○唐辛子(カプサイシン)
ナス科の一年草で南アメリカ原産。広く熱帯から亜熱帯にかけて分布するが、熱帯では木質の多年草となる。日本へは江戸時代に中国からもたらされ、名前は唐から来た辛いものの意味だが、香辛料の需要が少なかった日本では七味唐辛子に使われたことから、誰もが知り、活用するところとなった。
唐辛子の種類は非常に多く100種を超すが、大きく分けて辛味種と甘味種、あるいは乾果用と野菜用、果実が球状のものと細長いものなどがある。ピーマンは球形果実の甘味種である。しかし、野菜で唐辛子というときにはピーマンやシシトウ(獅子唐辛子)は別に扱っている。代表的な品種として、鷹の爪、伏見、タバスコがある。鷹の爪は七味唐辛子やラー油に使われるほか、漬物、紅葉おろし、煮物、麻婆豆腐、炒め物などに添えて用いられる。伏見は葉唐辛子に、タバスコはタバスコソースに使われる。このほか、観賞用に五色、榎実などの品種がある。
唐辛子の葉や果実にはカルシウム、カロチン、ビタミンB1、B2、Cなどがずば抜けて多く含まれているが、大量に食べる習慣がないのでその恩恵には与れない。従って出盛の時、葉を油炒めや佃煮などにしてできるだけ多く摂るようにしたい。
一方果皮に含まれている辛味成分であるカプサイシンには殺菌作用や身体を温める効果、興奮・健胃作用などがある。加えて、体脂肪の消費を促進するホルモン(アドレナリンやノルアドレナリン)の分泌を活発にする作用も見出されており、ダイエット食素材として用いられている。また、果実に膨れるカロチノイド系色素のカプサンチンには強い抗酸化作用が認められており、老化防止や抗ガン効果が期待されている。このほか、薬用アルコール100mlに唐辛子30本ほど付け込んだチンキ剤は、神経痛や腰痛、脱毛予防などに外用される。
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