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水曜日, 2月 08, 2012

茵蔯蒿

○茵蔯蒿(いんちんこう)

 日本の本州以南、朝鮮半島、台湾、中国などに分布するキク科の多年草カワラヨモギ(Artemisia capillaris)を用いる。日本では専ら初秋に採取した花の蕾(頭花)を用いるが、中国では春に収穫した幼苗(開花前の地上部)も用いられている。この幼苗は特に綿茵蔯と呼ばれる。沖縄県では近縁植物のリュウキュウヨモギ(A.campestris)をハママーチと呼んで用いている。カワラヨモギの名は川原や海岸に生えているヨモギという意味で、日本では徳島県や長野県より出荷されている。

 葉の成分にはクマリン類のスコパロン(エスクレチン-ジメチルエーテル)、精油成分のカピレンやカピロン、カピリン、クロモン類のカピラリシンなどが含まれる。そのうちスコパロンやカピラリシンなどには利胆作用が知られている。ただし、このスコパロンは花や種子、蕾などに多く含まれるが、幼苗には含まれていない。そのほか茵蔯蒿の薬理作用として肝障害改善、抗炎症、解熱、利尿、抗真菌作用などが報告されている。

 漢方では退黄・清熱燥湿の効能があり、黄疸、尿量減少、湿疹、掻痒症などに用いる。茵蔯蒿は古来より黄疸を治療する代表薬として知られているが、このような退黄(利胆)作用のある生薬としてその他には大黄・黄柏・鬱金・竜胆などがある。