○象皮(ぞうひ)
哺乳類、ゾウ科のインドゾウ(Elephas maximus)の外皮を用いる。ゾウはアフリカゾウ(E.Africanus)とインドゾウに大別されるが、アフリカゾウの耳がインドゾウよりも大きいことで区別される。
インドゾウはインド、マレー半島、スマトラ、ボルネオなどに生息し、群生して草や樹皮、タケノコなどを食べる。牙は上顎にある門歯が長く成長したもので、メスの牙はごく小さいが、オスの牙は2m以上にも及ぶ。インドゾウの性質は温和で知能が高く、インドやタイでは神聖な動物としてあがめられてきた。
象皮の薬材は暑さ0.5~2cmの方形状で、皮の厚いものを良品とする。漢方では止血・歛瘡の効能があり、外傷性の出血や皮膚潰瘍に用いる。使用法は剥いだ皮を乾燥したものを煮つめて膏にしたり、黒焼きを粉末にして、慢性の皮膚潰瘍や傷口が閉じていないときに外用する。