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土曜日, 10月 15, 2005

ケール&大麦若葉について

○ケール

 ケールは地中海沿岸の原産とされるアブラナ科の野菜で、キャベツ類の一変種であるが、結球しない。緑葉カンラン、羽衣カンランなどの異名もあり、若い葉を適時掻き取ってサラダや煮物に使えるため家庭菜園でも好まれてきたが、農作物としてはもっぱら青汁用に、厳重な管理の下に栽培されている。

 ケールの成分(カッコ内はキャベツの場合)は100g 中タンパク質3・9(1・4)g 、脂質0・6(0・1)g 、炭水化物7・2(4・9)g 、カルシウム225(43)mg 、リン67(27)g 、ビタミンA 効力3300(10)IU 、ビタミンB1 0・15(0・05)g 、ビタミンB2 0・325(0・05)mg 、ビタミンC 125・5(44)mgと豊富である。胆炎・腎炎・胃潰瘍・高血圧・動脈硬化・貧血・糖尿病・痛風・喘息・白内障などの多彩な回復事例は、ケールが抗酸化物質などの機能性成分にも富むことの証拠であろう。

ケールの青汁

○大麦若葉

 ビタミン・ミネラルが豊富な葉緑素食品野菜や薬草類が人間の健康に大きく寄与するのは、緑の葉や茎に含まれた養分のためであるが、このことに着眼して青汁の形で成分を摂取しようと考え、生き生きとした大麦の若葉に白羽の矢を立てたのは、長く漢方薬の研究に携わってきた医学博士の萩原義秀である。大麦の若葉を分析してみると、他の緑色野菜などに比べてミネラル、ビタミン、酵素を多く含有している。そこで萩原は、大麦の若葉から栄養成分を抽出し、それを『麦緑素』と名付けたのである。この大麦若葉エキスには、次のような四代効用があると報告している。

 第一はミネラル類で、とくに正常な生命活動に欠かせないのがカリウム、マグネシウム、カルシウムであるが、麦緑素にはこれらが多く含まれており、ホウレン草と比べると、カリウムが約18倍、カルシウムが約11倍、マグネシウムが約4倍と、いずれもとび抜けて多い。これらミネラル類は体に種々の影響を及ぼす。例えば労働科学研究所は、疲労が蓄積されると、ナトリウムが増加してカリウムが減少するというデーターを発表しているが、これが恒常的に進行すると内臓や細胞も疲労し、ガン、脳溢血、心臓疾患、肝臓疾患などを招く大きな要素ともなる。また、カルシウムは血液を弱アルカリ性に保つ働きを持ち、健康体の維持に欠かせない栄養素である。また、ペルオキシダーゼという酵素は、魚の焼き焦げに含まれる発ガン物質を分解する働きがある。されにアメリカの研究によると、ガン患者に対する放射線療法の副作用である白血病に効果があった、とも報告されている。


 第二は葉緑素である。天然の葉緑素はマグネシウム・イオンと結合しており、分子構造は血液の血色素に近い。このことは、天然葉緑素が『飲むと血になる』といわれてきた事実を裏づけているともいわれる。傷や炎症、膵炎にも有効性が実証されている。

 第三はビタミンである。麦緑素がとくに多く含んでいるのは、ビタミンB1 (牛乳の約30倍)、ビタミンC (ホウレンソウの約33倍)、カロチン(ホウレンソウの約6・5倍)などで、体内の新陳代謝を活性化する。

 第四は生体賦活作用である。人間の体細胞は常に新陳代謝を繰り返し、正常な細胞活動を維持している。細胞培養の研究過程において、麦緑素エキスを与えたところ、異常と思えるほど活発に細胞増殖が行われることが実証された。こくした増殖作用は、麦緑素中のトリプトファン(アミノ酸)が成長ホルモン的な働きをするためと考えられている。

 大麦若葉を使った健康食品としては、20cm ほどに育った大麦若葉を刈り取り、搾汁して濃縮したエキス液、または粉末(顆粒)化したものが広く市場に出ている。(財)日本健康・栄養食品協会が1987年に公示した『麦類若葉加工食品規格基準』(93年7月1部改正)では、麦類若葉加工食品を『イネ科の大麦、小麦、ライ麦の幼穂形成開始期の草丈20~30cm のものを採取し、その葉、葉柄、茎の全部、または一部を搾汁した液を噴霧乾燥等の方法で乾燥したもの、あるいは搾汁液に適当な賦形材を加えて噴霧乾燥等の方法で乾燥したもの』と定義している。
有機JAS青汁ミックス顆粒

青汁について

○青汁
 野菜不足を解消し、抗酸化力・自然治癒力を高める三大栄養素やカロリー偏重の栄養学では軽視されてきた野菜類が、生理活性成分の宝庫であるとして再評価され、多くの食卓に積極的に取り入れられるようになってきている。

 しかし実際には野菜の種類の選択範囲が限られること、必要量を満たすには相当量の材料を要すること、常に新鮮なものを調達するには手間暇がかかることなどが負担になっていることは否めない。また、調理時の加熱などによって、成分の損失もある。このようなマイナス面を補うとともに、家庭で調理する以上のメリットを持たせることを目指したものが青汁である。

 いわば”青いジュース”であるが、ジュースという言葉には果汁のイメージが強い。それよりも緑ないし緑黄色の植物固有の有効成分を、余さずにい搾ったからこその”青汁”である。植物の細胞内に含まれた成分を十二分に搾り取り、消化吸収をよくし、しかも成分の経時変化を防ぐために、一般家庭のジューサーではできない細胞壁破砕や瞬間密封などが施されているものもある。

 青汁はもともと、粗食に耐えなければならなかった戦後まもなく、岡山県倉敷市の医師・遠藤二郎によって学校給食や病院飲用に考案されたのが最初であるとされる。そして健康づくりの重要な鍵を握るものとして次第に全国へ広がり、愛飲者によって材料や製法が工夫されていったのであるが、やがて青汁を飲み続けて病気を克服したという事例報告が相次ぎ、研究活動も盛んになったといういきさつがある。

 青汁には糖質やタンパク質などのカロリー源となる栄養成分のほか、有効成分としてビタミン群、ミネラル類、酵素類、葉緑素、各種フラボノイドが含まれ、これらすべての複雑な相互作用によって健康回復という紛れもない事実が生ずるのであるが、その作用機序の解明はまだ緒についたばかりである。しかし、事実を積み重ねていく開発姿勢によって、青汁の製法のみならず、用いる材料の吟味も慎重に行われてきた。その主要原料として、ケール、大麦若葉が挙げられよう。

大麦若葉 ケール