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月曜日, 8月 05, 2013

浙貝母

○浙貝母(せきばいも)

 中国原産で日本でも切り花や鉢植えに栽培されているユリ科の多年草アミガサユリ(Fritillaria verticillata)の鱗茎を用いる。日本ではこれを単に貝母というが、中国では川貝母と区別して浙貝母という。

 中国の浙江省象山県が原産とされているため浙貝母あるいは象貝母と呼ばれる。18世紀の初めに日本に渡来し、今日でも奈良や兵庫で栽培され、奈良県産のものは大和貝母と称されている。これまで日本の国内需要を上回る生産高があり、輸出もされていたが、近年では円高のため輸出できなくなった。

 アミガサユリの鱗茎にはペイミン、ペイミニン、ペイミジン、ペイミノシド、フリチリンなどのアルカロイド類やジテルペン類などが含まれている。ペイミンはペイミノシドには顕著な鎮咳作用や降圧作用が認められている。また貝母のメタノール画分には冠血管拡張作用や強心作用、抗セロトニン、抗コリン作用がある。ただし多量に用いる毒性が現れるので注意が必要である。

 漢方では清熱・化瘀・散結・解毒の効能があり、咳嗽、肺癰、腫れ物などに用いる。止咳・化痰薬として呼吸器疾患にみられる咳嗽や喀痰、とくに黄色い粘稠痰のときに用いる。また頸部リンパ腺結核やリンパ腺炎、乳腺炎などの化膿症にも用いる。