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水曜日, 2月 12, 2014

動物胆






○動物胆(どうぶつたん)

 さまざまな動物の胆嚢および胆汁を薬用に用いる。魚類では鯉魚胆やヤツメウナギの胆、爬虫類ではヘビの蛇胆、鳥類ではニワトリの鶏胆、哺乳類ではクマの熊胆、ブタの猪胆、ウシの牛胆などが薬用にされている。

 近年、熊胆の入手が困難なため、その代用として牛の胆汁を濃縮した牛胆が用いられている。また牛黄はウシの胆嚢や胆管にできた胆石である。胆嚢は肝臓で作られた胆汁を蓄え、濃縮する臓器であり、食事によって胆嚢の収縮が起こり、胆汁が腸に排泄される。

 一般に動物の胆汁には胆汁色素、胆汁酸塩、脂肪酸、コレステロール、レシチンなどが含まれている。胆汁酸塩は胆汁酸がナトリウムやカリウムと結合したもので、胆汁酸はコール酸、デオキシコール酸、ウルソデオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、リトコール酸などがグリシンと結合したグリリコール酸か、タウリンと結合したタウロコール酸として存在する。動物によってこのグリリコール酸とタウロコール酸の比が異なっているるちなみに牛黄の主成分はデオキシコール酸、熊胆はウルソデオキシコール酸である。

 胆汁酸は水に不溶性の脂肪や脂溶性ビタミンなどを乳化させ、酵素作用を活性化させる作用があり、動物の胆嚢および胆汁には抗菌作用、利胆作用、鎮咳作用、鎮痙・止痛作用などのあることが知られている。

 漢方では性味は苦寒であり、清熱・解毒・平肝・鎮驚・明目・通便などの効能があるとされている。日本の大衆薬である救心などには動物胆、敬震丹には牛胆・鯉胆が配合されている。また中国の片仔癀には蛇胆が含まれている。