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火曜日, 7月 29, 2014

蓽茇

○蓽茇(ひはつ)

 東南アジアに分布するコショウ科のつる性常緑木本植物ヒハツ(piper longum)の未熟な果穂を用いる。ヒハツは長い房になったまま用いるのでナガコショウとも呼ばれている。

 現在、カレー粉などの香辛料として現地の人しか用いていないが、ギリシャ・ローマ時代にはコショウよりもナガコショウ(ヒハツ)のほうが一般的であった。実際、英語のpepperとヒハツは、サンスクリット語のPippeliに由来する。

 果穂にはアルカロイドのピペリン、チャビシン、ピペルロングミンなどが含まれ、抗菌作用や血管拡張作用が報告されている。漢方では散寒・止痛の効能があり、冷えによる嘔吐、腹痛、下痢に用いる。そのほか、頭痛や歯痛、鼻水や鼻づまりにも用いる。虫歯の歯痛には蓽茇と胡椒の粉を蝋で固めたものを穴に詰めるとか、片頭痛には蓽茇の粉末を温水で鼻に通すといった方法がある。

 近年、ヒハツが血流を促進し、新陳代謝を高め、体温を上昇させて、脂肪の燃焼を促進させることから、ダイエット素材として利用されている。ちなみに沖縄県(八重山列島)でピハーツ、フィファチ、沖縄コショウと呼ばれているのは、ヒハツモドキ(P.retrofractum)のことで、インドナガコショウに対して、ジャワナガコショウ(Java long pepper)という別名もある。