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水曜日, 3月 19, 2014

登呂根

○登呂根(とろこん)

 日本各地、朝鮮半島、中国などに分布するナス科の多年草ホウズキ(Physalis alkekengi)の根を用いる。中国では根を酸漿根といい、全草を酸漿、がくを挂金灯という。日本では果実を登呂実という。

 花の後ろにがくが肥大し、果実を包みこみ、鮮やかな赤に変化する。中には赤い液果があり、中の種子を取り出してや手遊びに用いられる。がくの様子から燈籠草ともいわれ、日本の登呂根の名はそれに由来する。液果には酸味があるため、中国では酸漿と呼ばれている。

 全草には苦味成分のフィサリンやフラボノイドルテオリン、根にはチグロイルオキシトロバンが含まれている。薬理的に煎液に抗菌作用、子宮興奮作用などがあり、また果実には解熱・強心作用がみられる。

 漢方では清熱・利水の効能があり、マラリアや黄疸、浮腫に用いる。全草には活血・化痰・止痛の効能があり、咳嗽、吐血、打撲傷、腫れ物などに用いる。原南陽も咳止めの妙薬として果実の黒焼きを用いた。また生の果実は虫下し、根や全草は発熱や咳嗽、淋病、婦人病、、母乳不足などに用いる。

 かつてホウズキの青い果実を鎮静剤に、赤い果実は腹痛など胃腸病全般に用いた。いずれの部分も子宮を収縮させるため、妊娠中には用いないほうがよい。古くは堕胎薬としても知られていたが、堕胎には根を煎じて服用するだけでなく、根を子宮に入れる方法もあった。