〇でんぷん(澱粉)
デンプンは、穀類やイモ類などに多く含まれる植物の貯蔵多糖類で、ヒトのエネルギー源として最も重要な物質である。植物は葉緑体と呼ばれる細胞小器官で大気中の二酸化炭素と水を原料とし、太陽エネルギーを利用(光合成)してデンプンを作り出し、種子や球根、塊根などに蓄えている。動物はこれを摂取してエネルギー源としている。デンプンを作れるのは植物と藻類だけである。
デンプンはグルコース(ブドウ糖)のみで構成される単一多糖で、アミロース(約1000個のグルコースが直鎖状にα-1.4結合したもの)と、アミロペクチン(アミロースのところどころがα-1.6結合で枝分かれし、別のアミロース単位を含んだもの)からなっている。アミロースとアミロペクチンの含有比率はデンプンの種類によって異なるが、平均するとアミロースが20%、アミロペクチンが80%である。米の粘りはアミロペクチンによるもので、もち米に粘りがあるのは、ほとんど100%のアミロペクチンでできているためである(うるち米は83%)。
デンプンを水と混合して加熱すると糊状となり最後には糊化するが、これをα-化デンプンという。これに対し、生のデンプンをβ-デンプンと呼ぶ。α-化デンプンをそのまま放置して冷えるとβ-デンプンに戻るが、これをデンプンの老化という。
食事で摂取したデンプンは消化酵素のアミラーゼによってマルトース(麦芽糖)に分解され、さらにマルターゼという酵素でグルコースに分解されて小腸から吸収され、エネルギー源として利用される。