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月曜日, 8月 27, 2012

黒文字

黒文字(くろもじ)

 北海道の渡島半島、本州、四国、九州のほか、中国大陸などに分布するクスノキ科の落葉低木クロモジ(Lindera umbellata)の枝葉や根皮を用いる。クロモジの名は樹皮にある黒い斑点を文字にみたてたものである。

 材には芳香があり、噛むと甘い香りがあり、皮つきのまま削って楊枝として賞用される。このため爪楊枝のことをクロモジということがある。また雪の上を歩く輪かんじきの材料としても知られている。

 枝葉には精油成分のシネオール、ゲラニオール、リナロールなどが含まれ、虚痰作用が知られている。枝葉を水蒸気蒸留して得られるクロモジ油は石鹸香料香水としても利用される。

 漢方では用いないが、中国ではおもに根皮を、日本(山陰地方)では枝葉を民間薬として用いる。島根県の出雲地方ではマキのように束ねて、八百屋でも売られている。一般に煎じて脚気や浮腫、胃腸炎の治療に、粉末を止血薬に、また浴湯料としていんきん、たむしなどの皮膚病にも用いる。ひょう疽には樟脳・甘草とともに煎じた液で痛む指を温めるとよい。