〇はまぐり(蛤)
ハマグリ科の二枚貝で、色や形が栗に似ていることからハマグリという名がついたといわれる。北海道南部から九州、東シナ海に分布し、内湾の砂地の深いところに潜って生息しているが、春先になると表面へ出てくる。国内産の内湾性のものが美味しいのは秋から翌春まで。輸入物の外洋性のチョウセンハマグリ(殻にあまり模様がない)は肉質がやや硬く、味も香りも若干劣る。
ハマグリの旨味成分はアミノ酸のグリシン、アラニン、グルタミン酸とグリコーゲンやコハク酸などで構成されている。肉の脂質はほとんどなく(100g中0.5g)、炭水化物も少ない(1.8g)ので、カロリー制限をしている人でも安心して食べられる(生100gで38kcal)。栄養的にはビタミンB12(100g中28.4mg)、カルシウム(130mg)、鉄(2.1mg)、銅(0.1mg)、亜鉛(1.7mg)、マグネシウム(81mg)、タウリンが比較的多く含まれる。亜鉛は不足すると味覚障害を起こす微量栄養素であるが、新陳代謝に必要な各種酵素の働きを支える重要な役目も担っているため必須ミネラルのひとつとされている。また、タウリン(カツオ血合肉よりも多く889mg)は血中コレステロールを下げ、血圧を正常化し、肝臓の解毒作用を強化するなどを働きを持つ。
味はもとより貝殻の美しさでも料理に花を添えるハマグリだが、焼き物、酒蒸し、吸い物、時雨煮、串焼き、寿司ネタなどに使われるほか、フライやクラムチャウダーといった洋風料理にも、また中華料理の食材にも利用されている。