○伊豆縮砂(いずしゅくしゃ)
関東地方以西、四国、九州、台湾、中国に分布するショウガ科の多年草ハナミョウガ(Alpinia japonica)の種子を用いる。中国の生薬名ではハナミョウガの種子を土砂仁、全草を山姜という。葉がミョウガに似て、花が目立つことからハナミョウガの名がある。
日本では熱帯アジアに産するショウガ科の植物の種子、縮砂の代用品として江戸時代から利用されている。さらに伊豆縮砂の代用品として同じくショウガ科のアオノクマタケラン(A.intermedia)の種子(黒手)やゲットウ(A.speciosa)の種子(白手)が用いられた。この黒手と白手では黒手のほうが品質がよいといわれている。いずれも西南日本、得に沖縄県などに自生しているが、南方より帰化したものともいわれている。
ゲットウ(月桃)という名は台湾の呼称であり、沖縄の方言ではサンニン、つまり砂仁(縮砂の異名)とも呼ばれている。ちなみに台湾産の縮砂はゲットウの種子である。
ハナミョウガの種子には精油のシネオール、β-ピネンのほか、フラボノイドのイザルピニンなどが含まれる。種子はソースなどの香辛料や芳香健胃の家庭薬の原料として用いられている。漢方では健胃・理気の効能があり、縮砂の代用として腹痛や嘔吐、下痢、生理痛の治療に用いる。