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木曜日, 12月 01, 2005

EPA(エイコサペンタエン酸)について

○EPA(エイコサペンタエン酸)

 国際表示はIPA(イコサペンタエン酸)。魚油に多く含まれるn-3系の多価不飽和脂肪酸である。

 EPAが注目されるようになったのは、1970年代にデンマーク・オールボア病院のダイアペルグがエスキモー人を対象にして行った疫学的調査の結果によってである。それによると、魚やアザラシを主食とするエスキモー人(イヌイット)は、肉食中心のデンマーク人に比べて動脈硬化、脳梗塞、心筋梗塞などの生活習慣病が大幅に少なかった。たとえば、デンマーク人の死亡原因が心筋梗塞だけで40%以上も占めているのに、エスキモー人は発症率が高いはずの60歳以上だけを対象にしても、わずか3.6%でしかなかった。

 その原因がエスキモー人の食生活にあると考えた研究の結果、魚油に含まる脂肪酸のEPAの有効作用にあるとわかったのである。これは同じく魚油に含まれるDHAにも見られる作用で、血液の流動性を高めて血栓の生成を抑え、血管に付着して動脈硬化の原因となる血液中のコレステロール値を下げる働きも明らかにされてきた。

 日本における疫学調査でも、山間部の農民に比して沿岸地域の漁民はイワシなど魚類を2.5倍ほど多く摂取しており、血小板の凝集能(血液の固まりやすさ)は約1/3、また、心筋梗塞や脳梗塞による死亡率が2/3であることなどの調査結果を報告、同研究班はさらに魚油から生成したEPAによる臨床試験(対象者117名)でも、血中EPAの増加と、血中コレステロールの低下、血小板凝集能の抑制が認められることを確認した。

 こうした疾病以外に、EPAにはアトピー性皮膚炎や気管支喘息、花粉症などアレルギー疾患に対する予防・治癒効果、あるいは慢性関節炎など炎症性の症状にも効果があることが報告されている。これはEPAやDHAを材料にして体内で作られるエイコサノイドという生理活性物質(プロスタグランジン、トロンボキサン、ロイコトルエンなど)による作用であると考えられているが、よく似たプロセスでn-6系のリノール酸が体内でアラキドン酸を経て生理活性物質になった場合には、逆に血小板凝集作用が強まり、過剰摂取は成人病を促進することになるばかりか、炎症物質を作ってアレルギー反応を助長する結果を招くことがあることも明らかにされている。こうして、一時期もてはやされた植物油への過信を反省する気運の中で、EPAやDHAへの関心が高まり、また、体内でEPAやDHAに変わるα-リノレン酸などへの関心も高まってきている。

 EPAを多く含むのはハマチ、サンマ、イワシ、マグロなど脂肪の多い魚全般、あるいは筋子などであるが、それは魚類が餌とするプランクトンなどに含まれるα-リノレン酸が体内でEPAに変化して蓄積されるためといわれ、冷たい水の中で体脂肪が凝固してしまうことを防ぐことに寄与していると考えられている。

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