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土曜日, 2月 04, 2006

トナカイ角エキスについて

○トナカイ角エキス

 強靭な生命力を示すオットセイや蛇の体内に神秘的な力の根源が宿されていることを信じた古代の人々の知恵と洞察力は、鹿の角に潜む力をも見抜いて、それを生薬に変えた。すなわちマンシュウジカ、またはハナシカの雄の、まだ骨質化していない幼角を切り取って乾燥させた鹿茸(漢方では参茸ともいう)であり、強壮・強精・補血薬として今でも根強い愛用者が絶えない。薄く切ったものを酒に浸したり飲んだり、粉末にして食べるのである。中国の古書・神農本草経には「悪血、気を益し、志を強くし、老いず」と記されており、従って漢方では、例えば鹿茸大補湯に加えて煎じて飲用する。同様のものとしてサイカク(犀角)というものがあり、これはサイの角を削って乾燥させたもので、同じく漢方では解熱、解毒、血圧降下を目標にして、防風通聖散とか升麻葛根湯などに加味する。

 こうして中国や日本で鹿やサイの角が用いられていたのと同じように、北欧ではトナカイの角が同様の目的で使われてきた長い歴史がある。そこで愛媛大学医学部医化学第2教室の奥田拓道らは、あまりにも高価な鹿茸に代わるべきものとしてトナカイ角に白羽の矢を立て、その主要成分を鹿茸と比べてみたところ、両者のペプチドアミノ酸組成は非常に類似しているが、含有量はトナカイ角の方が20%ほど多いこと、また鹿茸には遊離アミノ酸が含まれているが、トナカイ角には皆無であることがわかった。

 同教室では、故意に停留睾丸にしたマウス(こうすると男性ホルモンが低下し、インポテンツと同様の状態になる)を使った動物実験で、トナカイの角エキス(粉末の水溶液から抽出)を使用すると男性ホルモンの低下が起きないことを実証した。インポテンツにはさまざまな原因・現象・程度があるが、実験はこうしたことも配慮の上で行われた。

 1ヵ月後の結果は、1日25mg服用したグループでは3名が性交可能となり、1日50mgのグループでは同じく3名が性交可能、3名が客観的にも主観的にも勃起の明らかな改善が見られたという。そして、このグループでは有効だった6名全員に、血中の男性ホルモンの上昇が確認された。主要臓器、中枢神経や自律神経、消化器などへの異常な作用のないこと、血漿トランスアミナーゼ(GOT、GPT)活性や運動障害性などへの影響が皆無であることが綿密にチェックされた上で、こうしたインポテンツの効果が客観的に確認されたことは、非常に稀なケースと評価されるべきであろう。

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