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木曜日, 3月 27, 2014

南蛮毛

○南蛮毛(なんばんもう)

 熱帯アメリカ原産のイネ科の一年草トウモロコシ(Zea mays)の雌花の長い花柱、つまりトウモロコシの毛を用いる。日本市場では南蛮毛とかナンバの毛と呼ばれているが、中国では一般に玉米鬚といい、英語ではコーンシルクという。

 トウモロコシはコロンブスがヨーロッパに伝え、日本には安土・桃山時代にポルトガルの宣教師から伝えられたため、古くは南蛮黍と呼ばれていた。トウモロコシはコムギ、コメと並ぶ三大穀物の一つで、食用や飼料として世界各地で栽培され、日本でも北海道などで多く作られている。

 果実からはコーン油やデンプン(コーンスターチ)が得られ、医薬品関係ではコーン油は軟膏の基剤や注射溶剤として、コーンスターチは賦形剤として利用されている。生薬はトウモロコシの雌花の花柱をむしり取り、乾燥する。

 成分にはシトステロール、スチグマステロール、イソクエルシトリン、硝酸カリウムなどが含まれ、利尿、血圧効果、胆汁分泌促進作用などが報告されている。なおトウモロコシの未熟果実に含まれるゼアチンには細胞分裂を促進する作用がある。

 コーンシルクは欧米で古くから利尿薬として、またフランスでは胆汁分泌を促進する薬として知られていた。日本でも民間薬として単味で腎炎や妊娠時の浮腫に用いられ、利尿薬として知られる西瓜糖や千香煎にも配合されている。漢方では余り用いられないが、近年、中国でも利尿・利胆薬として脚気や腎炎、浮腫、肝炎、腎結石、胆石、高血圧、糖尿病などに応用されている。