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木曜日, 6月 11, 2015

青蒿

○青蒿(せいこう)

 本州、九州、四国、朝鮮半島、中国に分布するキクカの二年草カワラニンジン(Artemisia apiacea)の全草を用いる。このほかアジア、ヨーロッパに広く分布するクソニンジン(A.annua)の全草を用いることもある。ただしクソニンジンの全草はとくに黄花蒿とも呼ばれている。

 葉の形がニンジンに似ていて、よく川原にみられるのでカワラニンジンというながある。一方、クソニンジンのなはその悪臭にちなむ。カワラニンジンは中国から薬用植物、すなわち神麹の原料の一つとして日本に渡来し、その後に野生化したといわれている。

 カワラニンジンの成分にはαピネン、カンフェンのほか、クマリン類のスコポレチン、ダフネチン、ヘルニアリンなど、クソニンジンの成分にはアルテミジアケトン、ヘキサナール、シネオールなどが含まれ、抗真菌、解熱作用などが知られている。

 漢方では清熱・解暑・退虚熱の効能があり、日射病や熱射病、結核やマラリアなどの慢性消耗性疾患の発熱、潮熱、盗汗などの症状に用いる。肺結核などで熱が続き、痩せて全身倦怠感のあるときには知母・別甲などと配合する(青蒿別甲湯)。また鼻出血には新鮮な青蒿の汁に水を加えて服用する。

 近年、クソニンジンを原料とした抗マラリア薬、アーテスネート(アーテミシニン)が中国の製薬会社によって開発され、世界的に広く普及している。