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火曜日, 2月 26, 2008

黄精

〇黄精

 中国原産のユリ科の多年草で、本来の黄精のほか、同類に嚢糸黄精、熱河黄精、滇黄精、巻葉黄精などの種類があり、それぞれ形状や性質、分布は多少異なるが、いずれも1本の直立する茎(40~80cm)から葉柄のない葉(ときに非常に短い葉柄を持つ)が輪生もしくは互生し、5~6月に葉腋から数個の筒状の花が垂れ下がって咲く。日本各地の丘陵や林に生えているのは同類の鳴子百合で、黄精の代わりとして用いられることがある。薬用成分が含まれているのは地下茎(根茎)で、ショウガの根のように節くれ立ちながら横に伸びている。これを掘り起こして洗い、蒸したり煮たりした後で乾燥させたものが漢方薬に用いられる。

 根茎の主成分は粘質多糖類で、薬用成分としては、カルボン酸、アスパラギン酸、ホモセリン、ジアモノ酪酸、ジギタリス配糖体などが含まれており、①抗菌作用(結核菌やチフス菌に有効)、②真菌(白癬菌など)に対する抑制作用、③血圧降下作用、④痛風の改善、などが実験的に認められている。古来、漢方では「気を益し、心配を潤し、筋骨を強める」とされており、長期にわたる闘病で衰弱した体力を賦活させ、病後の食欲不振や倦怠感、筋骨の衰弱などを補い、精力をつけ、産後の肥立ちを良くするとされてきた。

 肺結核のような消耗性の患者に対しては黄精エキスがよいとされている。エキスは、蒸して日干しした旺黄精に5倍量の水を加えて24時間とろ火で煎じた後、濾過した液を常にかき混ぜながら濃縮させると、黄精の重量のほぼ1/5のエキスが採れる。これを1回10ml位ずつ、1日4回をめどに服用する。また水虫などの真菌症に対しては、粉砕した黄精をアルコールに1~2日漬けたあと過熱してアルコール分を蒸散させ、3倍量の水を加えて濾過してから、さらに薄い糊状になるまで煮詰めたものを患部に塗って用いると卓効があるとされている。

月曜日, 2月 25, 2008

甘草

〇甘草

 甘草はマメ科の多年草で、根茎が甘味料や漢方の解毒・消炎薬として広く用いられている。医学の原点といわれる「ヒポクラテス全集」にもその効用が述べられており、洋の東西を問わずその価値は高く評価されている。漢方の古典傷寒論には一味処方として紹介され、「急を暖め、諸悪を和し、百薬の毒を消す」とされている。甘草は種類が多く、漢方で用いられのはシベリアや蒙古、中国東北部に産すウラル甘草と呼ばれるものである。日本で見られるのはユリ科に属する野生の植物で、漢方の甘草とは異なる種類である。

 肝臓の根から抽出されるグリチルリチンは味噌や醤油などの甘味添加物として利用されているが、1977年の国際細胞生物学会議で動物実験による制ガン作用が発表されて大きな反響を呼び、世界的に注目された。以来、甘草あるいはグリチルリチンに関する研究が世界各地で行われるようになった。特に注目されたのは肝臓病に対する効果である。日本人に多いウイルス性肝炎は慢性化してしまうと幹細胞が破壊され、肝硬変から肝臓ガンへ進行する危険性が高くなるが、グリチルリチンには肝臓の機能を高めて解毒作用を助けるだけでなく、肝細胞の粘膜を強化し、細胞が破壊されないように保護する働きがある。そのため、グリチルリチン製剤は肝臓病の治療薬として用いられている。このほか、①抗胃潰瘍作用、②電解質ホルモン様作用(細胞の活動を正常にする)、③抗炎症作用、④抗アレルギー作用、⑤解毒作用、などが認められたため、胃潰瘍やアレルギー性皮膚疾患などの治療にも利用されている。

 これに加えて、制ガン作用も注目される。動物実験で殺虫剤のBHCや発ガン物質のPCBなどを混ぜた餌を与えたマウスには肝障害や肝臓ガンが発生したが、同時にグリチルリチンを混ぜた餌を与えたマウスに肝障害、肝臓ガンともに発生しなかった。グリチルリチンの制ガン作用についての詳細はまだ分かっていないが、細胞膜を修復し強化する作用が関連し、細胞の解毒作用が増して抵抗力が強まるからではないかと考えられている。

金曜日, 2月 22, 2008

夕顔

〇夕顔

 夕顔はウリ科の蔓性一年草で、夏の夕方に清楚な白い花をつけ、翌朝にはしぼむとことからこの名がある。はかない花の姿とは裏腹に蔓は6m以上にも達する旺盛さで、開花後3週間前後で収穫できる果実は6~7kgにも達する。果肉は紐状にそぎ取って乾燥し、カンピョウ(干瓢)とする。

 カンピョウは江戸時代には高尚な食べ物として微妙な風味と歯ざわりが好まれる一方、妊産婦の滋養食品(栄養的にはカルシウム、リン、鉄分の含有量が多い)として漢方薬的に扱われた。さらに利尿・解毒の効もあり、特に太りすぎの女性に好適といわれる。

 近年、夕顔で最も注目されているのは食物繊維の多いことで(乾燥100g中に30.1g)、水溶性と不溶性繊維のバランスもよい。食物繊維腸内有用菌であるビフィズス菌を増やして腸内環境を改善、整腸作用を発揮するとともに血中コレステロールの上昇を抑制し、発ガン因子となる生体異物の分解と体外排出の促進などの効果が認められている。夕顔の食物繊維は膨潤性が非常に高いのでダイエット食品としても好適で、前記の効用と合わせて注目され、粉末状に加工された健康食品も登場して、伝統食品に2度目のスポットを当てることとなった。

木曜日, 2月 21, 2008

ベリー

〇ベリー

 イチゴやブルーベリー、クランベリー、ラズベリーなど、キイチゴ類・コケモモ類・スグリ類の小果類を総称としてベリーと呼ぶ。いずれも豊富に含まれる多彩なフラボノイドが抗酸化物質として働くことから、その健康機能性が注目されている。

 キイチゴ類はバラ科の落葉低木で、花が咲いた後、子房壁が肉質に膨らみ集合果をつける。ラズベリー、ブラックベリーなどがよく知られている。ブラックベリーの果実は黒く、甘味は少ないが、ベリー類の中では最もビタミンEを多く含み、葉酸の含有量も多い。コケモモ類はツツジ科の常緑低木で、ブルーベリー、クランベリー、コケモモなどがある。スグリ類はユキノシタ科の落葉低木で、グーズベリーやブラックカラント(カシス)などがよく知られている。グーズベリーは直径1~3cmの淡い緑色の液果をつけるが、これにはビタミンC・E、カロチンなどの抗酸化物質が豊富に含まれている。ブラックカラントはグーズベリーと同じような液果が房状につくが、色は濃い紫である。これは抗酸化色素であるフラボノイドによるものである。

水曜日, 2月 20, 2008

庭梅種子

〇庭梅種子

 庭梅は(中国名は郁李)は中国北部原産のバラ科の落葉低木で、日本には江戸時代に渡来し、花が美しいため観賞用として栽培されてきた。種子は郁李仁と呼ばれ、漢方では潤腸・利水消腫の効能があり、便秘や排尿減少、浮腫に用いられている。庭梅はサクランボ大の果実をつけるが、これを摘み取り果肉を除去し、核の殻を割って種子を取り出す。種子は6×4mm位で、小さなアーモンドの形をしている。

 種子の成分は青酸配糖体のアミグダリンのほか、サポニン、シトステロール、ビタミンB1などが含まれる。郁李仁は麻子仁(麻の実)よりもやや強い潤下作用があり、以下のように他の生薬類と組み合わせて利用する。①高齢者や産後の慢性の便秘には柏子仁・桃仁などと配合する(五仁丸)、②顔面及び手足の浮腫には防巳・青皮などと配合する(郁李仁湯)、③脚気の浮腫にはヨクイニン・杏仁などと配合して用いる(三仁丸)。なお、庭梅の根(郁李根)は歯の治療薬として知られており、歯痛や歯肉炎にはこれを煎じた液でうがいする。現在、郁李根の市場品には大李仁と小李仁の2種類がある。ただし大李仁は主にバラ科のユスラウメ(山桜桃)の種子であり、薬用には小李仁(庭梅)が正品とされている。

火曜日, 2月 19, 2008

発芽大麦

〇発芽大麦

 大麦はイネ科の単子葉類で、種実が食用となる。かつては日常的に食べられていたが、現在では味噌や醤油の原料として、また麦芽としてビールの醸造に使われることのほうが多い。種実を水に浸けて発芽させたものを発芽大麦という。

 大麦には食物繊維が多く含まれており、押麦(七分つき)100g当たりの食物繊維量は10.3gで、玄米(同3g)の3倍以上である。この点に着目して、腫瘍性大腸炎の患者用食品が作られている。キリンビールは発芽大麦から調整した食物繊維素材を使い、軽症から中等症の腫瘍性大腸炎患者の便の性情を整える食品「発芽大麦GBF」を開発。厚生労働省の個別評価型病者用食品(特別用途食品)として販売している。

月曜日, 2月 18, 2008

青汁

〇青汁

 カロリー偏重の栄養学ではあまり重要視されてこなかった野菜類が生理活性物質の宝庫であると再評価され、食卓に積極的に取り入れられるようになってからかなりの年月が経過した。しかし実際には種類の選択範囲が限られること必要量を満たすには相当量の食材を要すること、常に新鮮なものを調達するには手間暇がかかることなどが負担になっていることは否めない。また、調理時の過熱などによって成分の損失もある。このようなマイナス面を補うとともに、家庭で調理する以上のメリットを持たせることを目指したものが青汁である。

 いわば青いジュースであるが、ジュースという言葉には果汁のイメージが強い。それよりも緑ないし緑黄色の植物固有の有効成分を余さずに搾ったからこその青汁である。現在、供給されている青汁製品には、植物の細胞内に含まれた成分を十二分に搾り取り、しかも成分の経時変化を防ぐために、一般家庭のジューサーではできない細胞壁破砕や瞬間密封などが施されいるものもある。

 青汁はもともと、粗食に耐えなければならなかった戦後まもなく、岡山県倉敷市の医師・遠藤藤二郎によって学校給食や病院食用に考案されたのが最初であるとされる。それて健康づくりの重要な鍵を握るものとして次第に全国へ広がり、愛飲者によって材料や製法が工夫されていったのであるが、やがて青汁を飲み続けて病気を克服したという事例報告が相次ぎ、研究活動も盛んになったといういきさつがある。

 青汁には糖質やタンパク質などカロリーとなる栄養成分のほか、ビタミン、ミネラル、酵素、葉緑素、食物繊維が含まれ、これらすべての複雑な相互作用によって疾病の予防につながるが、その作用機序の解明はまだ緒についたばかりである。しかし、事実を積み重ねていく開発姿勢によって青汁の製法のみならず、利用する原料植物の吟味も慎重に行われたきた。現在、その主要原料としては、ケール大麦若葉が多く使われている。また最近では食べる青汁と銘打った錠剤タイプの製品もある。

土曜日, 2月 16, 2008

砂糖

〇砂糖

 砂糖は甘味調味料として広く料理に使われるほか、菓子類の材料となったり、各種飲料の甘味成分としても利用される。佐藤には甘味料としての働き以外に、防腐作用(砂糖漬け、ジャム)、デンプンの老化防止作用(羊羹など)、油脂の酸化防止作用(バターケーキ)などもある。砂糖は人のエネルギー源(約4kcal)として重要である。また、脳に安定をもたらす働きがあるとされている。砂糖の主成分はショ糖(ブドウ糖と果糖が結合した二糖類)で、95~99%を占めている。

 砂糖は熱帯地域に生育するサトウキビ(甘蔗)、温帯の比較的寒冷地で栽培されているサトウダイコン(甜菜、ビート)を原料として作られる。世界の生産量ではサトウキビから約6割、残りがサトウダイコンからのものである。わが国では、沖縄や鹿児島でサトウキビから、北海道でサトウダイコンからの生産が行われている。

 砂糖は大きく含密糖と分密糖に分けられる。サトウキビから搾った糖液にはショ糖のほかミネラルやビタミンが含まれているが、この液をそのまま煮詰めて固めたものが含密糖である。代表的なものに沖縄の黒砂糖(黒糖)がある。黒砂糖にはカリウム1100mg(白糖は2mg)、カルシウム240mg(同1mg)、ビタミンB20.07mg(同0mg)、葉酸10ug(同0ug)など、分密糖に比べて微量栄養素が豊富に含まれている。

 分密糖は、糖液をイオン交換樹脂膜に通して不純物を取り除き、ショ糖だけにしたものを結晶化せたもので、精製糖とも呼ばれている。ショ糖純度がほぼ100%に近いザラメ糖、純度が95~97%の車糖がある。ザラメ糖は結晶の大きい白ザラメ糖、結晶の小さいグラニュー糖があり、グラニュー糖からは角砂糖、氷砂糖、顆粒糖などが作られている。車糖にはショ糖純度が97%の上白糖、96%の中白糖、95%程度の三温糖があり、調味料として最も多く使われている砂糖である。このほか、スクロースを酸で加水分解してグルコースとフルクトースの混合物にした転化糖がある。溶解度が高く、甘味はスクロースの1.3倍あり、安価に製造できるため砂糖に代わる甘味料として需要が増えている。

 これらの工業的に製造される砂糖に対し、香川県や徳島県で伝統的製法で作られている砂糖に和三盆がある。サトウキビの煮汁から室温で自然結晶させたものを手搾りで分密、手摘みで微細化するために粒が細かくなり、口当たりがよい。味が良いため高級和菓子などに用いられている。

金曜日, 2月 15, 2008

豆鼓

〇豆鼓

 塩納豆ともいう。納豆(糸引き納豆)は大豆を納豆菌で発酵させて作られるが、豆鼓は大豆を麹菌で発酵させ、塩を加えて作られる。中国の伝統的な食材の1つで、中華料理の調味料として幅広く活用されている。わが国では、最初に中国から製法を伝えた僧たちがそれぞれの寺で作ったので寺納豆と呼ばれ、大徳寺納豆がよく知られている。また、浜名湖半の名物である浜名納豆が有名だ。

 大豆はさまざまな健康効果を発揮する食材だが、その発酵物である豆鼓も、本場中国では解熱・消炎・解毒・鎮静・健胃整腸・鎮咳などの効果があるとされてきた。最豆鼓近このに糖尿病の予防効果のあることが北海道大学農学部などの研究で明らかにされた。豆鼓がα-グルコシダーゼ(消化酵素)の働きを阻害して、血糖値の上昇を抑える作用のあることがヒト試験で証明され、豆鼓エキスを関与成分としたお茶がトクホ商品として開発・販売されている。

木曜日, 2月 14, 2008

テンペ

〇テンペ

 テンペは蒸煮した大豆をテンペ菌で発酵させたインドネシアの伝統食品である。テンペ菌はクモノスカビの一種で、ハイビスカスやバナナの葉などに付着している糸状菌のリゾープス・オリゴスポラスである。わが国の糸引き納豆と作り方が似ていることから、インドネシアの納豆とも呼ばれている。

 日本にテンペが紹介されたのは1950年以前だが、全国的な普及はせず、一部の地域でわずかに生産されているに過ぎなかった。ところが近年の健康志向の高まりで健康食として脚光を浴びるようになり、2003年ごろから一挙に話題の食品となった。

 栄養面ではタンパク質、リノール酸などの不飽和脂肪酸、ビタミン類、ミネラル類、イソフラボン・大豆サポニンなど納豆とほぼ同じ成分が含まれているが、テンペはビタミンKの含有量が格段に少なく、ナイアシンや食物繊維が多めである。また、納豆同様に大豆のタンパク質が発酵によって消化されやすくなっている。地元インドネシアでは古くから、テンペは赤痢や下痢によいとされているが、これはテンペの持つ強い抗菌作用によるものと考えられている。

 テンペは納豆のように糸を引かず、臭いもなく味も淡白なので、納豆が苦手な人にも奨められる大豆発酵食品である。インドネシアでは薄くスライスして油で揚げて食べることが多いが、日本ではカレーやグラタンの具、サラダ、炊き込みご飯、揚げ物、ケーキなど、さまざまな料理法が工夫されている。

火曜日, 2月 12, 2008

酒粕

〇酒粕

 酒粕は清酒醸造の副産物で、もろみ(醪)から清酒を搾った残滓である。清酒は以下のように作られる。蒸米、麹、水に酵母を入れてモロミを作り、この中で麹による米の糖化(デンプンを少糖にまで分解)と、酵母によるアルコール発酵を同時に進行させる。20日程度でアルコール分が18%前後に達すると発酵が終了する。

 発酵中に麹の酵素作用や酵母の代謝作用により、モロミに清酒独特の香味成分が生成される。清酒はこのモロミを圧搾して得られるもので、搾った後に残ったものが酒粕である。酒粕には未分解の蒸米や酵母、麹が含まれ、アルコール分は約8%である。食材としては奈良漬や粕汁、魚の粕漬けなどに利用される。

 奥田拓道(愛媛大学医学部)らは酒粕中の生理活性物質とその医学的効果の研究において、酒粕がガン患者の急激な痩せを改善し、食欲を増進させ、患者の闘病体力の維持に役立つという研究結果を報告している。

 ガンによる急激な痩せは、ガン細胞から出るトキソホルモン-Lという毒素が脂肪細胞に作用して、脂肪細胞中の脂肪を分解したり、脳の満腹中枢を刺激して常時満腹感を覚えさせ食欲を低下させることが原因だとされている。奥田らはマウスを使った実験から、酒粕に含まれるグルコサミンなどの物質がトキソホルモン-Lの働きを阻害し、急激な痩せを防止する効果のあることを明らかにした。

 奥田らはまた、酒粕中にデンプンの消化酵素であるα-アミラーゼの作用を妨げる物質が含まれていることも発見している。この物質によってデンプンの分解速度が遅くなり、インスリンが余り上昇しなくなることから血糖が脂肪細胞に取り込まれず、結果として脂肪の蓄積が少なくなると報告している。また、酒粕中にはインスリンに似た働きをする物質があり、この反対作用のホルモンの働きを弱めて脂肪の分解を抑制することも明らかにしている。

月曜日, 2月 11, 2008

キムチ

〇キムチ

 キムチ、は塩漬けした野菜を主原料にトウガラシやニンニク、生姜、ネギなどの薬味、塩辛などの海産物を混ぜ合わせ、低温で乳酸発酵させた朝鮮の漬物である。や日本では白菜(ペチュキムチ)やキュウリ(オイキムチ)、大根(カクトゥギ)のキムチがよく知られているが、韓国では地域や季節、材料、漬け方などによってさまざまなキムチがあり、その数は200種類以上あるといわれている。

 キムチはカロチンやビタミンC・B群などのビタミン類、ミネラル類、食物繊維などの栄養成分を含み、特に野菜の少ない冬場にはビタミンの供給源としての役割を果たしている。キムチのビタミンは原料の野菜が持つビタミンと乳酸菌の働きによるもので、発酵が進むに従ってビタミンB群の含有量が増える。また、乳酸菌を含でむキムチにはヨーグルトと同じように腸内環境を整える作用がある。

 キムチに欠かせないトウガラシはカロチンやカプサイシンを豊富に含む。辛味成分であるカプサイシンは胃液分泌を促して食欲を高め、消化を助ける作用がある。また、体内のエネルギー代謝を促進する作用があるため、ダイエット食品にも利用されている。薬味のニンニクに含まれるアリシンは強い抗菌作用があり、風邪の予防などに役立つとともに、ビタミンB1と結合して疲労回復に働く。

日曜日, 2月 10, 2008

機能性飲料

〇機能性飲料

 機能性飲料は体によい影響を与える清涼飲料水の総称で、飲用シーンや健康目的を考慮した成分が配合されている。機能性飲料の草分け的存在はスポーツドリンクで、1960年代には、すでにアメリカで製造されていた。スポーツドリンクはナトリウムやカリウム、カルシウム、マグネシウム゛のミネラルのほか、疲労物質といわれている乳酸を分解するクエン酸、エネルギー源となるブドウ糖などが報告されており、大量発汗によって失われた水分とミネラルを効率的に体内に補給することができ、脱水症状や熱中症の予防に役立つ。このほか、筋力や持久力の向上、疲労の回復に役立つアミノ酸を加えたものもある。

 スポーツドリンクはスポーツシーンを意識した機能性飲料だが、2000年頃から日常シーンで飲め、かつダイエットや疲労回復などに効果のある成分を配合した機能性飲料が登場してきた。ダイエットを意識した飲料ではオクタコサノール(米や小麦胚芽に含まれる微量成分)や茶カテキンなどダイエット素材、俗に脂肪燃焼系アミノ酸といわれるアスパラギン酸、リジン、アルギニンなどを配合したものが多い。また、従来のスポーツドリンクは糖度が高めだが、これらの飲料は低カロリー、ノンシュガーがほとんどである。

 疲労回復を意識した飲料では、疲労回復や集中力を高める効果があるとされている大豆ペプチド、リラックス作用のあるテアニンなどが配合されている。このほか、食物繊維入りの機能性飲料も多い。食物繊維を補うことを目的としたものだけでなく、血糖値が気になる人向けに難消化性デキストリンを配合、お茶タイプにするなど食後に飲みやすいように工夫された飲料もある。その他、お茶タイプのものでは、骨の健康が気になる中高年女性をターゲットにイソフラボン入りの飲料もある。

土曜日, 2月 09, 2008

機能性ガム

〇機能性ガム

 日本でガムが一般的になったのは第二次世界大戦後である。当初は子供向けのお菓子的な存在であったが、1980年代半ばから眠気を予防するガム、口臭を抑えるガム、虫歯やカロリーを意識したシュガーレスガム、虫歯になりにくいガムなど、機能性を持ったガムが次々と登場してきた。

 最近の機能性ガムの主流は歯を丈夫にするガムで、トクホ表示の認可を受けて市販されているものが多い。歯の表面では、酸が歯のエナメル質からカルシウムや燐酸などを溶かしだす脱灰と、唾液中のカルシウムとリン酸塩を脱灰したエナメル質に取り込んで修復する再石灰化が繰り返されている。このバランスが崩れ、脱灰に再石灰化が追いつかなくなると虫歯が発生する。歯を丈夫にするガムには再石灰化作用を促す成分が含まれており、その成分は商品よって異なる。

 キシリトール・ガム+2(ロッテ)は再石灰化作用を持つキシリトールに、その効果をさらに促進させるフノラン(海藻のフクロフノリ抽出物質)とリン酸カルシウムを組み合わせている。

 リカルデント(キャドバリー・ジャパン)はCPP-ACP(カゼインホスホペプチド・非結晶リン酸カルシウム複合体)を配合している。同成分は虫歯の始まりを抑える脱灰抑制とエナメル質にミネラルを戻す再石灰化に加え、酸に溶けにくい歯を作る耐酸性効果がある。

 ポスカム(グリコ)はPO3-Ca(リン酸化オリゴ糖カルシウム)を配合している。PO3-Caは馬鈴薯デンプンから調整したオリゴ糖で、唾液中の水溶性カルシウムの濃度を高めて、カルシウムとリン酸の濃度を再石灰化しやすいバランスに整える働きがある。

金曜日, 2月 08, 2008

うに(海胆、雲丹)

〇うに(海胆、雲丹)

 ナマコ、ヒトデなとと同じ棘皮動物の仲間で、イガグリのような形をした海生動物の総称である。多くは浅海の岩礁の間や砂底に生息する。世界中に約860種分布しており、生殖巣部分を食用にする。わが国で食べられているのはバフンウニ、アカウニ、ムラサキウニなどだが、最近では南米産の輸入物も多く出回っている。

 ウニの主成分はタンパク質(生100g中16g)と脂質(同4.8g)で、エネルギーは120kcalである。ビタミンD以外の栄養素のほとんどが含まれており、カロチン(レチノール当量120ug)やビタミンE・B2・B12、葉酸も多いので、疲労回復や造血にも有効である。それほど多くは食べられないが、生食のほかに塩ウニ(粒ウニ)、練りウニ、蒸しウニ、焼きウニなどバラエティーに富んでおり、酒の肴にもよい。

木曜日, 2月 07, 2008

かに(蟹)

〇かに(蟹)

 日本近海だけでも1000種を数えるというカニの中で、一般に食用とされているのは、タラバガニ、ケガニ、ズワイガニ、ガザミ、モ、クズガニ、アサヒガニ、ハナサキガニ、サワガニなどである。食用のベストワンといえばズワイガニ(松葉ガニ、越前ガニ)であろうが、このカニは雄が圧倒的に大きく、雌の甲羅の直径は雄の半分にも満たない。日本近海産のタカアシガニは甲長が40cm迫る世界最大のカニである。美味で定評のある北海度近海産のタラバガニはヤドカリの仲間で、ハサミを加えて足が8本しかない。サワガニは淡水産である。

 カニの肉はいずれも脂質、糖質はゼロに近く、タンパク質が15~20%程度である。旨味成分のグルタミン酸、グリシンなどが多い。栄養的な特長はエビと同じく、タウリンが多いことである(ズワイガニで牛・豚肉の約11倍)。さらに亜鉛や銅の含有量も多く、前立腺肥大・貧血を予防する働きがある。

 カニを茹でると赤くなるが、これはカロチノイド色素のアスタキサンチンを含むためである。アスタキサンチンはカニやエビ、サケ、イクラなど海産物に含まれる赤色色素でビタミンEの100倍以上の抗酸化力があるとして注目されている物質である。研究はまだ始まったばかりであるが、生体内でのフリーラジカル(活性酸素)消去作用をベースとして、日周リズムの調節効果や糖尿病とその合併症の抑制効果などが報告されている。

水曜日, 2月 06, 2008

えび(海老)

〇えび(海老)

 近海産のエビには大きい順にイセエビ、クルマエビ、コウライエビ(別名タイショウエビ)、ボタンエビ、シバエビ、ホッカイエビ、ホッコクアカエビ、サクラエビなどがあり、分類上は同一の科ではない。このほか淡水性のテナガエビ、ザ、リガニ輸入種のロブスター(アカザエビ科)などもある。エビは種類が多い分、食べ方も多様である。主に生食されるのはイセエビ、クルマエビ、ホッコクアカエビ(甘エビ)、ボタンエビなどである。ロブスター(別名オマール)やザリガニはフランス料理の食材として欠かせないもので、コキールやソースなどに用いられる。全長5cmほどのサクラエビは天日で乾燥させ素干しや釜揚げなどに使われる。

 エビはいずれも高タンパクで低脂肪、糖質はほとんど含まないのでダイエットに好適な食材である。それぞれのエビ固有の旨味はグリシン、のベタインなどのアミノ酸の組み合わせが微妙に異なることによる。栄養的な特質としては含硫アミノ酸のタウリンが多い(クルマエビで牛・豚肉の約6倍)。タウリンは血中コレステロールを抑え、動脈硬化を予防する。また、小さなエビを殻ごと食べたり、天ぷらやフライにして尻尾まで食べると、優れたカルシウム補給源にもなる。

火曜日, 2月 05, 2008

いか(烏賊)

〇いか(烏賊)

 食用にするのはスルメイカ、ヤリイカ、アオリイカ、コウイカ、ケンサキイカ、カミナリイカ、アカイカ、ホタルイカなどであるが、このほかにも、市場には遠海物や輸入物など非常に多くの種類が流通している。

 スルメイカは国内での漁獲量が最も多く、主に北海道や日本海沿岸で水揚げされる。旬は夏から秋で、生食のほかに一夜干し、スルメなどに利用される。ヤリイカは胴が槍のように細いイカで、北海道以南に生息し、冬が旬である。刺身にすると美味である。コウイカは本州中部以南から四国・九州に分布し、旬は秋から冬。刺身、煮付け、焼き物で食べられる。ケンサキイカは四国・九州に分布し、旬は春から夏。刺身や煮付け、、焼き物で食べられるほか、スルメに加工される。長崎県五島列島のケンサキイカから作られるスルメは五島スルメと呼ばれ最上品とされている。アカイカは北海道で多く漁獲され、スルメイカに次いで漁獲量が多い。旬は夏で、北海道名物のイカ飯のほか、塩辛、燻製などに加工される。ホタルイカは全長5cm程の小さなイカで富山湾で多く獲れる。旬は春から初夏までで、生食や煮付けにされる。

 イカの重量のほぼ82%が水分(生の場合)だが、脂質がほとんどない代わりにタンパク質が15~18%という数字は、牡蠣の6.6%、アワビの12.7%を凌ぎ、ワカサギに匹敵する。タウリンの含有量が多く、よく引き合いに出されるマグロの血合い肉が100g中に954mgの含有量であるのに対し、コウイカは1212mgもあって魚介類ではトップである。(ヤリイカは766mg、スルメイカは686mg)。タウリンは含硫アミノ酸の一種で、血中コレステロールの減少、貧血の予防、強心作用、血圧の正常化、肝機能の賦活、糖尿病の予防などに効果をもたらす。

 イカ墨には抗ガン作用があるという研究も発表されている。これは、青森県産業技術開発センターなどが中心となって行ったマウスを使った実験から分かったもので、イカ墨に含まれるムコ多糖ペプチド複合体が、ガン細胞の増殖を抑える作用のあることを報告している。イカ墨はあまり食卓には上がらないが、最近はパスタのソースとして市販されている。

月曜日, 2月 04, 2008

ほたてがい(帆立貝)

〇ほたてがい(帆立貝)

 イタヤガイ科の二枚貝で、扇形をして貝殻に特徴がある。陸奥湾からオホーツク海、朝鮮半島東岸から沿海州にかけて分布する。北海道のサロマ湖が主要生産地である。近年は輸入物も多くなり、冷凍食品に加工されたものも出回っている。身全体を食用とするが、特に貝柱が美味で人気がある。また、貝柱の周囲にある外套膜は”ひも”と呼ばれ、こちらも人気がある。

 主成分はタンパク質(生100g中13.5g)で、旨味成分のグルタミン酸やイノシン酸などアミノ酸含有量が多い。脂質は0.9gと少ないので、カロリー制限をする人には都合のよい食材といえる。

 栄養効果の期待できる成分はビタミンB1(生100g中0.05mg)、ミネラルの亜鉛(同2.7mg)といったところ。B1含有量は魚介類のトップクラスであるタラコ(同0.71mg)の1/15ほどであるが、ホタテガイは1回に食べる量が多いので有益である。B1は消化液の分泌を促進して食欲を高め、糖質の代謝を促し神経の働きを活発にする。ホタテガイには、準と必須アミノ酸いわれるようになったタウリンが1006mg(冷凍品の場合)と多い。血中のHDL(善玉コレステロール)を増やし、血圧をゆっくりと下げるなど、生活習慣病予防には不可欠の成分である。

 ホタテガイは身全体はバター焼きや照り焼き、ボイルしたものを濃い醤油味で煮るなどすると美味しい。貝柱は刺身、酢の物、焼き物、揚げ物、スープ、ムニエルなどに用いられる。また、干し貝柱も中華料理などに使われている。

日曜日, 2月 03, 2008

はまぐり(蛤)

〇はまぐり(蛤)

 ハマグリ科の二枚貝で、色や形が栗に似ていることからハマグリという名がついたといわれる。北海道南部から九州、東シナ海に分布し、内湾の砂地の深いところに潜って生息しているが、春先になると表面へ出てくる。国内産の内湾性のものが美味しいのは秋から翌春まで。輸入物の外洋性のチョウセンハマグリ(殻にあまり模様がない)は肉質がやや硬く、味も香りも若干劣る。

 ハマグリの旨味成分はアミノ酸のグリシン、アラニン、グルタミン酸とグリコーゲンやコハク酸などで構成されている。肉の脂質はほとんどなく(100g中0.5g)、炭水化物も少ない(1.8g)ので、カロリー制限をしている人でも安心して食べられる(生100gで38kcal)。栄養的にはビタミンB12(100g中28.4mg)、カルシウム(130mg)、鉄(2.1mg)、銅(0.1mg)、亜鉛(1.7mg)、マグネシウム(81mg)、タウリンが比較的多く含まれる。亜鉛は不足すると味覚障害を起こす微量栄養素であるが、新陳代謝に必要な各種酵素の働きを支える重要な役目も担っているため必須ミネラルのひとつとされている。また、タウリン(カツオ血合肉よりも多く889mg)は血中コレステロールを下げ、血圧を正常化し、肝臓の解毒作用を強化するなどを働きを持つ。

 味はもとより貝殻の美しさでも料理に花を添えるハマグリだが、焼き物、酒蒸し、吸い物、時雨煮、串焼き、寿司ネタなどに使われるほか、フライやクラムチャウダーといった洋風料理にも、また中華料理の食材にも利用されている。

金曜日, 2月 01, 2008

あさり(浅蜊)

〇あさり(浅蜊)

 マルスダレガイ科の二枚貝で、歴史的に最も古い食材のひとつといわれる。アサリには利尿作用があり、古くからむくみを治すとされてきた。栄養素としてはビタミン12が多く、①性腺や甲状腺の働きを活発にする、②DNAの体内合成に関与してタンパク質の代謝をコントロールする、③赤血球の形成に重要な役割を果たす、④神経を活性化する、などの作用を持つ。ミネラル類では亜鉛(100g中1mg)と鉄(同3.8mg)が比較的多い。亜鉛も造血作用を高める働きがある。

 アサリは冬から春にかけてが旬。殻つきのまま味噌汁の具や酒蒸しにするほか、むき身は酢の物、和え物、スパゲティ、チャウダーなどに利用される。東京・深川の名物である深川飯はアサリのむき身を醤油でサッと煮て汁ごとご飯にかけたもので、別名ぶっかけ飯といわれ、庶民の味となっている。