○酢酸菌
エタノール(エチルアルコール)を酸化させて酢酸を生成することでエネルギーを獲得している好気性細菌(バクテリア)の総称で、自然界では花や果実に多く存在している。アルコールと酸素から酢酸を生産する代謝を酢酸発酵という。酢酸は食酢の主成分である。
食酢は穀類や果実を原料に、酵母によるアルコール発酵で酒をつくり、その後、酢酸菌でアルコールを分解する2段階発酵で作られる。だが、酢酸発酵は好気性で酸素を必要とする。酢の醸造に使われる酢酸菌はアルコールの分解能が高いアセトバクター属(Acetobacter)の菌で、アセトバクター・アセチ(A.aceti)やアセトバクター・シューゼンバチイ(A.schuezenbachii)がある。酢酸菌はまた、ソルビトール(糖アルコール)を原料としたビタミンCの生産や、ココナッツ果汁から作られるナタ・デ・ココにも使われている。