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水曜日, 8月 28, 2013

穿山甲

○穿山甲(せんざんこう)

 有鱗目の動物、ミミセンザンコウ(Manis pentadactyla)の鱗甲片を用いる。東南アジアや中国南部の丘陵地帯や樹木のある湿地帯に生息している。体長は50cm~1mぐらいの動物で、頭から尾の先まで瓦のように硬い角質の鱗片に覆われている。

 洞窟に住み、夜行性で木にも登り、泳ぐこともでき、敵に襲われると丸く体を縮める習性がある。食物はシロアリ、クロアリなどの昆虫である。捕獲した後、甲羅だけをとり、熱湯に入れると鱗片は自然と剥がれ落ち、それを乾燥して薬用とする。

 通常、幅4~5cm、長さ3~5cmぐらいの薄い扇形ないし菱形で、外面は濃く褐色で縦に多数の線紋があり、内面は色が薄く光沢があり、強靭で弾性がある。

 漢方では排膿・通乳・通経・通経絡の効能があり、瘡癰などの腫れ物、乳汁不足、無月経、リウマチなどの関節痛などに用い。皮膚化膿症で、まだ潰瘍化していないときに用いる排膿を促進する透膿の効果がある(透膿散)。しかし口が開いた瘡癰には用いない。あるいは王不留行・木通などと配合する(下乳涌泉散)。現在、ワシントン条約により入手できなくなっている。