粘性多糖を主成分に、ペクチンやヘミセルロースなどが含まれている。食物繊維としての機能は整腸作用や血糖値の安定、コレステロール低下作用、ダイエット効果などが報告されている。
○微生物ガム
糖を基質として微生物が発酵生産するガム類を総称して微生物ガムという。多くは食品添加物として使われているが食物繊維としての機能もある。デキストランはショ糖に乳酸菌を作用させて作られる増粘性の多糖で、医薬品に利用されている。カードランはエチレングリコールにグラム陰性細菌を作用して生産されるゲル化性の多糖で、食物繊維を約90%含む。キサンタンガムはグルコース基質としてグラム陰性細菌によって生産される増粘性の多糖で、食物繊維としてコレステロール低下作用が報告されている。プルランはデンプンを基質にして黒酵母によって生産される低粘度の多糖で、食物繊維を約80%含んでいる。
土曜日, 9月 24, 2011
水溶性食物繊維(3)
○難消化性デキストリン
難消化性デキストリンは、デンプンの加水分解物であるデキストリンを酵素で分解し、難消化性部分を分離生成した低分子の水溶性食物繊維である。デキストリンに水を加えて溶解し、アミラーゼによる加水分解、脱色・脱塩などの処理をして得られる。
生理機能としては整腸作用のほか、血糖値の上昇抑制、コレステロールの低下作用が認められている。また、口腔内で唾液アミラーゼの作用を受けにくいため虫歯菌にも利用されない。難消化性デキストリンは水によく溶け、低粘性・低甘味で食品本来の味やテクスチャーを損ねることがないため、飲料や菓子、練り製品、スープなど多くの食材に幅広く用いられている。トクホの「おなかの調子を整える食品」での許可実績が圧倒的に多く、2005年2月にスタートした。
○イヌリン
イヌリンはキク科植物のダリア、ゴボウ、キクイモなどの塊茎に含まれる貯蔵物質で、フルクトースが20~30個程度結合した多糖類の一種である。消化酵素ではほとんど消化されないため食物繊維として利用されるほか、脂肪と似た食感が得られることから、洋菓子類などで脂肪摂取量を低減した製品に応用されている。イヌリンはこれまで植物の根から抽出されるのが一般的だったが、酵素を使って砂糖から直接製造する技術も開発されている。
○フルクタン
フルクトースが多数結合した単一多糖で、食品ではラッキョウに多くて含まれている。水溶性食物繊維として機能性があり、便通改善、コレステロールの低下、利尿作用などがある。福井県農業試験所と同加工食品研究所は、ラッキョウ球根部からフルクタンを抽出する技術を開発し健康食品として製品化したほか、フルクタン入り食パンやパスタなども製造している。
○ポリデキストロース
米ファイザー社が開発した水溶性食物繊維で、グルコース、ソルビトール、クエン酸を89:10:1の割合で混合し、高温真空化で重合反応させて得られる合成多糖である。ヒトの消化酵素で分解されずに大腸へ達し、腸内細菌にも利用されにくいためエネルギー量は1gあたり約1kcalと低い。便量の増加、消化管通過時間の短縮、便性の改善などが認められている。ポリデキストロースを配合した機能性飲料「ファイブミニ(大塚製薬)」は、日本における食物繊維ブームの火付け役であり、トクホ商品にもなっている。
難消化性デキストリンは、デンプンの加水分解物であるデキストリンを酵素で分解し、難消化性部分を分離生成した低分子の水溶性食物繊維である。デキストリンに水を加えて溶解し、アミラーゼによる加水分解、脱色・脱塩などの処理をして得られる。
生理機能としては整腸作用のほか、血糖値の上昇抑制、コレステロールの低下作用が認められている。また、口腔内で唾液アミラーゼの作用を受けにくいため虫歯菌にも利用されない。難消化性デキストリンは水によく溶け、低粘性・低甘味で食品本来の味やテクスチャーを損ねることがないため、飲料や菓子、練り製品、スープなど多くの食材に幅広く用いられている。トクホの「おなかの調子を整える食品」での許可実績が圧倒的に多く、2005年2月にスタートした。
○イヌリン
イヌリンはキク科植物のダリア、ゴボウ、キクイモなどの塊茎に含まれる貯蔵物質で、フルクトースが20~30個程度結合した多糖類の一種である。消化酵素ではほとんど消化されないため食物繊維として利用されるほか、脂肪と似た食感が得られることから、洋菓子類などで脂肪摂取量を低減した製品に応用されている。イヌリンはこれまで植物の根から抽出されるのが一般的だったが、酵素を使って砂糖から直接製造する技術も開発されている。
○フルクタン
フルクトースが多数結合した単一多糖で、食品ではラッキョウに多くて含まれている。水溶性食物繊維として機能性があり、便通改善、コレステロールの低下、利尿作用などがある。福井県農業試験所と同加工食品研究所は、ラッキョウ球根部からフルクタンを抽出する技術を開発し健康食品として製品化したほか、フルクタン入り食パンやパスタなども製造している。
○ポリデキストロース
米ファイザー社が開発した水溶性食物繊維で、グルコース、ソルビトール、クエン酸を89:10:1の割合で混合し、高温真空化で重合反応させて得られる合成多糖である。ヒトの消化酵素で分解されずに大腸へ達し、腸内細菌にも利用されにくいためエネルギー量は1gあたり約1kcalと低い。便量の増加、消化管通過時間の短縮、便性の改善などが認められている。ポリデキストロースを配合した機能性飲料「ファイブミニ(大塚製薬)」は、日本における食物繊維ブームの火付け役であり、トクホ商品にもなっている。
金曜日, 9月 23, 2011
水溶性食物繊維(2)
○カラギーナン
カラギーナンは、寒天と同じ紅藻類のキリンサイ(ミリン科)、トチャカ(スギノリ科)、オキツノリ(オキツノリ科)の細胞間質に存在する粘質多糖で、D-ガラクトースと硫酸を主成分とする酸性多糖である。
ゲル化剤としてプリンやジャムに、増粘剤としてケチャップなどに利用されているほか、練歯磨やシャンプーにも配合されている。食物繊維としての機能は血中コレステロールの上昇抑制、血液の凝固防止、胃潰瘍の改善などが知られている。
○アルギン酸
アルギン酸は、渇藻類の昆布やワカメ、ヒジキなどの細胞間質に存在するヌメリ成分で、マンヌロン酸とグルロン酸の2種類のウロン酸がβ-1.4結合した粘質多糖類である。褐藻類を薄いアルカリ液で煮て、アルギン酸ナトリウムやアルギン酸カリウムとして抽出される。水に溶かすと粘度の高い液体となり、食品の安定剤としてアイスクリームやジャム、ゼリーに使われている。
アルギン酸を分解する酵素はアルギナーゼで、細菌や海中に生息する生物には存在するが、ヒトの消化液には含まれていないため難消化性の食物繊維として機能する。
アルギン酸の生理作用としては、便量の増加、排便の促進などの整腸作用、コレステロールの上昇抑制作用がある。また、アルギン酸カリウムは腸内でナトリウムを吸着して糞中に排泄させ、血圧上昇を抑制する働きがある。このほか、アルギン酸ナトリウムの分子を小さくして粘度を低くした低分子アルギン酸はコレステロールの吸収を抑えることがヒト試験で明らかにされており、清涼飲料水に配合されてトクホ製品になっている。
カラギーナンは、寒天と同じ紅藻類のキリンサイ(ミリン科)、トチャカ(スギノリ科)、オキツノリ(オキツノリ科)の細胞間質に存在する粘質多糖で、D-ガラクトースと硫酸を主成分とする酸性多糖である。
ゲル化剤としてプリンやジャムに、増粘剤としてケチャップなどに利用されているほか、練歯磨やシャンプーにも配合されている。食物繊維としての機能は血中コレステロールの上昇抑制、血液の凝固防止、胃潰瘍の改善などが知られている。
○アルギン酸
アルギン酸は、渇藻類の昆布やワカメ、ヒジキなどの細胞間質に存在するヌメリ成分で、マンヌロン酸とグルロン酸の2種類のウロン酸がβ-1.4結合した粘質多糖類である。褐藻類を薄いアルカリ液で煮て、アルギン酸ナトリウムやアルギン酸カリウムとして抽出される。水に溶かすと粘度の高い液体となり、食品の安定剤としてアイスクリームやジャム、ゼリーに使われている。
アルギン酸を分解する酵素はアルギナーゼで、細菌や海中に生息する生物には存在するが、ヒトの消化液には含まれていないため難消化性の食物繊維として機能する。
アルギン酸の生理作用としては、便量の増加、排便の促進などの整腸作用、コレステロールの上昇抑制作用がある。また、アルギン酸カリウムは腸内でナトリウムを吸着して糞中に排泄させ、血圧上昇を抑制する働きがある。このほか、アルギン酸ナトリウムの分子を小さくして粘度を低くした低分子アルギン酸はコレステロールの吸収を抑えることがヒト試験で明らかにされており、清涼飲料水に配合されてトクホ製品になっている。
木曜日, 9月 22, 2011
不溶性食物繊維
○セルロース
セルロースは植物の細胞壁の主成分で、自然界に最も多く存在する単一多糖類である。ヒトはセルロースを分解する酵素(セルラーゼ)を持たないため小腸で消化吸収されることはなく、もっぱら食物繊維として機能性を発揮する。セルロースは日常の食事で摂取する食物繊維の大部分を占めており、特に穀類の外皮に多く含まれている。セルロースの生理作用としては、便量の増加や便秘改善などの整腸作用、悪臭物質や有害物質を減らして腸内環境を改善する作用がある。
○小麦ふすま
小麦フスマは小麦の皮や胚芽の混合物で、小麦を精白したときにカスとして出る。成分の約60%は多糖で占められ、その内の2/3はヘミセルロース(アラビナンとキシランからなるアラビノキシラン)である。
小麦フスマの生理作用としては大腸ガン(結腸ガン)の予防効果が知られているが、このほかにも腸内有用菌(ビフィズス菌)の増殖、コレステロール上昇抑制、血圧上昇抑制、ナトリウム排泄促進などの効果が報告されている。小麦フスマには繊維以外に、フィチン酸やセレン、フェノール、ステロール、ビタミンEといった抗酸化成分も含まれている。食品としてはシリアルやビスケットとして供せられる。
○リグニン
リグニンは、セルロースやヘミセルロースと共に植物の細胞壁を形成している高分子化合物である。セルロースやヘミセルロースは多糖類だが、リグニンは芳香族炭化水素重合体(ポリフェノールの重合物)である。木材乾燥物に約30%も含まれていることから木質素とも呼ばれている。リグニンを多く含む食品はカカオ、ピーナッツ、緑豆などの豆類である。カカオマス(カカオの胚乳を焙煎しペースト状にしたもの)にはリグニンが9.8%(セルロースは3.4%、ヘミセルロースは4.2%)含まれており、これを原料とするチョコレートは1.5~4%のリグニンを含有している。ココア飲料にも多い。
リグニンはヒトの消化酵素で分解されないためほとんど吸収されない。また大腸の腸内細菌でも発酵・分解されにくいので、便のかさを増やし便性を改善して整腸効果を発揮する。さらに胆汁酸を吸着して体外へ排出する働きがあり、血中コレステロールの増加を抑制する作用がある。このほか発ガン物質として結合した大腸ガンを抑えるという報告もある。
セルロースは植物の細胞壁の主成分で、自然界に最も多く存在する単一多糖類である。ヒトはセルロースを分解する酵素(セルラーゼ)を持たないため小腸で消化吸収されることはなく、もっぱら食物繊維として機能性を発揮する。セルロースは日常の食事で摂取する食物繊維の大部分を占めており、特に穀類の外皮に多く含まれている。セルロースの生理作用としては、便量の増加や便秘改善などの整腸作用、悪臭物質や有害物質を減らして腸内環境を改善する作用がある。
○小麦ふすま
小麦フスマは小麦の皮や胚芽の混合物で、小麦を精白したときにカスとして出る。成分の約60%は多糖で占められ、その内の2/3はヘミセルロース(アラビナンとキシランからなるアラビノキシラン)である。
小麦フスマの生理作用としては大腸ガン(結腸ガン)の予防効果が知られているが、このほかにも腸内有用菌(ビフィズス菌)の増殖、コレステロール上昇抑制、血圧上昇抑制、ナトリウム排泄促進などの効果が報告されている。小麦フスマには繊維以外に、フィチン酸やセレン、フェノール、ステロール、ビタミンEといった抗酸化成分も含まれている。食品としてはシリアルやビスケットとして供せられる。
○リグニン
リグニンは、セルロースやヘミセルロースと共に植物の細胞壁を形成している高分子化合物である。セルロースやヘミセルロースは多糖類だが、リグニンは芳香族炭化水素重合体(ポリフェノールの重合物)である。木材乾燥物に約30%も含まれていることから木質素とも呼ばれている。リグニンを多く含む食品はカカオ、ピーナッツ、緑豆などの豆類である。カカオマス(カカオの胚乳を焙煎しペースト状にしたもの)にはリグニンが9.8%(セルロースは3.4%、ヘミセルロースは4.2%)含まれており、これを原料とするチョコレートは1.5~4%のリグニンを含有している。ココア飲料にも多い。
リグニンはヒトの消化酵素で分解されないためほとんど吸収されない。また大腸の腸内細菌でも発酵・分解されにくいので、便のかさを増やし便性を改善して整腸効果を発揮する。さらに胆汁酸を吸着して体外へ排出する働きがあり、血中コレステロールの増加を抑制する作用がある。このほか発ガン物質として結合した大腸ガンを抑えるという報告もある。
水曜日, 9月 21, 2011
水溶性食物繊維(1)
○ペクチン
ペクチンは果実や野菜類など多くの植物に含まれる天然物質で、細胞間の接着剤として、また組織の安定剤として機能している。ガラクツロン酸(ウロン酸の一種)が鎖状にα-1.4結合したペクチン酸(複合多糖)が主成分で、植物組織中ではセルロースなどと結合し、水に不要のプロトペクチンとして存在している。未熟な状態の果実に含まれているプロトペクチンは、成熟するに従って酵素の作用をうけペクチン酸に変わる。プロトペクチンを水や希酸で加熱すると水溶性のペクチンになる。
ペクチンはゲル化(液体をゼリー状にする)作用、保水性、粘性に優れているため、ジャムのゲル化剤、マヨネーズの乳化剤、ケチャップの増粘剤など食品加工で幅広く使われている。また微生物培養地、、胃腸薬などにも利用されている。
食物繊維としてペクチンの生理作用は、上記のゲル化能、保水性、粘性により、糖質の消化吸収を遅らせて血糖値の上昇を穏やかにし、インスリンの分泌を節約する作用、胆汁酸の吸収を阻害してコレステロールを低減する作用などが知られている。大腸に達したペクチンは腸内細菌による発酵をうけ、その大部分が分解されて短鎖脂肪酸となり1gあたり約2kcal(ショ糖の半分)のエネルギーとなる。
○こんにゃくマンナン
グルコマンナンともいう。コンニャクイモの塊茎に含まれる天然物質で、グルコースとマンノースがβ-1.4結合した複合多糖である。こんにゃくマンナンに水と消石灰を加えて加熱すると、凝固して食用コンニャクとなる。
コンニャクマンナンは保水性が高く、水を吸収すると膨潤して容積を増す。また、粘性の高い水溶液をつくる性質がある。ヒトの消化酵素では分解されないため、高容積・高粘度の状態で腸管を通過し、その過程で食物繊維としての機能を発揮する。生理作用としてコレステロールの低減、糖尿病の予防、腸の老廃物や有害物質の排出、肥満防止などが知られている。
ペクチンは果実や野菜類など多くの植物に含まれる天然物質で、細胞間の接着剤として、また組織の安定剤として機能している。ガラクツロン酸(ウロン酸の一種)が鎖状にα-1.4結合したペクチン酸(複合多糖)が主成分で、植物組織中ではセルロースなどと結合し、水に不要のプロトペクチンとして存在している。未熟な状態の果実に含まれているプロトペクチンは、成熟するに従って酵素の作用をうけペクチン酸に変わる。プロトペクチンを水や希酸で加熱すると水溶性のペクチンになる。
ペクチンはゲル化(液体をゼリー状にする)作用、保水性、粘性に優れているため、ジャムのゲル化剤、マヨネーズの乳化剤、ケチャップの増粘剤など食品加工で幅広く使われている。また微生物培養地、、胃腸薬などにも利用されている。
食物繊維としてペクチンの生理作用は、上記のゲル化能、保水性、粘性により、糖質の消化吸収を遅らせて血糖値の上昇を穏やかにし、インスリンの分泌を節約する作用、胆汁酸の吸収を阻害してコレステロールを低減する作用などが知られている。大腸に達したペクチンは腸内細菌による発酵をうけ、その大部分が分解されて短鎖脂肪酸となり1gあたり約2kcal(ショ糖の半分)のエネルギーとなる。
○こんにゃくマンナン
グルコマンナンともいう。コンニャクイモの塊茎に含まれる天然物質で、グルコースとマンノースがβ-1.4結合した複合多糖である。こんにゃくマンナンに水と消石灰を加えて加熱すると、凝固して食用コンニャクとなる。
コンニャクマンナンは保水性が高く、水を吸収すると膨潤して容積を増す。また、粘性の高い水溶液をつくる性質がある。ヒトの消化酵素では分解されないため、高容積・高粘度の状態で腸管を通過し、その過程で食物繊維としての機能を発揮する。生理作用としてコレステロールの低減、糖尿病の予防、腸の老廃物や有害物質の排出、肥満防止などが知られている。
火曜日, 9月 20, 2011
クロム
○クロム
クロムは18世紀にシベリアで発見された元素で、元素記号Cr。銀白色の金属である。常温で安定しており、空気中、水中で錆びない。3価クロムと6価クロムとがあるが、食品中を含めて自然界に存在するクロムはほとんどが3価クロムであり、ヒトにとって必須微量元素のひとつである。ちなみに6価クロムは人為的に作られたものが多く、生体への作用は3価クロムとは全く異なり、強酸化作用があって毒性が強い。
ヒトが摂取したクロムは主に小腸で吸収されるが、吸収率は低く、0.5~2%程度とみられている。したがって、生体内に存在するクロムの量は極微量であり、また加齢とともに減少する唯一のミネラルである。生体内では、糖質代謝、コレステロール代謝、結合組織体者、タンパク質代謝の維持に関与しており、インスリンを活性化して、糖尿病や高脂血症を予防する効果がある。
厚労省の「日本人の栄養所要量・食事摂取基準策定検討委員会」がまとめた基準(2005年版=平成17~21年の5年間使用)によると、クロムの推奨摂取利用は1日あたり・男性18~49歳40ug、50~69歳35ug、70歳以上30ug、女性18~69歳30ug、70歳以上で25ugとなっている。多く含まれている食品としては、可食部100gあたりで、干しひじき270ug、わかめ(乾)100ug、マイワシ(丸干し)76ug、アナゴ48ug、あさり45ug、ベーコン39ugなどがある。
前記のように食品中の含有量が微量で体内への吸収率も低いことから、クロムは現代人には不足しがちなミネラル分のひとつに数えられている。クロムが不足すると、インスリン活性・感受性の低下、窒素代謝異常、体重減少、抹消神経障害、昏迷、角膜障害などが起こることがわかっている。とくにインスリン活性・感受性の低下は生活習慣病の一つである糖尿病の発症と密接につながっており、現代人にとってその対策が焦眉の課題となっている。というのも、日本人の糖尿病の95%はいわゆる「Ⅱ型」、つまりインスリン非依存型であり、インスリンは分泌されているにもかかわらず、活性が弱かったり、インスリンと結合する細胞のインスリン受容体の働きが悪くなったりするのが原因とみられている。これらはインスリン抵抗性と呼ばれ、血中にインスリンが相当量あるのにブドウ糖が細胞内に取り込まれず、血糖値が高いという状態(=Ⅱ型糖尿病)を引き起こす大きな要因ともなっている。
一方、細胞内にインスリン抵抗性を改善する成分「GTF(グルコース・トレランス・ファクター=ブドウ糖耐性因子)」が存在する。GTFは1957年、米農務省人間栄養研究所理事であったウォルター・メルツ博士が豚の肝臓中から発見した物質で、博士はその核心をなす物質がクロムであることを確認した。クロムが不足すると、生体はこのGTFを作れなくなり、インスリン抵抗性を高める結果となる。逆にいえば、GTFは十分に足りている状態であればインスリン抵抗性は弱められ、糖尿病改善に大きな効果があると考えられたが、合成にはいたらなかった。
その後、米ウィスコンシン大学フランク・マオ博士(内分泌学)らの研究チームがGTFの組織の詳細を解明、2000年には最先端のバイオテクノロジー活用により安定したGTFを作り出す技術が開発された。
健康食品としてのクロムの最新製品は、このGTF技術を作ったもので、特に最近注目されているのがクロムフェリンである。これは、牛の初乳に含まれる微量のタンパク質ラクトフェリンにクロム酵母を結合させたもので、体内に取り込まれるとGTFに転換され、インスリン活性・感受性を高める働きをする。アメリカFDAの認可を受け、すでにアメリカ、オーストラリア、ドイツ、イギリス、フランス、オランダ、マレーシア、韓国、中国、台湾、日本などにおける臨床データで約80~90%の改善例が報告されているという。こうした新タイプの健康食品の開発は、糖尿病改善に新たな展望をもたらすことにもつながると目され、期待が集まっている。
クロムは18世紀にシベリアで発見された元素で、元素記号Cr。銀白色の金属である。常温で安定しており、空気中、水中で錆びない。3価クロムと6価クロムとがあるが、食品中を含めて自然界に存在するクロムはほとんどが3価クロムであり、ヒトにとって必須微量元素のひとつである。ちなみに6価クロムは人為的に作られたものが多く、生体への作用は3価クロムとは全く異なり、強酸化作用があって毒性が強い。
ヒトが摂取したクロムは主に小腸で吸収されるが、吸収率は低く、0.5~2%程度とみられている。したがって、生体内に存在するクロムの量は極微量であり、また加齢とともに減少する唯一のミネラルである。生体内では、糖質代謝、コレステロール代謝、結合組織体者、タンパク質代謝の維持に関与しており、インスリンを活性化して、糖尿病や高脂血症を予防する効果がある。
厚労省の「日本人の栄養所要量・食事摂取基準策定検討委員会」がまとめた基準(2005年版=平成17~21年の5年間使用)によると、クロムの推奨摂取利用は1日あたり・男性18~49歳40ug、50~69歳35ug、70歳以上30ug、女性18~69歳30ug、70歳以上で25ugとなっている。多く含まれている食品としては、可食部100gあたりで、干しひじき270ug、わかめ(乾)100ug、マイワシ(丸干し)76ug、アナゴ48ug、あさり45ug、ベーコン39ugなどがある。
前記のように食品中の含有量が微量で体内への吸収率も低いことから、クロムは現代人には不足しがちなミネラル分のひとつに数えられている。クロムが不足すると、インスリン活性・感受性の低下、窒素代謝異常、体重減少、抹消神経障害、昏迷、角膜障害などが起こることがわかっている。とくにインスリン活性・感受性の低下は生活習慣病の一つである糖尿病の発症と密接につながっており、現代人にとってその対策が焦眉の課題となっている。というのも、日本人の糖尿病の95%はいわゆる「Ⅱ型」、つまりインスリン非依存型であり、インスリンは分泌されているにもかかわらず、活性が弱かったり、インスリンと結合する細胞のインスリン受容体の働きが悪くなったりするのが原因とみられている。これらはインスリン抵抗性と呼ばれ、血中にインスリンが相当量あるのにブドウ糖が細胞内に取り込まれず、血糖値が高いという状態(=Ⅱ型糖尿病)を引き起こす大きな要因ともなっている。
一方、細胞内にインスリン抵抗性を改善する成分「GTF(グルコース・トレランス・ファクター=ブドウ糖耐性因子)」が存在する。GTFは1957年、米農務省人間栄養研究所理事であったウォルター・メルツ博士が豚の肝臓中から発見した物質で、博士はその核心をなす物質がクロムであることを確認した。クロムが不足すると、生体はこのGTFを作れなくなり、インスリン抵抗性を高める結果となる。逆にいえば、GTFは十分に足りている状態であればインスリン抵抗性は弱められ、糖尿病改善に大きな効果があると考えられたが、合成にはいたらなかった。
その後、米ウィスコンシン大学フランク・マオ博士(内分泌学)らの研究チームがGTFの組織の詳細を解明、2000年には最先端のバイオテクノロジー活用により安定したGTFを作り出す技術が開発された。
健康食品としてのクロムの最新製品は、このGTF技術を作ったもので、特に最近注目されているのがクロムフェリンである。これは、牛の初乳に含まれる微量のタンパク質ラクトフェリンにクロム酵母を結合させたもので、体内に取り込まれるとGTFに転換され、インスリン活性・感受性を高める働きをする。アメリカFDAの認可を受け、すでにアメリカ、オーストラリア、ドイツ、イギリス、フランス、オランダ、マレーシア、韓国、中国、台湾、日本などにおける臨床データで約80~90%の改善例が報告されているという。こうした新タイプの健康食品の開発は、糖尿病改善に新たな展望をもたらすことにもつながると目され、期待が集まっている。
日曜日, 9月 18, 2011
ミネラル
○ミネラル
ミネラル(mineral)は、鉱物を意味する英語のマイン(mine)からきた言葉で、無機質といわれる。人体を構成する物質は60%が水(細胞内液、組織間液、血漿)、35^36%が有機化合物(タンパク質・脂質・糖質)で、ミネラル(無機質)は4~5%にすぎない。しかもその約半分は骨の主要成分であるカルシウムで、他の生体金属元素は遥かに少ない。にもかかわらず、それらは生体内の浸透圧の調整、体内物質の輸送、酸・塩基平衡、筋肉の維持機能、酵素の補助因子など、生命活動に不可欠の物質として存在しており、健康維持の上でも重要な栄養素であることが広く認められている。
食品に含まれるミネラルは精製・加工の段階で失われることが多い。その一方で、加工食品に添加されるリンやナトリウムなどのミネラルは過剰摂取の傾向があり、現代の食生活ではミネラル類の摂取がアンバランスな状態になりやすいとも指摘されている。
ミネラルは必須ミネラル(日々の食事から摂らなければならないもの)と非必須ミネラルに分けられ、現在、29種のミネラルが必須とされている。この内、生体内での存在量や必要量、食事からの摂取量が多いものを必須主要ミネラル、それ以外のものを必須微量ミネラルと呼んで区別している。
なお、厚生労働省の健康増進法施行規則第16条では、亜鉛、カリウム、カルシウム、クロム、セレン、鉄、銅、ナトリウム、マグネシウム、マンガン、、要素、リンの12種を栄養成分として定めている。
ミネラル(mineral)は、鉱物を意味する英語のマイン(mine)からきた言葉で、無機質といわれる。人体を構成する物質は60%が水(細胞内液、組織間液、血漿)、35^36%が有機化合物(タンパク質・脂質・糖質)で、ミネラル(無機質)は4~5%にすぎない。しかもその約半分は骨の主要成分であるカルシウムで、他の生体金属元素は遥かに少ない。にもかかわらず、それらは生体内の浸透圧の調整、体内物質の輸送、酸・塩基平衡、筋肉の維持機能、酵素の補助因子など、生命活動に不可欠の物質として存在しており、健康維持の上でも重要な栄養素であることが広く認められている。
食品に含まれるミネラルは精製・加工の段階で失われることが多い。その一方で、加工食品に添加されるリンやナトリウムなどのミネラルは過剰摂取の傾向があり、現代の食生活ではミネラル類の摂取がアンバランスな状態になりやすいとも指摘されている。
ミネラルは必須ミネラル(日々の食事から摂らなければならないもの)と非必須ミネラルに分けられ、現在、29種のミネラルが必須とされている。この内、生体内での存在量や必要量、食事からの摂取量が多いものを必須主要ミネラル、それ以外のものを必須微量ミネラルと呼んで区別している。
なお、厚生労働省の健康増進法施行規則第16条では、亜鉛、カリウム、カルシウム、クロム、セレン、鉄、銅、ナトリウム、マグネシウム、マンガン、、要素、リンの12種を栄養成分として定めている。
土曜日, 9月 17, 2011
ビタミン
○ビタミン
糖質・脂質・タンパク質などが生体内で十分に機能するために必要な有機化合物の総称。生体内で合成できないか、きわめて合成されにくいため、食品などから摂取しなければならない。ビタミンという名称は、1911年にポーランドのC・フンクが米ぬかのエキスから白米病に有効な物質を遊離して、それが炭素・水素・窒素からなるアミノ化合物のアミン(amine)であると考え、生命(vita)に必要なアミン、すなわちビタミン(vitamine)と命名したことに始まる。
1910年に農芸化学者の鈴木梅太郎が、精米時に捨てられる米糠に脚気を防ぐ成分が含まれていることを発見、その物質をオリザニンと名付けた。これがビタミンB1の発見である。ついで米国のE・マッカラムやH・スティーンボックらは牛乳やバターなど油脂分の中にも有効成分の存在を認め、前記のオリザニンを含むこれら未知の成分を脂溶性A「」「水溶性B」と名付けた。
さらに1918年、米国のL・メンデルらはオレンジの酸性水溶性エキスに壊血病を防ぐ成分を発見、その翌年に英国のJ・ドラモンドがこれを「水溶性C」と名付けると共に、これらをビタミンと総称し、それぞれA・B・Cと符号をつけて呼ぶことを提案した。以後、順次発見されていく過程でアルファベット符号がつけられてきたが、後にそれがビタミンでないと判明したり、あるいは別の物質名で呼ばれることになったりしたことから、現在認められている13種類のビタミン類(脂溶性のビタミンA・D・E・K、水溶性のB1・B2・B6・B12・C、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン)のアルファベット符号は飛び飛びである。また、これらのほかにビタミン様作用物質と呼ばれる有機化合物という。
ビタミンは必要量はわずかだが必須の栄養素である。水溶性のビタミンは摂り過ぎた分は排泄されるが、脂溶性のものは過剰症が心配される。
糖質・脂質・タンパク質などが生体内で十分に機能するために必要な有機化合物の総称。生体内で合成できないか、きわめて合成されにくいため、食品などから摂取しなければならない。ビタミンという名称は、1911年にポーランドのC・フンクが米ぬかのエキスから白米病に有効な物質を遊離して、それが炭素・水素・窒素からなるアミノ化合物のアミン(amine)であると考え、生命(vita)に必要なアミン、すなわちビタミン(vitamine)と命名したことに始まる。
1910年に農芸化学者の鈴木梅太郎が、精米時に捨てられる米糠に脚気を防ぐ成分が含まれていることを発見、その物質をオリザニンと名付けた。これがビタミンB1の発見である。ついで米国のE・マッカラムやH・スティーンボックらは牛乳やバターなど油脂分の中にも有効成分の存在を認め、前記のオリザニンを含むこれら未知の成分を脂溶性A「」「水溶性B」と名付けた。
さらに1918年、米国のL・メンデルらはオレンジの酸性水溶性エキスに壊血病を防ぐ成分を発見、その翌年に英国のJ・ドラモンドがこれを「水溶性C」と名付けると共に、これらをビタミンと総称し、それぞれA・B・Cと符号をつけて呼ぶことを提案した。以後、順次発見されていく過程でアルファベット符号がつけられてきたが、後にそれがビタミンでないと判明したり、あるいは別の物質名で呼ばれることになったりしたことから、現在認められている13種類のビタミン類(脂溶性のビタミンA・D・E・K、水溶性のB1・B2・B6・B12・C、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン)のアルファベット符号は飛び飛びである。また、これらのほかにビタミン様作用物質と呼ばれる有機化合物という。
ビタミンは必要量はわずかだが必須の栄養素である。水溶性のビタミンは摂り過ぎた分は排泄されるが、脂溶性のものは過剰症が心配される。
金曜日, 9月 16, 2011
UC-Ⅱ
○UC-Ⅱ(非変性天然Ⅱ型コラーゲン)
UC-Ⅱは英語名(Undenatured Type2 collagen)から名づけられたもので、その名のとおり、天然成分から抽出した、もとの自然の形が変性させられていないタイプのⅡ型コラーゲンである。Ⅱ型コラーゲンとは19種あることが知られるコラーゲンファミリーの中のひとつで、従来からよく知られているⅠ型コラーゲンとはアミノ酸配列が異なる。Ⅰ型が主に皮膚や腱に含まれるのに対して、Ⅱ型は軟骨や硝子体に多く含まれている。
最近、関節の健康はもとより、美容・アンチエイジングに関与することが知られてきているⅠ型コラーゲンだが、健康食品等の形に加工する際、高温・化学処理等が行われると、もともと持っていた自然の活性が失われ、体内で消化吸収されにくくなってしまう。この欠点をカバーする形で開発されたのでUC-Ⅱであり、アメリカのインターヘルス社が登録商標を有する。多くのコラーゲン関連の健康食品がサメの軟骨などを原料としているに対し、若い鶏の胸骨から作られている点も大きな特徴といえる。
開発に大きな功績があったのは、デビット・トレンザム博士で、博士を中心としたハーバード大学医学部グループならびにその他の研究機関が1993~1998年にヒト臨床実験を行い、効果を確認している。
UC-Ⅱは英語名(Undenatured Type2 collagen)から名づけられたもので、その名のとおり、天然成分から抽出した、もとの自然の形が変性させられていないタイプのⅡ型コラーゲンである。Ⅱ型コラーゲンとは19種あることが知られるコラーゲンファミリーの中のひとつで、従来からよく知られているⅠ型コラーゲンとはアミノ酸配列が異なる。Ⅰ型が主に皮膚や腱に含まれるのに対して、Ⅱ型は軟骨や硝子体に多く含まれている。
最近、関節の健康はもとより、美容・アンチエイジングに関与することが知られてきているⅠ型コラーゲンだが、健康食品等の形に加工する際、高温・化学処理等が行われると、もともと持っていた自然の活性が失われ、体内で消化吸収されにくくなってしまう。この欠点をカバーする形で開発されたのでUC-Ⅱであり、アメリカのインターヘルス社が登録商標を有する。多くのコラーゲン関連の健康食品がサメの軟骨などを原料としているに対し、若い鶏の胸骨から作られている点も大きな特徴といえる。
開発に大きな功績があったのは、デビット・トレンザム博士で、博士を中心としたハーバード大学医学部グループならびにその他の研究機関が1993~1998年にヒト臨床実験を行い、効果を確認している。
木曜日, 9月 15, 2011
タンパク質
○タンパク質
タンパク質はほとんどの生物の細胞に含まれる高分子窒素有機化合物で、糖質・脂質と共に三大栄養素の一つである。糖質や脂質は主にエネルギー源として利用されるが、タンパク質は筋肉、皮膚、臓器などを構成する基本物質として、また酵素やホルモン、免疫抗体、遺伝子などの生理活性物質としても機能している。タンパク質はアミノ酸が多数連結したポリペプチド鎖からできている。使われるアミノ酸は約20種だが、結合の配列順序が無数にあり、生成されるタンパク質も無数に近い。食品に含まれるタンパク質はヒトの体内でペプシンなどの消化酵素によりアミノ酸にまで分解される。そして、これらが材料となりDNAの遺伝情報に基づいて新たなタンパク質(体タンパク質)がつくられる。
タンパク質には、アミノ酸だけが結合した単純タンパク質(アルブミン、グロブリン、グリテリン、プロラミン、プロタミンなど)、単純タンパク質が糖や脂質など他の物質と結合している複合タンパク質、熱や酸などで変性された誘導タンパク質(各種ペプチド類、ゼラチンなど)がある。タンパク質は生命活動によって体内で分解・再合成を繰り返すことで僅かずつは消費されるので、毎日必要量を補わなければならない。「日本人の食事摂取基準・2005年度」では、タンパク質の1日推奨量を成人男性で60g、女性で50gとしている。またタンパク質比率は男女とも20%未満、70歳以上は25%未満を目標量としている。
タンパク質はほとんどの生物の細胞に含まれる高分子窒素有機化合物で、糖質・脂質と共に三大栄養素の一つである。糖質や脂質は主にエネルギー源として利用されるが、タンパク質は筋肉、皮膚、臓器などを構成する基本物質として、また酵素やホルモン、免疫抗体、遺伝子などの生理活性物質としても機能している。タンパク質はアミノ酸が多数連結したポリペプチド鎖からできている。使われるアミノ酸は約20種だが、結合の配列順序が無数にあり、生成されるタンパク質も無数に近い。食品に含まれるタンパク質はヒトの体内でペプシンなどの消化酵素によりアミノ酸にまで分解される。そして、これらが材料となりDNAの遺伝情報に基づいて新たなタンパク質(体タンパク質)がつくられる。
タンパク質には、アミノ酸だけが結合した単純タンパク質(アルブミン、グロブリン、グリテリン、プロラミン、プロタミンなど)、単純タンパク質が糖や脂質など他の物質と結合している複合タンパク質、熱や酸などで変性された誘導タンパク質(各種ペプチド類、ゼラチンなど)がある。タンパク質は生命活動によって体内で分解・再合成を繰り返すことで僅かずつは消費されるので、毎日必要量を補わなければならない。「日本人の食事摂取基準・2005年度」では、タンパク質の1日推奨量を成人男性で60g、女性で50gとしている。またタンパク質比率は男女とも20%未満、70歳以上は25%未満を目標量としている。
水曜日, 9月 14, 2011
脂肪酸
脂肪酸は脂質を構成する基本成分で、8~22個程度の炭素が鎖状に結合して末端にカルボキシ基を持つ化合物(カルボン酸)である。炭素の数や結合の仕方の違いによって性質や機能の異なるさまざまな脂肪酸が存在する。脂肪酸は2炭素単位で生合成されるため、ほとんどの脂肪酸の炭素数は偶数個である。炭素数が6個以下のものを短鎖脂肪酸、8~12個のものを中鎖脂肪酸、14個以上のものを長鎖脂肪酸という。また、炭素数18個以上のものをまとめて高級脂肪酸ともいう。脂肪酸の構造は炭素(C)が鎖状につながり、それぞれの炭素に2個の水素(H)が結合した形をしているが、なかには炭素同士が二重に結合する箇所を持つものがある。二重結合を持たない脂肪酸を飽和脂肪酸、持つものを不飽和脂肪酸といい、性質や機能が大きく異なっている。
○飽和脂肪酸
炭素原子は他の原子と結びつく手が4本、水素原子には1本ある。飽和脂肪酸では炭素原子は前後の炭素原子と手を結び合って、余った残り2本の手で上下に1個ずつの水素と手を結び合い、すべて炭素原子に水素が結合している。飽和では”水素をもうこれ以上受け入れることができない”という意味である。
飽和脂肪酸は融点が高いため、常温で固体である。融点は炭素数が増えるに従って高くなる。ヒトよりも体温の高い牛や豚などの体内では液状になるものもあるが、ヒトの体内では凝固しやすく、血液の粘度が増して血行を悪くさせる。飽和脂肪酸を多く摂りすぎると、血中のコレステロールや中性脂肪が増えて動脈硬化の原因となる。「日本人の食事摂取基準・2005年度版」では、飽和脂肪酸エネルギー比率(総エネルギーに占める飽和脂肪酸の割合)の目標値を男女とも4.5~7%未満としている。
飽和脂肪酸にはカプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸などがある。これらは動物性脂肪やパーム油、ヤシ油などに含まれているが、含有量が多いのはパルミチン酸とステアリン酸である。また、ヒトの体内でも合成される。
○不飽和脂肪酸
炭素と炭素が2本の手でつながることを二重結合といい、この結合を持つ脂肪酸を不飽和脂肪酸という。二重結合が一つの単価不飽和脂肪酸、2つ以上の多価不飽和脂肪酸がある。不飽和脂肪酸はいずれも炭素数が18個以上の長鎖脂肪酸だが、二重結合があるために融点が低く、常温で液状である。不飽和脂肪酸の融点は二重結合の数が増えるに従って低くなる。オリーブオイルに含まれるオレイン酸(炭素数18、二重結合数1)の融点は14℃だが、魚油に含まれるDHA(炭素数22、二重結合数6)の融点はマイナス78℃である。
飽和脂肪酸は血漿コレステロール濃度を上昇させるが、不飽和脂肪酸は低下させる作用を持つ。また、生理活性物質(プロスタグランジン、ロイコトリエン)の合成材料になるものもあり、生体にとって重要な物質である。その反面、不飽和脂肪酸は酸化されやすいため過酸化脂質を生成して動脈硬化や発ガン、老化の原因物質となる指摘もある。
○飽和脂肪酸
炭素原子は他の原子と結びつく手が4本、水素原子には1本ある。飽和脂肪酸では炭素原子は前後の炭素原子と手を結び合って、余った残り2本の手で上下に1個ずつの水素と手を結び合い、すべて炭素原子に水素が結合している。飽和では”水素をもうこれ以上受け入れることができない”という意味である。
飽和脂肪酸は融点が高いため、常温で固体である。融点は炭素数が増えるに従って高くなる。ヒトよりも体温の高い牛や豚などの体内では液状になるものもあるが、ヒトの体内では凝固しやすく、血液の粘度が増して血行を悪くさせる。飽和脂肪酸を多く摂りすぎると、血中のコレステロールや中性脂肪が増えて動脈硬化の原因となる。「日本人の食事摂取基準・2005年度版」では、飽和脂肪酸エネルギー比率(総エネルギーに占める飽和脂肪酸の割合)の目標値を男女とも4.5~7%未満としている。
飽和脂肪酸にはカプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸などがある。これらは動物性脂肪やパーム油、ヤシ油などに含まれているが、含有量が多いのはパルミチン酸とステアリン酸である。また、ヒトの体内でも合成される。
○不飽和脂肪酸
炭素と炭素が2本の手でつながることを二重結合といい、この結合を持つ脂肪酸を不飽和脂肪酸という。二重結合が一つの単価不飽和脂肪酸、2つ以上の多価不飽和脂肪酸がある。不飽和脂肪酸はいずれも炭素数が18個以上の長鎖脂肪酸だが、二重結合があるために融点が低く、常温で液状である。不飽和脂肪酸の融点は二重結合の数が増えるに従って低くなる。オリーブオイルに含まれるオレイン酸(炭素数18、二重結合数1)の融点は14℃だが、魚油に含まれるDHA(炭素数22、二重結合数6)の融点はマイナス78℃である。
飽和脂肪酸は血漿コレステロール濃度を上昇させるが、不飽和脂肪酸は低下させる作用を持つ。また、生理活性物質(プロスタグランジン、ロイコトリエン)の合成材料になるものもあり、生体にとって重要な物質である。その反面、不飽和脂肪酸は酸化されやすいため過酸化脂質を生成して動脈硬化や発ガン、老化の原因物質となる指摘もある。
火曜日, 9月 13, 2011
脂質
○脂質
脂肪や油など、水に溶けにくく有機媒体に溶けやすい性質を持ち、脂肪酸(カルボン酸)を基本成分とする物質を総称して脂質という。脂質は糖質・タンパク質と共に三大栄養素の一つで、最も効率の良いエネルギー源として、また生体膜の構成成分としても重要である。脂質の内、リン脂質や糖脂質は生体膜の構成成分として、ステロールは胆汁酸やステロイドホルモンの材料として機能している。また、一部の脂肪酸は生理活性物質(プロスタグランジンなど)の合成材料になる。
肉や魚など食品に含まれる脂質の90%以上は脂肪で、脂肪1gから得られるエネルギー(熱量)は約9kcalと、糖質やタンパク質の2倍以上である。日本人の脂肪エネルギー比率(総エネルギーにしめる脂肪の割合)は昭和20年代の10%以下から、現在では約26%(平成16年国民栄養調査)になっており、脂肪の摂りすぎによる肥満や冠動脈性心疾患の増加が指摘されている。「日本人の食事摂取基準・2005年度版」では、脂肪エネルギー比率を男女とも29歳までは20~30%、30~69歳は20~25%、70歳以上は15~25%を目標量としている。
脂肪や油など、水に溶けにくく有機媒体に溶けやすい性質を持ち、脂肪酸(カルボン酸)を基本成分とする物質を総称して脂質という。脂質は糖質・タンパク質と共に三大栄養素の一つで、最も効率の良いエネルギー源として、また生体膜の構成成分としても重要である。脂質の内、リン脂質や糖脂質は生体膜の構成成分として、ステロールは胆汁酸やステロイドホルモンの材料として機能している。また、一部の脂肪酸は生理活性物質(プロスタグランジンなど)の合成材料になる。
肉や魚など食品に含まれる脂質の90%以上は脂肪で、脂肪1gから得られるエネルギー(熱量)は約9kcalと、糖質やタンパク質の2倍以上である。日本人の脂肪エネルギー比率(総エネルギーにしめる脂肪の割合)は昭和20年代の10%以下から、現在では約26%(平成16年国民栄養調査)になっており、脂肪の摂りすぎによる肥満や冠動脈性心疾患の増加が指摘されている。「日本人の食事摂取基準・2005年度版」では、脂肪エネルギー比率を男女とも29歳までは20~30%、30~69歳は20~25%、70歳以上は15~25%を目標量としている。
月曜日, 9月 12, 2011
多糖類(2)
○セルロース
エネルギー源にはならないが食物繊維として重要。繊維素ともいう。植物の細胞壁の主成分として自然界に最も多く存在する単一多糖類である。構造はグルコースが直鎖状にβ-1.4結合している。
人ではセルロースを分解する酵素を持たないため、消化吸収してエネルギー源として直接利用することはできないが、腸内では食物繊維として機能性を発揮する。牛や馬などの草食動物には胃の中にセルロースを分解する微生物を持っているため、エネルギー源として利用できる。
○ヘミセルロース
半繊維素ともいう(ヘミはギリシャ語で”半分”を意味する)。セルロースやリグニンと共に植物の細胞壁を構成している多糖類である。構成糖の違いからキシラン、アラビナン、ガラクタン、マンナンなどがある。キシラン(構成糖はキシロース)は、木材、藁、トウモロコシの芯などの主成分。アラビナン(構成糖はガラクトース)はアラビアゴムや大豆に含まれている。ガラクタン(構成糖はガラクトース)は果実の表皮に多く含まれ、マンノースを構成とするマンナンは硬い表皮を持つ種子や果実に多い。多くの植物では、これらの単一多糖がさらに別の単糖類と結合した複合多糖類として存在している。ヘミセルロースは穀類、豆類、小麦フスマなどに多く含まれ、不溶性食物繊維としてセルロースと似た作用がある。また免疫賦活などに有効な機能性物質としても注目度が高い。
エネルギー源にはならないが食物繊維として重要。繊維素ともいう。植物の細胞壁の主成分として自然界に最も多く存在する単一多糖類である。構造はグルコースが直鎖状にβ-1.4結合している。
人ではセルロースを分解する酵素を持たないため、消化吸収してエネルギー源として直接利用することはできないが、腸内では食物繊維として機能性を発揮する。牛や馬などの草食動物には胃の中にセルロースを分解する微生物を持っているため、エネルギー源として利用できる。
○ヘミセルロース
半繊維素ともいう(ヘミはギリシャ語で”半分”を意味する)。セルロースやリグニンと共に植物の細胞壁を構成している多糖類である。構成糖の違いからキシラン、アラビナン、ガラクタン、マンナンなどがある。キシラン(構成糖はキシロース)は、木材、藁、トウモロコシの芯などの主成分。アラビナン(構成糖はガラクトース)はアラビアゴムや大豆に含まれている。ガラクタン(構成糖はガラクトース)は果実の表皮に多く含まれ、マンノースを構成とするマンナンは硬い表皮を持つ種子や果実に多い。多くの植物では、これらの単一多糖がさらに別の単糖類と結合した複合多糖類として存在している。ヘミセルロースは穀類、豆類、小麦フスマなどに多く含まれ、不溶性食物繊維としてセルロースと似た作用がある。また免疫賦活などに有効な機能性物質としても注目度が高い。
日曜日, 9月 11, 2011
多糖類(1)
○デキストリン(dextrin)
糊精ともいう。デンプンを熱や酸などで加水分解する際に生じる低分子の中間性生物の総称。ご飯を炊いたときにフタに薄くつくオブラート状のものもデキストリンの一種である。デキストリンを酵素で分解し、難消化性部分を分取したものを難消化性デキストリンと呼び、水溶性食物繊維として利用されている。
○グリコーゲン(glycogen)
グリコーゲンは動物の肝臓や筋肉に存在する貯蔵多糖類である。グルコースのみで構成される単一多糖で、構造はデンプンのアミロペクチンに類似している。食事で摂取したデンプンは消化酵素の働きでグルコースとなって肝臓に吸収され、その一部は血液に出てエネルギー源となるが、それ以外はグリコーゲンとして肝臓や筋肉に蓄えられる。(通常、肝臓には70g、筋肉に400g)
肝臓のグリコーゲンは、血液中のグルコース濃度が低下したときなどに分解してグルコースとなり血液中に供給される。筋肉中のグリコーゲンは、筋肉の収縮する時のエネルギー源として使われる。グリコーゲンは動物の死後、急速に分解されてしまうため、一般の食肉中には少ない。牡蠣はグリコーゲンを豊富に含む食品として知られているが、時期により含有量は大きく変化し、マガキは冬、イワガキは夏に最大となる。
糊精ともいう。デンプンを熱や酸などで加水分解する際に生じる低分子の中間性生物の総称。ご飯を炊いたときにフタに薄くつくオブラート状のものもデキストリンの一種である。デキストリンを酵素で分解し、難消化性部分を分取したものを難消化性デキストリンと呼び、水溶性食物繊維として利用されている。
○グリコーゲン(glycogen)
グリコーゲンは動物の肝臓や筋肉に存在する貯蔵多糖類である。グルコースのみで構成される単一多糖で、構造はデンプンのアミロペクチンに類似している。食事で摂取したデンプンは消化酵素の働きでグルコースとなって肝臓に吸収され、その一部は血液に出てエネルギー源となるが、それ以外はグリコーゲンとして肝臓や筋肉に蓄えられる。(通常、肝臓には70g、筋肉に400g)
肝臓のグリコーゲンは、血液中のグルコース濃度が低下したときなどに分解してグルコースとなり血液中に供給される。筋肉中のグリコーゲンは、筋肉の収縮する時のエネルギー源として使われる。グリコーゲンは動物の死後、急速に分解されてしまうため、一般の食肉中には少ない。牡蠣はグリコーゲンを豊富に含む食品として知られているが、時期により含有量は大きく変化し、マガキは冬、イワガキは夏に最大となる。
土曜日, 9月 10, 2011
少糖類
少糖類は、単糖が2~10個程度グリコシド結合(縮合)してできた糖で、オリゴ糖とも呼ばれる。結合する単糖の数によって二糖類、三糖類、四糖類などに分けられるが、ヒトでは二糖類(スクロース、マルトース、ラクトース)が重要である。また、これらの糖を材料に酵素の働きなどを利用して工業的に作られる各種オリゴ糖があり、健康機能面から関心を集めている。
○スクロース(sucrose)
ショ糖ともいう。グルコースとフルクトースがα-1.2結合した二糖類で、砂糖の主成分である。果物や花蜜など多くの植物に存在するが、特にサトウキビやサトウダイコンなどに多く含まれている。食事で体内に取り組まれたスクロースは、サッカラーゼという酵素によってグルコースとフルクトースに切断され、小腸で吸収されてエネルギー源となる。
○マルトース(maltose)
麦芽糖ともいう。2個のグルコースがα-1.4結合した二糖類で、発芽種子、特に麦芽に多く含まれている。甘さはスクロースの3分の1程度。水飴の柔らかな甘味の主成分になっている。デンプンやグリコーゲンを加水分解すると得られる。マルトースは、小腸でマルターゼという酵素によって2個のグルコースに切断され吸収される。
○ラクトース(lactose)
乳糖ともいう。ガラクトースとグルコースがβ-1.4結合した二糖類で、動物の乳汁中にのみ存在する。人乳に約7%、牛乳に約4%含まれている。甘さはショ糖の5分の1程度だが、消化・吸収に優れているため、乳児の栄養源として欠かせない糖である。また、カルシウムやマグネシウムの吸収を高める働きもある。
ラクトースは、小腸でラクターゼという酵素によってガラクトースとグルコースに分解され吸収される。ラクターゼが欠損する人では、ラクトースの分解が阻害され吸収不全となり下痢などの胃腸障害を起こす。これを乳糖不耐症という。
○スクロース(sucrose)
ショ糖ともいう。グルコースとフルクトースがα-1.2結合した二糖類で、砂糖の主成分である。果物や花蜜など多くの植物に存在するが、特にサトウキビやサトウダイコンなどに多く含まれている。食事で体内に取り組まれたスクロースは、サッカラーゼという酵素によってグルコースとフルクトースに切断され、小腸で吸収されてエネルギー源となる。
○マルトース(maltose)
麦芽糖ともいう。2個のグルコースがα-1.4結合した二糖類で、発芽種子、特に麦芽に多く含まれている。甘さはスクロースの3分の1程度。水飴の柔らかな甘味の主成分になっている。デンプンやグリコーゲンを加水分解すると得られる。マルトースは、小腸でマルターゼという酵素によって2個のグルコースに切断され吸収される。
○ラクトース(lactose)
乳糖ともいう。ガラクトースとグルコースがβ-1.4結合した二糖類で、動物の乳汁中にのみ存在する。人乳に約7%、牛乳に約4%含まれている。甘さはショ糖の5分の1程度だが、消化・吸収に優れているため、乳児の栄養源として欠かせない糖である。また、カルシウムやマグネシウムの吸収を高める働きもある。
ラクトースは、小腸でラクターゼという酵素によってガラクトースとグルコースに分解され吸収される。ラクターゼが欠損する人では、ラクトースの分解が阻害され吸収不全となり下痢などの胃腸障害を起こす。これを乳糖不耐症という。
金曜日, 9月 09, 2011
糖アルコール
○糖アルコール
単糖類のカルボニル基を還元して得られる多価アルコールを総称して糖アルコールという。ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、ラクチトールなどがある。糖アルコールはグルコースと同じ程度の甘さを持つが、生体内での化学反応が進行しにくいためエネルギー源になりにくい。そのため低カロリー甘味料として幅広く利用されている。
※ソルビトール(sorbitol)
グルコース(ブドウ糖)が還元されてできる六価の糖アルコール。自然界ではナナカマドやプルーンの実、海藻類に多く含まれている。工業的にはグルコースをニッケル触媒下で還元して生産される。甘味度はグルコースとほぼ同じだが、カロリーは3分の2と少なく、血糖値を急激に上昇させたり虫歯の原因にならないので、シュガーレス甘味料として錠果などに広く利用されている。
※マンニトール(mannitol)
マンノースが還元されてできる六価の糖アルコール。天然に広く存在し、特に干し昆布の表面に付く白粉中に多い。甘味度はグルコースとほぼ同じだが、カロリーは約2分の1と少なく、低カロリー甘味料として利用される。
※キシリトール(xylitol)
キシロースが還元されてできる五価の糖アルコール。工業的にはトウモロコシの芯などに含まれる多糖キシランを分解してキシロースを得、それをニッケル触媒下で還元して生産される。甘味度はショ糖とほぼ同等。
キシリトールには虫歯の原因となる酸を抑制する作用があり、欧米では早くから虫歯になりにくい甘味料として利用されてきた。日本では当初、医薬品成分に指定されていたが、1997年に食品添加物としての使用が認められ、キシリトール入りのガムやキャンディ、歯磨きが相次いで登場した。トクホの虫歯になりにくい食品の関与成分の一つにもなっている。
※エリスリトール(erythritol)
果実や清酒など発酵食品に微量に存在する四価の糖アルコール。工業的にはグルコースに酵母を作用させて発酵法で作る。甘味度はショ糖の約80%程度である。エリスリトールは小腸で吸収されるが、その9割以上は代謝されずに尿中に排泄され、残り1割が大腸で発酵をうけて短鎖脂肪酸に代謝される。そのため1gあたりのエネルギー値は0.3kcal(ショ糖の13分の1)と少なく、血糖値の上昇や虫歯の原因とならない。健康甘味料や清涼飲料水に広く利用されている。
※マルチトール(maltitol)
還元麦芽糖ともいう。グルコースとソルビトールが結合した糖アルコールで、マルトース(麦芽糖)を高圧水素添加により還元して製造される。甘味度はショ糖の80%。生体酵素による分解度が遅く、一部は小腸で消化吸収されるが、大半は大腸へ達して腸内細菌による発酵をうけ、1gあたり約2kcal(ショ糖の半分)のエネルギーにしかならない。摂取後の血糖値の上昇が低いため糖尿病患者用の甘味料として使われることが多い。ダイエット食品や虫歯になりにくいガムにも利用されている。
※ラクチトール(lactitol)
還元乳糖もという。ラクトース(乳糖)のグルコース基が還元された糖アルコールで、ラクトースを高圧水素添加により還元して製造される。甘味度はショ糖の約半分以下。難消化性、非う蝕性があり、血糖値の上昇を抑える作用が認められている。
※パラチニット(palatinit)
パラチノースを還元してつくられる糖アルコール。還元パラチノースともいう。甘味度はショ糖の約30~40%。生体酵素による分解速度が遅く、一部は小腸で消化吸収されるが、大半は大腸に達して腸内細菌による発酵をうけ、1gあたり約2kcal(ショ糖の半分)のエネルギーにしかならない。常用しても虫歯になりにくいことがヒト試験で証明されており、トクホの虫歯になりにくい食品の関与成分になっている。ガムやチョコレートなどの甘味料として用いられる。
単糖類のカルボニル基を還元して得られる多価アルコールを総称して糖アルコールという。ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、ラクチトールなどがある。糖アルコールはグルコースと同じ程度の甘さを持つが、生体内での化学反応が進行しにくいためエネルギー源になりにくい。そのため低カロリー甘味料として幅広く利用されている。
※ソルビトール(sorbitol)
グルコース(ブドウ糖)が還元されてできる六価の糖アルコール。自然界ではナナカマドやプルーンの実、海藻類に多く含まれている。工業的にはグルコースをニッケル触媒下で還元して生産される。甘味度はグルコースとほぼ同じだが、カロリーは3分の2と少なく、血糖値を急激に上昇させたり虫歯の原因にならないので、シュガーレス甘味料として錠果などに広く利用されている。
※マンニトール(mannitol)
マンノースが還元されてできる六価の糖アルコール。天然に広く存在し、特に干し昆布の表面に付く白粉中に多い。甘味度はグルコースとほぼ同じだが、カロリーは約2分の1と少なく、低カロリー甘味料として利用される。
※キシリトール(xylitol)
キシロースが還元されてできる五価の糖アルコール。工業的にはトウモロコシの芯などに含まれる多糖キシランを分解してキシロースを得、それをニッケル触媒下で還元して生産される。甘味度はショ糖とほぼ同等。
キシリトールには虫歯の原因となる酸を抑制する作用があり、欧米では早くから虫歯になりにくい甘味料として利用されてきた。日本では当初、医薬品成分に指定されていたが、1997年に食品添加物としての使用が認められ、キシリトール入りのガムやキャンディ、歯磨きが相次いで登場した。トクホの虫歯になりにくい食品の関与成分の一つにもなっている。
※エリスリトール(erythritol)
果実や清酒など発酵食品に微量に存在する四価の糖アルコール。工業的にはグルコースに酵母を作用させて発酵法で作る。甘味度はショ糖の約80%程度である。エリスリトールは小腸で吸収されるが、その9割以上は代謝されずに尿中に排泄され、残り1割が大腸で発酵をうけて短鎖脂肪酸に代謝される。そのため1gあたりのエネルギー値は0.3kcal(ショ糖の13分の1)と少なく、血糖値の上昇や虫歯の原因とならない。健康甘味料や清涼飲料水に広く利用されている。
※マルチトール(maltitol)
還元麦芽糖ともいう。グルコースとソルビトールが結合した糖アルコールで、マルトース(麦芽糖)を高圧水素添加により還元して製造される。甘味度はショ糖の80%。生体酵素による分解度が遅く、一部は小腸で消化吸収されるが、大半は大腸へ達して腸内細菌による発酵をうけ、1gあたり約2kcal(ショ糖の半分)のエネルギーにしかならない。摂取後の血糖値の上昇が低いため糖尿病患者用の甘味料として使われることが多い。ダイエット食品や虫歯になりにくいガムにも利用されている。
※ラクチトール(lactitol)
還元乳糖もという。ラクトース(乳糖)のグルコース基が還元された糖アルコールで、ラクトースを高圧水素添加により還元して製造される。甘味度はショ糖の約半分以下。難消化性、非う蝕性があり、血糖値の上昇を抑える作用が認められている。
※パラチニット(palatinit)
パラチノースを還元してつくられる糖アルコール。還元パラチノースともいう。甘味度はショ糖の約30~40%。生体酵素による分解速度が遅く、一部は小腸で消化吸収されるが、大半は大腸に達して腸内細菌による発酵をうけ、1gあたり約2kcal(ショ糖の半分)のエネルギーにしかならない。常用しても虫歯になりにくいことがヒト試験で証明されており、トクホの虫歯になりにくい食品の関与成分になっている。ガムやチョコレートなどの甘味料として用いられる。
木曜日, 9月 08, 2011
糖質
○糖質
糖質は、デンプンや砂糖に代表される炭水化物(糖類)と、これに関連する有機化合物の総称で、植物や動物、菌類などに広く存在する物質である。
炭水化物は、炭素(C)・水素(H)・酸素(O)の3元素からなり、分子の構造が「炭素」と「水」が化合した「Cm(H2O)n」をしていることから、こう呼ばれている。従来は「糖=炭水化物」とされてきたが、糖の中には、多糖類のキチンのように窒素(N)を含み、炭水化物とは異なる構造を持つものも多数存在することがわかってきた。そのため現在は、炭水化物以外の糖も含め、それらを広く糖質として扱っている。
糖質は脂質・タンパク質と共に三大栄養素の一つであり、主に動物のエネルギー源として利用される。ショ糖やデンプンなど、小腸で消化吸収される糖質1gから得られるエネルギー(熱量)は約4kcalである。これに対し、難消化性オリゴ糖や食物繊維(多糖類)などは消化吸収されずに大腸へ達し、腸内細菌による発酵をうけて短鎖脂肪酸を生産し、0~2kcalのエネルギーとなる。「日本人の食事摂取基準・2005年度版」では、成人が1日に必要とするエネルギー量は、中程度の身体活動レベルで男性が2400~2650kcal、女性が1950~2050kcalとされ、この内、50~70%を糖質(炭水化物)から摂取することを目標量としている。
糖質は単糖類・少糖類・多糖類に分類される。単糖は分子構造的にこれ以上分解されない最小単位の糖で、グルコース(ブドウ糖)やフルクトース(果糖)などがある。少糖は単糖が2~10個程度結合したもので、オリゴ糖とも呼ばれる。スクロース(ショ糖)やマルトース(麦芽糖)、ラクトース(乳糖)などのほか、これらを材料に酵素の働きを利用してできた高分子化合物で、デンプンやグリコーゲンのように生物のエネルギー源になるもの、セルロースやペクチンのように植物の骨格材料として存在するものなど、数多くの種類がある。
単糖類や少糖類、多糖類には、それぞれに異なった健康機能性がある。食物として摂取した糖質は消化酵素によって最小単位の単糖にまで分解され、小腸壁で吸収される。これらの単糖は門脈を経て肝臓に運ばれ、すべてがグルコースに変えられてエネルギー源となり、一部はグリコーゲン(多糖)に合成されて貯蔵される。また、中性脂肪やアミノ酸に変えられ、貯蔵エネルギーやタンパク質の合成にも利用されている。このほか、一部の単糖はタンパク質などと結合して糖鎖の形になり、血液型の決定や免疫反応、細胞を識別する情報の担い手としても働いている。
少糖は主に甘味料の成分として利用されるが、近年新たに開発される各種オリゴ糖の中には、腸内の有用細菌を増殖させる作用や血糖値低下作用、歯の抗う蝕作用を持つものがある。
また多糖類の内、セルロースやペクチンなどはヒトの消化液では分解されず、消化も吸収もされないことから長らく栄養的に重要視されていなかったが、近年、これらの難消化性多糖類にコレステロールの上昇を抑制する作用や血糖値の上昇を抑える作用、腸の蠕動運動を活発化して排便を促進させる作用のあることがわかり、食物繊維として一躍注目されるようになった。
糖質は、デンプンや砂糖に代表される炭水化物(糖類)と、これに関連する有機化合物の総称で、植物や動物、菌類などに広く存在する物質である。
炭水化物は、炭素(C)・水素(H)・酸素(O)の3元素からなり、分子の構造が「炭素」と「水」が化合した「Cm(H2O)n」をしていることから、こう呼ばれている。従来は「糖=炭水化物」とされてきたが、糖の中には、多糖類のキチンのように窒素(N)を含み、炭水化物とは異なる構造を持つものも多数存在することがわかってきた。そのため現在は、炭水化物以外の糖も含め、それらを広く糖質として扱っている。
糖質は脂質・タンパク質と共に三大栄養素の一つであり、主に動物のエネルギー源として利用される。ショ糖やデンプンなど、小腸で消化吸収される糖質1gから得られるエネルギー(熱量)は約4kcalである。これに対し、難消化性オリゴ糖や食物繊維(多糖類)などは消化吸収されずに大腸へ達し、腸内細菌による発酵をうけて短鎖脂肪酸を生産し、0~2kcalのエネルギーとなる。「日本人の食事摂取基準・2005年度版」では、成人が1日に必要とするエネルギー量は、中程度の身体活動レベルで男性が2400~2650kcal、女性が1950~2050kcalとされ、この内、50~70%を糖質(炭水化物)から摂取することを目標量としている。
糖質は単糖類・少糖類・多糖類に分類される。単糖は分子構造的にこれ以上分解されない最小単位の糖で、グルコース(ブドウ糖)やフルクトース(果糖)などがある。少糖は単糖が2~10個程度結合したもので、オリゴ糖とも呼ばれる。スクロース(ショ糖)やマルトース(麦芽糖)、ラクトース(乳糖)などのほか、これらを材料に酵素の働きを利用してできた高分子化合物で、デンプンやグリコーゲンのように生物のエネルギー源になるもの、セルロースやペクチンのように植物の骨格材料として存在するものなど、数多くの種類がある。
単糖類や少糖類、多糖類には、それぞれに異なった健康機能性がある。食物として摂取した糖質は消化酵素によって最小単位の単糖にまで分解され、小腸壁で吸収される。これらの単糖は門脈を経て肝臓に運ばれ、すべてがグルコースに変えられてエネルギー源となり、一部はグリコーゲン(多糖)に合成されて貯蔵される。また、中性脂肪やアミノ酸に変えられ、貯蔵エネルギーやタンパク質の合成にも利用されている。このほか、一部の単糖はタンパク質などと結合して糖鎖の形になり、血液型の決定や免疫反応、細胞を識別する情報の担い手としても働いている。
少糖は主に甘味料の成分として利用されるが、近年新たに開発される各種オリゴ糖の中には、腸内の有用細菌を増殖させる作用や血糖値低下作用、歯の抗う蝕作用を持つものがある。
また多糖類の内、セルロースやペクチンなどはヒトの消化液では分解されず、消化も吸収もされないことから長らく栄養的に重要視されていなかったが、近年、これらの難消化性多糖類にコレステロールの上昇を抑制する作用や血糖値の上昇を抑える作用、腸の蠕動運動を活発化して排便を促進させる作用のあることがわかり、食物繊維として一躍注目されるようになった。
水曜日, 9月 07, 2011
ハーブティー(3)
○フィールドポピーティー
フィールドポピーはケシ科の一年草で、学名はPapaver rhoeas。ドイツやフランスの麦畑や道路端に焔のような真っ赤な色で咲くので、コーンポピー(麦のケシ)とも呼ばれている。この花びらを乾燥させたつくるフィールドポピーティーには鎮静作用があり、飲むと”安眠が約束される”といわれている。アヘンを含むケシとは別種なので、危険も心配もなく、従って栽培はまったく自由。のどの痛みや咳にも効果がある。
○サフラワーティー
サフラワーはキク科の一年草で、学名はCarthamus tinctorius。日本では紅花として知られている。古くから優れた染料や薬として利用されてきた花弁がハーブティーとしても利用される。花は咲き始めは黄色だが、しだいに橙色から紅色に変わる。橙色の頃に花柄ごと切り取って干し、乾燥したところで花びらだけを抜き取ってお茶のように用いる。サフランと同様の明るい黄色で、香りもよく似たハーブティーができ、効能もそれに似て鎮静・鎮痛・通経などである。
フィールドポピーはケシ科の一年草で、学名はPapaver rhoeas。ドイツやフランスの麦畑や道路端に焔のような真っ赤な色で咲くので、コーンポピー(麦のケシ)とも呼ばれている。この花びらを乾燥させたつくるフィールドポピーティーには鎮静作用があり、飲むと”安眠が約束される”といわれている。アヘンを含むケシとは別種なので、危険も心配もなく、従って栽培はまったく自由。のどの痛みや咳にも効果がある。
○サフラワーティー
サフラワーはキク科の一年草で、学名はCarthamus tinctorius。日本では紅花として知られている。古くから優れた染料や薬として利用されてきた花弁がハーブティーとしても利用される。花は咲き始めは黄色だが、しだいに橙色から紅色に変わる。橙色の頃に花柄ごと切り取って干し、乾燥したところで花びらだけを抜き取ってお茶のように用いる。サフランと同様の明るい黄色で、香りもよく似たハーブティーができ、効能もそれに似て鎮静・鎮痛・通経などである。
火曜日, 9月 06, 2011
ハーブティー(2)
○サフランティー
サフランは南ヨーロッパを原産とするアヤメ科の多年草で、学名はCrocus sativus。真っ赤な花柱はパエリヤやブイヤベースなど地中海料理の着色や風味づけに使われる。此花の雌しべの先(柱頭)だけを摘み取り乾燥させたものがハーブのサフランで、カップに3~6本入れて湯を注ぐだけで明るい黄色のサフランティーができあがる。香りは婦人薬の中将湯に似ており、効果も同じように血の道症・不眠・イライラ・肩こり・のぼせ・頭痛などの不定愁訴に効き、駆お血作用があるとされる。
○ミントティー
ミントはシソ科の多年草で、日本ではハッカ(薄荷)という。葉に精油成分(メントール)が含まれ、古くから発汗・解熱・健胃の生薬として用いられたきたほか、胃腸薬や各種内服用製剤、軟膏などにも広く利用されている。精油成分のやや少ないペパーミント(学名はMentha piperita)やスペアミント(学名はMentha spicata)などの種類が、スッキリした清涼が好まれてハーブティーに利用される。中世ヨーロッパでは、紅茶は特権階級のもので一般庶民が飲むことは禁じられていたが、ハーブティーは飲用を許されていたので、人々はミントティーやカモマイルティーをそれぞれ、”サンタマリア・ティー”とか”ノートルダム・ティー”などと称して飲んでいたという。
○ハイビスカスティー
ハイビスカスはアオイ科の常緑低木で多くの種類があるが、ハーブティーに使われるのはアフリカ原産のサブダリハ(学名Hibiscus sabdariffa)と呼ばれる種類である。これはハワイや沖縄などで観賞用にゴージャスな赤い花を咲かす種類とは異なり、花は小さく貧弱だが、その花(というより萼)を干したものを使う。お茶のように入れると、爽やかな酸味と鮮やかな紅色の飲料となる。疲労回復、造血作用などの効用があり、欧米ではスポーツ選手に愛飲者が多い。クセがないので誰にでも喜ばれ、シャーベットやゼリーにも使われるほか、東南アジアでは葉も一種にサラダや漬物(日本の梅干や赤ジソのように)として利用されている。
サフランは南ヨーロッパを原産とするアヤメ科の多年草で、学名はCrocus sativus。真っ赤な花柱はパエリヤやブイヤベースなど地中海料理の着色や風味づけに使われる。此花の雌しべの先(柱頭)だけを摘み取り乾燥させたものがハーブのサフランで、カップに3~6本入れて湯を注ぐだけで明るい黄色のサフランティーができあがる。香りは婦人薬の中将湯に似ており、効果も同じように血の道症・不眠・イライラ・肩こり・のぼせ・頭痛などの不定愁訴に効き、駆お血作用があるとされる。
○ミントティー
ミントはシソ科の多年草で、日本ではハッカ(薄荷)という。葉に精油成分(メントール)が含まれ、古くから発汗・解熱・健胃の生薬として用いられたきたほか、胃腸薬や各種内服用製剤、軟膏などにも広く利用されている。精油成分のやや少ないペパーミント(学名はMentha piperita)やスペアミント(学名はMentha spicata)などの種類が、スッキリした清涼が好まれてハーブティーに利用される。中世ヨーロッパでは、紅茶は特権階級のもので一般庶民が飲むことは禁じられていたが、ハーブティーは飲用を許されていたので、人々はミントティーやカモマイルティーをそれぞれ、”サンタマリア・ティー”とか”ノートルダム・ティー”などと称して飲んでいたという。
○ハイビスカスティー
ハイビスカスはアオイ科の常緑低木で多くの種類があるが、ハーブティーに使われるのはアフリカ原産のサブダリハ(学名Hibiscus sabdariffa)と呼ばれる種類である。これはハワイや沖縄などで観賞用にゴージャスな赤い花を咲かす種類とは異なり、花は小さく貧弱だが、その花(というより萼)を干したものを使う。お茶のように入れると、爽やかな酸味と鮮やかな紅色の飲料となる。疲労回復、造血作用などの効用があり、欧米ではスポーツ選手に愛飲者が多い。クセがないので誰にでも喜ばれ、シャーベットやゼリーにも使われるほか、東南アジアでは葉も一種にサラダや漬物(日本の梅干や赤ジソのように)として利用されている。
日曜日, 9月 04, 2011
ハーブティー(1)
○ローズティー
ローズティーには、①バラの花の実を利用したローズヒップティーといわれるもの、②中国産の球塊(メイグァイ)という日本のハマナスに似たバラの花弁や、西洋の大型のバラの花弁を乾かしてお茶の葉のようにして飲むもの、③紅茶や中国茶に花弁を混ぜ合わせて、その香りを移して飲むもの、の3種類がある。
最近、女性の間で人気が高いローズヒップティー(rosehip tea)は、バラ科のドッグローズ(dog rose、学名はRosa camina)の実(ヒップ)を干して砕き、お湯を注いでつくるハーブティーである。ドイツなど北ヨーロッパで冬の間ビタミンC不足から起きる病気を防ぐ(経験上)ため愛飲していたもので、”北国のレモン”ともいわれる。ドイツではこのバラの実にカルカーデ(ハイビスカス)を配合して飲んでいる。
○カモマイルティー
カモマイルはヨーロッパ原産のキク科シカギク属の一年草で、学名はMatricaria recutita。カモミール(仏)、カミツレ(蘭)ともいう。小さな花を摘んで乾燥させハーブティーとして利用する。カモマイルには大型のジャーマン種と小型のローマン種という異なる種があるが、効能もよく似ているため普通は問題とされない。独特の香りが好悪を分けるが、風邪の初期(喉や鼻の痛み)には非常によく効き、昔から”医者の草”と呼ばれ、医療用ハーブとしても長い歴史がある。
発汗を促し、頭痛など各種の痛みを和らげるなど効能が多いが、女性に特有の諸症状にもよく効くので、ドイツでは”ムッテル(母)のクロイター(薬草)”と呼ばれる。北欧系女性の金髪が美しいのは、このティーでリンスするからだとも言われている。他の多くのハーブ同様、お茶やコーヒーとは逆に鎮静作用があり、就寝前に飲むと睡眠誘導効果もあるので、グッドナイト・ティーという別名もある。
ローズティーには、①バラの花の実を利用したローズヒップティーといわれるもの、②中国産の球塊(メイグァイ)という日本のハマナスに似たバラの花弁や、西洋の大型のバラの花弁を乾かしてお茶の葉のようにして飲むもの、③紅茶や中国茶に花弁を混ぜ合わせて、その香りを移して飲むもの、の3種類がある。
最近、女性の間で人気が高いローズヒップティー(rosehip tea)は、バラ科のドッグローズ(dog rose、学名はRosa camina)の実(ヒップ)を干して砕き、お湯を注いでつくるハーブティーである。ドイツなど北ヨーロッパで冬の間ビタミンC不足から起きる病気を防ぐ(経験上)ため愛飲していたもので、”北国のレモン”ともいわれる。ドイツではこのバラの実にカルカーデ(ハイビスカス)を配合して飲んでいる。
○カモマイルティー
カモマイルはヨーロッパ原産のキク科シカギク属の一年草で、学名はMatricaria recutita。カモミール(仏)、カミツレ(蘭)ともいう。小さな花を摘んで乾燥させハーブティーとして利用する。カモマイルには大型のジャーマン種と小型のローマン種という異なる種があるが、効能もよく似ているため普通は問題とされない。独特の香りが好悪を分けるが、風邪の初期(喉や鼻の痛み)には非常によく効き、昔から”医者の草”と呼ばれ、医療用ハーブとしても長い歴史がある。
発汗を促し、頭痛など各種の痛みを和らげるなど効能が多いが、女性に特有の諸症状にもよく効くので、ドイツでは”ムッテル(母)のクロイター(薬草)”と呼ばれる。北欧系女性の金髪が美しいのは、このティーでリンスするからだとも言われている。他の多くのハーブ同様、お茶やコーヒーとは逆に鎮静作用があり、就寝前に飲むと睡眠誘導効果もあるので、グッドナイト・ティーという別名もある。
土曜日, 9月 03, 2011
色々な健康茶(3)
○南天茶
南天はメギ科の常緑灌木で、別名を南天竹、南天燭という。生薬名は南天実。”難を転じて福にする”という縁起から広く親しまれ、例えば赤飯に南天の葉が添えられているのは、「食中毒の心配はありません」ということからである。
主な成分はナンジニン、アセトン、ベルベリンで、果実にはアルカロイドのドメスチンが含まれている。ドメスチンは咳止め作用のある成分として知られている。効用と用い方は、①痛風、脚気(根を煎じて飲む)、②咳、扁桃腺炎、口内炎、咽頭炎(葉と実を濃く煎じて飲む)、③疲れ目、視力強化、白内障(果実を煎じて飲む)、④やけど、腫れ物、蜂刺され(葉の生汁を塗る)、⑤食あたり、魚の中毒(葉を噛んでいると毒物を吐く)などである。
○苦丁茶
苦丁茶は中国の南部、及び西部で保健茶として飲用されている茶で、独特の苦味と清涼感を特徴とする。中国でも茶の中では生産量が少なく、大変貴重な高級茶とされる。場所によって、モクセイ科、オトギリソウ科、モチノキ科、ムラサキ科、バラ科などさまざまな植物の葉を用いて作られている。
四川省産の苦丁茶には、清熱、降圧、防暑の効あり、雲南省の苦丁茶には、防暑、消炎、増智、抗疲労等の効ありとされる。また四川省さんなどのLigustrum属植物を基原とする苦丁茶中には、モノテルペンやフェニルエタノイド配糖体が含まれ、特にモノテルペン配糖体にはコレステロールの吸収や生合成に関与するACATという酵素の阻害作用があることが報告されており、血中脂質改善効果が期待されている。
南天はメギ科の常緑灌木で、別名を南天竹、南天燭という。生薬名は南天実。”難を転じて福にする”という縁起から広く親しまれ、例えば赤飯に南天の葉が添えられているのは、「食中毒の心配はありません」ということからである。
主な成分はナンジニン、アセトン、ベルベリンで、果実にはアルカロイドのドメスチンが含まれている。ドメスチンは咳止め作用のある成分として知られている。効用と用い方は、①痛風、脚気(根を煎じて飲む)、②咳、扁桃腺炎、口内炎、咽頭炎(葉と実を濃く煎じて飲む)、③疲れ目、視力強化、白内障(果実を煎じて飲む)、④やけど、腫れ物、蜂刺され(葉の生汁を塗る)、⑤食あたり、魚の中毒(葉を噛んでいると毒物を吐く)などである。
○苦丁茶
苦丁茶は中国の南部、及び西部で保健茶として飲用されている茶で、独特の苦味と清涼感を特徴とする。中国でも茶の中では生産量が少なく、大変貴重な高級茶とされる。場所によって、モクセイ科、オトギリソウ科、モチノキ科、ムラサキ科、バラ科などさまざまな植物の葉を用いて作られている。
四川省産の苦丁茶には、清熱、降圧、防暑の効あり、雲南省の苦丁茶には、防暑、消炎、増智、抗疲労等の効ありとされる。また四川省さんなどのLigustrum属植物を基原とする苦丁茶中には、モノテルペンやフェニルエタノイド配糖体が含まれ、特にモノテルペン配糖体にはコレステロールの吸収や生合成に関与するACATという酵素の阻害作用があることが報告されており、血中脂質改善効果が期待されている。
金曜日, 9月 02, 2011
色々な健康茶(2)
○露草茶(つゆくさちゃ)
ツユクサはツユクサ科の一年草で、別名はボウシバナ、アイバナ、ホタルグサ。ツユクサの青い色素は、友禅や絞り染めの下絵を書くのに用いられる。花、茎、葉、根の全てが薬用になり、主な成分としては青色素のデルフィニジン、コンメリニン、タンニンなどが含まれる。その効用は、①心臓病、腎臓病、下痢、むくみ、尿閉塞、発熱、喘息、神経痛(全草を煎じて飲む)、②動悸、息切れ、胎毒、肥満(葉と茎と葉で青汁を作って飲む)、③咽頭炎、扁桃腺炎(煎じ汁でうがいをする)、④結膜炎(絞り汁で目を洗う)、痔(花弁を揉んで貼る)、腫れ物、毒虫指され、口内炎(花と葉の搾り汁をつける)などとされる。
○萩茶(はぎちゃ)
ハギはマメ科の亜灌木植物で、良く芽を出すことか生芽の別名がある。ススキと共に秋を代表とする草で、秋の七草の一つに数えられている。葉を刻んで乾燥させたものを煎じて常飲すると、めまい、のぼせ、ノイローゼ、咳、腫れ物などに効用がある。
○雪の下茶(ゆきのしたちゃ)
ユキノシタはユキノシタ科の常緑多年草で、生由来は雪の下にあっても青々としているところからきている。別名は鴨脚草。生薬名の虎耳草は葉の形が虎の耳に似ていることから。主な成分としてベルゲニン、クロロゲン酸などの配糖体を含んでいる。その効用は幅広く、①心臓病、腎臓病、むくみ(生葉20枚位を煎じてお茶代わりに飲む)、②咳、風邪(葉を10gと甘草2gを煎じて飲む)、③顔面神経痛(キャベツ、大根の葉タンポポの青汁に加えて少量を毎日飲む)、④小児病、百日咳、ひきつけ(葉の絞り汁を飲む)、⑤のぼせ、めまい(葉の青汁を盃に1杯ずつ飲む)などとされている。
ツユクサはツユクサ科の一年草で、別名はボウシバナ、アイバナ、ホタルグサ。ツユクサの青い色素は、友禅や絞り染めの下絵を書くのに用いられる。花、茎、葉、根の全てが薬用になり、主な成分としては青色素のデルフィニジン、コンメリニン、タンニンなどが含まれる。その効用は、①心臓病、腎臓病、下痢、むくみ、尿閉塞、発熱、喘息、神経痛(全草を煎じて飲む)、②動悸、息切れ、胎毒、肥満(葉と茎と葉で青汁を作って飲む)、③咽頭炎、扁桃腺炎(煎じ汁でうがいをする)、④結膜炎(絞り汁で目を洗う)、痔(花弁を揉んで貼る)、腫れ物、毒虫指され、口内炎(花と葉の搾り汁をつける)などとされる。
○萩茶(はぎちゃ)
ハギはマメ科の亜灌木植物で、良く芽を出すことか生芽の別名がある。ススキと共に秋を代表とする草で、秋の七草の一つに数えられている。葉を刻んで乾燥させたものを煎じて常飲すると、めまい、のぼせ、ノイローゼ、咳、腫れ物などに効用がある。
○雪の下茶(ゆきのしたちゃ)
ユキノシタはユキノシタ科の常緑多年草で、生由来は雪の下にあっても青々としているところからきている。別名は鴨脚草。生薬名の虎耳草は葉の形が虎の耳に似ていることから。主な成分としてベルゲニン、クロロゲン酸などの配糖体を含んでいる。その効用は幅広く、①心臓病、腎臓病、むくみ(生葉20枚位を煎じてお茶代わりに飲む)、②咳、風邪(葉を10gと甘草2gを煎じて飲む)、③顔面神経痛(キャベツ、大根の葉タンポポの青汁に加えて少量を毎日飲む)、④小児病、百日咳、ひきつけ(葉の絞り汁を飲む)、⑤のぼせ、めまい(葉の青汁を盃に1杯ずつ飲む)などとされている。
木曜日, 9月 01, 2011
色々な健康茶(1)
○女郎花茶(おみなえし茶)
オミナエシ(女郎花)はオミナエシ科の多年草で、日当たりの良い草原に自生する。血眼草という別名もある。秋の七草の一つである。根を煎じて飲む。含有成分にはオレアノール酸を含み、大阪大学薬理学部が敗醤根(オミナエシの根の生薬名)の制ガン作用について研究発表をしている。その効用は①制ガン作用のほか、鼻血、むくみ、肺脳腫、胆のう炎、婦人のお血、こしけ、腫れ物(根の煎じ汁を服用する)、②眼病、充血(根の煎じ液で洗眼するとよい、血眼草ともいわれるのはこのため)などとされる。
○薊茶(あざみ茶)
アザミ(薊)はキク科の多年草で、葉や総苞には棘がある。触れると痛い目にあい、”欺かれる”ことからこの名がついた。別名はチジリソウ。根を煎じて飲む。主な成分としてクロロゲン酸を含み、これはコーヒー豆中でカフェインと結合している物質である。効用は胃腸病、浮腫、夜尿症のほか、化膿性疾患(根と葉をつぶして患部に貼ると痛み止めになる)などである。
○撫子茶(なでしこ茶)
ナデシコはナデシコ科の多年草で、別名はカワラナデシコ。秋の七草の一つである。主な成分として、根にトリテルペノイドのギプソゲニン酸という配糖体が含まれている。効用は、①むくみ、生理不順(種子10gを水400mlを水40mlで半分になるまで煎じて1日3回飲む)、②膀胱炎(全草を刻んで煎じて飲む)などとされる。
オミナエシ(女郎花)はオミナエシ科の多年草で、日当たりの良い草原に自生する。血眼草という別名もある。秋の七草の一つである。根を煎じて飲む。含有成分にはオレアノール酸を含み、大阪大学薬理学部が敗醤根(オミナエシの根の生薬名)の制ガン作用について研究発表をしている。その効用は①制ガン作用のほか、鼻血、むくみ、肺脳腫、胆のう炎、婦人のお血、こしけ、腫れ物(根の煎じ汁を服用する)、②眼病、充血(根の煎じ液で洗眼するとよい、血眼草ともいわれるのはこのため)などとされる。
○薊茶(あざみ茶)
アザミ(薊)はキク科の多年草で、葉や総苞には棘がある。触れると痛い目にあい、”欺かれる”ことからこの名がついた。別名はチジリソウ。根を煎じて飲む。主な成分としてクロロゲン酸を含み、これはコーヒー豆中でカフェインと結合している物質である。効用は胃腸病、浮腫、夜尿症のほか、化膿性疾患(根と葉をつぶして患部に貼ると痛み止めになる)などである。
○撫子茶(なでしこ茶)
ナデシコはナデシコ科の多年草で、別名はカワラナデシコ。秋の七草の一つである。主な成分として、根にトリテルペノイドのギプソゲニン酸という配糖体が含まれている。効用は、①むくみ、生理不順(種子10gを水400mlを水40mlで半分になるまで煎じて1日3回飲む)、②膀胱炎(全草を刻んで煎じて飲む)などとされる。
水曜日, 8月 31, 2011
色々な菌株(4)
○ヤクルト菌
ヤクルト本社が保有する乳酸菌で、正式な菌名はラクトバチルス・カゼイ・シロタ株(Lactobacillus casei Shirota)。1930年年に代田稔(京都帝国大学医学部微生物学教室)が世界で初めて培養に成功した人腸乳酸菌で、35年には同菌を使用した乳酸菌飲料ヤクルトが発売されている。ヤクルト菌には、腸の蠕動運動を高める、有害菌の増殖を抑える、免疫力を維持する働きが認められている。
○K-1菌
亀田製菓が2001年に、日本で初めて米から分離して開発した植物性乳酸菌。正式な名称は菌名はラクトバチルス・カゼイ・カメダ1株(Lactobaciluss casei KAMEDA-1)。日本人の食生活をモデル化した腸内栄養成分で増殖し、胃液に耐えて腸まで届くことが実験で確かめられており、植物性食品を多くとってきた日本人の胃腸によくフィットするのが特徴である。
K-1菌には、整腸作用のほか、細胞の突然変異を抑える抗変異原性のあることが、同社と東京農業大学菌株保存室の共同研究で明らかにされている(日本農芸化学会2001年度大会で発表)。同研究によると、K-1菌は5種類の発ガン物質・変異原性物質を無毒化する働きに優れている。特定されたのは①4NQO(胃ガン、大腸ガンを誘発するガン原生物質)、②Trp-P1(肉や魚のコゲに含まれる変異原性物質)、③Trp-P2(同)、④2-AA(発ガン物質)、⑤MNNG(胃ガン、大腸ガンを発生させる発ガン物質)で、同菌が腸内でこれらと反応すると無毒化され、大腸ガンを予防する可能性があるという。K-1菌は、同社の「植物性乳酸菌ヨーグルト」に使われている。
ヤクルト本社が保有する乳酸菌で、正式な菌名はラクトバチルス・カゼイ・シロタ株(Lactobacillus casei Shirota)。1930年年に代田稔(京都帝国大学医学部微生物学教室)が世界で初めて培養に成功した人腸乳酸菌で、35年には同菌を使用した乳酸菌飲料ヤクルトが発売されている。ヤクルト菌には、腸の蠕動運動を高める、有害菌の増殖を抑える、免疫力を維持する働きが認められている。
○K-1菌
亀田製菓が2001年に、日本で初めて米から分離して開発した植物性乳酸菌。正式な名称は菌名はラクトバチルス・カゼイ・カメダ1株(Lactobaciluss casei KAMEDA-1)。日本人の食生活をモデル化した腸内栄養成分で増殖し、胃液に耐えて腸まで届くことが実験で確かめられており、植物性食品を多くとってきた日本人の胃腸によくフィットするのが特徴である。
K-1菌には、整腸作用のほか、細胞の突然変異を抑える抗変異原性のあることが、同社と東京農業大学菌株保存室の共同研究で明らかにされている(日本農芸化学会2001年度大会で発表)。同研究によると、K-1菌は5種類の発ガン物質・変異原性物質を無毒化する働きに優れている。特定されたのは①4NQO(胃ガン、大腸ガンを誘発するガン原生物質)、②Trp-P1(肉や魚のコゲに含まれる変異原性物質)、③Trp-P2(同)、④2-AA(発ガン物質)、⑤MNNG(胃ガン、大腸ガンを発生させる発ガン物質)で、同菌が腸内でこれらと反応すると無毒化され、大腸ガンを予防する可能性があるという。K-1菌は、同社の「植物性乳酸菌ヨーグルト」に使われている。
火曜日, 8月 30, 2011
色々な菌株(3)
○LC1菌
ネスレ中央研究所(スイス、ローザンヌ)で単離されたプロバイオティクス乳酸菌。正式な菌名はラクトバチルス・ジョンソニーLC1(Lactobacillus johnsonii LC1)。LC1菌は経口摂取によって腸壁に接着し、病原菌の物理的排除、抗菌物質の分泌、免疫細胞の活性化などに働く。胃のピロリ菌抑制にも有効である。同菌を使用したヨーグルトLC1を販売している。また、東京農業大学との共同でアレルギー症改善に関する研究も進めている。
○ロイテリ菌
スウェーデンのバイオガイア社が保有する乳酸菌で、正式な菌名はラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)。腸内でロイテリンという抗生物質を生産し、大腸菌やサルモネラ菌、ブドウ状球菌などの有害菌の繫殖を抑える作用がある。日本ではチチヤス乳業がライセンス契約により、自社の「ロイテリ菌ヨーグルト」に使用している。同社は広島大学歯学部付属病院の二川浩樹らのグループと共同で、ロイテリ菌の虫歯予防効果についての研究を行い、虫歯菌の発育を阻止する作用があることを明らかにしている。
ネスレ中央研究所(スイス、ローザンヌ)で単離されたプロバイオティクス乳酸菌。正式な菌名はラクトバチルス・ジョンソニーLC1(Lactobacillus johnsonii LC1)。LC1菌は経口摂取によって腸壁に接着し、病原菌の物理的排除、抗菌物質の分泌、免疫細胞の活性化などに働く。胃のピロリ菌抑制にも有効である。同菌を使用したヨーグルトLC1を販売している。また、東京農業大学との共同でアレルギー症改善に関する研究も進めている。
○ロイテリ菌
スウェーデンのバイオガイア社が保有する乳酸菌で、正式な菌名はラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)。腸内でロイテリンという抗生物質を生産し、大腸菌やサルモネラ菌、ブドウ状球菌などの有害菌の繫殖を抑える作用がある。日本ではチチヤス乳業がライセンス契約により、自社の「ロイテリ菌ヨーグルト」に使用している。同社は広島大学歯学部付属病院の二川浩樹らのグループと共同で、ロイテリ菌の虫歯予防効果についての研究を行い、虫歯菌の発育を阻止する作用があることを明らかにしている。
月曜日, 8月 29, 2011
色々な菌株(2)
○L-92乳酸菌
カルピスが開発したアレルギー改善作用のある乳酸菌。正式な名称はラクトバチルス・アシドフィルスCK92株(Lactobacillus acidophilus CK92)。同社が保有する2000種以上の菌の中から、アレルギーに関与する”Th1/Th2バランス”の改善効果が高い菌とした選び出された。ヒト試験による花粉症に対する改善作用に加え、ダニやハウスダストなどによる通年性アレルギー性鼻炎にも改善効果のあることが確認されている。「インターバランスL-92」シリーズとして、同社の清涼飲料水や乳酸菌飲料、サプリメントに使われている。
○LGG菌
フィンランドのバリオ者が保有する乳酸菌で、1985年にゴルバッハ(Gorbach)とゴルディン(Goldin)の2人の医学者によって発見された。正式な名称はラクトバチルス・ラムノーサスGG(Lactobacillus rhamnosus GG)。GGは発見者2人の頭文字からとられている。1997年に同社が、LGG菌によって乳幼児のアトピー性皮膚炎の症状が抑えられたという研究結果を発表し、乳酸菌の新機能としてアレルギー改善作用が世界的に注目され始めた。日本ではタカナシ乳業がライセンス契約により、自社のヨーグルトに使用している。同社は東京農業大学と共同で、アトピー性皮膚炎とT細胞との関連に着目してLGG菌の研究を進めており、LGG菌由来の物質がマウスT細胞の異常増殖を強力に抑えるという発表を行っている(2005年2月)。
カルピスが開発したアレルギー改善作用のある乳酸菌。正式な名称はラクトバチルス・アシドフィルスCK92株(Lactobacillus acidophilus CK92)。同社が保有する2000種以上の菌の中から、アレルギーに関与する”Th1/Th2バランス”の改善効果が高い菌とした選び出された。ヒト試験による花粉症に対する改善作用に加え、ダニやハウスダストなどによる通年性アレルギー性鼻炎にも改善効果のあることが確認されている。「インターバランスL-92」シリーズとして、同社の清涼飲料水や乳酸菌飲料、サプリメントに使われている。
○LGG菌
フィンランドのバリオ者が保有する乳酸菌で、1985年にゴルバッハ(Gorbach)とゴルディン(Goldin)の2人の医学者によって発見された。正式な名称はラクトバチルス・ラムノーサスGG(Lactobacillus rhamnosus GG)。GGは発見者2人の頭文字からとられている。1997年に同社が、LGG菌によって乳幼児のアトピー性皮膚炎の症状が抑えられたという研究結果を発表し、乳酸菌の新機能としてアレルギー改善作用が世界的に注目され始めた。日本ではタカナシ乳業がライセンス契約により、自社のヨーグルトに使用している。同社は東京農業大学と共同で、アトピー性皮膚炎とT細胞との関連に着目してLGG菌の研究を進めており、LGG菌由来の物質がマウスT細胞の異常増殖を強力に抑えるという発表を行っている(2005年2月)。
日曜日, 8月 28, 2011
色々な菌株(1)
○LG21菌
明治乳業が東海大学医学部の古賀泰裕らとの共同開発で開発した乳酸菌。正式な名称はラクトバチルス・ガッセリOLL2716(Lactobacillus gasseri OLL2716)。経口投与によるヒト試験を実施し、同菌が胃のピロリ菌を減少させることを確認している。LG21菌は同社が保有する約200種類のラクトバチルス属乳酸菌から選ばれたもので、①低栄養条件下でも増殖力が強いこと、②乳酸生産力が高いこと、③胃上皮細胞への接着が可能なこと、④耐酸性が優れていること、⑤人体に安全であることの5項目を満たし、さらにピロリ菌を減らす効果が最も高かった菌である。同社の「プロビオヨーグルトLG21」に使われており、機能性ヨーグルトとして人気がある。
○KW乳酸菌
キリンビールフロンティア技術研究所が昭和女子大学大学院生活機構研究かと共同で開発した乳酸菌。正式な名称はラクトバチルス・パラカゼイKW3110(Lactobacillus paracasei KW3110)。ヒトによる摂取試験で花粉症の改善効果が確認されている。花粉症アレルギーには、2タイプのヘルパーT細胞(Th1とTh2)が関係しており、アレルギー状態のときは両者のバランス崩れ、Th1が減少し、Th2が上昇するといわれている。
KW乳酸菌は、グループ企業の小岩井乳業が保有する100種類以上の乳酸菌の中から、”Th1/Th2バランス”の改善効果が高い菌として選び出された。小岩井乳業の「小岩井KW乳酸菌ヨーグルト」、キリンウェルネスフーズの健康食品「ノアレ」、キリンビバレッジの清涼飲料水「体質水」などに使われている。
明治乳業が東海大学医学部の古賀泰裕らとの共同開発で開発した乳酸菌。正式な名称はラクトバチルス・ガッセリOLL2716(Lactobacillus gasseri OLL2716)。経口投与によるヒト試験を実施し、同菌が胃のピロリ菌を減少させることを確認している。LG21菌は同社が保有する約200種類のラクトバチルス属乳酸菌から選ばれたもので、①低栄養条件下でも増殖力が強いこと、②乳酸生産力が高いこと、③胃上皮細胞への接着が可能なこと、④耐酸性が優れていること、⑤人体に安全であることの5項目を満たし、さらにピロリ菌を減らす効果が最も高かった菌である。同社の「プロビオヨーグルトLG21」に使われており、機能性ヨーグルトとして人気がある。
○KW乳酸菌
キリンビールフロンティア技術研究所が昭和女子大学大学院生活機構研究かと共同で開発した乳酸菌。正式な名称はラクトバチルス・パラカゼイKW3110(Lactobacillus paracasei KW3110)。ヒトによる摂取試験で花粉症の改善効果が確認されている。花粉症アレルギーには、2タイプのヘルパーT細胞(Th1とTh2)が関係しており、アレルギー状態のときは両者のバランス崩れ、Th1が減少し、Th2が上昇するといわれている。
KW乳酸菌は、グループ企業の小岩井乳業が保有する100種類以上の乳酸菌の中から、”Th1/Th2バランス”の改善効果が高い菌として選び出された。小岩井乳業の「小岩井KW乳酸菌ヨーグルト」、キリンウェルネスフーズの健康食品「ノアレ」、キリンビバレッジの清涼飲料水「体質水」などに使われている。
土曜日, 8月 27, 2011
酢酸菌
○酢酸菌
エタノール(エチルアルコール)を酸化させて酢酸を生成することでエネルギーを獲得している好気性細菌(バクテリア)の総称で、自然界では花や果実に多く存在している。アルコールと酸素から酢酸を生産する代謝を酢酸発酵という。酢酸は食酢の主成分である。
食酢は穀類や果実を原料に、酵母によるアルコール発酵で酒をつくり、その後、酢酸菌でアルコールを分解する2段階発酵で作られる。だが、酢酸発酵は好気性で酸素を必要とする。酢の醸造に使われる酢酸菌はアルコールの分解能が高いアセトバクター属(Acetobacter)の菌で、アセトバクター・アセチ(A.aceti)やアセトバクター・シューゼンバチイ(A.schuezenbachii)がある。酢酸菌はまた、ソルビトール(糖アルコール)を原料としたビタミンCの生産や、ココナッツ果汁から作られるナタ・デ・ココにも使われている。
エタノール(エチルアルコール)を酸化させて酢酸を生成することでエネルギーを獲得している好気性細菌(バクテリア)の総称で、自然界では花や果実に多く存在している。アルコールと酸素から酢酸を生産する代謝を酢酸発酵という。酢酸は食酢の主成分である。
食酢は穀類や果実を原料に、酵母によるアルコール発酵で酒をつくり、その後、酢酸菌でアルコールを分解する2段階発酵で作られる。だが、酢酸発酵は好気性で酸素を必要とする。酢の醸造に使われる酢酸菌はアルコールの分解能が高いアセトバクター属(Acetobacter)の菌で、アセトバクター・アセチ(A.aceti)やアセトバクター・シューゼンバチイ(A.schuezenbachii)がある。酢酸菌はまた、ソルビトール(糖アルコール)を原料としたビタミンCの生産や、ココナッツ果汁から作られるナタ・デ・ココにも使われている。
金曜日, 8月 26, 2011
麹菌
○麹菌
麹をつくる際に使用されるカビ(黴)で、コウジカビともいう。わが国で使われているのは子嚢菌類のアスペルギルス属(Aspergillus)のカビである。分生子(胞子)の色の違いから黄麹菌、黒麹菌、白麹菌がある。一方、他のアジア圏ではリゾープス属(Rhizopus)やムコール属(Mucor)のカビが使われている。
※黄麹菌
分生子(胞子)の色が黄色のためこう呼ばれる。わが国で最も多く使われている麹菌で、デンプン分解酵素(α-アミラーゼなど)やタンパク質分解酵素(プロテアーゼなど)の生産性が高い。清酒や味噌、醤油、味醂など、ほとんどの発酵食品に使われるアスペルギルス・オリゼ(A.oryzae)、主に醤油の醸造に使われるアスペルギルス・ソーヤ(A.aojae)がある。A・オリゼは酵素剤の製造にも古くから使われている。1909年、科学者の高嶺譲吉によって小麦フスマから抽出されたタカヂアスターゼは、工業的につくられた世界初酵素剤である。
※黒麹菌
分生子の色が黒色のためこう呼ばれる。代表的なものに沖縄で泡盛の製造に使われているアスペルギルス・アワモリ(A.awamori)がある。クエン酸の産生能が高く、もろみが酸性状態で維持されるので雑菌の繁殖防止につながり、高温地域での酒造りに適している。泡盛醪の残渣からつくられる琉球もろみ酢はクエン酸を大量に含んだ健康飲料である。
※白麹菌
黒麹菌の変異株で、分生子の色が白色に近いためこう呼ばれる。九州地方で焼酎製造に使われているアスペルギルス・カワチ(A.kawachii)、アスペルギルス・シロウサミ(A.shirousamii)がある。
麹をつくる際に使用されるカビ(黴)で、コウジカビともいう。わが国で使われているのは子嚢菌類のアスペルギルス属(Aspergillus)のカビである。分生子(胞子)の色の違いから黄麹菌、黒麹菌、白麹菌がある。一方、他のアジア圏ではリゾープス属(Rhizopus)やムコール属(Mucor)のカビが使われている。
※黄麹菌
分生子(胞子)の色が黄色のためこう呼ばれる。わが国で最も多く使われている麹菌で、デンプン分解酵素(α-アミラーゼなど)やタンパク質分解酵素(プロテアーゼなど)の生産性が高い。清酒や味噌、醤油、味醂など、ほとんどの発酵食品に使われるアスペルギルス・オリゼ(A.oryzae)、主に醤油の醸造に使われるアスペルギルス・ソーヤ(A.aojae)がある。A・オリゼは酵素剤の製造にも古くから使われている。1909年、科学者の高嶺譲吉によって小麦フスマから抽出されたタカヂアスターゼは、工業的につくられた世界初酵素剤である。
※黒麹菌
分生子の色が黒色のためこう呼ばれる。代表的なものに沖縄で泡盛の製造に使われているアスペルギルス・アワモリ(A.awamori)がある。クエン酸の産生能が高く、もろみが酸性状態で維持されるので雑菌の繁殖防止につながり、高温地域での酒造りに適している。泡盛醪の残渣からつくられる琉球もろみ酢はクエン酸を大量に含んだ健康飲料である。
※白麹菌
黒麹菌の変異株で、分生子の色が白色に近いためこう呼ばれる。九州地方で焼酎製造に使われているアスペルギルス・カワチ(A.kawachii)、アスペルギルス・シロウサミ(A.shirousamii)がある。
木曜日, 8月 25, 2011
麹
○麹
麹は、米や麦、豆などの穀物、その副産物のフスマや糠などにカビの一種である麹菌を繁殖させたもので、デンプンを糖化(分解)させる作用を持つ。原料となる穀物の違いで、米麹、麦麹、豆麹があり、酒類のほか、味噌や醤油の醸造にも使われる。
清酒や焼酎、ビールなどのアルコール発酵に使われる酵母(サッカロミセス・セレビシュ)は、デンプンなどの多糖類をそのまま利用することができない。例えば、清酒造りでは蒸米が原料となるが、デンプンを小糖類に分解する酵素が必要である。この役割を担っているのが麹である。ビールの醸造では、原料となる麦を水に浸けて発芽させることで酵素活性を高め、マルトース(麦芽糖)にまで分解された麦芽を利用する。一般に、清酒や焼酎などアジアの酒造りでは麹が、ビールやウイスキーなどヨーロッパの酒造りには麦芽が使われている。
麹は、米や麦、豆などの穀物、その副産物のフスマや糠などにカビの一種である麹菌を繁殖させたもので、デンプンを糖化(分解)させる作用を持つ。原料となる穀物の違いで、米麹、麦麹、豆麹があり、酒類のほか、味噌や醤油の醸造にも使われる。
清酒や焼酎、ビールなどのアルコール発酵に使われる酵母(サッカロミセス・セレビシュ)は、デンプンなどの多糖類をそのまま利用することができない。例えば、清酒造りでは蒸米が原料となるが、デンプンを小糖類に分解する酵素が必要である。この役割を担っているのが麹である。ビールの醸造では、原料となる麦を水に浸けて発芽させることで酵素活性を高め、マルトース(麦芽糖)にまで分解された麦芽を利用する。一般に、清酒や焼酎などアジアの酒造りでは麹が、ビールやウイスキーなどヨーロッパの酒造りには麦芽が使われている。
水曜日, 8月 24, 2011
色々な茸食品(5)
○雪割茸(ゆきわりだけ)
セリカの阿魏の根茎に、新種の菌糸を植えつけて栽培される比較的新しいキノコである。傘の直径が5~15cmの扁半球形で裏側は扇形をしており、表面は光沢があり肉は白色。茎の長さは2~6cm、太さは1~3.5cmほどである。原産地の中国では山鮑茸、白霊茹と呼ばれている。わが国では、雪のように白いことから雪割茸と命名された。
ハマグリの形に似ているため、ハマグリ茸ともいわれる。香りがよく柔らかで栄養価が高いことから広く食用に供されており、ステーキやすき焼きにしても美味と人気がある。豊富なβ-グルカンを含み(100g中23.7mg)、抗がん活性も期待されている。
○編笠茸(あみがさたけ)
アミガサタケ科の茸で、学名はmorchella esculenta。中国名は羊肚菌。春に林や草地に発生する。頭部が卵上の円錐形で、表面に網目状のでこぼこがある。傘は灰褐色から黄褐色で高さは7~15cm位。内部は空洞になっている。味がよく、バター炒めやスープなどに使われ、ヨーロッパでもよく食べられているキノコである。漢方では消化不良や息切れ、去痰の生薬として用いられている。
セリカの阿魏の根茎に、新種の菌糸を植えつけて栽培される比較的新しいキノコである。傘の直径が5~15cmの扁半球形で裏側は扇形をしており、表面は光沢があり肉は白色。茎の長さは2~6cm、太さは1~3.5cmほどである。原産地の中国では山鮑茸、白霊茹と呼ばれている。わが国では、雪のように白いことから雪割茸と命名された。
ハマグリの形に似ているため、ハマグリ茸ともいわれる。香りがよく柔らかで栄養価が高いことから広く食用に供されており、ステーキやすき焼きにしても美味と人気がある。豊富なβ-グルカンを含み(100g中23.7mg)、抗がん活性も期待されている。
○編笠茸(あみがさたけ)
アミガサタケ科の茸で、学名はmorchella esculenta。中国名は羊肚菌。春に林や草地に発生する。頭部が卵上の円錐形で、表面に網目状のでこぼこがある。傘は灰褐色から黄褐色で高さは7~15cm位。内部は空洞になっている。味がよく、バター炒めやスープなどに使われ、ヨーロッパでもよく食べられているキノコである。漢方では消化不良や息切れ、去痰の生薬として用いられている。
火曜日, 8月 23, 2011
色々な茸食品(4)
○鼈茸(すっぽんたけ)
スッポンタケ科のキノコで、学名はPhallus impudicus。中国名は白鬼筆。夏から秋にかけて林に生える。幼菌は白い卵形をしており、それを破って円錐形の頭部と円柱形の柄部が伸張する。長さ10~15cm。頭部の表面は暗褐色の悪臭のする粘液におおわれている。この粘液でハエなどの虫を呼び寄せ、胞子を運ばせる。漢方ではリューマチの生薬として用いられている。
○鬼燻(おにふすべ)
ホコリタケ科のキノコで、学名はLasiosphaera fenzlii。中国名は馬勃。夏から秋にかけて草地や林に発生する。子実体は球形又は偏球形で、経が10~20cm、大きいものは50cmくらいになる。漢方では慢性扁桃炎、咽喉炎、鼻血、咳などの生薬として用いられる。
○一夜茸(ひとよたけ)
ヒトヨタケ科のキノコで、学名はCoprinus atramentarius。中国名は墨汁鬼傘。春から秋にかけて芝生、畑地、公園などに発生する。名前が示すように夜間に成長し、明け方には溶解する。成熟すると黒く変色し、傘の周辺部から液化していく。アルコールと一緒に食べると悪酔症状や発汗症状が出る。漢方では、消化を助ける、去痰、腫毒を消す生薬として用いられている。
スッポンタケ科のキノコで、学名はPhallus impudicus。中国名は白鬼筆。夏から秋にかけて林に生える。幼菌は白い卵形をしており、それを破って円錐形の頭部と円柱形の柄部が伸張する。長さ10~15cm。頭部の表面は暗褐色の悪臭のする粘液におおわれている。この粘液でハエなどの虫を呼び寄せ、胞子を運ばせる。漢方ではリューマチの生薬として用いられている。
○鬼燻(おにふすべ)
ホコリタケ科のキノコで、学名はLasiosphaera fenzlii。中国名は馬勃。夏から秋にかけて草地や林に発生する。子実体は球形又は偏球形で、経が10~20cm、大きいものは50cmくらいになる。漢方では慢性扁桃炎、咽喉炎、鼻血、咳などの生薬として用いられる。
○一夜茸(ひとよたけ)
ヒトヨタケ科のキノコで、学名はCoprinus atramentarius。中国名は墨汁鬼傘。春から秋にかけて芝生、畑地、公園などに発生する。名前が示すように夜間に成長し、明け方には溶解する。成熟すると黒く変色し、傘の周辺部から液化していく。アルコールと一緒に食べると悪酔症状や発汗症状が出る。漢方では、消化を助ける、去痰、腫毒を消す生薬として用いられている。
日曜日, 8月 21, 2011
色々な茸食品(2)
○松塊(まつほど)
サルノコシカケ科の薬用キノコで、学名はPoria cocos
中国では玉霊、茯霊という。マツ、ヒマヤラスギ、カシ、ウルシなどの根に寄生し、伐採後3~6年を経た根の周囲に不定形塊上の菌核を形成する。この菌核を乾燥したのが漢方薬の茯苓で、外面は暗褐色から赤褐色、内部は白色から薄紅色、質は固いがもろく、無味無臭でやや粘着性がある。
多糖体のパキマラン(β-1.3-グルカン)が主成分で、そのほかエルゴステロール(ビタミンD前駆体)、アデニン(核酸関連物質)などが含まれている。利尿、抗潰瘍作用、血糖降下作用血糖降下作用、交感神経の興奮作用、強心作用などがある。
○雷丸菌(らいがんきん)
サルノコシカケ科のキノコで、学名はPolyporus mylittae。中国名は雷実、雷矢。竹の根茎やシュロなどの枯れた樹の根に寄生して育つ。表面は褐色から黒色で、直径1~3cmの塊上の菌核をつくる。この菌核を乾燥させたものは雷丸と呼ばれ、中国の四川、雲南、湖北、広西、貴州などがある。成分にタンパク分解酵素と大量のマグネシウムを含む。漢方では腸内の条中、回虫の駆除に用いられてきた。
サルノコシカケ科の薬用キノコで、学名はPoria cocos
中国では玉霊、茯霊という。マツ、ヒマヤラスギ、カシ、ウルシなどの根に寄生し、伐採後3~6年を経た根の周囲に不定形塊上の菌核を形成する。この菌核を乾燥したのが漢方薬の茯苓で、外面は暗褐色から赤褐色、内部は白色から薄紅色、質は固いがもろく、無味無臭でやや粘着性がある。
多糖体のパキマラン(β-1.3-グルカン)が主成分で、そのほかエルゴステロール(ビタミンD前駆体)、アデニン(核酸関連物質)などが含まれている。利尿、抗潰瘍作用、血糖降下作用血糖降下作用、交感神経の興奮作用、強心作用などがある。
○雷丸菌(らいがんきん)
サルノコシカケ科のキノコで、学名はPolyporus mylittae。中国名は雷実、雷矢。竹の根茎やシュロなどの枯れた樹の根に寄生して育つ。表面は褐色から黒色で、直径1~3cmの塊上の菌核をつくる。この菌核を乾燥させたものは雷丸と呼ばれ、中国の四川、雲南、湖北、広西、貴州などがある。成分にタンパク分解酵素と大量のマグネシウムを含む。漢方では腸内の条中、回虫の駆除に用いられてきた。
土曜日, 8月 20, 2011
色々な茸食品(1)
○貝殻茸
サルノコシカケ科の薬用キノコで、学名はLenzites betulina。中国名は樺褶孔。広葉樹の枯れ木、枯れ枝に発生して木部を分解腐朽する。灰色または灰褐色の傘は半円形ないし貝殻状で薄く、幅10cm止まり、厚さは1cmたらすである。表面は年輪上の紋が入り、肉は白く革質。サルノコシカケ科でありながら傘の裏に管孔はなく、襞が並んでいる。専ら薬用に供され、腰腿の疼痛、手足の麻痺によいとされ、漢方の生薬に用いられている。
○釣鐘茸
サルノコシカケ科の薬用キノコで、学名はFomes fomentarius。中国名は木蹄。春から秋に広葉樹の枯れた幹に群生する。鐘型、まんじゅう型をした傘の経は5~30cm、厚さは3~15c位。表面は灰褐色で環紋と環溝がある。漢方では食道ガン、胃ガン、子宮ガンや子供の消化不良の生薬として用いられる。
○えぶりこ
サルノコシカケ科の薬用キノコで、学名はFomitopsis offcinalis、中国名は苦白蹄。北海道、シベリア、北米、カナダ、ヨーロッパ北部、中国東北などに分布し、針葉樹の幹に寄生する木材腐朽性のキノコである。蝦夷草木譜には「蝦夷人の腹の諸病に用いる」と記載されており、アイヌ民族が腹痛や疝気、眼病などの鎮痛薬として用いていたことが知られている。エブリコは北海道松前地区の方言とされる。
サルノコシカケ科の薬用キノコで、学名はLenzites betulina。中国名は樺褶孔。広葉樹の枯れ木、枯れ枝に発生して木部を分解腐朽する。灰色または灰褐色の傘は半円形ないし貝殻状で薄く、幅10cm止まり、厚さは1cmたらすである。表面は年輪上の紋が入り、肉は白く革質。サルノコシカケ科でありながら傘の裏に管孔はなく、襞が並んでいる。専ら薬用に供され、腰腿の疼痛、手足の麻痺によいとされ、漢方の生薬に用いられている。
○釣鐘茸
サルノコシカケ科の薬用キノコで、学名はFomes fomentarius。中国名は木蹄。春から秋に広葉樹の枯れた幹に群生する。鐘型、まんじゅう型をした傘の経は5~30cm、厚さは3~15c位。表面は灰褐色で環紋と環溝がある。漢方では食道ガン、胃ガン、子宮ガンや子供の消化不良の生薬として用いられる。
○えぶりこ
サルノコシカケ科の薬用キノコで、学名はFomitopsis offcinalis、中国名は苦白蹄。北海道、シベリア、北米、カナダ、ヨーロッパ北部、中国東北などに分布し、針葉樹の幹に寄生する木材腐朽性のキノコである。蝦夷草木譜には「蝦夷人の腹の諸病に用いる」と記載されており、アイヌ民族が腹痛や疝気、眼病などの鎮痛薬として用いていたことが知られている。エブリコは北海道松前地区の方言とされる。
金曜日, 8月 19, 2011
ボスウェリア・セラータ
○ボスウェリア・セラータ
ボスウェリア・セラータは、アラビア半島南端のイエメン、オマーン及びアフリカ・ソマリアなどで自生するカンラン科ボスウェリア属の木の樹脂の濃縮エキス(乳香)である。
木の幹に小刀等で傷をつけると、粘着性の樹液が滲み出てくる。樹液は空気に触れると白濁し、固まる。最初の採取分には不純物が含まれるため黒ずんでいるが、2度目、3度目と採取を重ねていくにしたがって、薄黄色の透明な固まりになる。これが乳香である。
乳香は紀元前のエジプトでは宗教儀式に用いられ、ローマ時代には香料、医薬品などにも用途が広がった。シバの女王がローマやギリシャへの輸出用産物としていたとの記録もある。また、インドの伝統的医学であるアーユルベータでは、関節炎やリウマチの治療用として古くから用いられている。主成分のボスウェリン酸には抗炎症作用があり、これが関節炎等を改善するものと推察される。
現在ではアロマセラピー用に使われることが多いが、古来から香料と薬とは合い通じるものがあり、オマーン人の間では腹下しの治療薬として用いられるなどしている。国内では健康食品の副素材の一つとして配合される例が多く、グルコサミンと相性がいい等として、関節の健康増進を目的とした使われ方がされている。
ボスウェリア・セラータは、アラビア半島南端のイエメン、オマーン及びアフリカ・ソマリアなどで自生するカンラン科ボスウェリア属の木の樹脂の濃縮エキス(乳香)である。
木の幹に小刀等で傷をつけると、粘着性の樹液が滲み出てくる。樹液は空気に触れると白濁し、固まる。最初の採取分には不純物が含まれるため黒ずんでいるが、2度目、3度目と採取を重ねていくにしたがって、薄黄色の透明な固まりになる。これが乳香である。
乳香は紀元前のエジプトでは宗教儀式に用いられ、ローマ時代には香料、医薬品などにも用途が広がった。シバの女王がローマやギリシャへの輸出用産物としていたとの記録もある。また、インドの伝統的医学であるアーユルベータでは、関節炎やリウマチの治療用として古くから用いられている。主成分のボスウェリン酸には抗炎症作用があり、これが関節炎等を改善するものと推察される。
現在ではアロマセラピー用に使われることが多いが、古来から香料と薬とは合い通じるものがあり、オマーン人の間では腹下しの治療薬として用いられるなどしている。国内では健康食品の副素材の一つとして配合される例が多く、グルコサミンと相性がいい等として、関節の健康増進を目的とした使われ方がされている。
木曜日, 8月 18, 2011
西洋ニワトコ
○西洋ニワトコ
スイカズラ科の落葉性木本エルダー(Sambucus nigra)で、西洋ニワトコ、elder、bore tree、pipe tree、black elderなどの別名がある。茎、葉、花が利用される。
原産地のヨーロッパのほか、北アフリカ、アジア西部、アメリカに分布する。秋に実をつける。花は芳香があり色は淡い黄白色のミズキのような散房状。果実は黒く熟す。森や荒地に生息するほか、庭木や生け垣などに生育、西洋では庶民にはなくてはならないハーブだったことから、「庶民の薬箱」、「万能の薬箱」などと呼ばれている。また、、エルダーには魔法使いが住んでいて、家に植えると幸福を招くとか、その木を切ると災いを招くなどの言い伝えがある。
ギリシャ時代より花と果実が発汗剤として用いられ、強壮、不老長寿、インフルエンザや風邪の解熱薬、利尿剤として使用され、現在でもお茶として用いられている。果実は発酵させて、ワインとしても生産されている。成分はフラボノイド、芳香族酸、トリテルペンなどを含む。
スイカズラ科の落葉性木本エルダー(Sambucus nigra)で、西洋ニワトコ、elder、bore tree、pipe tree、black elderなどの別名がある。茎、葉、花が利用される。
原産地のヨーロッパのほか、北アフリカ、アジア西部、アメリカに分布する。秋に実をつける。花は芳香があり色は淡い黄白色のミズキのような散房状。果実は黒く熟す。森や荒地に生息するほか、庭木や生け垣などに生育、西洋では庶民にはなくてはならないハーブだったことから、「庶民の薬箱」、「万能の薬箱」などと呼ばれている。また、、エルダーには魔法使いが住んでいて、家に植えると幸福を招くとか、その木を切ると災いを招くなどの言い伝えがある。
ギリシャ時代より花と果実が発汗剤として用いられ、強壮、不老長寿、インフルエンザや風邪の解熱薬、利尿剤として使用され、現在でもお茶として用いられている。果実は発酵させて、ワインとしても生産されている。成分はフラボノイド、芳香族酸、トリテルペンなどを含む。
火曜日, 8月 16, 2011
珊瑚草
○珊瑚草
アカザ科の一年草で、正式名称はアッケシソウといい、発見地の北海道厚岸の因んだ名称であるが、群生地が多い北海道ではサンゴ草の名で親しまれている。
海岸の塩水をかぶる砂地に自生する草丈15~20cmの一年草で、多肉の緑色をした枝や葉には秋には美しい紅紫色に染まる。本草書の古典である李時珍の「本草綱目」には、鹸草、貝原益軒の「大和本草」など日本の文献には三枝、塩草、福草などの名が見られる。
珊瑚草には、鉄、カルシウム、マグネシウムなどミネラル類が豊富に含まれており、群生地の近くで暮らし人々の間では、通じをよくし、肌をきれいにする薬草としていわれてきた。全草を粉末にした健康食品がある。
アカザ科の一年草で、正式名称はアッケシソウといい、発見地の北海道厚岸の因んだ名称であるが、群生地が多い北海道ではサンゴ草の名で親しまれている。
海岸の塩水をかぶる砂地に自生する草丈15~20cmの一年草で、多肉の緑色をした枝や葉には秋には美しい紅紫色に染まる。本草書の古典である李時珍の「本草綱目」には、鹸草、貝原益軒の「大和本草」など日本の文献には三枝、塩草、福草などの名が見られる。
珊瑚草には、鉄、カルシウム、マグネシウムなどミネラル類が豊富に含まれており、群生地の近くで暮らし人々の間では、通じをよくし、肌をきれいにする薬草としていわれてきた。全草を粉末にした健康食品がある。
土曜日, 7月 12, 2008
サラシア
〇サラシア
サラシアは、インド、スリランカをはじめタイやインドネシアなど東南アジアおよびブラジルなどの熱帯地域に広く分布する。高さ2~3mに成長するサラシア属デチンムル科の植物。サラシア・オブロンガ、サラシア・レティキュラータ、サララシア・ブリノイデスなどがあり、土地によっては、ポンコランチ、コタラヒムブツなどと呼ばれている。
古代インド医学のアーユルヴェーダでは、その根を現代の病名でいうところのリウマチ、喘息、虫さされなどに活用していた。日本では、サラシア・オブロンガの根部に含まれる成分が、血糖値の上昇を抑制し、αグルコシダーゼ阻害活性を持つことや糖尿病の神経障害をを引き起こすアルドース還元酵素を阻害する活性作用を有することが、動物実験で確認された90年代半ば以降、健康食品素材として注目されるようになった。
京都薬科大学などの研究では、サラシア・レティキュラータ熱水抽出エキスに糖尿病モデルラットの血糖値降下作用などが確認されている。吉川雅之(京都薬科大学)によって特定された成分(略称:ダスデス・特許成分)には、食物の糖の吸収を抑えることからメタボリックシンドロームに対する作用が注目されている。
サラシアは、インド、スリランカをはじめタイやインドネシアなど東南アジアおよびブラジルなどの熱帯地域に広く分布する。高さ2~3mに成長するサラシア属デチンムル科の植物。サラシア・オブロンガ、サラシア・レティキュラータ、サララシア・ブリノイデスなどがあり、土地によっては、ポンコランチ、コタラヒムブツなどと呼ばれている。
古代インド医学のアーユルヴェーダでは、その根を現代の病名でいうところのリウマチ、喘息、虫さされなどに活用していた。日本では、サラシア・オブロンガの根部に含まれる成分が、血糖値の上昇を抑制し、αグルコシダーゼ阻害活性を持つことや糖尿病の神経障害をを引き起こすアルドース還元酵素を阻害する活性作用を有することが、動物実験で確認された90年代半ば以降、健康食品素材として注目されるようになった。
京都薬科大学などの研究では、サラシア・レティキュラータ熱水抽出エキスに糖尿病モデルラットの血糖値降下作用などが確認されている。吉川雅之(京都薬科大学)によって特定された成分(略称:ダスデス・特許成分)には、食物の糖の吸収を抑えることからメタボリックシンドロームに対する作用が注目されている。
日曜日, 6月 08, 2008
コタラヒム
〇コタラヒム
スリランカ原産のデンチムル科の樹木で、学名はSalacia reticulete(サラシア・レティキュラータ)。原産国スリランカの現地ではアーユルヴェーダ医学に基づき、糖尿病に効果のある薬木としてこの名前で呼ばれ利用されてきた。
京都薬科大学・吉川正樹の研究によると、コタラヒムは糖尿病治療薬のα-グルコシダーゼ阻害剤と同様の作用を持ち、その有効成分はコタラノール、サラシノールという硫黄を含む糖質であることが同定されており、糖尿病の予防・改善に効果のあることが認められている。
現在、わが国の健康食品市場では、「コタラヒム」「コタラヒムブツ」と「サラシア」の商品名が使用され流通している。コタラヒム、コタラヒムブツは樹木・樹皮を利用した製品が多くみられる。
スリランカ原産のデンチムル科の樹木で、学名はSalacia reticulete(サラシア・レティキュラータ)。原産国スリランカの現地ではアーユルヴェーダ医学に基づき、糖尿病に効果のある薬木としてこの名前で呼ばれ利用されてきた。
京都薬科大学・吉川正樹の研究によると、コタラヒムは糖尿病治療薬のα-グルコシダーゼ阻害剤と同様の作用を持ち、その有効成分はコタラノール、サラシノールという硫黄を含む糖質であることが同定されており、糖尿病の予防・改善に効果のあることが認められている。
現在、わが国の健康食品市場では、「コタラヒム」「コタラヒムブツ」と「サラシア」の商品名が使用され流通している。コタラヒム、コタラヒムブツは樹木・樹皮を利用した製品が多くみられる。
月曜日, 5月 26, 2008
大麦
〇大麦
かつては麦飯として日常的に食べられていた大麦だが、現在では健康を意識した食材として利用されるケースが多い。大麦はイネ科の単子葉類で、米に比べると食物繊維の量が圧倒的に多いのが特徴だ。大麦(七部つき押麦)には、10.3g(100g当たり)の食物繊維が含まれるが、玄米は3gと1/3である。精白米では0.5gしか含まれない。つまり大麦は白米に比べ20倍もの食物繊維を含んでいるわけである。食物繊維は腸の働きを活発にし、便秘の改善、下痢を抑えるという効果がある。
大麦は精白の仕方によって丸麦、押麦、白麦に分けられる。丸麦は大麦をそのまま精白したもので、もっぱら味噌や醤油などの加工品に使われている。押麦は丸麦を平たく押したもので、麦とろご飯として食べられることが多い。麦を常食するには押麦を白米に混ぜて炊くのが一般的だ。白麦は丸麦を2つ割りにしてから精白し、平たく押したもので押麦よりも食べやすい。また最近では、精白した丸麦を押さずに白米と同じ比重になるように加工した米粒麦というものもある。これは、白米と混ぜて炊くときに麦だけが浮き上がらないので便利である。
かつては麦飯として日常的に食べられていた大麦だが、現在では健康を意識した食材として利用されるケースが多い。大麦はイネ科の単子葉類で、米に比べると食物繊維の量が圧倒的に多いのが特徴だ。大麦(七部つき押麦)には、10.3g(100g当たり)の食物繊維が含まれるが、玄米は3gと1/3である。精白米では0.5gしか含まれない。つまり大麦は白米に比べ20倍もの食物繊維を含んでいるわけである。食物繊維は腸の働きを活発にし、便秘の改善、下痢を抑えるという効果がある。
大麦は精白の仕方によって丸麦、押麦、白麦に分けられる。丸麦は大麦をそのまま精白したもので、もっぱら味噌や醤油などの加工品に使われている。押麦は丸麦を平たく押したもので、麦とろご飯として食べられることが多い。麦を常食するには押麦を白米に混ぜて炊くのが一般的だ。白麦は丸麦を2つ割りにしてから精白し、平たく押したもので押麦よりも食べやすい。また最近では、精白した丸麦を押さずに白米と同じ比重になるように加工した米粒麦というものもある。これは、白米と混ぜて炊くときに麦だけが浮き上がらないので便利である。
土曜日, 5月 24, 2008
そば
〇そば
ソバはタデ科の一年草で、原産地はアジア北・中部とされ、歴史的には早くからインド北部、東アジア各地へ伝播し、普通種とダッタン種の2種があり、わが国で栽培されているのは普通種である。
わが国ではソバに薬効を認める基盤は早くからあり、「本朝食鑑」(人見必大撰、1697年)には「気味甘く微寒にして毒なし。気を下し、腸胃のしわい積滞を寛にす。水腫、白濁、泄痢、腹痛、上気を治し、あるいは気盛んにして湿熱あるものによろし」と述べられている。
寒性なので胃弱の場合には不適とされながら、長寿の食物として好んで常食もされてきた。古くは麦飯のように脱穀したソバを米麦に混ぜたそば飯だったが、粉末にして丸めたそば団子に続いて、ウドンを真似たそば切りが登場したのは江戸時代(17世紀)以降である。
ソバが栄養価の高い食品であることはよく知られている。全粒中の成分の内、約12%はタンパク質である。70%を占める炭水化物は他の穀類のデンプンより糖化度が高い。そして何よりも特徴的なのはルチンである。ルチンは抗酸化物質として注目されているフラボノイド(植物の色素成分)の一つで、血管の強化作用があり高血圧によいとされている。また、体内でケルセチンに変化して抗腫瘍効果を発揮したり、認知症の改善にも寄与することが明らかになっている。
ソバはタデ科の一年草で、原産地はアジア北・中部とされ、歴史的には早くからインド北部、東アジア各地へ伝播し、普通種とダッタン種の2種があり、わが国で栽培されているのは普通種である。
わが国ではソバに薬効を認める基盤は早くからあり、「本朝食鑑」(人見必大撰、1697年)には「気味甘く微寒にして毒なし。気を下し、腸胃のしわい積滞を寛にす。水腫、白濁、泄痢、腹痛、上気を治し、あるいは気盛んにして湿熱あるものによろし」と述べられている。
寒性なので胃弱の場合には不適とされながら、長寿の食物として好んで常食もされてきた。古くは麦飯のように脱穀したソバを米麦に混ぜたそば飯だったが、粉末にして丸めたそば団子に続いて、ウドンを真似たそば切りが登場したのは江戸時代(17世紀)以降である。
ソバが栄養価の高い食品であることはよく知られている。全粒中の成分の内、約12%はタンパク質である。70%を占める炭水化物は他の穀類のデンプンより糖化度が高い。そして何よりも特徴的なのはルチンである。ルチンは抗酸化物質として注目されているフラボノイド(植物の色素成分)の一つで、血管の強化作用があり高血圧によいとされている。また、体内でケルセチンに変化して抗腫瘍効果を発揮したり、認知症の改善にも寄与することが明らかになっている。
金曜日, 5月 23, 2008
EPA(イコサペンタエン酸)
〇EPA(イコサペンタエン酸)
かつてはエイコサペンタエン酸と呼ばれていたが、近年、イコサペンタ塩酸に改められた。但し略称のEPAはそのまま使われている。炭素数20個、二重結合5カ所のn-3系不飽和脂肪酸で、融点はマイナス54℃。イワシやタラなどの魚油に多く含まれる。血液中の中性脂肪やコレステロール濃度の低下作用、血小板凝集能の抑制作用などが認められている。
EPAが注目されるようになったのは、1970年代にデンマーク・オールボア病院のダイアベルグがイヌイット(エスキモー人)を対象に行った疫学的調査の結果によってである。それによると、魚やアザラシを主食とするイヌイットはは肉食中心のデンマーク人に比べて動脈硬化、脳梗塞、心筋梗塞などの生活習慣病が大幅に少なかった。例えばデンマーク人の死亡原因が心筋梗塞だけで40%以上も占めているのに、イヌイットは発症率が高い60歳以上だけを対象にしても3.6%でしかなかった。その原因がイヌイットの食生活にあると考えて研究の結果、魚肉油に含まれるEPAの有効作用にあるとわかったのである。
最近の研究では、横山光弘(神戸大学)らが日本人約2万人を対象にし大規模臨床試験(5年間の追跡調査)で、EPA薬の摂取により心臓病のリスクが19%減少したという試験結果を発表している(2005年、米国心臓協会学術集会)。EPAは健康食品素材としても広く使われており、(財)日本健康栄養食品協会による「イコサペンタ塩酸(EPA)含有精製魚油加工食品規格基準(1986年8月公示、96年6月一部改正)」がある。
かつてはエイコサペンタエン酸と呼ばれていたが、近年、イコサペンタ塩酸に改められた。但し略称のEPAはそのまま使われている。炭素数20個、二重結合5カ所のn-3系不飽和脂肪酸で、融点はマイナス54℃。イワシやタラなどの魚油に多く含まれる。血液中の中性脂肪やコレステロール濃度の低下作用、血小板凝集能の抑制作用などが認められている。
EPAが注目されるようになったのは、1970年代にデンマーク・オールボア病院のダイアベルグがイヌイット(エスキモー人)を対象に行った疫学的調査の結果によってである。それによると、魚やアザラシを主食とするイヌイットはは肉食中心のデンマーク人に比べて動脈硬化、脳梗塞、心筋梗塞などの生活習慣病が大幅に少なかった。例えばデンマーク人の死亡原因が心筋梗塞だけで40%以上も占めているのに、イヌイットは発症率が高い60歳以上だけを対象にしても3.6%でしかなかった。その原因がイヌイットの食生活にあると考えて研究の結果、魚肉油に含まれるEPAの有効作用にあるとわかったのである。
最近の研究では、横山光弘(神戸大学)らが日本人約2万人を対象にし大規模臨床試験(5年間の追跡調査)で、EPA薬の摂取により心臓病のリスクが19%減少したという試験結果を発表している(2005年、米国心臓協会学術集会)。EPAは健康食品素材としても広く使われており、(財)日本健康栄養食品協会による「イコサペンタ塩酸(EPA)含有精製魚油加工食品規格基準(1986年8月公示、96年6月一部改正)」がある。
木曜日, 5月 22, 2008
フコキサンチン
〇フコキサンチン
フコキサンチンはワカメやヒジキ、昆布類などの褐藻類に含まれる赤褐色のカロテノイド色素である。カロテノイドはニンジンのβ-カロチン、トマトのリコピンなどをはじめとして自然界に幅広く存在する黄色~赤色系の天然色素で、酸素と結合しやすいという特徴を有する。ヒトの体内ではいわゆるフリーラジカル(活性酸素)と結びつき、これを無害化する。しかし、動物はこの有効な働きをする物質を自身の体内では生産することができず、食物として摂取しなければならない。栄養面でのカロテンの有用性が注目されている。カロテノイドの一種であるフコキサンチンにも、この作用が備わっている。
こうした働きに加えて、最近の研究では、フコキサンチンにはエネルギー消費速度を刺激して脂肪燃焼を促し、内臓脂肪を減少させる作用があることがわかってきた。マウスを使った実験によると、フコキサンチンを投与したマウスは体重が5~10%減少したとの報告もある。フコキサンチンは、腹部や肝臓などの内臓脂肪を構成する白色脂肪細胞内への、ある種のたんぱく(ミトコンドリア内の脱共役たんぱく)の発現を増加させる働きがあるとみられている。このたんぱくは脂肪の酸化およびエネルギーの熱への変換を促すことにより、白色脂肪細胞を減少させる。白色脂肪細胞は過剰に摂取された炭水化物や脂肪を中性脂肪形で蓄えるための細胞で、今話題のメタボリックシンドロームの主因とされているものであり、これを減らすことができれば健康増進効果は大きい。白色脂肪細胞を減らす機能性食品への注目度は上昇基調にある中で開発されている。
食事療法のみの被験者とフコキサンチンを併用した被験者とを比較した新陳代謝実験では、フコキサンチンを併用した被験者のほうが代謝は18.2%高かったという結果も出ている。
健康食品市場には、フコキサンチンの抗酸化作用・脂肪細胞減少効果を生かした製品など、すでに多く流通しているが、その中でザクロ種子油との相乗作用で脂肪細胞の形成を抑制するなど、フコキサンチンの機能性との組み合わせによる効果を狙った製品開発が注目を集めている。ザクロ種子油には、新しい血管の形成を阻害すること脂肪細胞への血流量を抑制し、血液を介した脂肪の供給を低減させて脂肪細胞の新たな形成を遅らせたり、抑制したりする作用が認められている。ザクロ種子油とフコキサンチンとの相乗効果は臨床実験でも確認されており、16週間の飲用で平均6.5kgの体重減少、5.3kgの体脂肪減少が見られたことが報告されている。
フコキサンチンはワカメやヒジキ、昆布類などの褐藻類に含まれる赤褐色のカロテノイド色素である。カロテノイドはニンジンのβ-カロチン、トマトのリコピンなどをはじめとして自然界に幅広く存在する黄色~赤色系の天然色素で、酸素と結合しやすいという特徴を有する。ヒトの体内ではいわゆるフリーラジカル(活性酸素)と結びつき、これを無害化する。しかし、動物はこの有効な働きをする物質を自身の体内では生産することができず、食物として摂取しなければならない。栄養面でのカロテンの有用性が注目されている。カロテノイドの一種であるフコキサンチンにも、この作用が備わっている。
こうした働きに加えて、最近の研究では、フコキサンチンにはエネルギー消費速度を刺激して脂肪燃焼を促し、内臓脂肪を減少させる作用があることがわかってきた。マウスを使った実験によると、フコキサンチンを投与したマウスは体重が5~10%減少したとの報告もある。フコキサンチンは、腹部や肝臓などの内臓脂肪を構成する白色脂肪細胞内への、ある種のたんぱく(ミトコンドリア内の脱共役たんぱく)の発現を増加させる働きがあるとみられている。このたんぱくは脂肪の酸化およびエネルギーの熱への変換を促すことにより、白色脂肪細胞を減少させる。白色脂肪細胞は過剰に摂取された炭水化物や脂肪を中性脂肪形で蓄えるための細胞で、今話題のメタボリックシンドロームの主因とされているものであり、これを減らすことができれば健康増進効果は大きい。白色脂肪細胞を減らす機能性食品への注目度は上昇基調にある中で開発されている。
食事療法のみの被験者とフコキサンチンを併用した被験者とを比較した新陳代謝実験では、フコキサンチンを併用した被験者のほうが代謝は18.2%高かったという結果も出ている。
健康食品市場には、フコキサンチンの抗酸化作用・脂肪細胞減少効果を生かした製品など、すでに多く流通しているが、その中でザクロ種子油との相乗作用で脂肪細胞の形成を抑制するなど、フコキサンチンの機能性との組み合わせによる効果を狙った製品開発が注目を集めている。ザクロ種子油には、新しい血管の形成を阻害すること脂肪細胞への血流量を抑制し、血液を介した脂肪の供給を低減させて脂肪細胞の新たな形成を遅らせたり、抑制したりする作用が認められている。ザクロ種子油とフコキサンチンとの相乗効果は臨床実験でも確認されており、16週間の飲用で平均6.5kgの体重減少、5.3kgの体脂肪減少が見られたことが報告されている。
火曜日, 5月 20, 2008
カリフラワー
〇カリフラワー
アブラナ科のキャベツの仲間で、花のように見える花蕾部分を食用とする。花蕾の色によってホワイト、オレンジ、ムラサキの種類がある。
カリフラワーはビタミンCの含有量が多く(100g中、生で81mg、茹でたものは53mg)、これはトマトの3倍以上に当たる。レモンの搾り汁100gといえばコップ半分くらいだが、これを飲んで得られるビタミンCは50mgである。タバコ1本吸えば約25mgのビタミンCが破壊されともいわれ、またポーリング理論として知られるビタミンCの大量摂取によるウイルス感染予防には少なくとも1日1g(1000mg)位は必要とされているから、レモン汁をコップに10杯以上も飲み干さなければならない計算である。
日本人の食事摂取基準20005年度版では、ビタミンCの1日推奨量を100mg(成人)としている。従ってノルマ達成のためならレモンの搾り汁をコップ1杯飲めばよいわけであるが、それならカリフラワーをたっぷりと美味しく食べたほうが賢明であろう。蕾の部分よりも白い芯(茎)のほうが倍近いビタミンCを含んでいるので、塩漬けなど調理を工夫してなるべく残さずに利用するとよい。
アブラナ科のキャベツの仲間で、花のように見える花蕾部分を食用とする。花蕾の色によってホワイト、オレンジ、ムラサキの種類がある。
カリフラワーはビタミンCの含有量が多く(100g中、生で81mg、茹でたものは53mg)、これはトマトの3倍以上に当たる。レモンの搾り汁100gといえばコップ半分くらいだが、これを飲んで得られるビタミンCは50mgである。タバコ1本吸えば約25mgのビタミンCが破壊されともいわれ、またポーリング理論として知られるビタミンCの大量摂取によるウイルス感染予防には少なくとも1日1g(1000mg)位は必要とされているから、レモン汁をコップに10杯以上も飲み干さなければならない計算である。
日本人の食事摂取基準20005年度版では、ビタミンCの1日推奨量を100mg(成人)としている。従ってノルマ達成のためならレモンの搾り汁をコップ1杯飲めばよいわけであるが、それならカリフラワーをたっぷりと美味しく食べたほうが賢明であろう。蕾の部分よりも白い芯(茎)のほうが倍近いビタミンCを含んでいるので、塩漬けなど調理を工夫してなるべく残さずに利用するとよい。
日曜日, 5月 18, 2008
スイートコーン
〇スイートコーン
スイートコーンはイネ科トウモロコシの甘味種で、その未熟種子を食用にする。完熟種子は穀類に分類される。スイートコーンは野菜として扱われる。原産地はペルーで、日本にはポルトガル人によって16世紀中頃に渡来したが、栽培されるようになったのは明治以降である。全国各地で栽培されているが、特に北海道が多い。
古くからゴールデン種とシルバー種に加え、甘味の強いバイカラー種が品種改良され、現在はこれが主流となっている。黄色と白の粒が混じり合った姿をしており、果皮が柔らかく甘みが強い。スイートコーンの雌穂を若採りしたものはベビーコーン(ヤングコーンともいう)で、中国料理などに使われている。
スイートコーンの実100g中、カロテン53ug、ナイアシン2.3mg、ビタミンC8mg、カリウム290mg、食物繊維3gなどが主成分。ビタミンCも多い。整腸・便秘・動脈硬化などに食効があるとされ、また糸状の毛を乾燥させてお茶代わりに煎じて飲むと、利尿・強心・膀胱炎・腎臓病に著効があり、昔から民間薬として広く親しまれてきた。
スイートコーンはイネ科トウモロコシの甘味種で、その未熟種子を食用にする。完熟種子は穀類に分類される。スイートコーンは野菜として扱われる。原産地はペルーで、日本にはポルトガル人によって16世紀中頃に渡来したが、栽培されるようになったのは明治以降である。全国各地で栽培されているが、特に北海道が多い。
古くからゴールデン種とシルバー種に加え、甘味の強いバイカラー種が品種改良され、現在はこれが主流となっている。黄色と白の粒が混じり合った姿をしており、果皮が柔らかく甘みが強い。スイートコーンの雌穂を若採りしたものはベビーコーン(ヤングコーンともいう)で、中国料理などに使われている。
スイートコーンの実100g中、カロテン53ug、ナイアシン2.3mg、ビタミンC8mg、カリウム290mg、食物繊維3gなどが主成分。ビタミンCも多い。整腸・便秘・動脈硬化などに食効があるとされ、また糸状の毛を乾燥させてお茶代わりに煎じて飲むと、利尿・強心・膀胱炎・腎臓病に著効があり、昔から民間薬として広く親しまれてきた。
土曜日, 5月 17, 2008
スプラウト
〇スプラウト
植物の新芽を英語でスプラウトというが、最近、各野菜の新芽が健康野菜としてスーパーの店頭に並び出した。ブロッコリーやマスタードなどの新芽があり、目新しさも手伝ってちょっとしたブームになっている。
スプラウト人気の発端は、米国のジョンズ・ポプキンス大学の研究者らがブロッコリーの新芽に優れた抗ガン作用があると発表したことによる。発芽3日目の新芽には、成長したブロッコリーの20~50倍のサルフォラフェインという抗ガン成分があるという。また、スプラウト類は全般に植物性タンパク質やビタミン、ミネラル、食物繊維に富み、ローファット、ノンコレステロールというのが健康志向の強い米国人に受けたようだ。
スプラウト野菜はブロッコリーのほか、小豆やソバ、クローバー、レンズ豆、ラディッシュ、ヒマワリ、レッドキャベツ、マスタード、クレス、小麦など種類が多彩だ。サンドウィッチの具やサラダ、スープの具材など食べ方の自由度も高い。家庭でも栽培できるようにスプラウトの栽培キットも販売されている。
植物の新芽を英語でスプラウトというが、最近、各野菜の新芽が健康野菜としてスーパーの店頭に並び出した。ブロッコリーやマスタードなどの新芽があり、目新しさも手伝ってちょっとしたブームになっている。
スプラウト人気の発端は、米国のジョンズ・ポプキンス大学の研究者らがブロッコリーの新芽に優れた抗ガン作用があると発表したことによる。発芽3日目の新芽には、成長したブロッコリーの20~50倍のサルフォラフェインという抗ガン成分があるという。また、スプラウト類は全般に植物性タンパク質やビタミン、ミネラル、食物繊維に富み、ローファット、ノンコレステロールというのが健康志向の強い米国人に受けたようだ。
スプラウト野菜はブロッコリーのほか、小豆やソバ、クローバー、レンズ豆、ラディッシュ、ヒマワリ、レッドキャベツ、マスタード、クレス、小麦など種類が多彩だ。サンドウィッチの具やサラダ、スープの具材など食べ方の自由度も高い。家庭でも栽培できるようにスプラウトの栽培キットも販売されている。
金曜日, 5月 16, 2008
そら豆
〇そら豆
初夏の味覚の一つでとして親しまれているソラ豆だが、これは夏野菜のソラ豆の若莢が未熟なうちに収穫したもので、茹でて食べる。エダ豆と異なり、豆は莢から出して茹でる。ソラ豆が北部アラビアで栽培されたのは有史以前だが、日本へは江戸時代初期に中国から到来したといわれる。莢が天を向いて直列するところから「空豆」と名付けられたもので、豆の形が蚕の繭に似ていることから蚕豆ともいわれる。
枝豆に匹敵するタンパク質(生100g中10.9g)と糖質(同15.5gでエダ豆の約2倍)が含まれており、タンパク質のアミノ酸組成も非常に優秀で高い栄養効果が期待できる。また、スタミナの元といわれるアスパラギン酸や旨味成分のグルタミン酸が豊富なので、夏へ向けて体力をつけるのにふさわしい食品であるといえる。ミネラルやビタミンB群も豊富で、特にB2は0.2mgと多い。過酸化脂質の生成を防いで血管の若さを保つのに役立つ。ソラ豆の脂質には比較的レシチンも多いので、Bと共に働いて血中の悪玉コレステロールが増えるのを防ぐ。このほか利尿、便通改善効果もある。
初夏の味覚の一つでとして親しまれているソラ豆だが、これは夏野菜のソラ豆の若莢が未熟なうちに収穫したもので、茹でて食べる。エダ豆と異なり、豆は莢から出して茹でる。ソラ豆が北部アラビアで栽培されたのは有史以前だが、日本へは江戸時代初期に中国から到来したといわれる。莢が天を向いて直列するところから「空豆」と名付けられたもので、豆の形が蚕の繭に似ていることから蚕豆ともいわれる。
枝豆に匹敵するタンパク質(生100g中10.9g)と糖質(同15.5gでエダ豆の約2倍)が含まれており、タンパク質のアミノ酸組成も非常に優秀で高い栄養効果が期待できる。また、スタミナの元といわれるアスパラギン酸や旨味成分のグルタミン酸が豊富なので、夏へ向けて体力をつけるのにふさわしい食品であるといえる。ミネラルやビタミンB群も豊富で、特にB2は0.2mgと多い。過酸化脂質の生成を防いで血管の若さを保つのに役立つ。ソラ豆の脂質には比較的レシチンも多いので、Bと共に働いて血中の悪玉コレステロールが増えるのを防ぐ。このほか利尿、便通改善効果もある。
木曜日, 5月 15, 2008
オクラ
〇オクラ
オクラはアオイ科の一年草で1~2mに育ち、夏に黄色い大きな花の後、断面が五角の星型の莢をつけるが、この若い実が食用になる。原産地はアフリカで、エジプトでは紀元前から栽培されてきた歴史があり、現在は世界各地で栽培されている。オクラはアフリカの現地語を起源とする英名。
オクラを細かく刻むと納豆のようにネバネバの糸を引くが、これはペクチンという食物繊維と糖タンパクのムチンが含まれているためである。野菜のネバネバに強壮効果があるといわれるのは、ペクチンの整腸作用(便秘にも下痢にも効能がある)と、ムチンがたんぱく質の消化吸収を助けるためと考えられる。オクラはまたカルシウムが100g中92mgと、たとえばマイワシ(70mg)のような魚よりも豊富で、平均的にカルシウム不足をきたしている日本人には好適な野菜といえる。ビタミンB1・B2も十分に含まれているので、ネバネバが苦手という人はスープ仕立てにする(ペクチンなどがスープに溶けてしまうのでネバネバはなくなり、とろみのあるスープになる)か、天ぷらなどで工夫して夏場の暑気負け回復のために大いに食べたいものである。
オクラはアオイ科の一年草で1~2mに育ち、夏に黄色い大きな花の後、断面が五角の星型の莢をつけるが、この若い実が食用になる。原産地はアフリカで、エジプトでは紀元前から栽培されてきた歴史があり、現在は世界各地で栽培されている。オクラはアフリカの現地語を起源とする英名。
オクラを細かく刻むと納豆のようにネバネバの糸を引くが、これはペクチンという食物繊維と糖タンパクのムチンが含まれているためである。野菜のネバネバに強壮効果があるといわれるのは、ペクチンの整腸作用(便秘にも下痢にも効能がある)と、ムチンがたんぱく質の消化吸収を助けるためと考えられる。オクラはまたカルシウムが100g中92mgと、たとえばマイワシ(70mg)のような魚よりも豊富で、平均的にカルシウム不足をきたしている日本人には好適な野菜といえる。ビタミンB1・B2も十分に含まれているので、ネバネバが苦手という人はスープ仕立てにする(ペクチンなどがスープに溶けてしまうのでネバネバはなくなり、とろみのあるスープになる)か、天ぷらなどで工夫して夏場の暑気負け回復のために大いに食べたいものである。
水曜日, 5月 14, 2008
さやえんどう(莢豌豆)
〇さやえんどう(莢豌豆)
マメ科エンドウ属のエンドウ豆は、ギリシャ・ローマ時代から栽培され品種も多いが、野菜種としては若い莢を食べるサヤエンドウと、未成熟の実を食べるグリーンピースがある。
サヤエンドウのうち、もっともポピュラーなのはキヌサヤ(絹莢)で、若莢を早採りしたもの。莢が擦れる音が衣ずれの音に似ていることからこの名がついた。このほか、関西でよくつかわれる大型のオランダ大莢、アメリカ産のスナップエンドウがある。スナップエンドウは実が大きくなっても莢が堅くならないため、実と莢を一緒に食べることができる。
サヤエンドウは栄養バランスが良く、タンパク質は100g3.1gとグリーンピースの半分くらいであるが、遊離アミノ酸が野菜の中で最も多い。カルシウムは35mg、リンは63m含まれている。カロテンも560ugと多めで、これは日本カボチャ(730ug)には及ばないもの青ピーマン(400ug)を上回っている。ビタミンCも豆類の中では飛び抜けて多く、100g60mg含み、Cの補給にはもってこいの食材といえる。風邪の予防、老化防止、利尿のほか、シミやソバカス、高血圧症、胃腸疾患、糖尿病の口乾などに効用がある。サヤエンドウは入手しやすいので常用したい野菜の一つ。油炒めなどにするとたっぷり量も摂れ、熱を加えることで色が鮮やかとなり、食卓に彩りを添える。
マメ科エンドウ属のエンドウ豆は、ギリシャ・ローマ時代から栽培され品種も多いが、野菜種としては若い莢を食べるサヤエンドウと、未成熟の実を食べるグリーンピースがある。
サヤエンドウのうち、もっともポピュラーなのはキヌサヤ(絹莢)で、若莢を早採りしたもの。莢が擦れる音が衣ずれの音に似ていることからこの名がついた。このほか、関西でよくつかわれる大型のオランダ大莢、アメリカ産のスナップエンドウがある。スナップエンドウは実が大きくなっても莢が堅くならないため、実と莢を一緒に食べることができる。
サヤエンドウは栄養バランスが良く、タンパク質は100g3.1gとグリーンピースの半分くらいであるが、遊離アミノ酸が野菜の中で最も多い。カルシウムは35mg、リンは63m含まれている。カロテンも560ugと多めで、これは日本カボチャ(730ug)には及ばないもの青ピーマン(400ug)を上回っている。ビタミンCも豆類の中では飛び抜けて多く、100g60mg含み、Cの補給にはもってこいの食材といえる。風邪の予防、老化防止、利尿のほか、シミやソバカス、高血圧症、胃腸疾患、糖尿病の口乾などに効用がある。サヤエンドウは入手しやすいので常用したい野菜の一つ。油炒めなどにするとたっぷり量も摂れ、熱を加えることで色が鮮やかとなり、食卓に彩りを添える。
火曜日, 5月 13, 2008
えだ豆(枝豆)
〇えだ豆(枝豆)
えだ豆は大豆の若莢(わかさや)を未熟な内に収穫したもので、茹でて食べる。大豆と同じくタンパク質が豊富に含まれており(100g中11.7g)、これは鶏卵にも匹敵する量である。比較的糖質が少ない代わりに良質の脂肪が含まれ、この脂肪分はニンジンやカボチャのカロテンの吸収を助けるという働きもある。
夏のビールのつまみとして定番のえだ豆だが、豊富に含まれる含流アミノ酸のメチオニンにはアルコールから肝臓を守る働きがあり、つまみとしても理にかなっているわけである。また新陳代謝を促進し自律神経の調整をするビタミンB1も多く(100g中0.31mg)、肩こり・便秘・倦怠感・神経炎・むくみなどを予防する。
枝豆にはこのほか、大豆には全く入っていないビタミンCが27mgも含まれており、暑さで消耗する夏場には最適である。加えてカロテンを大豆の40倍も含み、皮膚・粘膜の抗菌力を増し、目を守るという意味でも、夏の野菜として是非摂りたいものである。このほか大豆と同じくサポニンが含まれ、体内の過酸化脂質を抑えてこれてロールを下げる働きをする。
えだ豆は大豆の若莢(わかさや)を未熟な内に収穫したもので、茹でて食べる。大豆と同じくタンパク質が豊富に含まれており(100g中11.7g)、これは鶏卵にも匹敵する量である。比較的糖質が少ない代わりに良質の脂肪が含まれ、この脂肪分はニンジンやカボチャのカロテンの吸収を助けるという働きもある。
夏のビールのつまみとして定番のえだ豆だが、豊富に含まれる含流アミノ酸のメチオニンにはアルコールから肝臓を守る働きがあり、つまみとしても理にかなっているわけである。また新陳代謝を促進し自律神経の調整をするビタミンB1も多く(100g中0.31mg)、肩こり・便秘・倦怠感・神経炎・むくみなどを予防する。
枝豆にはこのほか、大豆には全く入っていないビタミンCが27mgも含まれており、暑さで消耗する夏場には最適である。加えてカロテンを大豆の40倍も含み、皮膚・粘膜の抗菌力を増し、目を守るという意味でも、夏の野菜として是非摂りたいものである。このほか大豆と同じくサポニンが含まれ、体内の過酸化脂質を抑えてこれてロールを下げる働きをする。
月曜日, 5月 12, 2008
香酢(改訂版)
〇香酢(改訂版)
香酢は中国江蘇省南部の鎮江でつくられる黒酢の一般的な呼称だが、黒酢といっても日本のものとは製法も原材料も異なっている。原料はもち米と麦ふすまで、もち米を蒸して酒を仕込み、これにもみ殻を加えて甕で自然発酵させる。この発酵の仕方を酢酸分層発酵法といい、甕の中を撹拌したり中身を別の甕に入れ替えて熟成させる。
熟成の時間によって呼称が変わるのも香酢の特徴で、3年以上熟成させたものが高級香酢とされ、これに対して1年未満のものは陳醋と呼ばれ、一般酢(大衆酢)とされる。新年や祝日、特別の行事や珍客をもてなすときは老陳醋が振る舞われるという。香酢の良し悪しは主原料のもち米、水、麹に左右されるが、発酵・熟成の過程での作業時間(年月)、温度管理、容器の選定などによっても違いが生じるといわれる。特に陶製の甕は不思議な力を持っており、長年にわたって使われた甕の内部の小さな穴には菌や発酵微生物など、いわば自然の力がすみつき、穴から出て一時も休むことなく活動している。これが発酵や熟成に欠かせない神秘的な力を発揮するといわれている。
香酢の特徴はアミノ酸の含有量が多いことだが、香酢の健康機能性でカギを握っているのはアミノ酸が数個連なっているペプチドと考えられており、今後の研究成果が待たれている。また最近になってメラノイジンという新しい成分が発見された。これは香酢を3年間熟成させると生成されるポリフェノールの一種で、胃や十二指腸の粘膜に作用して健胃・整腸効果を発揮することが報告されている。
香酢は中国江蘇省南部の鎮江でつくられる黒酢の一般的な呼称だが、黒酢といっても日本のものとは製法も原材料も異なっている。原料はもち米と麦ふすまで、もち米を蒸して酒を仕込み、これにもみ殻を加えて甕で自然発酵させる。この発酵の仕方を酢酸分層発酵法といい、甕の中を撹拌したり中身を別の甕に入れ替えて熟成させる。
熟成の時間によって呼称が変わるのも香酢の特徴で、3年以上熟成させたものが高級香酢とされ、これに対して1年未満のものは陳醋と呼ばれ、一般酢(大衆酢)とされる。新年や祝日、特別の行事や珍客をもてなすときは老陳醋が振る舞われるという。香酢の良し悪しは主原料のもち米、水、麹に左右されるが、発酵・熟成の過程での作業時間(年月)、温度管理、容器の選定などによっても違いが生じるといわれる。特に陶製の甕は不思議な力を持っており、長年にわたって使われた甕の内部の小さな穴には菌や発酵微生物など、いわば自然の力がすみつき、穴から出て一時も休むことなく活動している。これが発酵や熟成に欠かせない神秘的な力を発揮するといわれている。
香酢の特徴はアミノ酸の含有量が多いことだが、香酢の健康機能性でカギを握っているのはアミノ酸が数個連なっているペプチドと考えられており、今後の研究成果が待たれている。また最近になってメラノイジンという新しい成分が発見された。これは香酢を3年間熟成させると生成されるポリフェノールの一種で、胃や十二指腸の粘膜に作用して健胃・整腸効果を発揮することが報告されている。
日曜日, 5月 11, 2008
卵タンパク質
〇卵タンパク質
卵タンパク質は卵白タンパク質と卵黄タンパク質に分けられ、鶏卵では、卵白の約10%、卵黄の約15%がタンパク質である。卵白は脂質をほとんど含まないため、牛乳の約3倍という高濃度のタンパク質水溶液になっており、40種類以上のタンパク質が含まれている。その内、約54%は単純タンパク質のオボアルブミンで、それ以外にはオボログロブリン、オボトランスフェリン、オボムコイド、オボスタチン、オボムシン、リゾチームなどが含まれている。卵黄タンパク質の大部分はリポタンパク質(LDL、HDL、リポビテリン)である。
※複合タンパク質
アルブミンやグロブリンなどの単純タンパク質に糖や脂質などが結合したもので、糖タンパク質、リンタンパク質、核タンパク質、色素タンパク質などがある。
糖タンパク質は糖質が結合したもので、ムチン、オボムコイド(卵白)など。リンタンパク質はリン酸と結合し、カゼイン(牛乳)、ビテリン(卵黄)など。リポタンパク質は脂質と結合したもので、各種リポタンパク質、リポビテリンなど。核タンパク質はヒストンやプロラミンが核酸と結合したもので、プロタミン(魚の白子)、ヌクレオヒストン(細胞核)など。色素タンパク質はヘム色素などと結合しているもので、ヘモグロビン(血液)、ミオグロビン(筋肉)などがある。
卵タンパク質は卵白タンパク質と卵黄タンパク質に分けられ、鶏卵では、卵白の約10%、卵黄の約15%がタンパク質である。卵白は脂質をほとんど含まないため、牛乳の約3倍という高濃度のタンパク質水溶液になっており、40種類以上のタンパク質が含まれている。その内、約54%は単純タンパク質のオボアルブミンで、それ以外にはオボログロブリン、オボトランスフェリン、オボムコイド、オボスタチン、オボムシン、リゾチームなどが含まれている。卵黄タンパク質の大部分はリポタンパク質(LDL、HDL、リポビテリン)である。
※複合タンパク質
アルブミンやグロブリンなどの単純タンパク質に糖や脂質などが結合したもので、糖タンパク質、リンタンパク質、核タンパク質、色素タンパク質などがある。
糖タンパク質は糖質が結合したもので、ムチン、オボムコイド(卵白)など。リンタンパク質はリン酸と結合し、カゼイン(牛乳)、ビテリン(卵黄)など。リポタンパク質は脂質と結合したもので、各種リポタンパク質、リポビテリンなど。核タンパク質はヒストンやプロラミンが核酸と結合したもので、プロタミン(魚の白子)、ヌクレオヒストン(細胞核)など。色素タンパク質はヘム色素などと結合しているもので、ヘモグロビン(血液)、ミオグロビン(筋肉)などがある。
土曜日, 5月 10, 2008
ハーブティー
〇ハーブティー
ハーブティーは、ドイツではクロイターティー(薬草のお茶)、フランスではティザーヌ(薬草を煎じる)といい、いずれも薬草茶という把え方をしているが、日本では健康のためというよりも趣味性・嗜好性が強く、一種のファッションとして利用される傾向がないわけでもない。ハーブティーの中には、フラワーティー(花茶)として知られるものもあり、花茶は別に分類する考えもあるが、今日ではハーブティーの中に含めたほうが合理的と考えられている。
ハーブティーはさまさまな種類のものを容易に購入できるようになったが、自分で栽培したり採集した材料が作る人も多い。アルファルファ、カミツレ、ミント、ベニバナなどは種子や苗を入手しやすいし、初めての人でもわずかなスペースやプランターで栽培できる。全草(根を除いて地上部の全部)を用いるものは花の咲き始める頃、満開のものがよい。また、実を用いるものもあるが、これはウイキョウのように完熟した実を使うものもあるし、キササゲのように成熟しきらないものが適したものもあり、ハーブの種類によって使い方が異なるので注意が必要である。
作り方の基本は、全草を用いるときは、よく水洗したのち水気を切って、広げて日陰で乾かす(ものによっては軽く蒸してから乾燥させるものもある)。花の場合は、採取後、素早く日向で干し上げる。いずれも乾燥させてから細かく切って瓶などに密閉して保存すればよい。また根を用いるときは、よく洗ってから小さく刻み、それを天日で乾燥させる。保存のコツは緑茶と同じく湿気を避けることである。
ハーブティーの入れ方は自由だが、花の姿を楽しみたいカミツレ、ベニバナ、ハイビスカス、サフランなどはカップに花弁や花2~3個を入れた上から熱湯を注ぐ。香りを求める葉や実の場合は、茶こしに入れて熱湯を注ぐとよい。オオバコのように成分が出にくいものの場合は、ポットに入れて熱湯を注いで5分くらい置いたり、火にかけてひと煮立ちさせてもよい。
ハーブティーは、ドイツではクロイターティー(薬草のお茶)、フランスではティザーヌ(薬草を煎じる)といい、いずれも薬草茶という把え方をしているが、日本では健康のためというよりも趣味性・嗜好性が強く、一種のファッションとして利用される傾向がないわけでもない。ハーブティーの中には、フラワーティー(花茶)として知られるものもあり、花茶は別に分類する考えもあるが、今日ではハーブティーの中に含めたほうが合理的と考えられている。
ハーブティーはさまさまな種類のものを容易に購入できるようになったが、自分で栽培したり採集した材料が作る人も多い。アルファルファ、カミツレ、ミント、ベニバナなどは種子や苗を入手しやすいし、初めての人でもわずかなスペースやプランターで栽培できる。全草(根を除いて地上部の全部)を用いるものは花の咲き始める頃、満開のものがよい。また、実を用いるものもあるが、これはウイキョウのように完熟した実を使うものもあるし、キササゲのように成熟しきらないものが適したものもあり、ハーブの種類によって使い方が異なるので注意が必要である。
作り方の基本は、全草を用いるときは、よく水洗したのち水気を切って、広げて日陰で乾かす(ものによっては軽く蒸してから乾燥させるものもある)。花の場合は、採取後、素早く日向で干し上げる。いずれも乾燥させてから細かく切って瓶などに密閉して保存すればよい。また根を用いるときは、よく洗ってから小さく刻み、それを天日で乾燥させる。保存のコツは緑茶と同じく湿気を避けることである。
ハーブティーの入れ方は自由だが、花の姿を楽しみたいカミツレ、ベニバナ、ハイビスカス、サフランなどはカップに花弁や花2~3個を入れた上から熱湯を注ぐ。香りを求める葉や実の場合は、茶こしに入れて熱湯を注ぐとよい。オオバコのように成分が出にくいものの場合は、ポットに入れて熱湯を注いで5分くらい置いたり、火にかけてひと煮立ちさせてもよい。
金曜日, 5月 09, 2008
ダイジン(大豆イソフラボン)
〇ダイジン(大豆イソフラボン)
ダイズインともいう。イソフラボン系色素のダイゼイン(daidzein)と糖のグルコースが結合したフラボノイド配糖体で、大豆の胚軸、葛の根に含まれている。大豆イソフラボンとも呼ばれ、女性ホルモン(エストロゲン)と似た作用をすることが知られている。女性に多い骨粗鬆症は女性ホルモンの分泌量と関係しており、中高年になって女性ホルモンの分泌が減少すると骨量も減少することが発症の原因。イソフラボンを摂取すること手骨量の減少が抑えられ、骨粗鬆症の予防につながる。
また、男性ホルモンの過剰で起きる前立腺ガンに対してもイソフラボンの摂取が予防につながるとされている。大豆イソフラボンは骨からカルシウムが溶け出すことを防ぐ機能がヒト試験で証明され、トホクの関与成分にもなっている。また、大豆イソフラボンを含む健康食品に関しては、(財)日本健康栄養食品協会による「大豆イソフラボン食品規格基準」(2000年11月公示)がある。
※ゲニスチン
イソフラボン系色素のゲニステイン(genistein)が糖と結合した配糖体で、大豆の胚軸に億含まれている。大豆イソフラボンの一種。
ダイズインともいう。イソフラボン系色素のダイゼイン(daidzein)と糖のグルコースが結合したフラボノイド配糖体で、大豆の胚軸、葛の根に含まれている。大豆イソフラボンとも呼ばれ、女性ホルモン(エストロゲン)と似た作用をすることが知られている。女性に多い骨粗鬆症は女性ホルモンの分泌量と関係しており、中高年になって女性ホルモンの分泌が減少すると骨量も減少することが発症の原因。イソフラボンを摂取すること手骨量の減少が抑えられ、骨粗鬆症の予防につながる。
また、男性ホルモンの過剰で起きる前立腺ガンに対してもイソフラボンの摂取が予防につながるとされている。大豆イソフラボンは骨からカルシウムが溶け出すことを防ぐ機能がヒト試験で証明され、トホクの関与成分にもなっている。また、大豆イソフラボンを含む健康食品に関しては、(財)日本健康栄養食品協会による「大豆イソフラボン食品規格基準」(2000年11月公示)がある。
※ゲニスチン
イソフラボン系色素のゲニステイン(genistein)が糖と結合した配糖体で、大豆の胚軸に億含まれている。大豆イソフラボンの一種。
木曜日, 5月 08, 2008
苦丁茶
〇苦丁茶
苦丁茶は中国の南部、および西部で保健茶として飲用されている茶で、独特の苦みと清涼感を特徴とする。中国でも茶の中では生産量が少なく、大変貴重な高級茶とされる。場所によって、モクセイ科、オトギリソウ科、モチノキ科、ムラサキ科、バラ科などさまざまな植物の葉を用いて作られる。
四川省産の苦丁茶には、清熱、降圧、防暑の効あり、雲南省産の苦丁茶には、防暑、消炎、増知、抗疲労等の効ありとされる。また、四川省産などのLigustrum属植物を期源とする苦丁茶には、モノテルペンやフェニルエタノイド配糖体が含まれ、特にモノテルペン配糖体にはコレステロールの吸収や生合成に関与するACATという酵素の阻害作用があることが報告されており、血中脂質改善作用が期待されている。
苦丁茶は中国の南部、および西部で保健茶として飲用されている茶で、独特の苦みと清涼感を特徴とする。中国でも茶の中では生産量が少なく、大変貴重な高級茶とされる。場所によって、モクセイ科、オトギリソウ科、モチノキ科、ムラサキ科、バラ科などさまざまな植物の葉を用いて作られる。
四川省産の苦丁茶には、清熱、降圧、防暑の効あり、雲南省産の苦丁茶には、防暑、消炎、増知、抗疲労等の効ありとされる。また、四川省産などのLigustrum属植物を期源とする苦丁茶には、モノテルペンやフェニルエタノイド配糖体が含まれ、特にモノテルペン配糖体にはコレステロールの吸収や生合成に関与するACATという酵素の阻害作用があることが報告されており、血中脂質改善作用が期待されている。
水曜日, 5月 07, 2008
サワーサップ茶
〇サワーサップ茶
サワーサップ(sour sop)は熱帯アメリカに自生するバンレイシ科の小高木で、和名はトゲバンレイシ。椿の葉を大きくしたような直径19~15cmの光沢のある革質の葉を持ち、細かな棘に包まれた実をつける。サワーサップ茶はこの葉を用いる。原産地の一つである南米ギアナの原住民が、激しい運動を伴う狩猟などに出掛ける前や、豪雨にあって体が冷え切った時にサワーサップの葉を煎じて飲む習慣を持っていたのは、経験的にその強心効果(心臓の収縮増強作用)を知っていたためのと考えられている。
サワーサップ茶の強心効果が臨床的に認められたのは1985年のことで、成人病を専門とする日本人医師・石垣健一によってである。石垣は、4人の糖尿病患者(高血圧症、高脂血症症、冠動脈症などを併発)に対し、サワーサップの乾燥葉の微粉末g入りのティーバッグに熱湯を注ぎ、濃い番茶のようになるで十分にエキスを浸出させたものを14日間飲用させ、体重変化、血圧、空腹時血糖、血清コレステロール、血清中性脂肪、動脈硬化指数、心電図、副作用の各項目を記録・分析し、あらゆる項目で好結果を得た。心拍数の増加や血圧上昇などの副作用は何一つ認められなかった。
また、日本化成の研究グループはサワーサップの葉から抽出した精製度の高い粗エキスを用いた動物実験によって、非常に高い心臓収縮増強作用があることを確認している。しかもこの効果は、粗エキスを実験動物の十二指腸内に投与した場合でも発揮されることが実証されたという。現在よく用いられている心不全の治療薬であるニトログリセリンは口腔粘膜からしか吸収されないという弱点があるが、サワーサップにはそれを解決する可能性も期待されている。
サワーサップ(sour sop)は熱帯アメリカに自生するバンレイシ科の小高木で、和名はトゲバンレイシ。椿の葉を大きくしたような直径19~15cmの光沢のある革質の葉を持ち、細かな棘に包まれた実をつける。サワーサップ茶はこの葉を用いる。原産地の一つである南米ギアナの原住民が、激しい運動を伴う狩猟などに出掛ける前や、豪雨にあって体が冷え切った時にサワーサップの葉を煎じて飲む習慣を持っていたのは、経験的にその強心効果(心臓の収縮増強作用)を知っていたためのと考えられている。
サワーサップ茶の強心効果が臨床的に認められたのは1985年のことで、成人病を専門とする日本人医師・石垣健一によってである。石垣は、4人の糖尿病患者(高血圧症、高脂血症症、冠動脈症などを併発)に対し、サワーサップの乾燥葉の微粉末g入りのティーバッグに熱湯を注ぎ、濃い番茶のようになるで十分にエキスを浸出させたものを14日間飲用させ、体重変化、血圧、空腹時血糖、血清コレステロール、血清中性脂肪、動脈硬化指数、心電図、副作用の各項目を記録・分析し、あらゆる項目で好結果を得た。心拍数の増加や血圧上昇などの副作用は何一つ認められなかった。
また、日本化成の研究グループはサワーサップの葉から抽出した精製度の高い粗エキスを用いた動物実験によって、非常に高い心臓収縮増強作用があることを確認している。しかもこの効果は、粗エキスを実験動物の十二指腸内に投与した場合でも発揮されることが実証されたという。現在よく用いられている心不全の治療薬であるニトログリセリンは口腔粘膜からしか吸収されないという弱点があるが、サワーサップにはそれを解決する可能性も期待されている。
月曜日, 5月 05, 2008
マテ茶
〇マテ茶
マテ茶は、南米パラグアイ、ブラジル西部が原産のモチノキ科の常緑低木イェルバマテ(yerba mate)の葉・茎を用いた健康茶である。南米土着のインディオたちが400年以上も健康茶として飲み続けてきたもので、今ではブラジルをはじめ南米各地で愛飲されている。カフェインが少ないので飲みすぎても胃を刺激せず、子供向きのドリンクにも格好である。
成分として注目されているのはマテ茶に特有のマテインというアルカロイドで、自律神経を刺激して心身を活動的にし、健胃・整腸作用、肥満防止が期待できるという。一方、神経の興奮を抑制する働きもあり、ストレスによるイライラや二日酔いにも効果を表す。このほかの機能性の研究では、ノーベル医学賞受賞のB・A・ウーサイによる造血作用、美肌作用、消化液の分泌促進作用、グリコーゲン産生と疲労回復効果などに関する報告がある。また、川上美智子(シオン短期大学)は、マテ茶に含まれるタンニンがデンプン分解酵素アミラーゼの作用を阻害して体脂肪を減少させ、便秘を解消すると発表している。活性酸素を消去するSOD活性も高い。
マテ茶は、南米パラグアイ、ブラジル西部が原産のモチノキ科の常緑低木イェルバマテ(yerba mate)の葉・茎を用いた健康茶である。南米土着のインディオたちが400年以上も健康茶として飲み続けてきたもので、今ではブラジルをはじめ南米各地で愛飲されている。カフェインが少ないので飲みすぎても胃を刺激せず、子供向きのドリンクにも格好である。
成分として注目されているのはマテ茶に特有のマテインというアルカロイドで、自律神経を刺激して心身を活動的にし、健胃・整腸作用、肥満防止が期待できるという。一方、神経の興奮を抑制する働きもあり、ストレスによるイライラや二日酔いにも効果を表す。このほかの機能性の研究では、ノーベル医学賞受賞のB・A・ウーサイによる造血作用、美肌作用、消化液の分泌促進作用、グリコーゲン産生と疲労回復効果などに関する報告がある。また、川上美智子(シオン短期大学)は、マテ茶に含まれるタンニンがデンプン分解酵素アミラーゼの作用を阻害して体脂肪を減少させ、便秘を解消すると発表している。活性酸素を消去するSOD活性も高い。
土曜日, 5月 03, 2008
目薬の木茶
〇目薬の木茶
目薬の木はカエデ科の落葉高木で、イチョウと同じく雌雄異体。日本各地に群生地があるが、多くは山形・岩手以南の本州、四国、九州の深山に分布し、特に福島県とその隣接する県に多い。地方によって千里眼の木、長者の木、三つ花、花楓(ただし同名の別種がある)などの異名がある。
江戸時代初期に、この木の樹皮を煎じて点眼ないし洗眼薬とし、やに目、ただれ目、かすみ目、鳥目、そこひなどの眼病に用いていた記録があるが、歴史的にはすでに安土桃山時代に活用が始まったと考えられている。以来、文字通り、目薬の木として広く活用され、ごく一部の寺社では1950年代の半ばまで自家製の目薬として販売していたといわれるが、ほとんど知られることはなかった。
60年代に入って、星薬科大学の伊澤一男が薬用植物の採集過程でこの木の存在を知ったことが契機となり、同大生薬学教室で成分研究に着手した。その後「薬草カラー図鑑」(伊澤一男、主婦の友社)にこの木が収載され認知度が高まる中で、同大の篠田正人らが肝障害に対するメグスリノキの薬理試験と題する学術発表を行って、強制的に肝障害を起こさせたモルモットにメグスリノキのアルコール抽出エキスを用いて改善が見られたことを報告した。同教室の成分分析試験では、樹皮にはα-アミリン、β-システロール、ロドデンドロン、カテキンなどが、木部にはβ-システロール、クマリン誘導体のスコポレチン、エピーロトデンドリンなどが、葉にはβ-アミリン、ケルセチンなどが確認されている。
目薬の木の成分と種々の眼病、肝障害の改善作用についてはまだ十分に解明はされてはいないが、煎じ液を用いてかすみ目、やに目、老眼、仮性近視、結膜炎、花粉症の涙目などが改善した例、漢方薬との併用による緑内障の眼圧低下、肝炎や蕁麻疹の改善例など、多彩なケースが報告されるようになっている。
目薬の木はカエデ科の落葉高木で、イチョウと同じく雌雄異体。日本各地に群生地があるが、多くは山形・岩手以南の本州、四国、九州の深山に分布し、特に福島県とその隣接する県に多い。地方によって千里眼の木、長者の木、三つ花、花楓(ただし同名の別種がある)などの異名がある。
江戸時代初期に、この木の樹皮を煎じて点眼ないし洗眼薬とし、やに目、ただれ目、かすみ目、鳥目、そこひなどの眼病に用いていた記録があるが、歴史的にはすでに安土桃山時代に活用が始まったと考えられている。以来、文字通り、目薬の木として広く活用され、ごく一部の寺社では1950年代の半ばまで自家製の目薬として販売していたといわれるが、ほとんど知られることはなかった。
60年代に入って、星薬科大学の伊澤一男が薬用植物の採集過程でこの木の存在を知ったことが契機となり、同大生薬学教室で成分研究に着手した。その後「薬草カラー図鑑」(伊澤一男、主婦の友社)にこの木が収載され認知度が高まる中で、同大の篠田正人らが肝障害に対するメグスリノキの薬理試験と題する学術発表を行って、強制的に肝障害を起こさせたモルモットにメグスリノキのアルコール抽出エキスを用いて改善が見られたことを報告した。同教室の成分分析試験では、樹皮にはα-アミリン、β-システロール、ロドデンドロン、カテキンなどが、木部にはβ-システロール、クマリン誘導体のスコポレチン、エピーロトデンドリンなどが、葉にはβ-アミリン、ケルセチンなどが確認されている。
目薬の木の成分と種々の眼病、肝障害の改善作用についてはまだ十分に解明はされてはいないが、煎じ液を用いてかすみ目、やに目、老眼、仮性近視、結膜炎、花粉症の涙目などが改善した例、漢方薬との併用による緑内障の眼圧低下、肝炎や蕁麻疹の改善例など、多彩なケースが報告されるようになっている。
金曜日, 5月 02, 2008
健康茶
〇健康茶
各種の薬草・薬木を使った健康茶は世界各地に伝承されている。中国は広大な国土に多種類の植物があり、まさに薬草の宝庫といってもいいが、それらは実や葉であったり、時には木の皮であったりするが、その地方の人々が古くから健康のために飲用している薬草類が各地にある。その中には漢方薬として使われているものも多い。
本来、茶とはツバキ科の「茶」の葉を抽出したものだが、茶と同じように湯に浸してのこところから「〇〇〇茶」と呼ばれることが多い。茶の栽培は、気候条件や地形などが適した場所でないと良質のものができないため、茶の木が育たなかった地域では、身近にある植物を利用して茶の代わりに使ったのが始まりではないかと考えられる。
中国をはじめ、世界各地にさまざまな健康茶がある。わが国では柿の葉茶やハブ茶など1種類の植物からつくられた健康茶のほか、ハトムギ・クコ・オオバコ・カキドオシ・よもぎ・明日葉・紫蘇・延命草・どくだみなど各種の野草をその土地の風土に合わせてブレンドしたものも多く伝わっている。これらの健康茶は茶そのものを使っていないので、カフェインも含まれていないから寝る前に飲んでもよい。また、各種の薬草にはそれぞれに多様な有効成分が含まれており、日常の健康維持・増進に手軽に利用できる格好の健康食品ともいえる。最近ではエキス加工技術の進歩によって、これまでお茶として飲まれるだけだったものが、粉末やカプセルとしても製品化され、より健康食品食が強まっている。
各種の薬草・薬木を使った健康茶は世界各地に伝承されている。中国は広大な国土に多種類の植物があり、まさに薬草の宝庫といってもいいが、それらは実や葉であったり、時には木の皮であったりするが、その地方の人々が古くから健康のために飲用している薬草類が各地にある。その中には漢方薬として使われているものも多い。
本来、茶とはツバキ科の「茶」の葉を抽出したものだが、茶と同じように湯に浸してのこところから「〇〇〇茶」と呼ばれることが多い。茶の栽培は、気候条件や地形などが適した場所でないと良質のものができないため、茶の木が育たなかった地域では、身近にある植物を利用して茶の代わりに使ったのが始まりではないかと考えられる。
中国をはじめ、世界各地にさまざまな健康茶がある。わが国では柿の葉茶やハブ茶など1種類の植物からつくられた健康茶のほか、ハトムギ・クコ・オオバコ・カキドオシ・よもぎ・明日葉・紫蘇・延命草・どくだみなど各種の野草をその土地の風土に合わせてブレンドしたものも多く伝わっている。これらの健康茶は茶そのものを使っていないので、カフェインも含まれていないから寝る前に飲んでもよい。また、各種の薬草にはそれぞれに多様な有効成分が含まれており、日常の健康維持・増進に手軽に利用できる格好の健康食品ともいえる。最近ではエキス加工技術の進歩によって、これまでお茶として飲まれるだけだったものが、粉末やカプセルとしても製品化され、より健康食品食が強まっている。
木曜日, 5月 01, 2008
ビール酵母
〇ビール酵母
ビールの醸造に使われる酵母はサッカロミセス属(Sachatomyces)の単細胞微生物で、発酵槽でホップを加えた麦汁(麦芽を粉にして煮たもの)に入れると、麦汁の糖分(麦芽糖)をアルコールと炭酸ガスに変えてビールをつくり始める。この過程で酵母の中ではアミノ酸やビタミン、核酸などの栄養素も大量につくられる。発酵が終わり、発酵槽の底に沈殿した酵母を取り出し、洗浄して乾燥させたものがビール酵母で、ビール1リットル当たり約1g得られる。
乾燥ビール酵母に含まれる栄養成分組成は、アミノ酸が約50%、食物繊維が30%、残りがビタミンミネラル、核酸などである。アミノ酸は必須アミノ酸を中心に18種類、ビタミン類はビタミンB1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸など、B群が豊富である。ミネラル類でカリウム、リン、カルシウムが多い。
このような豊富に栄養成分を含む乾燥ビール酵母は、早くから胃腸症状の改善に効果のあることが認められ、医薬品(エビオスなど)の原料として使われてきたが、栄養補給効果が高いことからダイエット食品として人気がある。
ビールの醸造に使われる酵母はサッカロミセス属(Sachatomyces)の単細胞微生物で、発酵槽でホップを加えた麦汁(麦芽を粉にして煮たもの)に入れると、麦汁の糖分(麦芽糖)をアルコールと炭酸ガスに変えてビールをつくり始める。この過程で酵母の中ではアミノ酸やビタミン、核酸などの栄養素も大量につくられる。発酵が終わり、発酵槽の底に沈殿した酵母を取り出し、洗浄して乾燥させたものがビール酵母で、ビール1リットル当たり約1g得られる。
乾燥ビール酵母に含まれる栄養成分組成は、アミノ酸が約50%、食物繊維が30%、残りがビタミンミネラル、核酸などである。アミノ酸は必須アミノ酸を中心に18種類、ビタミン類はビタミンB1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸など、B群が豊富である。ミネラル類でカリウム、リン、カルシウムが多い。
このような豊富に栄養成分を含む乾燥ビール酵母は、早くから胃腸症状の改善に効果のあることが認められ、医薬品(エビオスなど)の原料として使われてきたが、栄養補給効果が高いことからダイエット食品として人気がある。
水曜日, 4月 30, 2008
ガジュツ(莪朮)
〇ガジュツ(莪朮)
ガジュツはインド原産のショウガ科の多年草で、紫ウコンとも言われる。
南アジア一帯で広く栽培され、日本では沖縄、屋久島、種子島で良質品を産する。里芋に似た直径4~5cmの卵型の根茎の断面は淡黄色、中央部が淡い紫色を帯び、特有の芳香と強い苦みを持っているが、それを薄く切って乾燥させ粉末にしたものが生薬として用いられる。その形と顕著な薬効とによって、わが国では古くから弘法大師の石芋とも呼ばれていた。中国薬物書の古典本草綱目には、主治として消化器病、感染症、神経症、血の道症、腫瘍、小児喘息などが挙げられ、古今の彼我の文献には健胃、駆風、鎮痛、駆お血、通経薬として薬効顕著であることが紹介されている。ガジュツを主剤とした漢方薬もあり、それだけに有効成分とその薬理作用に関する研究も活発に行われてきた。
全量の約1~1.5%に当たる精油成分からは多くのモノテルペン類(シネオールやカンファーなど)、セスキテルペン類(アズレンなど)、クルクミン類など微量成分を含めると100種近くが見い出され、それらの作用機序が解明されてきた。芳香性があるため飲んだ時に胃の中がすっきりとし、特有の苦味(モノテルペン類の配糖体)が刺激となって胃液の分泌を促し、同時に精油成分のシネオールも唾液や胃液の分泌を促すので消化力が高まるという健胃効果をもたらす。シネオールには胆汁の分泌を促す作用もあり、消化を助けるとともに血中コレステロールを下げる働きもする。また強い殺菌・防腐作用があり、同様の作用はカンファーにも認められている。カンファーはカンフル剤の主成分で強心作用がある。
このような多様な成分の相乗効果によって生ずるガジュツの効果については数多くの報告がなされている。糸川秀治(東京薬科大学)はマウスによる実験で、ガジュツのエキスに抗腫瘍作用、肝障害の発生を抑える作用があることを認めている。また、水野修一(国立小倉病院)は臨床試験によって、胃潰瘍・十二指腸潰瘍・慢性委縮性胃炎の元凶と見られているヘリコバクター・ピロリがガジュツの投与によって胃内から消滅することを確認している。奥田拓道(愛媛大学医学部)らの研究グループは、アルコール抽出分画にアレルギー物質となるロイコトリエン生成に関わる5-リポシゲナーゼを抑制することを見出しており、これはガジュツが抗アレルギー作用を有すると考えられることから、今後の臨床的成果が待ちれる。
中国では、抽出液の注射で子宮ガン・皮膚ガン・口唇ガンなどに著効を見たという報告が多い。また、慢性肝炎・膵炎、胃潰瘍、不整脈、高血圧、高血糖といった重篤な疾患以外にも、ニキビ、シミ、口臭、便秘、肩こり、腰痛、冷え性、脱毛症、夜尿症などの日常的な不調に対する効果も多数公表されるとともに、ウコンとの併用による相乗的な効果も報告されてきている。
ガジュツはインド原産のショウガ科の多年草で、紫ウコンとも言われる。
南アジア一帯で広く栽培され、日本では沖縄、屋久島、種子島で良質品を産する。里芋に似た直径4~5cmの卵型の根茎の断面は淡黄色、中央部が淡い紫色を帯び、特有の芳香と強い苦みを持っているが、それを薄く切って乾燥させ粉末にしたものが生薬として用いられる。その形と顕著な薬効とによって、わが国では古くから弘法大師の石芋とも呼ばれていた。中国薬物書の古典本草綱目には、主治として消化器病、感染症、神経症、血の道症、腫瘍、小児喘息などが挙げられ、古今の彼我の文献には健胃、駆風、鎮痛、駆お血、通経薬として薬効顕著であることが紹介されている。ガジュツを主剤とした漢方薬もあり、それだけに有効成分とその薬理作用に関する研究も活発に行われてきた。
全量の約1~1.5%に当たる精油成分からは多くのモノテルペン類(シネオールやカンファーなど)、セスキテルペン類(アズレンなど)、クルクミン類など微量成分を含めると100種近くが見い出され、それらの作用機序が解明されてきた。芳香性があるため飲んだ時に胃の中がすっきりとし、特有の苦味(モノテルペン類の配糖体)が刺激となって胃液の分泌を促し、同時に精油成分のシネオールも唾液や胃液の分泌を促すので消化力が高まるという健胃効果をもたらす。シネオールには胆汁の分泌を促す作用もあり、消化を助けるとともに血中コレステロールを下げる働きもする。また強い殺菌・防腐作用があり、同様の作用はカンファーにも認められている。カンファーはカンフル剤の主成分で強心作用がある。
このような多様な成分の相乗効果によって生ずるガジュツの効果については数多くの報告がなされている。糸川秀治(東京薬科大学)はマウスによる実験で、ガジュツのエキスに抗腫瘍作用、肝障害の発生を抑える作用があることを認めている。また、水野修一(国立小倉病院)は臨床試験によって、胃潰瘍・十二指腸潰瘍・慢性委縮性胃炎の元凶と見られているヘリコバクター・ピロリがガジュツの投与によって胃内から消滅することを確認している。奥田拓道(愛媛大学医学部)らの研究グループは、アルコール抽出分画にアレルギー物質となるロイコトリエン生成に関わる5-リポシゲナーゼを抑制することを見出しており、これはガジュツが抗アレルギー作用を有すると考えられることから、今後の臨床的成果が待ちれる。
中国では、抽出液の注射で子宮ガン・皮膚ガン・口唇ガンなどに著効を見たという報告が多い。また、慢性肝炎・膵炎、胃潰瘍、不整脈、高血圧、高血糖といった重篤な疾患以外にも、ニキビ、シミ、口臭、便秘、肩こり、腰痛、冷え性、脱毛症、夜尿症などの日常的な不調に対する効果も多数公表されるとともに、ウコンとの併用による相乗的な効果も報告されてきている。
火曜日, 4月 29, 2008
鉄
〇鉄
元素記号はFe。成人の体内には4~4.5g存在している。その内、約70%は血液中のヘモグロビン、筋肉中のミオグロビン、酵素のチトクロームやカタラーゼにヘム鉄として含まれ、機能鉄として酸素の運搬や酸化還元反応、解毒作用に関与している。残りの30%は鉄貯蔵タンパク質(フェリチン、ヘモデシリン)に非ヘム鉄として組み込まれ、肝臓に蓄えられている。動物性食品に含まれる鉄の多くはヘム鉄(二価鉄)だが、穀類や野菜などの植物性食品に含まれる鉄は非ヘム鉄(三価鉄)の形態をとっている。鉄は十二指腸で二価鉄の状態で吸収される。そのため植物性食品の三価鉄は胃酸で二価鉄に還元されなければ吸収されない。この時、ビタミンCとの共存下で吸収率が高めることが知られている。ホウレン草は鉄とビタミンCの両方を含む食品であり、鉄の摂取源として理想的である。鉄が欠乏すると貧血、運動機能や認知機能の低下を招く。
食事摂取機銃05年版では、鉄の推奨量は1日当たり男性は18~69歳で7.5mg、70位以上で6.5mg、女性は18歳以上(月経あり)で10.5mg、同(月経なし)で6.5mg、上限量は成人男性で45~55mg、成人女性で40~45mgとしている。また保健機能食品制度では、鉄を1日摂取量当たり2.25~10mg含む食品には鉄の機能を表示することができる。
※ヘム鉄
赤血球のヘモグロビン(色素タンパク質)に含まれる二価鉄。食品ではレバーや赤身肉、カツオなどの動物性食品に多く含まれている。植物性食品に含まれる三価鉄に比べ、吸収率が高い。トクホの関与成分にもなっており、貧血気味の人に適した食品として清涼飲料やゼリーなどがある。
元素記号はFe。成人の体内には4~4.5g存在している。その内、約70%は血液中のヘモグロビン、筋肉中のミオグロビン、酵素のチトクロームやカタラーゼにヘム鉄として含まれ、機能鉄として酸素の運搬や酸化還元反応、解毒作用に関与している。残りの30%は鉄貯蔵タンパク質(フェリチン、ヘモデシリン)に非ヘム鉄として組み込まれ、肝臓に蓄えられている。動物性食品に含まれる鉄の多くはヘム鉄(二価鉄)だが、穀類や野菜などの植物性食品に含まれる鉄は非ヘム鉄(三価鉄)の形態をとっている。鉄は十二指腸で二価鉄の状態で吸収される。そのため植物性食品の三価鉄は胃酸で二価鉄に還元されなければ吸収されない。この時、ビタミンCとの共存下で吸収率が高めることが知られている。ホウレン草は鉄とビタミンCの両方を含む食品であり、鉄の摂取源として理想的である。鉄が欠乏すると貧血、運動機能や認知機能の低下を招く。
食事摂取機銃05年版では、鉄の推奨量は1日当たり男性は18~69歳で7.5mg、70位以上で6.5mg、女性は18歳以上(月経あり)で10.5mg、同(月経なし)で6.5mg、上限量は成人男性で45~55mg、成人女性で40~45mgとしている。また保健機能食品制度では、鉄を1日摂取量当たり2.25~10mg含む食品には鉄の機能を表示することができる。
※ヘム鉄
赤血球のヘモグロビン(色素タンパク質)に含まれる二価鉄。食品ではレバーや赤身肉、カツオなどの動物性食品に多く含まれている。植物性食品に含まれる三価鉄に比べ、吸収率が高い。トクホの関与成分にもなっており、貧血気味の人に適した食品として清涼飲料やゼリーなどがある。
月曜日, 4月 28, 2008
α-リポ酸
〇α-リポ酸
2004年3月の食薬区分改正で食品にも使えるようになったα-リポ酸は、別名をチオクト酸といい、ドイツでは糖尿病合併症予防の治療薬として、アメリカでは肝臓疾患治療に利用されてきたビタミン様物質である。その作用は大きく2つあり、糖の代謝促進と抗酸化作用である。食事から摂取した糖質は体内で解糖の最終産物であるピルビン酸に変化してミトコンドリアに運ばれ、そこでα-リポ酸によってアセチルCoAに転化し、TCA回路(クエン酸回路)で代謝される。
α-リポ酸の体内量が少なくなると、糖がエネルギーとして代謝されず肥満の原因となる。一方、抗酸化作用はビタミンC・Eの400倍の強さを持つといわれているが、その酸化物質としての特異性は、細胞膜の脂肪性領域と水溶性領域の両方で働くことができることである。つまり、水溶性ビタミンや脂溶性ビタミンのようにその作用が限定されず、さらに分量が小さいので体の隅々まで浸透しやすい。α-リポ酸は治療目的で使用する場合の摂取量は1日当たり600mgとされているが、サプリメントとして摂取場合は、メーカー推奨量が1日100mg程度ある。
2004年3月の食薬区分改正で食品にも使えるようになったα-リポ酸は、別名をチオクト酸といい、ドイツでは糖尿病合併症予防の治療薬として、アメリカでは肝臓疾患治療に利用されてきたビタミン様物質である。その作用は大きく2つあり、糖の代謝促進と抗酸化作用である。食事から摂取した糖質は体内で解糖の最終産物であるピルビン酸に変化してミトコンドリアに運ばれ、そこでα-リポ酸によってアセチルCoAに転化し、TCA回路(クエン酸回路)で代謝される。
α-リポ酸の体内量が少なくなると、糖がエネルギーとして代謝されず肥満の原因となる。一方、抗酸化作用はビタミンC・Eの400倍の強さを持つといわれているが、その酸化物質としての特異性は、細胞膜の脂肪性領域と水溶性領域の両方で働くことができることである。つまり、水溶性ビタミンや脂溶性ビタミンのようにその作用が限定されず、さらに分量が小さいので体の隅々まで浸透しやすい。α-リポ酸は治療目的で使用する場合の摂取量は1日当たり600mgとされているが、サプリメントとして摂取場合は、メーカー推奨量が1日100mg程度ある。
土曜日, 4月 26, 2008
クエン酸
〇クエン酸
クエン酸はレモンやライムなど柑橘類に多く含まれる爽快な酸味を持つ酸で、レモン1個に約4gのクエン酸が含まれている。ヒトの血液中には総量にして0.1g近く含まれ、常に体中を巡り、生命維持に欠かすことのできないエネルギーを獲得する場面で重要な役割を担っている。
ヒトの体内でブドウ糖がエネルギーに変わるには2つの方式がある。1つは解糖、もう一つはクエン酸回路だが、この回路のキーを握っているのがクエン酸である。実際にクエン酸を摂取することによって、運動能力の向上、疲労回復、肩こり・腰痛の予防・抗菌・抗ウイルス作用が見出されている。
クエン酸のもう一つの働きにキレート作用がある。キレートとはギリシャ語でカニのはさみを意味する「ケーレー」に由来する言葉で、金属のイオンを化合物の両端に挟み込み、その金属イオン特有の性質を覆い隠す。クエン酸は生体内でカルシウムやマグネシウム、あるいはアルミニウムなどのミネラルイオンと結合し、イオンとしての作用を現わさないようにする働きがあるため、保存血液の抗凝固剤や大腸ガンの検査時に使われるマグネシウム塩類下剤に応用されている。また、クエン酸と鉄のキレート化合物であるクエン酸鉄はアルツハイマー病の治療薬として用いられることもある。それはクエン酸のキレート形成能力とその無害性によるものである。
クエン酸は柑橘類のほか、梅干しや天然醸造酢などにも多く含まれており、最近は各種機能性素材とクエン酸が組み合わされ、さまざまな健康食品が登場している。
クエン酸はレモンやライムなど柑橘類に多く含まれる爽快な酸味を持つ酸で、レモン1個に約4gのクエン酸が含まれている。ヒトの血液中には総量にして0.1g近く含まれ、常に体中を巡り、生命維持に欠かすことのできないエネルギーを獲得する場面で重要な役割を担っている。
ヒトの体内でブドウ糖がエネルギーに変わるには2つの方式がある。1つは解糖、もう一つはクエン酸回路だが、この回路のキーを握っているのがクエン酸である。実際にクエン酸を摂取することによって、運動能力の向上、疲労回復、肩こり・腰痛の予防・抗菌・抗ウイルス作用が見出されている。
クエン酸のもう一つの働きにキレート作用がある。キレートとはギリシャ語でカニのはさみを意味する「ケーレー」に由来する言葉で、金属のイオンを化合物の両端に挟み込み、その金属イオン特有の性質を覆い隠す。クエン酸は生体内でカルシウムやマグネシウム、あるいはアルミニウムなどのミネラルイオンと結合し、イオンとしての作用を現わさないようにする働きがあるため、保存血液の抗凝固剤や大腸ガンの検査時に使われるマグネシウム塩類下剤に応用されている。また、クエン酸と鉄のキレート化合物であるクエン酸鉄はアルツハイマー病の治療薬として用いられることもある。それはクエン酸のキレート形成能力とその無害性によるものである。
クエン酸は柑橘類のほか、梅干しや天然醸造酢などにも多く含まれており、最近は各種機能性素材とクエン酸が組み合わされ、さまざまな健康食品が登場している。
金曜日, 4月 25, 2008
ハスカップ
〇ハスカップ
ハスカップはスイカヅラ科に属する低木で、7月下旬に1~2cmほどの濃い紫色の実をつける。名前はアイヌ語に由来する。学名はLonicera caerulea var.cmphyllocalyx。和名はクロミノウグイスカグラ(黒実鶯神楽)。日本では北海道のほか本州中部の高山のごく一部で見られるが、原産地はロシアのバイカル湖周辺とされており、中国北部の産地にも古くから自生していることが確認されている。ただし、現在栽培されているのは北海道のみ。アイヌの人々の間では、この実が古くから「体を軽くし、不老長寿に役立つ果実」として珍重され、特に心臓病や貧血、慢性疲労、冷え症などに効果があるとされている。
近年その機能性が注目されてサプリメントとして用いられるようになり、女性向けの美容サプリメントとしても開発されている。
ハスカップの実には目の疲れに効果的なアントシアニンが豊富に含まれており、なかでも抗酸化活性の高いシアニジン系アントシアニンが、総アントシアニンの100%(主成分はシアニジン-3-グルコシド)を占める。このほか、ビタミンCや、老化防止効果があるビタミンE、抗酸化成分や鉄分などのミネラルが含まれている。
ハスカップはスイカヅラ科に属する低木で、7月下旬に1~2cmほどの濃い紫色の実をつける。名前はアイヌ語に由来する。学名はLonicera caerulea var.cmphyllocalyx。和名はクロミノウグイスカグラ(黒実鶯神楽)。日本では北海道のほか本州中部の高山のごく一部で見られるが、原産地はロシアのバイカル湖周辺とされており、中国北部の産地にも古くから自生していることが確認されている。ただし、現在栽培されているのは北海道のみ。アイヌの人々の間では、この実が古くから「体を軽くし、不老長寿に役立つ果実」として珍重され、特に心臓病や貧血、慢性疲労、冷え症などに効果があるとされている。
近年その機能性が注目されてサプリメントとして用いられるようになり、女性向けの美容サプリメントとしても開発されている。
ハスカップの実には目の疲れに効果的なアントシアニンが豊富に含まれており、なかでも抗酸化活性の高いシアニジン系アントシアニンが、総アントシアニンの100%(主成分はシアニジン-3-グルコシド)を占める。このほか、ビタミンCや、老化防止効果があるビタミンE、抗酸化成分や鉄分などのミネラルが含まれている。
木曜日, 4月 24, 2008
黒酢
〇黒酢
酢は調味料の一つで日女的な食品だが、これを健康酢の位置にまで高めたのが黒酢である。米酢の一種であるが、特に長期間(6か月以上)発酵・熟成させることによってアミノ酸と糖が反応して黒褐色化することから黒酢と呼ばれている。アミノ酸をはじめとする多くの栄養分を含んでおり、血圧降下作用があるなどの健康効果が広く知られたこともあって、今日の健康酢ブームの主役に躍り出た。
黒酢の発祥地は鹿児島県福山町で、つぼ酢がそのルーツである。しかし中には過熱気味の黒酢ブームを反映してか、長い熟成期間を置かずに、食酢をカラメルで着色して黒酢と称するようなものまで現れ、消費者を混乱させている。
このような状況を踏まえ農林水産省は2003年7月、それまで米酢の規定しかなかったJAS規格に、新たに「米黒酢」の規格を設けた。それによると「穀物酢のうち、原材料として米(玄米のぬか層の全部を取り除いて精米したものを除く)、またはこれに小麦もしくは大麦を加えた者ののみを使用したもので、米の使用量が穀物酢1Lにつき180g以上であって、かつ、発酵および熟成によって褐色または黒褐色に着色したもの」と定義された。黒酢は調味料としても利用できるが、価値が高めのことから、特に健康飲料として製品化されるケースも多い。
酢は調味料の一つで日女的な食品だが、これを健康酢の位置にまで高めたのが黒酢である。米酢の一種であるが、特に長期間(6か月以上)発酵・熟成させることによってアミノ酸と糖が反応して黒褐色化することから黒酢と呼ばれている。アミノ酸をはじめとする多くの栄養分を含んでおり、血圧降下作用があるなどの健康効果が広く知られたこともあって、今日の健康酢ブームの主役に躍り出た。
黒酢の発祥地は鹿児島県福山町で、つぼ酢がそのルーツである。しかし中には過熱気味の黒酢ブームを反映してか、長い熟成期間を置かずに、食酢をカラメルで着色して黒酢と称するようなものまで現れ、消費者を混乱させている。
このような状況を踏まえ農林水産省は2003年7月、それまで米酢の規定しかなかったJAS規格に、新たに「米黒酢」の規格を設けた。それによると「穀物酢のうち、原材料として米(玄米のぬか層の全部を取り除いて精米したものを除く)、またはこれに小麦もしくは大麦を加えた者ののみを使用したもので、米の使用量が穀物酢1Lにつき180g以上であって、かつ、発酵および熟成によって褐色または黒褐色に着色したもの」と定義された。黒酢は調味料としても利用できるが、価値が高めのことから、特に健康飲料として製品化されるケースも多い。
水曜日, 4月 23, 2008
食用菊
〇食用菊
菊は日本の秋を象徴する花として知られるが、中国では延命長寿の花として紀元前7世紀ころから培養され、奈良時代に日本にもたらされた外来植物とされている。旧暦9月9日の重陽の節句は「菊の節句」とも言われ、この習慣が平安時代に中国からもたらされたころから、菊を鑑賞する習慣が生じたとされる。菊は万葉集には詠まれていないが、古今和歌集のころから多くの和歌に詠まれている。その高い品格と清らかなイメージは、鎌倉時代初期に後鳥羽上皇が菊の花のデザインを好み、天皇家家紋としたことで決定的になったといわれている。江戸時代に入ると栽培、育種が盛んになり、多数の品種が生み出された。幕末のころは中国・ヨーロッパに輸出され、それぞれの国の菊事情を一変させるほどの人気を呼び、育種が盛んに行われるようになった。
食用菊は、大きく分けて花弁が筒状のものと平たいものの2種類がある。特に食用として栽培されている菊を指す。料理のつまに使われるつま菊などの小輪種や、花びらのみを食用とする大輪種がある。つま菊以外は山形、青森など東北地方、新潟県などで栽培される。苦みが少なく甘みがあるのが特徴で、ゆでておひたしや酢の物、和え物、吸い物、天ぷらなどに用いられる。また菊海苔、干し菊など、蒸した後に薄く四角に乾燥させた加工品もある。現在は数多くの品種があり、冬の一時期を除いた一年中の採取が可能になっている。黄色の越天楽、いわかぜ(ともに山形県)、南部菊、阿坊宮(ともに青森県)、金からまつ(新潟県)、湯沢菊(秋田県)や、うすむらさき色のもってのほか(山形県)、延命楽、かきのもの(新潟県)などの品種がある。同一品種で別名のものもある。タンパク質、カリウム、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンC、β-カロチンなどを含む。
菊は日本の秋を象徴する花として知られるが、中国では延命長寿の花として紀元前7世紀ころから培養され、奈良時代に日本にもたらされた外来植物とされている。旧暦9月9日の重陽の節句は「菊の節句」とも言われ、この習慣が平安時代に中国からもたらされたころから、菊を鑑賞する習慣が生じたとされる。菊は万葉集には詠まれていないが、古今和歌集のころから多くの和歌に詠まれている。その高い品格と清らかなイメージは、鎌倉時代初期に後鳥羽上皇が菊の花のデザインを好み、天皇家家紋としたことで決定的になったといわれている。江戸時代に入ると栽培、育種が盛んになり、多数の品種が生み出された。幕末のころは中国・ヨーロッパに輸出され、それぞれの国の菊事情を一変させるほどの人気を呼び、育種が盛んに行われるようになった。
食用菊は、大きく分けて花弁が筒状のものと平たいものの2種類がある。特に食用として栽培されている菊を指す。料理のつまに使われるつま菊などの小輪種や、花びらのみを食用とする大輪種がある。つま菊以外は山形、青森など東北地方、新潟県などで栽培される。苦みが少なく甘みがあるのが特徴で、ゆでておひたしや酢の物、和え物、吸い物、天ぷらなどに用いられる。また菊海苔、干し菊など、蒸した後に薄く四角に乾燥させた加工品もある。現在は数多くの品種があり、冬の一時期を除いた一年中の採取が可能になっている。黄色の越天楽、いわかぜ(ともに山形県)、南部菊、阿坊宮(ともに青森県)、金からまつ(新潟県)、湯沢菊(秋田県)や、うすむらさき色のもってのほか(山形県)、延命楽、かきのもの(新潟県)などの品種がある。同一品種で別名のものもある。タンパク質、カリウム、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンC、β-カロチンなどを含む。
火曜日, 4月 22, 2008
ギャバ(γ-アミノ酪酸)
〇ギャバ(γ-アミノ酪酸)
γ-アミノ酪酸の英語名の頭文字をとったギャバ(GABA)の略称が一般名に用いられている。哺乳動物の脳から抽出された1950年以降、多くの研究が行われている。ヒトの体内においては、グルタミン酸が脱炭酸する酵素反応によって生成されるアミノ酸で、脳内の主要な抑制性神経伝達物質として存在する。脳の酸素供給量を増やして脳細胞を活性化させ、イライラや不安を鎮める作用がある。近年では、生体内の代謝系に関する作用として血中コレステロール低下作用、抗肥満症効果、血圧上昇抑制効果、アルコール代謝促進作用などが報告されている。免疫系の作用としてアレルギー予防、アトピー性皮膚炎改善効果、発ガン抑制作用なども報告され、今後の科学的な解析においてさらに明らかになっていくことが期待されている。
ギャバは哺乳動物科のほか、植物にも存在することが知られている。発芽させることによってさらに増加することも知られている。発芽玄米には白米の約10倍のギャバが含まれているという報告もある。このほか肉類、鶏、魚類、野菜、果物、発酵食品度にも含まれている。
これらの作用を検討した研究が近年行われている。横越英彦(静岡県立大学食品栄養科学部)は、20~30代の22人の男女を対象に、朝のラッシュ時の満員電車内で増幅するストレスに対する軽減効果を検討、ギャバの摂取によってストレスが半減するという結果が得られたことを平成18年11月に報告している。また日本農芸化学会2007年度大会では、ヒトを対象としたギャバの摂取試験の結果が(株)ファーマフーズの研究グループなどから報告されたが、このうちギャバ配合の機能性飲料による心身疲労軽減効果について検討した報告では、50mgのギャバが配合された飲料の摂取群に疲労感の軽減効果及びストレス緩和効果について有意差が認められたとしているほか、カルビー(株)はギャバを強化したジャガイモを主原料とした菓子の摂取による抗ストレス作用を唾液中のストレスマーカーにより検討し、ストレス館や不安感の抑制に影響した測定数値が報告されている。
このほか平成19年の第61回日本栄養・食糧学会大会では、横澤隆子(富山大学和漢医薬学総合研究所)が腎摘出ラットにおけるGABAの腎不全進行抑制作用について、また関連企業からギャバの腎線維化の抑制作用について報告している。
最近の食品研究では、平成19年9月に日本食菌工業の国産姫マツタケ(子実体)100g中のギャバの含有量が1160mgにのぼることが確認された。これは発芽玄米100g当たりのギャバ含有量の58~77倍に相当する量で、これまで確認されているヒメマツタケの食品機能との関係も含めて、さらに解析研究が進展するかの性が生じている。
γ-アミノ酪酸の英語名の頭文字をとったギャバ(GABA)の略称が一般名に用いられている。哺乳動物の脳から抽出された1950年以降、多くの研究が行われている。ヒトの体内においては、グルタミン酸が脱炭酸する酵素反応によって生成されるアミノ酸で、脳内の主要な抑制性神経伝達物質として存在する。脳の酸素供給量を増やして脳細胞を活性化させ、イライラや不安を鎮める作用がある。近年では、生体内の代謝系に関する作用として血中コレステロール低下作用、抗肥満症効果、血圧上昇抑制効果、アルコール代謝促進作用などが報告されている。免疫系の作用としてアレルギー予防、アトピー性皮膚炎改善効果、発ガン抑制作用なども報告され、今後の科学的な解析においてさらに明らかになっていくことが期待されている。
ギャバは哺乳動物科のほか、植物にも存在することが知られている。発芽させることによってさらに増加することも知られている。発芽玄米には白米の約10倍のギャバが含まれているという報告もある。このほか肉類、鶏、魚類、野菜、果物、発酵食品度にも含まれている。
これらの作用を検討した研究が近年行われている。横越英彦(静岡県立大学食品栄養科学部)は、20~30代の22人の男女を対象に、朝のラッシュ時の満員電車内で増幅するストレスに対する軽減効果を検討、ギャバの摂取によってストレスが半減するという結果が得られたことを平成18年11月に報告している。また日本農芸化学会2007年度大会では、ヒトを対象としたギャバの摂取試験の結果が(株)ファーマフーズの研究グループなどから報告されたが、このうちギャバ配合の機能性飲料による心身疲労軽減効果について検討した報告では、50mgのギャバが配合された飲料の摂取群に疲労感の軽減効果及びストレス緩和効果について有意差が認められたとしているほか、カルビー(株)はギャバを強化したジャガイモを主原料とした菓子の摂取による抗ストレス作用を唾液中のストレスマーカーにより検討し、ストレス館や不安感の抑制に影響した測定数値が報告されている。
このほか平成19年の第61回日本栄養・食糧学会大会では、横澤隆子(富山大学和漢医薬学総合研究所)が腎摘出ラットにおけるGABAの腎不全進行抑制作用について、また関連企業からギャバの腎線維化の抑制作用について報告している。
最近の食品研究では、平成19年9月に日本食菌工業の国産姫マツタケ(子実体)100g中のギャバの含有量が1160mgにのぼることが確認された。これは発芽玄米100g当たりのギャバ含有量の58~77倍に相当する量で、これまで確認されているヒメマツタケの食品機能との関係も含めて、さらに解析研究が進展するかの性が生じている。
月曜日, 4月 21, 2008
蟻(あり)
〇蟻(あり)
蟻は膜翅類アリ科の成虫で、世界に2万種近く生存し、日本だけでも約250種類がいる。古来より乾燥蟻粉末は補腎、養肝、健脾の効ありとされ、周代(紀元前1050~256年)は貴族の滋養強壮剤とされた。漢代(紀元前202~後220年)には蜂蜜と混ぜて骨の鎮痛、強化に「金剛丸」という丸薬として用いられた。また、明代の本草綱目には玄駒の名で記され、搗いて化膿腫や疸毒の外用治療薬とされている。
現在、中国で食用、薬用、日本で健康食品に用いられる蟻は衛生的な面から木の上に巣を作る疑黒多刺蟻に限定されている。成分としては必須アミノ酸をすべて含むタンパク質を50%以上含み、鉄、マンガン、カルシウム、亜鉛等のミネラルやビタミン1、B2、B12、Eなどを豊富に含有している。また薬効成分としては、鎮痛、消炎、筋肉増強作用を持つとされる昆虫変態ホルモン「エクソジン」、消炎作用を持つサポニン類、殺菌力を持つ蟻酸、多種類の酵素などが見いだされている。
現在では主としてB型肝炎、変形性関節炎、リウマチ性関節炎の鎮痛改善の用途に頻用されているほか、精力増強、貧血や骨粗鬆症の予防改善にも利用される。
その効果は、中国の周らによるB型肝炎患者168名への投与では、有効率86.9名と報告されている(中薬理と臨床6、1994年)。また呉らのB型肝炎85症例の有効率は81%であったとされた(山東医薬36巻7期、1995年)。さらに、日本の東京理科大学における蟻主剤の健康食品による変形性膝関節炎22症例の4週間投与後の有効率は、痛みに対して73%、こわばりにたいして50%、関節の屈伸に対して64%であった(薬理と治療32、No1.、2004年)
蟻は膜翅類アリ科の成虫で、世界に2万種近く生存し、日本だけでも約250種類がいる。古来より乾燥蟻粉末は補腎、養肝、健脾の効ありとされ、周代(紀元前1050~256年)は貴族の滋養強壮剤とされた。漢代(紀元前202~後220年)には蜂蜜と混ぜて骨の鎮痛、強化に「金剛丸」という丸薬として用いられた。また、明代の本草綱目には玄駒の名で記され、搗いて化膿腫や疸毒の外用治療薬とされている。
現在、中国で食用、薬用、日本で健康食品に用いられる蟻は衛生的な面から木の上に巣を作る疑黒多刺蟻に限定されている。成分としては必須アミノ酸をすべて含むタンパク質を50%以上含み、鉄、マンガン、カルシウム、亜鉛等のミネラルやビタミン1、B2、B12、Eなどを豊富に含有している。また薬効成分としては、鎮痛、消炎、筋肉増強作用を持つとされる昆虫変態ホルモン「エクソジン」、消炎作用を持つサポニン類、殺菌力を持つ蟻酸、多種類の酵素などが見いだされている。
現在では主としてB型肝炎、変形性関節炎、リウマチ性関節炎の鎮痛改善の用途に頻用されているほか、精力増強、貧血や骨粗鬆症の予防改善にも利用される。
その効果は、中国の周らによるB型肝炎患者168名への投与では、有効率86.9名と報告されている(中薬理と臨床6、1994年)。また呉らのB型肝炎85症例の有効率は81%であったとされた(山東医薬36巻7期、1995年)。さらに、日本の東京理科大学における蟻主剤の健康食品による変形性膝関節炎22症例の4週間投与後の有効率は、痛みに対して73%、こわばりにたいして50%、関節の屈伸に対して64%であった(薬理と治療32、No1.、2004年)
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