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火曜日, 7月 02, 2013

水蛭

水蛭(すいてつ)

 日本、中国、朝鮮半島の池や沼に生息するヒルド科のチスイビル(Hirudo mipponia)をはじめ、ウマビル(Whitmania pigra)、チャイロビル(W.acranulata)などをそのまま乾燥したものを用いる。

 チスイビルは体長3~5cm、ウマビルは6~13cm、チャイロビルはウマビルよりもやや小さく、いずれも細長い扁平形で前後端に吸盤がある。一般に補足したあと石灰や酒に漬けて殺し、日干しあるいは炙って乾燥する。

 ヒルはヨーロッパでは古くから瀉血療法の道具として利用され、20世の初め頃までフランス、ドイツ、オランダ、イタリアなどで盛んに用いられていた。これは生きているヒルを皮膚に吸い付かせて患部の血液を吸収させる単純な方法であり、脳卒中や緑内障、肺結核などの治療に応用されていた。

 ヒルの唾液にはヒルジンといわれる抗凝固物質が含まれ、フィブリノーゲンに対するトロンビンの作用を阻止する。ただ乾燥体ではヒルジンは破壊されている。また水蛭にはヒスタミン様物質やヘパリンなども含まれる。

 漢方では活血化瘀・通経・消癥の効能があり、瘀血による月経障害、子宮筋腫、打撲傷などに用いる。蓄血証で下腹部が硬く膨張し、月経不順や神経症状の見られるときに大黄・虻虫などと配合する(抵当湯)。肝硬変や結核性腹膜炎、子宮筋腫などがあり、るい痩や食欲不振、皮膚の甲錯などのみられるときに大黄・虻虫・シャ虫などと配合する(大黄シャ虫丸)。