○麹菌
麹をつくる際に使用されるカビ(黴)で、コウジカビともいう。わが国で使われているのは子嚢菌類のアスペルギルス属(Aspergillus)のカビである。分生子(胞子)の色の違いから黄麹菌、黒麹菌、白麹菌がある。一方、他のアジア圏ではリゾープス属(Rhizopus)やムコール属(Mucor)のカビが使われている。
※黄麹菌
分生子(胞子)の色が黄色のためこう呼ばれる。わが国で最も多く使われている麹菌で、デンプン分解酵素(α-アミラーゼなど)やタンパク質分解酵素(プロテアーゼなど)の生産性が高い。清酒や味噌、醤油、味醂など、ほとんどの発酵食品に使われるアスペルギルス・オリゼ(A.oryzae)、主に醤油の醸造に使われるアスペルギルス・ソーヤ(A.aojae)がある。A・オリゼは酵素剤の製造にも古くから使われている。1909年、科学者の高嶺譲吉によって小麦フスマから抽出されたタカヂアスターゼは、工業的につくられた世界初酵素剤である。
※黒麹菌
分生子の色が黒色のためこう呼ばれる。代表的なものに沖縄で泡盛の製造に使われているアスペルギルス・アワモリ(A.awamori)がある。クエン酸の産生能が高く、もろみが酸性状態で維持されるので雑菌の繁殖防止につながり、高温地域での酒造りに適している。泡盛醪の残渣からつくられる琉球もろみ酢はクエン酸を大量に含んだ健康飲料である。
※白麹菌
黒麹菌の変異株で、分生子の色が白色に近いためこう呼ばれる。九州地方で焼酎製造に使われているアスペルギルス・カワチ(A.kawachii)、アスペルギルス・シロウサミ(A.shirousamii)がある。
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