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水曜日, 6月 12, 2013

鍼砂

○鍼砂(しんしゃ)

 鋼鍼を製造するときに削り落とされた鉄屑を用いる。主成分は鉄であり、酸化鉄や炭素、リン、ケイ素、硫黄なども含まれる。鉄は一般に吸収されにくいが、一部は胃酸の作用で塩化第一鉄となり、小腸上部で吸収される。

 西洋で鉄が貧血の治療に有効であることが知られたのは17世紀のことである。近年まで硫酸鉄や塩化第一鉄などの還元鉄が用いられていたが胃腸障害が起こりやすく、現在では除法性鉄剤や有機酸鉄、有機鉄(ヘム鉄)がおもに用いられている。

 漢方では補血・利水の効能があり、血虚黄胖や浮腫の治療に用いる。貧血に伴う動悸、眩暈、呼吸困難、浮腫などの症状に苓桂朮甘湯に鍼砂・牡蠣・人参を加える(鍼砂湯)。