○小麦
日本人の第2の主食として、米と並んで多く食べられているのが小麦である。小麦はイネ科の単子葉類で、春蒔きの一年草と秋蒔きの越年草がある。粒を粉砕して小麦粉を作り、パン、うどん、中華麺、そうめん、ひやむぎ、スパゲティ、マカロニなどの原料となる。このほか麩(ふ)や餃子、シュウマイの皮なども小麦である。
小麦の成分はデンプン75%、タンパク質9%、水分14%など。小麦粒は80%が胚乳で、16%が皮部、2%が胚芽である。小麦粉は胚乳部分を選択的に使うが、小麦胚芽や小麦ふすま、小麦タンパク質なども機能性食品素材としてさまざまに利用されている。
小麦の水溶性タンパク質である小麦アルブミンは、人の唾液や膵液に含まれるデンプン消化酵素のアミラーゼの働きを緩やかにする。そのため、食品に含まれる糖質の大部分を占めるデンプンの消化吸収を遅らせ、急激な食後血糖値の上昇を緩和する作用がある。この機能性に着目して、小麦アルブミンを含んだ粉末野菜スープなどがトクホとして製品化されている。
※麩
麩はタンパク質の小麦グルテンから作られる食品で、中国から禅僧が伝えたといわれている。肉食を断つ禅僧に貴重なタンパク源として寺院で食されてきたが、後に懐石料理や法要の料理などに利用されるようになった。麩にはグルテンだけで作る生麩とグルテンに小麦粉やもち米粉などの合わせ粉を加えて焼いた焼麩の2種類がある。焼麩は保存性が高く保存食として重宝されている。
麩の栄養成分はタンパク質と糖質がほとんどで、脂質はごく僅かしか含まれておらず、高タンパク・低脂肪食品である。小麦グルテンにはグルタミンが豊富に含まれている。グルタミンは体内に広く存在するアミノ酸で、免疫機能の低下を防ぐ作用がある。小麦から分解して作るグルテンは、スポーツ用食品や高齢者食品などの機能性素材としても用いられている。