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水曜日, 8月 15, 2012

枸櫞皮

○枸櫞皮(くえんひ)

 日本ではミカン科の常緑果樹レモン(Citrus limon)の成熟果実の皮を枸櫞皮という。ところで中国の植物名で枸櫞というのはシトロン(マルブッシュカン:C.medica)のことで、その生薬名は香櫞という。レモンはインド北東部原産とされ、シトロンから派生したといわれている。ちなみにレモンのことをフランス語でシトロンという。

 レモンは中国も宋の時代に伝えられたが、あまり栽培されなかった。日本には江戸時代末になって伝わり、瀬戸内海の島々などでもかなり栽培されていたことがある。クエン酸という名はレモン汁から最初に単離されたことに由来し、かつてクエン酸の製造原料にもされていた。

 レモンの皮には精油が含まれ、主成分のd-リモネンやシトラールのほか、フラボノイドのヘスペリジンなどが含まれる。レモンは古くから航海などにおけるビタミンCの補給源として利用され、また果汁のクエン酸には殺菌効果がある。枸櫞皮は芳香性健胃薬や芳香料として用いられるほか、レモンパックやレモン風呂などの美容面にも利用されている。