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水曜日, 1月 29, 2014

冬葵子






○冬葵子(とうきし)

 ヨーロッパ原産で世界各地に分布しているアオイ科の多年草フユアオイ(Malva verticillata)の種子を用いる。しかし、現在では、冬葵子として市場に流通しているものの中にはアオイ科の一年草イチビ(Abutilon avicennae)の種子も含まれている。ちなみにイチビの中国名は茼麻または莔麻といい、種子の本来の生薬名は茼実という。

 イチビはインド原産であり、日本には古い時代に繊維植物として中国から渡来し、栽培されていた。イチビの種子、茼実の効能はフユアオイの種子とは異なっているため、冬葵子の代用となり得るかどうか定かではない。

 漢方では利水・通淋・通便・通乳の効能があり、排尿障害、膀胱炎、浮腫、乳房の腫脹などに用いる。尿量が減少して浮腫のみられるときには茯苓などと配合する(葵子茯苓散)。尿路結石などには車前子・金銭草などと配合する。産後に母乳の出が悪かったり、乳腺が腫れて痛むときにも用いる。便秘には桃仁・郁李仁などと配合する。

 なお、中薬大辞典にはよると茼実は下痢、翼状片、瘰癧(頸部リンパ腺腫)、腫れ物に用いるとある。近年、韓国ではフユアオイの葉に便通を促進する効能があるといわれ、冬葵茶(トンギュンチャチャ)が便秘やダイエットの健康茶として話題になっている。