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日曜日, 6月 21, 2015

青木香

○青木香(せいもっこう)

 関東以西、四国、九州及び中国に分布するウマノスズクサ科のつる性多年草ウマノスズクサ(Aristolochiadebilis)などの根を用いる。

 日当たりのよい山野に自生するつる性の植物で、つるからぶらさがった果実の形が馬の首にかける鈴に似ていることからウマノスズクサとか馬兜鈴という名が付けられている。ウマノスズクサの葉をつけた茎は天仙藤、果実を馬兜鈴という。キク科の植物の根にも青木香という生薬があるが、全く別のものである。

 ウマノスズクサの根にはアリストロキア酸やアリストロン、マグノフロリンなどが含まれ、降圧、鎮静、気管支拡張作用が報告されている。漢方では止痛・理気・解毒・消腫の効能があり、胸腹部の張痛みや下痢、腫れ物、湿疹などに用いる。

 夏季の下痢や腹痛、暑気あたりには青木香の粉末を服用する。腫れ物や咬傷、湿疹には粉末をゴマ油などで練って塗布する。近年、中国では青木香に降圧作用があることから高血圧の治療にも使用されている。ただし、アリストロキア酸は腎障害を引き起こすことが指摘されており、使用には注意が必要である。

青風藤

○青風藤(せいふうとう)

 ツヅラフジ科のオオツヅラフジ(Sinomenium actum)や華防己(Diploclisia chinensis)、アワブキ科のアオカズラ(Sabia japonica)などのつる性の茎をいう。

 オオツヅラフジは単にツヅラフジともいい、日本の関東以西、四国、九州、台湾、中国などに分布するつる性落葉低木で、その茎を日本では防己あるいは漢防己と称している。つまり日本産の防己を中国では青風藤として扱っている。

 中国産の防己の基原とされるツヅラフジ科のシマハスノハカズラ(Stephania tetrandra)はオオツヅラフジによく似ているため、日本では江戸時代の前から防己と称してオオツヅラフジで代用していたと考えられる。一方、中国では青風藤はあまりよく知られていない生薬であるが、民間では脚気などによる浮腫やリウマチなどの関節痛の治療薬として用いている。成分や効能に関しては防己の項に記す。