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月曜日, 9月 10, 2012

鶏子白

○鶏子白(けいしはく)

 キジ科ニワトリの卵の白身を用いる。卵殻膜は鳳凰衣という。鶏卵の約65%は白身であり、白身は粘性の違う外水様卵白、濃厚卵白、内水様卵白からできている。そのタンパク質はオボアルブミン(75%)、オボムコイド、オホムチン、コンアルブミン、リゾチームなどでほとんど全てのアミノ酸が含まれている。

 卵白は糖質や脂肪が少ない高タンパク低カロリー食品で、生よりも加熱凝固させたほ方が消化吸収がよい。リゾチームは鶏卵から発見された溶菌作用のある酵素の一つで、生物界に広く分布しているが卵白中に多く含まれるため、現在全てのリゾチームの生産は卵白から行われている。

 リゾチームはソーセージカマボコなどの保存料や清酒の変敗の予防などに用いられるほか、医薬品にも利用される。リゾチーム塩化物には抗菌作用のほか、痰や膿の分解、出血抑制、組織修復、消炎などの作用があり、消炎酵素剤として風邪薬や皮膚疾患、歯槽膿漏などの外用薬に配合されている。

 漢方では清熱解毒・潤肺・利咽の効能があり、咽頭の炎症や嗄声、咳嗽、結膜炎、下痢、火傷、腫れ物などに用いる。口内炎に炎症があり、声が出ないときには半夏・苦酒などと配合する(半夏苦酒湯)。

 火傷や皮膚炎、子宮頸部のびらんなどには新鮮な卵白で外用する。日本の民間療法で鶏卵はひょう疽の治療に有名で、生卵の一端に指の入るだけの穴を開け、その中にひょう疽になった指を40~50分入れると痛みが緩和する。生卵に砂糖や蜂蜜を加えてかき混ぜたところに、やや熱くお燗した日本酒を少しずつ入れとろりとさせた卵酒も、よく知られた風邪の民間療法である。なお鳳凰衣には補陰・止咳の効能があり、慢性的な咳嗽、咽痛、嗄声、口内炎などに用いる。