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金曜日, 8月 03, 2007

醤油

○醤油

 醤油は独特の香りと旨味、塩味、コクをもち、日本料理には欠かせない伝統調味料である。現在ではソイソースとして海外でも親しまれている。醤油は味噌と同じく古代中国の醤が起源だといわれている。醤は、はじめは獣や魚の肉に塩や酒を加えて漬け込んだものが肉醤や魚醤であったが、その後、穀物を原料とする穀醤が登場する。この穀醤が奈良時代に中国や朝鮮半島から伝わり、今の味噌や醤油の元になったと考えられている。鎌倉時代に入ると、味噌から滲み出た液汁を溜と呼び、煮物などの調味料として利用するようになった。これが醤油の原形といわれている。実際に醤油という言葉が文献に見られるようになるのは室町時代中期である。この頃から醤油が調味料として定着してと考えられている。

 醤油は、蒸煮して大豆と煎って割砕した小麦の混合物に麹菌を接種して麹を作り、食塩水に漬け込んで発酵・熟成させた後、圧搾して加熱処理したもので、濃口醤油、薄口醤油、溜まり醤油、白醤油、再仕込み醤油などがある。濃口醤油は最もポピュラーなタイプで、色が濃く香りや旨味が強い。薄口醤油は色が薄く香りを控えめなので素材の持ち味を生かしやすいが、塩分は多い。溜まり醤油は原料のほとんどが大豆で、旨味は強いが香りは弱い。白醤油は小麦が主原料で大豆の割合は少なく、味は淡白だが糖分が多く、吸い物やうどんの汁などに使われる。再仕込み醤油は食塩水の代わりに醤油を加えて仕込んだもの。色が濃く、どろりとした濃厚な味で刺身などに使われる。

 醤油は塩味、旨味、酸味がほどよく調和した調味料である。旨味成分はグルタミン酸を中心とした約20種類のアミノ酸が作り出している。甘味はブドウ糖など約15種類の糖類、酸味は酢酸、乳酸、コハク酸などの有機酸に由来する。また、醤油独特の香りは約300種類の香気成分によるもので、食物の味を引き立て、胃液の分泌を促し食欲を高めてくれる。また、香気中には消臭効果のある成分が含まれているため、肉や魚の生臭さを消す作用がある。さらに香りの主成分であるHEMFというフラノン化合物に肺ガンの発生を抑える作用のあることが、米国ウィスコンシン大学におけるラットの実験で確認されている。

 昔から食品を醤油に漬けて保存食を作るが、これは醤油の殺菌力を利用したものである。醤油の強い殺菌力は食塩、乳酸菌による乳酸、酵母によるエタノール(アルコール)の3つの殺菌作用が総合的に働くためといわれている。さらに醤油の色素成分で抗酸化作用のあるメラノイジン、脳代謝活性作用があるとされているγ-アミノ酪酸(GABA)なども含まれている。多様な有用成分を含む醤油だが、塩分含有率も高い。過剰な摂取は控えるべきである。塩分を半分以下にした減塩醤油もあるので、そちらを利用するのも一考だろう。