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火曜日, 2月 04, 2014

灯心草

○灯心草(とうしんそう)

 日本全土、朝鮮、中国に分布し、水田の畦や湿地に自生するイグサ科の多年草イグサ(Juncus effusus)の茎および髄(灯心)を用いる。日本でもトウシンソウともいうが、古くからあるいはイグサと呼ばれ、その茎は畳表や花むしろの材料として利用されてきた。

 とくに江戸時代以後に瀬戸内海地方(備後・備中)で盛んに栽培されていた。イグサの髄は白くて弾力性があり、それをとってロウソクや灯明の芯に用いた。このため灯心草と呼ばれ、江戸時代には生活の必需品であった。薬材としてもこの髄を乾燥したものが市場に出ている。

 全草にはキシラン、アラバンなどの多糖類やフラボノイドのルテオリンなどが含まれているが、薬理作用は明らかでない。漢方では利水・通淋・除煩の効能があり、膀胱炎などによる排尿障害、浮腫、不眠、心煩、小児夜泣きなどに用いる。

 全身性に浮腫があり、呼吸困難のみられるときには茯苓・沢瀉などと配合する(導水茯苓湯)。肝硬変などによる腹水には蒼朮・白朮などと配合する(分消湯)。気分がすぐれないときには桂枝・蘇葉などと配合する(分心気飲)。「和方一万方」には黒焼きにして末にしたものを乳首に塗り、小児の夜泣きのときに飲ませる方法が記されている。民間療法ではイグサを噛み砕いて傷の止血に用いる。