○月桂樹(げっけいじゅ)
地中海を原産とするクスノキ科の常緑高木ゲッケイジュ(Laurus nobilis)の葉や果実を用いる。葉を月桂葉、果実を月桂実ともいう。
月桂樹は1905年頃にフランスから日本へ渡来した新しい輸入植物であり、日露戦争の戦勝記念樹としても有名である。月桂樹は英語名でローレルとか、ベイトゥリー(Bay Tree)と呼ばれ、香辛料としてもローレルとかローリエ、ベイリーフなどと呼ばれている。
ギリシャ神話の中で月桂樹はダフネの化身と伝えられ、また古代ギリシャでは葉の冠、月桂冠を勝利の象徴としてオリンピックの勝者の頭に飾った。ローマ時代には万能薬とされ、病人が出ると戸口にこの枝を下げたと伝えられている。また葉はヒステリーに、果実は堕胎薬として用いられたという。
葉には芳香と苦味があり、単独であるいは他のハーブとともブーケ・ガルニとして魚や肉の煮込み料理に用いられる。葉には精油が1~3%含まれ、主成分はシネオール、オイゲノール、ゲラニオールなどである。芳香性の苦味健胃薬や駆風薬、去痰薬、利尿薬として知られている。また民間では実や葉の煎液などを、神経痛やリウマチの治療薬として用いている。また浴湯料やポプリ、不眠症のハーブピローなどにも利用している。