○センナ
アフリカを原産とする常緑低木、マメ科のセンナ(Cassia acutifolia)やホソバセンナ(C.angustifolia)の小葉を用いる。中国では異国の瀉下薬という意味で番瀉葉と呼ばれている。
センナはアレキサンドリアセンナとも呼ばれ、ナイル川流域で栽培されるもので、アレキサンドリアとはエジプトの集散地の名前である。ホソバセンナはチンネベリセンナとも呼ばれ、アフリカ東岸やアラビア、インドなどに産するもので、チンネベリはインド南部の栽培地の名前である。現在、中国の海南島や雲南省でもアレキサンドリアセンナが栽培されている。現在、日本に輸入されているのはおもにチンネベリセンナである。
センナは最古の医学書である「エーベルス・パピルス」にアロエなどとともに収載されている下剤であり、古くからアラビア医学で使用されていた生薬である。今日でも欧米諸国で繁用され、日本には明治以降に西洋医学の薬物として導入されたものである。
成分にはアントラキノンのレイン、アロエエモジン、ジアンスロン配糖体のセンノサイドA~Dなどが含まれる。センノサイド類は経口では強い瀉下作用があるが、静脈内投与では効果がみられない。センノサイドA・Bは腸内細菌によりレインアンスロンが生じ、これにより瀉下作用が発現する。
センナは少量で苦味健胃薬となり、消化を促進する。適量を用いれば緩下作用を起こす。センナの成分を製剤化したものがプルゼニドである。漢方処方に配合されることは余りないが、家庭用の下剤には単独で、あるいは配合されて用いられている。センナには子宮収縮作用もあり、妊婦には用いない。ちなみにセンナ、大黄、アロエなどの生薬などのアントラキノン系下剤を連用すると大腸に色素沈着(大腸メラノーシス)が発現する。