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水曜日, 4月 23, 2008

食用菊

〇食用菊

 は日本の秋を象徴する花として知られるが、中国では延命長寿の花として紀元前7世紀ころから培養され、奈良時代に日本にもたらされた外来植物とされている。旧暦9月9日の重陽の節句は「菊の節句」とも言われ、この習慣が平安時代に中国からもたらされたころから、菊を鑑賞する習慣が生じたとされる。菊は万葉集には詠まれていないが、古今和歌集のころから多くの和歌に詠まれている。その高い品格と清らかなイメージは、鎌倉時代初期に後鳥羽上皇が菊の花のデザインを好み、天皇家家紋としたことで決定的になったといわれている。江戸時代に入ると栽培、育種が盛んになり、多数の品種が生み出された。幕末のころは中国・ヨーロッパに輸出され、それぞれの国の菊事情を一変させるほどの人気を呼び、育種が盛んに行われるようになった。

 食用菊は、大きく分けて花弁が筒状のものと平たいものの2種類がある。特に食用として栽培されている菊を指す。料理のつまに使われるつま菊などの小輪種や、花びらのみを食用とする大輪種がある。つま菊以外は山形、青森など東北地方、新潟県などで栽培される。苦みが少なく甘みがあるのが特徴で、ゆでておひたしや酢の物、和え物、吸い物、天ぷらなどに用いられる。また菊海苔、干し菊など、蒸した後に薄く四角に乾燥させた加工品もある。現在は数多くの品種があり、冬の一時期を除いた一年中の採取が可能になっている。黄色の越天楽、いわかぜ(ともに山形県)、南部菊、阿坊宮(ともに青森県)、金からまつ(新潟県)、湯沢菊(秋田県)や、うすむらさき色のもってのほか(山形県)、延命楽、かきのもの(新潟県)などの品種がある。同一品種で別名のものもある。タンパク質、カリウム、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンC、β-カロチンなどを含む。