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木曜日, 8月 15, 2013

石斛

○石斛(せっこく)

 日本の本州、四国、九州、朝鮮半島南部、中国などに分布するラン科の多年草セッコク(Dendrobium moniliforme)およびその同属植物の茎を用いる。セッコクには「スクナヒコグスリ(少名彦薬)」とか「イワグスリ(岩薬)」などという和名があり、日本でも古くから薬用にされたと考えられている。中国ではコウキセッコク(D.nobile)、ホンセッコク(D.officinale)などが用いられている。

 セッコク属は熱帯アジアの高山帯に多くの種類がみられ、樹上や岩石などに着生している。生薬では鉄皮石斛がもっとも良品とされ、高貴薬として扱われている。

 石斛には粘液質やデンドロビン、ノビロビンなどが含まれ、デンドロビンには解熱、鎮痛作用が、煎液には胃液分泌や胃腸蠕動の促進作用が認められている。官報では清熱・滋陰・生津・強壮の効能があり、発熱時の口渇や糖尿病、陰虚による発熱、食欲減退、インポテンツなどに用いる。

 石斛は生(鮮石斛)で用いたほうが清熱・生津の効力は強く、熱性疾患による口渇には鮮石斛、一般的な陰虚による口渇には乾石斛を用いる。また慢性胃炎で嘔吐や乾嘔があり、舌苔が剥落している胃陰虚や糖尿病にみられる食欲亢進や口渇などの胃熱にも用いる。

 口腔内がただれて痛むときには地黄・枇杷葉などと配合する(甘露飲)。視力低下や夜盲症などには菊花・決明子などと配合する(石斛夜光丸)。なおセッコク属の茎を加工してバネや螺旋形に曲げたものは耳環石斛とか楓斗と呼ばれ、滋養・強壮薬として茶の代わりに飲まれている。