○鴨跖草(おうせきそう)
日本全土、朝鮮半島、中国、シベリア地方に分布するツユクサ科の一年草ツユクサ(Commelina communis)の全草を用いる。ツユクサは古くはツキクサと呼ばれ、青い花の色素を布に浸けて染める着草の意味であった。花で和紙を染めたものが青花紙であり、この紙から浸出した青色液は友禅染めの下絵を描くのに利用されている。また中国や日本では若芽を食用として利用する。
薬用には、一般に夏の開花期に全草を採取した日干しにする。全草にはフラボノイドのアオバニン、アオバノールが含まれ、花にはアントシアニン系色素のフラボコンメリニン、デルフィニジンなどが含まれる。中国や日本で民間薬として知られ、利水消腫・清熱・解毒の効能があり、浮腫、脚気、尿量減少、感冒、咽頭炎、耳下腺炎、肝炎、陽炎、帯下、丹毒、腫れ物などに用いる。
近年、中国ではリウマチにより関節が赤く腫れて痛むときに蒼朮・石膏・知母などと配合した加減蒼朮石膏知母湯がよく用いられている。また日本の民間療法に花の絞り汁を腫れ物や口内炎、痔などに外用する方法がある。