○鶏肝(けいかん)
キジ科のニワトリの肝臓を用いる。紀元前3200年頃にマレー半島でニワトリの野生種を飼育して家畜化したのが養鶏の始まりで、前1400年頃に中国に伝わり、日本には弥生時代に青銅器文化とともに朝鮮から伝えられたといわれている。
ニワトリはさまざまな部位が薬用にされ、肉は鶏肉、砂囊の内壁は鶏内金、糞便の白い部分は鶏屎白と呼ばれている。肝臓にはタンパク質、脂肪、炭水化物、カルシウム、リン、鉄、ビタミンA・B1・B2、ニコチン酸、ビタミンCなどが含まれている。
漢方では肝臓を補う効能があり、視力の低下や栄養障害、妊娠中の出血などに用いる。鶏肝をゆでた後に乾燥し、山薬の粉末を加えて細末にしたものを丸薬として虚弱体質や夜盲症の治療に用いる(鶏肝丸)。また中国の民間療法では百日咳の治療に鶏肝など家禽の肝が用いられている(百日咳片)。日本でも百日咳やマイコプラズマ肺炎による咳嗽に効果があったことが報告されている。