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木曜日, 8月 07, 2014

百合

○百合(びゃくごう)

 日本の各地や朝鮮半島、中国などに分布するユリ科の種々の植物の鱗茎を用いる。日本ではヤマユリ(Lilium auratum)やオニユリ(L.lancifolium)、ササユリ(L.japonicum)の鱗茎、中国では百合(L.brownii)、細葉百合(L.pumilum)、テッポウユリ(L.longiflorum)などの鱗茎が用いられる。苦味の少ないオニユリ、ヤマユリなどの鱗茎は「ゆりね」として食用にもされる。

 鱗茎の成分としてデンプンや脂肪、タンパク質のほか、アルカロイドが少量含まれていることしかわかっていない。漢方では潤肺・止咳・安神の効能があり、乾燥性の咳嗽や熱病後の虚煩に用いる。

 肺結核などで微熱が続き、乾燥性の咳嗽が長引いたり、喀血のみられるときには生地黄・熟地黄・麦門冬などと配合する(百合固金湯)。咳や喘息が続き、咽が乾いて声が出ず、痰に血が混じるときには款冬花と配合する(百花膏)。慢性的な咽頭の炎症で鼻汁や鼻づまりなど、鼻炎症状のみられるときには辛夷・山梔子などと配合する(辛夷清肺湯)。

 熱病が回復した後も微熱が続き、動悸や煩躁感、不眠、多夢、精神不安のみられるときには知母・地黄などと配合する(百合知母湯)。大病後のこのような状態を金匱要略の中では「百合病」と呼んでいる。

 ヨーロッパではユリの根を古くから婦人病に用いており、食べるとお産が軽くなるといわれている。また日本の民間ではユリの花粉をゴマ油で練ったものを切り傷やあかぎれの外用薬にしている。