〇オリザブラン(米糠水溶性多糖類)
米ぬかは東洋医学で米皮糠(べいひこう)と呼ばれ、慢性脚気や食道狭窄症の改善、胃の消化力や腸の蠕動運動の促進、自律神経正常化等に用いられている。栄養源としてはもタンパク質約1.32%、脂質約18.3%、炭水化物約38.3%のほか、ビタミン、ミネラル類も多量に含むなど、すぐれた特質を有する。また、日本では石鹸代わりの「ぬか袋」として銭湯で売られていた時期もあり、長年、皮膚や髪の美容化粧品としても利用されている。
米ぬかの主成分はオリザノールと呼ばれ、ぬか油(トリテルペンアルコールフェルラ酸エステル)、ビタミンE、脂肪酸、高級アルコールといった、水に不溶の油溶成分に起因すると考えられてきた。しかし、米ぬかが美容を目的として使用されるときは、ぬか袋のように入浴洗顔時に湯水とともに用いることが多いことから、林輝明は、水に溶けにくい油溶成分よりも水可溶成分のほうにいっそうの美容作用を示す有効成分が含まれているのではないかと考え、東北大学薬学部の曳野教授と共同研究を開始、1987年に、米ぬかに約1.8%含まれる水可溶成分の米糠多糖類を抽出した。そして、その主体となる4種類のオリザブランA、B、C、Dを分離し、構造を決定して、生理活性を調べている。その結果、これらの多糖類は血糖降下作用(糖尿改善)、尿素を上回る皮膚への保水作用、荒れ肌改善作用、創傷治癒作用があることが判明した。