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火曜日, 11月 27, 2007

鮭(さけ)

〇鮭(さけ)

 サケ科の魚は4属に分けられ種類が多いが、わが国では主にシロザケ、ギンザケ、ベニザケ、マスノスケ、サクラマス、カラフトマスなどが食用に充てられる。一般にサケといわれるのはシロザケ。マスといわれるのはサクラマスである。生ザケは主に塩焼き、フライ、ムニエル、鍋物、三平汁で食べられる。加工品には塩蔵(塩鮭、新巻き)、燻製(スモークサーモン)、缶詰などがある。このほか、卵巣を塩漬けにした筋子、卵をほぐして食塩水につけたイクラ、腎臓を塩漬けにしたメフンなどがある。

 栄養的にはビタミンB1・B2、ナイアシンが豊富で、糖質代謝、皮膚や粘膜の健康維持に効果がある。またビタミンDが多いことも見逃せない(シロザケ100g中39ug)。Dは腸管でのカルシウムの吸収を促進し、骨の形成に欠かせないビタミンである。このほかビタミンAがシロザケ焼きで14ug、イクラで330ug、筋子で670ugあり(いずれも100g中のレチノール量 )、視力の改善、皮膚や粘膜の健康に貢献する。サケやイクラの赤い色はアスタキサンチンというカロチノイド系の色素で、β-カロチンやビタミンEより強力な抗酸化作用をもつといわれている。

土曜日, 11月 24, 2007

秋刀魚(さんま)

〇秋刀魚(さんま)

 サンマ科の海産魚で、秋口に大量に漁獲される。食卓にもよく登場する魚の第1位はアジ、第2はサンマ、第3位はイワシという調査結果(1992年、(社)大日本水産会)があるが、秋刀魚という文字が意味を失うほど今では冷凍技術の向上で1年中店頭に出回っている。東シナ海から北千島へかけて南北に回遊するが、北のほうで獲るほど脂がのっておいしい。

 背の青い魚であるサンマは、サバやイワシと同じく不飽和脂肪酸のEPAとDHAの含有量が多い。また、ビタミンB2とB2の補給源としても優れている。B2(焼き100g中に0.29mg)は子供の成長を促進し、B12(同19.3ug)は悪性貧血を予防する。グリーンアスパラなど葉酸が多く含まれる食材と一に摂ると貧血の予防効果が高まる。また、脳の働きを活性化するアミノ酸の代謝にも重要でボケ防止につながる。

金曜日, 11月 23, 2007

鰊(にしん)

〇鰊(にしん)

 ニシンは北太平洋に分布するニシン科の海産魚で、春の訪れとともに特有の味と柔らかな身を堪能させてくれる魚である。栄養的にはイワシよりも脂質が高く(生100g中15.1g、マイワシは13.8g)、エネルギーも216kcalと高い。脂肪酸の組成はDHA(ドコサヘキサエン酸)は少ないが、EPA(エイコサペンタエン酸)はマグロ(ホンマグロ脂身)を上回っている。カルシウムやリン酸の吸収に関与するビタミンDも多く含まれ、生では22ug(100g中)だが、開き干しでは3ug、身欠きニシンでは50ugになる。

 ニシンにはこのほかミネラルのセレンが含まれている。セレンは抗酸化酵素のグルタチオンペルオキダーゼの構成元素で、抗酸化作用に欠かせないミネラルである。また、血圧をコントロールするプロスタグランジン(ホルモン)の産生にもかかわっている。

木曜日, 11月 22, 2007

鰺(あじ)

〇鰺(あじ)

 アジ科の魚の総称で、ふつうはマアジを指す。日本近海にはこのほかムロアジ、シマアジが分布する。いずれも尻ビレの前方側面に”ゼエゴ”と呼ばれる硬いとげをもつウロコのあるのが特徴。肉はいわゆる魚臭さがなく、アミノ酸のアラニン、グリシン、グルタミン酸、ヌクレオチド類のイノシン酸といった旨味成分が多いので、刺身、たたき、酢の物、天ぷら、塩焼き、干物など、利用法は非常にバラエティに富んでいる。

 栄養成分としてはカリウムが比較的多い(マアジ生100g中に370mg、開き干し310mg、ムロアジくさや850mg)。また、他の魚に劣らぬほどビタミンB1・B2・D・Eを含有し、カルシウムはくさやになると生の46倍にもなる。小アジの唐揚げ、くさやなどで、カルシウムの補給効果が期待できる。

火曜日, 11月 20, 2007

鰯(いわし)

〇鰯(いわし)

 イワシはニシン科のマイワシ、ウルメイワシ、カタクチイワシ科のカタクチイワシなどの総称である。大衆魚としてなじみ深い魚だが、背の青い魚に含まれるEPAやDHAの効能が明らかになって以来、すっかり時代の寵児になった観がある。イワシは生を塩焼きや揚げ物、煮付けにするほか、干物(めざし、丸干し、みりん干し)、田作り、煮干し、缶詰などに調理・加工される。

 栄養成分量は加工法によって大きく変化し、例えばカルシウムは、生では60~85mg程度であるが、丸干しにするとマイワシ440mg、ウルメイワシ570mg、カタクチイワシの田作りでは2500mgにもなる(いずれも100g当たり)。また、血合いや内臓ごと食べることで鉄分の貴重な補給源ともなる(ウルメイワシの生100中2.3mg、丸干しでは4.5mg)。鉄は赤血球のヘモグロビンの重要な構成要素で、不足するといわゆる鉄欠乏性全身貧血になり、疲れやすい、だるい、食欲不振、めまいといった症状が出る。魚肉に含まれる鉄分はヘム鉄で吸収されやすいので、努めて積極的に食べるようにしたいものである。

 イワシの稚魚(3cm以下のもの)はシラスと呼ばれ、シラス干し(微乾燥品、関東向け)、チリメンジャコ(半乾燥品・関西向け)、タタミイワシにする。シラス干しにはアミノ酸のチロシンが多く含まれており(100g中1300mg)、魚類中トップである。マサチューセッツ工科大学ジュディス・ワートマンらはチロシンが脳内神経伝達物質のノルエピネフリンとドーパミンを増加させ、精神的なエネルギーを高める作用のあることを確かめている。

月曜日, 11月 12, 2007

鰤(ぶり)

○鰤(ぶり)

 日本近海に分布するアジ科の高級魚。冬の荒海に揉まれた寒ブリはまさに絶品であるが、近年はハマチの名で店頭に並ぶ養殖物が多い。養殖ものは一般に脂ぎった感じが強く、切り身が一様にベージュ色であるのに対し、天然物はややピンクがかかっていることが特徴である。ブリは出世魚で、幼魚のときから順に呼び名があり、関東ではワカシ→イナダ(ハマチ)→ワラさ→ブリ、関西ではワカナ→ツバス→ハマチ(メジロ)→ブリとなる。

 振りは脂身の持つトロッとした旨さに、ヒスチジン(アミノ酸)の旨味が加わって特有の風味が醸し出される。脂質が多いためカロリーは高いが(生100gで257kcal)、脂肪酸の組成は良好でEPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)で21.5%を占めている。また、単価不飽和脂肪酸のPOA(パルミトレイン酸)が7%と比較的多い。POAは特に脳血管の栄養を補う働きがあるため、脳出血、クモ膜下出血の予防に効果的である。
 

日曜日, 11月 11, 2007

鰆(さわら)

○鰆(さわら)

 サバ科の回遊魚で、本州中部以南の太平洋岸に多く見られる。脂の乗った柔らかい肉の特有の旨味があり、塩焼きにすると絶品である。地方によって旬が異なり、春が旬なのは瀬戸内海。駿河湾や伊豆では秋、相模湾では、”寒ザワラ”といって正月から3月にかけてがおいしい。

 栄養成分としてはカリウムの含有量が多く(100g中に490mg)、食塩のナトリウムの吸収を阻害して高血圧の予防につながる。また、ビタミンB2(0.35mg)とナイアシン(9.5mg)を多く含んでいる。B2は成長を促進し、舌炎や口角炎を防ぐ働きがある。ナイアシンが不足すると皮膚がザラザラに荒れて紅色の発疹ができ、色素沈着を起こすことがある。鰆はサバなどに比して脂質が少ないため(100g中、サバは12.1g、サワラは9.7g)、カロリーも1割強少ない。

土曜日, 11月 10, 2007

鰹(かつお)

○鰹(かつお)

 サバ科の回遊魚で、4~5月に北上してきたものを”初ガツオ”と称して江戸庶民は喜んだが、北海道近海や三陸沖で夏を過ごして南下した秋の”戻りガツオ”も脂がのっていておいしい。ただし、近年は世界各地からの輸入物が増え、旬の味わいが忘れられた観もある。

 カツオは優れたタンパク源(生100g中25.8g、アミノ酸スコア100)であるとともに、ビタミンB1・B2・B12・Dも富み、特に血合いに含まれるB12(100g中8.4ug)は魚類のトップクラスである。B12欠乏は悪性貧血の原因となり、肝臓疾患や子ども発育不全、女性の不妊症の原因となることがある。

 わが国特有の発酵調味料であるカツオ節はタンパク質が77%を占め(生カツオは25.8%)、アミノ酸の含有量がずば抜けて多い食品である。家庭でカツオ節を削る光景が見られなくなって久しいが、手軽に利用できるパック製品があるので、色々な食材と組み合わせて積極的に摂りたいものである。

金曜日, 11月 09, 2007

鮪(まぐろ)

○鮪(まぐろ)

 サバ科の大型魚でクロマグロ、メバチ、キハダ、ビンナガ、ミナミマグロの種類がある。中でもクロマグロの味は最高で、幼魚はヨコワ、少し大きくなるとメジ、成魚はシビとも呼ぶ。なお、俗にカジキマグロと呼ばれるのはマグロとは別種で、マカジキ、クロカジキ、メカジキなどがある。

 トロを食べると頭がよくなると一時期騒がれたが、これはマグロに多く含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)の効能が明らかにされたためである。DHAを多く含む脂身にはEPA(エイコサペンタエン酸)も豊富であるが、マグロはカルシウムの吸収をよくするビタミンDも多い。また、赤味や血合いには強心・強肝、貧血防止、血中コレステロールを下げる働きを持つアミノ酸のタウリンが多く含まれており、頭脳を明晰にするだけでなく健康をもたらす優れた食材である。

 厚生労働省は2003年6月、妊婦に対して水銀濃度の高い魚介類の摂食に関する注意事項を発表したが、05年8月の見直し案で新たにクロマグロ、メバチマグロ、マカジキなどを追加している。それによると1回の摂取量を80g(刺身一人前)として、クロマグロ、メバチマグロ、メカジキは週1回まで、ミナミマグロ、マカジキは週2回までとしている。

木曜日, 11月 08, 2007

鯖(さば)

○鯖(さば)

 海産魚のサバ科の総称だが、普通はマサバを指す。日本近海にはこのほかゴマサバ、グルクマが分布する。サバは100g中に脂肪を12.1g含むが、肉類の脂肪とは異なり、オレイン酸やEPA(エイコサペンタエン酸)DHA(ドコサヘキサエン酸)の不飽和脂肪酸を多く含んでいる。これらはコレステロールの予防に有効である。動脈硬化や血栓を防ぎ、血圧を正常に保つ働きがあり、生活習慣病の予防に有効である。コレステロールはサバを約100g食べると6週間で血液の粘度が顕著に下がることが明らかにされている。また、1日に85gのサバを長期間食べ続けると血圧が約7%下がるとする研究もある。

 サバのタンパク質(20.7g)は必須アミノ酸を豊富に含み、アミノ酸スコアは99と高い。ビタミン類ではB2が0.28mgと多く、これ以外ではビタミンAが24ug、B1が0.15mg、ビタミンD11ug、ナイアシン10.4mgなどが目立つ。

 サバは酢や味噌とよく合うので、しめサバや味噌煮にして食べられることが多い。なお、サバの生き腐れという表現があるように、サバは急速な鮮度低下が利用上の問題となることが多い。サバはアミノ酸の一種であるヒスチジンが多く含まれているが、これが酵素分解でヒスタミンという有害物質に変わるためだが、ヒスタミンはアレルギー源にもなりやすく、蕁麻疹の原因となることもある。

水曜日, 11月 07, 2007

昆布

昆布

 昆布は渇藻類のコンブ科に属する海藻の総称で、狭義にはマコンブを指す。日本で採れるコンブはマコンブ、利尻コンブ、三石コンブ、ナカコンブ、ホソメコンブ、ネコアシコンブなど30種類近くある。

 コンブはアルカリ度が38.9と高く、いわゆるアルカリ性食品であるが、それはカルシウムの含有量が多く、リンが少ないためである。マコンブの素干し100g中のカルシウムは710mg、リンは200mgである。同じ海藻類のアマノリは、干し100g中カルシウム140mg、リン690mgでりんのほうが多く、酸度5.25のいわゆ酸性食品である。

 カルシウムは吸収されにくいミネラルで、効率よく利用するにはリンをバランスよく摂取する必要があり、その割合はカルシウム2に対してリン1がよいとされている。昆布はカルシウムそのものの含有量が多い上に、リンとのバランスがよいため、カルシウム補給食品としては理想的である。

 コンブのミネラルでもう一つ注目されるのはヨウ素である。素干し昆布100g中、要素は100~300mg含まれており、乾燥ワカメ(7~24mg)やヒジキ(20~60mg)をはるかに上回っている。ヨウ素は甲状腺ホルモンの成分として新陳代謝や調整に深く関与している。コンブはまたカリウムの含有量も多く(マコンブの素干し100g中で6100mg)、海藻中ではトップである。古くから昆布を食べると血圧が下がるといわれているが、これはカリウムやコンブに多く含まれるラミニン(糖タンパク質)による作用と考えられている。そのほか、愛媛大学医学部(奥田拓道ら)と住友金属工業との共同研究によれば、コンブのヌメリ成分のアルギン酸は糖の吸収抑制とともにコレステロールの吸収抑制作用があり、それを高圧加熱処理し低分子化した可溶性アルギン酸も、高分子のアルギン酸と同様の働きがあることが明らかにされている。

土曜日, 11月 03, 2007

栗(くり)

○栗(くり)

 ブナ科の落葉高木で、いがに包まれた果実の中にできる堅果を食用とする。北海道西南部から本州一帯の山地に自生し、果樹は各地で種々の改良種が栽培されている。

 栗は馴染み深い秋の味覚の一つだが、糖質のほかカリウム、ビタミンB1、Cなど意外に多く含まれ、タンパク質や脂肪、糖質の消化特性も穀類に匹敵するほど優秀である。

 本草綱目には栗の効能について「主として気を益し、腸を厚くし、人をして飢えに耐えしむ」とあり、「生食すれば腰部の不随を治し、筋骨の切れたるを癒す」「腫れ痛み、お血(古血)には生を噛んでこれをつけると効あり」と記されている。民間にも「腎を補って気を増し、腸・胃・腰・足・骨を強くする」と言い伝えられてきた。「腎を補う」とは、この場合は気を増し、強精・強壮を意味している。

 このほか、生の栗を細かく砕いたりすりおろしたものは鼻血や外傷の止血、筋力の強化に役立つとされている。また魚介類の中毒にも効くとされているが、生栗は消化が悪いので、摂るときは少量をゆっくりと噛んで飲み込むことである。栗葉と呼ばれる栗の葉は、煎じた液がウルシや毛虫かぶれの害用薬とされてきた。

木曜日, 11月 01, 2007

胡桃(くるみ)

○胡桃(くるみ)

 クルミ科の落葉高木で、日本や中国、イランが原産。種実内の肥大した仁(胚と胚乳)を食用とする。日本原産のオニグルミとヒメグルミ、イラン原産のテウチグルミなどがある。アメリカ産が全生産量の30%を占め、わが国では長野、山形、岩手、新潟などが主産地である。

 クルミは昔から、その風味と効用で貴族の美容食といわれ、菓子類のほか和え物などに広く用いられてきた。クルミで特に顕著なのは脂肪分である。種実の約68%が脂肪で、しかもその61%がリノール酸、ほかにオレイン酸、リノレン酸などが含まれている。いずれも良質の不飽和脂肪酸なのでコレステロールを除去し、脂肪代謝を整える。生活習慣病には格好な食品といえる。また、単純タンパク質のグリテリンも多く含まれ、消化吸収しやすいため強壮効果がある。漢方ではクルミを胡桃仁と呼び、滋養強壮・鎮咳薬として賞用している。