○板藍根(ばんらんこん)
アブラナ科に属するホソバタイセイ(Isatis tinctoria)やタイセイ(I.indigotica)、キツネノマゴ科のリュウキュウアイ(Storobilanthes flaccidifolius)の根茎および根を用いる。これらの葉や枝葉は大青葉、精製された藍色の色素は青黛として生薬に用いられる。ホソバタイセイはヨーロッパや南西アジアが、タイセイは中国が原産とされている。
これらの植物はインジゴを含み、古くから世界各地で藍色の染料として用いられた。植物に含まれるインジカンは、発酵させることにより加水分解されてインドキシルとなり、さらに空気による酸化を受けインジゴとなる。薬理学的には抗菌作用、抗ウイルス作用が認められている。
漢方では清熱涼血・解毒の効能があり、高熱や発疹、咽頭痛を伴うような感染性熱性疾患、脳炎、髄膜炎、丹毒、肺炎、耳下腺炎などに用いる。顔面の丹毒や腫れ物、中耳炎、耳下腺炎などで熱のみられるときには黄芩、黄連などと配合する(普済消毒飲)。
近年、中国では日本脳炎、インフルエンザ、ウイルス性肝炎などに対する臨床研究が行われ、板藍根の注射液なども開発されている。また、中国では一般家庭でも板藍根はうがい薬や風邪薬としてよく知られており、最近ではSARS(重症急性呼吸器症候群)にも有効だとしてブームとなった。