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月曜日, 3月 17, 2008

かわらたけ(瓦茸)

〇かわらたけ(瓦茸)

 サルノコシカケ科の薬用キノコで、学名はlusversicolor。中国名は霊芝。春から秋にかけて、枯れ木や枯れ枝に重なり合うように密生する木材腐朽性のキノコである。傘は幅2~5cm、厚さ1~2cmで、半円形、扇型、ヘラ形など様々な形状を見せ、表面には黒色、灰色、褐色、藍色など多彩な同心紋があり、革質で固い。傘の裏は白色ないし黄ばんだ淡灰色を呈する。成長中のものを採取して、専ら薬用にされる。サルノコシカケ科のキノコはどこにでも寄生するわけではない。そのための希少価値もあって、古くから仙薬・妙薬として珍重されてきた。

 カワラタケが注目されたのは20余年前、呉羽化学工業がそのエキスからクレスチン(PS-K)という抗がん剤を開発したことに始まる。この抗ガン効果はいわゆる免疫療法で、ヒトが生まれつき持つガンに対する抵抗力を強めることが分かり、一躍ガンの免疫療法のエースとして脚光を浴びた。クレスチンは綿密な基礎実験が繰り返された結果、(財)癌研究会化学療法センターの塚越茂が、①薬の与え方(経口投与、静脈注射、腹腔内注入)の差によって毒性がほとんどない(副作用がない)、②口から与えると、ある種の抗ガン剤が効果を示さないガンにも効いた、③作用の主体は体の免疫力を高めて増強する、④ガン細胞に対して強くはないが直接働く作用を認めた、と発表した。

 これを受けて国立病院や医療センターなどで肺ガン・食道癌・乳ガン・胃ガン・悪性リンパ腫などに臨床応用され、制ガン作用が認められた。1976年8月に厚生省(当時)の許可が下り、翌年5月には保険も適用されるようになった。この免疫効果は、カワラタケエキス中にインターフェロン・インデューサー(インターフェロンの産生を促す物質)が含まれているためと考えられている。インターフェロン効果とは、外からウイルスや細菌などの異物が侵入してきたとき、これを排除しようとする生体の防御機能であり、白血球の一種であるリンパ球中のT細胞(胸腺細胞)とB細胞(骨髄細胞)の働きによるものである。カワラタケエキスのクレスチンはそのT細胞に強く働きかけて、ガン細胞を抑える作用を持つ(これと同じような作用を持つ制ガン剤としては、シイタケエキスから抽出したレンチナンがある)。

 カワラタケの免疫作用は、在来の化学療法や放射線療法などに比較すると効果は地味であるが副作用がなく、宿主に抵抗力をつけるので自然な療法といえる。さらに免疫体質を強くすることから、ガンの予防にも有効性が期待されている。