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月曜日, 8月 11, 2014

白芷

○白芷(びゃくし)

 本州の近畿・中国地方、九州、朝鮮半島、中国東北部などに分布するセリ科の多年草ヨロイグサ(Angelica dafurica)などの根を用いる。中国東北部ではこのヨロイグサの根を独活として用いるところもある。

 中国ではヨロイグサとは別に杭白芷(A.formosana)の根もよく用いられ、四川・山東省では川白芷、浙江・江蘇省では杭白芷の名で流通している。かつて日本産を和白芷、中国産を唐白芷として区別していたが、今日、日本での生産はほとんどない。薬用には地上部が黄変して枯れかけたときに根を掘り出すが、ヨロイグサの根には特異な臭いがある。

 根にはフロクマリン誘導体のビャクアンゲリシン、ビャクアンゲリコールなどが含まれる。フロクマリン誘導体はセリ科の類縁植物に多く含まれ、羌活や独活にも含まれている。一般にフロクマリン類は魚毒であるが、高等動物に対しては血管拡張や鎮痙しか認められない。ただし中枢神経を興奮させるアンゲリコトキシンも含まれており、華岡青洲が用いた全身麻酔薬の通仙散にも配合されている。

 漢方では解表・止痛・止帯・排膿などの効能があり、頭痛、歯痛、前額部痛、鼻炎、腹痛、下痢、帯下、湿疹、腫れ物などに用いる。とくに頭痛のときの代表的な生薬で、「太陽には羌活、陽明には白芷、小陽には柴胡、太陰には蒼朮、厥陰には呉茱萸、少陰には細辛」といわれている。また白芷の気は芳香で「丸竅(耳目などの穴)を通じる」といわれている。