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月曜日, 5月 21, 2012

滑石

○滑石(かっせき)

 生薬として市場には軟滑石と硬滑石の2種類の滑石がある。軟滑石は天然の含水ケイ酸アルミニウムからなる粘土鉱物、加水ハロサイトのことである。硬滑石は鉱物学上の滑石(タルク Talc)のことで、天然の含水ケイ酸マグネシウムである。

 真正の滑石は軟滑石とされ、正倉院に保管されていた滑石も軟滑石(加水ハロサイト)であることが明らかにされた。現在、中国では主としてタルク(硬滑石)を正条品として用いているが、日本では加水ハロサイトやカオリナイト(白陶土)が用いられている。とくに白くて滑らかで、水で潤すと全体が軟化して崩壊するものを唐滑石と呼んで、上品とする。ちなみに日本薬局方ではタルクを保護薬として収載している。

 漢方では利水・通淋・清熱の効能があり、排尿障害や浮腫、夏期の口渇、下痢、皮膚掻痒などに用いる。とくに膀胱の熱を瀉して排尿を促進するので膀胱炎に適し、また暑熱を解して利湿するので熱射病などによる口渇や煩躁、下痢などにも応用される。さらに外用薬として湿疹や皮膚潰瘍などに用いる。