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日曜日, 1月 01, 2006

羅漢果について

○羅漢果

 羅漢果は中国広西省チワン族自治区の山岳地に産するウリ科の果実で、香りが高く甘みが非常に強いため、中国では古くからこれを乾燥させて料理の調味料、甘味飲料の原料として使うほか、生薬として珍重して神果とも呼び、国王は他国への持ち出しを禁じていたともいわれる。羅漢果の文字は、仏教修行者の到達できる最高の境地である阿羅漢果に由来するであろう。

 もともと野生であった羅漢果であるが、いつのコロからか農家の園芸作物として栽培されるようになりながら、新中国の誕生の頃には荒廃の限りを尽くした。しかしその後、再び中国政府の奨励のもとに復興して農業の表舞台に登場し、今では主要な中国の輸出産物のひとつとなった。

 生薬としての羅漢果は、清熱・止咳・去痰・肺の湿潤・造血・胃腸の機能促進、利尿・便秘などに効くとされ、近年の研究ではストレス解消や高血圧症、糖尿病にも効果があり、長く服用していると細菌感染による呼吸器系の疾患に対する抵抗力がつくことが指摘されてきた。そのため、中国では羅漢果を原料とした咳止め、喘息の発作を抑えるシロップ剤や錠剤あるいは熱湯を注いで飲む固形剤などが作られて、製品は海外へも輸出されている。

 わが国では、以前この羅漢果の甘み成分(糖度は砂糖の300~400倍)に着目して、徳島文理大学の竹本常松らが詳細な分析研究を行い、驚くほど低カロリーの新しい配糖体(テルペングリコシド配糖体)を発見し、「S-5」と名づけて学会発表をしたことがある。一部には初頭の過剰摂取による虫歯、肥満、糖尿病などの多発が心配される日本において、この新しい甘味料がそうした弊害の緩和に役立つと期待がもたれたが、当時はまだ輸入量が少なかったこともあって広く知られない時期が続き、従って商品開発もなかなか進まなかった。しかし、生産量の増大と輸出振興の恩恵を受けて、現在ではわが国の消費量も拡大している。

 最近になって、岡山大学医学部の森昭胤らのグループが、羅漢果の熱水抽出エキスに、活性酸素とフリーラジカルを消去・抑制し、さらに脳組織の脂質の過酸化を予防する作用があるという研究発表を行った注目された。活性酸素とフリーラジカルは通常の体内での酸化の過程でも、また、紫外線や放射線の照射によって発生する。あるいは油や油脂が空気と熱に長時間さらされたときにも発生し、食事によって体内に取り込まれる。それが体内で脂質を酸化させて有害物質に変えたり、正常な細胞を破損したり、遺伝子を傷つけることになどによって、癌・動脈硬化・炎症・虚血・アレルギー・パーキンソン病などのほか、老人性ボケを含むさまざまな老化現象をもたらすのであるが、羅漢果にはそれを消去・抑制する作用があることが判明したのである。

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