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木曜日, 7月 25, 2013

西洋トチノキ

○西洋トチノキ

 バルカン半島のトチノキ科の落葉高木セイヨウトチノキ(Aesculus hippocastanum)の種子を用いる。欧米では街路樹として広く植栽され、パリのマロニエとして知られているのはこのセイヨウトチノキのことである。ちなみに英語名はホース・チェスナット(栗)、その翻訳名のウマグリ(馬栗)という和名もある。仏語名のマロニエもマロン(栗)に由来し、かつてマロングラッセもマロニエの実が使われていたといわれる。

 種子にはトリテルペン系サポニンのエスシンのほか、クマリン、エスクリンなどが含まれ、静脈壁を強化し、静脈の透過性を下げる作用のほか、血流促進、凝固抑制、抗炎症、抗潰瘍作用などが知られている。

 外傷や炎症による腫張を緩和し、静脈の血流を改善視することが認められており、ドイツなどでは静脈瘤や下肢血流障害(足のだるさ、こむら返り)、痔核の治療、手術後の浮腫の回復などに用いられ、日本でも軟部腫張の治療薬として用いられ、市販の痔治療薬や湿布薬、化粧品などに配合されている。ちなみに生の種子にはエスクリンが含まれるため、過量に用いると死に至ることがあり、一般にはエスクリンを除去した種子エキスのみを利用する。副作用として消化器症状や痒みの出ることがある。

 日本のトチノキ(A.turbinata)も民間薬として知られ、種子の栃の実を乾燥粉末にして胃痛や打ち身、痔などに用いている。また樹皮を煎じて痔や子宮出血、蕁麻疹、下痢等に用い、葉を煎じて咳の治療に用いている。