○岩ぢしゃ
本州から琉球諸島、台湾に分布しているイワタバコ科の多年草イワタバコ(Conandron ramondioides)の全草を用いる。山地の湿った岩場に生え、葉の形がタバコの葉に似ていることからイワタバコという。「チシャ」というのは野菜のサラダ菜のことで、山菜として利用されてきたことを表している。
苦味は少しあるが、独特の風味で天ぷらや和え物に適している。また淡紅色の花が美しいため、山野草として観賞用に栽培されたりもする。成分には苦味配糖体のコナンドロシドやアクテオシドが含まれる。民間療法では開花時に葉をつみとり日干しにし、健胃・整腸薬として煎じて服用する。中国では葉の汁を傷口に塗布して止血薬として用いている。