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土曜日, 12月 22, 2012

胡芦巴

胡芦巴(ころは)

 南西アジア原産のマメ科の一年草コロハ(Trigonella foenum-graecum)の種子を用いる。胡芦巴(huluba)はアラビア語の本品名(hullba)に由来する。香料としてはフェヌグリーク(Fenugreek)と呼ばれ地中海地域やインドなどで栽培されている。

 草丈50cmぐらいで、全株に特有の香気があり、夏に6~9cmの細長い鎌状に曲がった豆果をつける。その中に大きさ2~3mmの矩形をした褐色の種子が10~20個含まれている。

 フェヌグリークはエチオピアやエジプト、中近東ではポピュラーな香料であり、インドでは種子や葉をカレー粉やチャツネの原料として用いる。焦げた砂糖とメープルのようなほろ苦味があり、合成メープルシロップの主成分でもある。薬としては古代エジプトの時代から用いられ、口腔疾患や口唇のひび割れ、胃病などに利用され、その配合された軟膏は臭いため「ギリシャの糞」と呼ばれていた。

 インドや中近東では催乳作用があると伝えられ、授乳期の女性が食べる風習がある。種子にはマンノガラクタンなどの粘質が含まれるほか、トリゴネリンやコリンなども含まれる。また、種皮にはステロイド型サポニンのフェヌグリークサポニンが含まれ、これが体内で女性ホルモンであるプロゲステロンに変換されるということが指摘されている。また、フェヌグリークの胚乳には血糖降下作用があることも報告されている。

 漢方では腎陽を温め、寒湿を去る効能があり、インポテンツや遣精、冷えによって生じる下腹部痛や下肢痛、月経痛などに用いる。腎虚によって生じる痰の絡む卒中や喘息、気の上衝、腹痛などの症状に附子・補骨脂などと配合する(黒錫丹)。市販薬では滋養強壮薬に配合されている(ナンパオ)。近年、母乳の出をよくしたり、豊胸や更年期障害の予防などへの効果も期待されている。