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金曜日, 11月 22, 2013

沢蘭

○沢蘭(たくらん)

 日本各地から東アジアにかけて分布するシソ科の多年草シロネ(Lycopus lucidus)の開花期全草を用いる。シロネの根は地筍という。根が白いためにシロネといい、春に肥大した根を掘り出して食用にすることができる。

 シロネは水辺や湿地に生え、葉はキク科のフジバカマ(Eupatorium japonicum)に似ていることから沢蘭といわれるが、香りはない。古くから蘭草としばしば混同され、フジバカマやサワヒヨドリ(E.lindleyanum)を沢蘭にあてている本草書もある。中国でも地方によってはフジバカマなどが沢蘭と呼ばれて用いられている。

 全草には精油、配糖体、タンニン、サポニンなどが含まれ、強心作用や血行促進作用が知られているが、詳細は不明である。漢方では活血・調経・利水消腫の効能があり、瘀血による月経の遅れや生理痛、産後の浮腫などに用いる。

 婦人科の常用薬であり、月経不順や生理痛には香附子・当帰などと配合する(四制香附丸)。また打撲による内出血や捻挫、腰痛などにも効果がある。腫れに沢蘭の生の葉をすりつぶして塗布する民間療法もある。