○常山(じょうざん)
東南アジアやインド、中国の南部に自生するユキノシタ科の常緑低木ジョウザンアジサイ(Dichroa febrifuga)の根を用いる。同じユキノシタかにアジサイがあり、やや似ているためにジョウザンアジサイという名がある。
この若葉も蜀漆と呼ばれて薬用にされる。薬材の根の質は堅くて重く、鶏骨のようであることから、かつて鶏骨常山といわれていた。中国ではクマツヅラ科のクサギ(Clerodendron trichotomum)の根を海洲常山といい、アカネ科のコンロンカ(Mussaenda parviflora)を白常山、ミカン科のコクサギ(Orixz japonica)を臭常山などといい、常山の代用にしていた。
成分にはアルカロイドのジクロイン(フェブリフジン、イソフェブリフジン)が含まれ、抗マラリア・抗アメーバ赤痢、解熱作用などが認められている。動物のマラリアにはキニーネよりも作用が強いが、人間のマラリアではキニーネより効力が劣る。
漢方でも抗瘧の効能があり、マラリア(瘧)の治療薬としてよく知られている。マラリアには知母・椰椰子などと配合する(常山飲)。しかし、キニーネよりもはるかに毒性があり、悪心、嘔吐、下痢、胃腸粘膜の充血などの症状がみられる。逆に、この催吐作用を応用して、生のままか大量に用いて痰や毒物を吐かせることもできる。