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水曜日, 5月 09, 2012

詞子

○詞子(かし)

 インド・ビルマを原産とし、中国では雲南・広西・広東省、チベット自治区などで植栽されているシクンシ科の落葉高木ミロバラン(Terminalia chebula)の果実を用いる。新修本草や金匱要略には訶梨勒とあるが、現在では詞子と呼ばれている。ミロバランの樹高は20~30mにも達するが、果実は3~4cmの卵型をしたもので中に大きな核がある。核を除いたものは詞子肉といわれる。詞子は担任の含有量が多く、インドの代表的な褐色染料であり、また皮なめしなどに用いられてきた。

 タンニンの成分としてケブリン酸など、関連ポリフェノールとしてエラグ酸などが含まれている。ケブリンの平滑筋に対する鎮痙作用のほか、詞子の煎液には強い抗菌作用が知られている。本来はインドの伝承医学アユルヴェーダの主要な薬物であった。

 漢方では止咳・止瀉・利咽の効能があり、咳嗽や下痢、嗄声、脱肛、血便、性器出血、帯下、遣精、頻尿などに用いる。とくに収斂・固渋薬の一つとして慢性の下痢や咳嗽に対して常用され、利咽薬として声が嗄れたときに効果がある。近年、詞子と藤瘤・菱実・薏苡仁とを配合したものに抗癌作用があると報告されたことがある。